英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 126 |
翌日、ジンとオリビエと合流したエステル達はリフィア達やプリネ達と共にアリーナに向かった。
〜グランアリーナ・ホール〜
「では余達はミント達と共に観客席でお前達を応援する。………余直々が応援するのだ。絶対に勝ち残るのだぞ!?」
「当然よ!」
「はい、ありがとうございます。」
リフィアの応援の言葉にエステルとプリネは頷いた。
「あの……がんばって下さい、ご主人様。」
「フフ……ありがとう、ツーヤ。」
「がんばってね、ママ!ミント、一杯応援するね!」
「ありがとう、ミント。」
ツーヤとミントの応援の言葉にプリネとエステルは微笑んだ。
「よし、それでは観客席に行くぞ。」
「ん。」
「はい。」
「はーい!」
そしてリフィア達は観客席に向かった。リフィア達を見送ったエステル達は控室に向かおうとした所
「あ〜、エステルちゃんたちだ!」
「あ、ドロシーじゃない!」
ドロシーがエステル達を呼び止めた。
「エステルさん、私は準備やペルル達と戦いの前の打ち合わせをしたいですから、先に行ってますね。」
「うん。」
そしてプリネは控室に向かった。
「お久しぶり……って言うほどでもないですね。ツァイスで会って以来ですから。」
「ホントにそうだね〜。また生きて会えるなんて夢にも思ってなかったよ〜。エステルちゃんたち、工房船に乗って危ない所に行こうとしてたみたいだし〜。」
「危ない所……?」
「ほほう、興味深い話だねぇ。」
ドロシーの言葉にジンは首を傾げ、オリビエは目を光らせた。
「あわわ、ドロシー!その話はまた後でってことで。」
ドロシーの言葉に反応したジンとオリビエを見て、エステルは慌てて続きを言わせるのを止めた。
「ほえ……?そういえば、そこの人たちどこかで見たことがあるような〜。」
一方ドロシーはジンとオリビエを見て、見覚えのある人物達である事に首を傾げた。
「フッ、一度ボースの街でお目にかかったことがあるね。また会えて嬉しいよ。ユニークでチャーミングなお嬢さん。」
「俺の方とは、温泉の近くで一度すれ違ったことがあったな。」
「ああ〜、思い出しましたぁ!ワイン飲み逃げ事件の犯人さんと東方風のカッコした熊さんです!エステルちゃんたち、この人たちと武術大会で一緒に戦ってるの〜?」
オリビエとジンの言葉で思い出したドロシーは声をあげた後、エステル達に尋ねた。
「うん、そうよ。」
「こちらのジンさんにお願いして本戦から参加しているんです。そういえば、ドロシーさん。今日は取材に来たんですか。」
「うん〜、昨日までは別の取材をしてたんだけどね〜。今朝、ナイアル先輩に会ってエステルちゃんたちが武術大会に出てることを教えてもらって〜。でも、先輩が言ってた通りかなり強そうなチームみたいね〜。これは良い写真が撮れそうかも〜。」
「あはは、期待してるわ。あれ……そういえばナイアルは一緒じゃないの?」
いつもいっしょにいるナイアルがいない事に気付いたエステルはドロシーに尋ねた。
「うん、なんだか大事な調べものがあるみたいでね〜。昨日は徹夜で資料と格闘してたみたいだし〜。今日は、昔の知り合いと会って話をするんだって〜。」
「そっか……」
早速情報部について調べてくれているナイアルにエステルは心の中で感謝していた。
「あ、そうそう、先輩から、エステルちゃんたちに伝言があるの〜。今日の夕方くらいに編集部に来て欲しいんだって〜。なんか、大切な話があるみたいよ〜?」
「ん、わかった。」
「試合が終わったら伺います。」
ドロシーの伝言にエステルとヨシュアは頷いた。
「大切な話……。なんだかお安くないねえ。気になるなあ。ゴロゴロ、うにゃああん。」
「ちょ、ちょっとダメだってば。オリビエには関係ない話なんだから。」
ちゃっかり首を突っ込もうとしているオリビエにエステルは慌てて止めた。
「ひどいわっ、エステル君!昨日はあんなに激しく(試合で)燃えたのに!必要がなくなったらゴミのように捨てるのね〜っ!」
「だ〜から、誤解を招く言い方はやめい!」
「はわわ〜、エステルちゃん。いつのまにそんなオトナに〜?」
「あんたも信じるなっちゅーの!」
オリビエの人が聞いたら誤解するような言い方と、それを信じているドロシーにエステルはすかさず突っ込んだ。
「あ、それじゃあわたし、撮影ポジションを確保するから観客席の方に行くね〜。エステルちゃんたちのこと、応援しまくるから頑張ってね〜。」
そしてドロシーは観客席に向かった。
「なんというか……ユニークな嬢ちゃんだなぁ。」
「はふ〜っ……。オリビエとドロシーが揃うと2乗で疲れるような気がするわ……」
ドロシーが去った後、ジンは感嘆の声をあげ、エステルは疲れてゲッソリした。
「ハッハッハッ。試合前の緊張がほぐれたということで。」
疲れているエステルを見て、オリビエは人ごとのように笑って言った。
「ドロシーさんは、カメラマンとしてかなりの腕前の持ち主みたいですよ。最近の『リベール通信』の写真は彼女が撮った物ばかりだそうですから。」
「ほう、そりゃ凄いな。だったら、そのカメラの前でブザマな戦いは見せられねぇな。」
ヨシュアが話したドロシーに関しての情報を聞いたジンは気を引き締めた。
「うん……確かに。誰と当たるかは判らないけど気合を入れるしかないわねっ!」
そしてエステル達は控室に向かった。
〜グランアリーナ・選手控室〜
控室に入るとそこには使い魔達を召喚したプリネ達がいた。
「あ、プリネ。」
「あら、みなさんもこちらの控室だったんですか?」
プリネがいる事にエステルは驚き、プリネは尋ねた。
「うん。…………それにしてもプリネ達がここにいるって事はもしかしたら、明日の決勝戦で戦うかもしれないわね。」
「フフ、そうですね。その時はお互い、全力を出し合ういい試合にしましょうね。」
「うん!」
プリネとエステルが会話でもりあがっている所、試合開始のアナウンスが入った。
「皆様……大変長らくお待たせしました。これより武術大会、本戦2日目を始めます!早速ですが、本日最初の第五試合のカードを発表します。南、蒼の組―――カルバード共和国出身。武術家ジン以下4名のチーム!北、紅の組―――遊撃士協会、グランセル支部。クルツ選手以下4名のチーム!」
「来たっ!しかもカルナさんたちが相手だわ!」
「……強敵だね。僕たちが、ジンさんの足を引っ張らないようにしないと……」
クルツ達が相手と知ったエステルは目を輝かせ、ヨシュアは気を引き締めた。
「そう慎重になることはないさ。お前さんたちの実力はじゅうぶん正遊撃士に迫ってる。後は勝とうという気合いだけだ。」
「うんっ!」
「頑張ります!」
「フッ……。いざ行かん、戦いの園へ!」
「みなさん、頑張って下さい!」
「がんばってね、みんな!」
「勝利を……祈っています………」
「ま、せいぜい頑張りなさい。」
プリネ達の応援の言葉を背に受け、エステル達はアリーナに向かった…………
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第126話 | ||
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