恋姫的外史 第4話 |
持たざる者
第4話
「ほい。水なんだな。これしかないから大事に飲むんだな」
そう言いながら、私に瓢箪を渡してくれた
「あ…ありがとう」
…って瓢箪?
不思議に思いながらも、軽く振ってみると水の音が聞こえた
残りは半分弱といったところだろうか?
「助けてもらったんだから、あなたが先に飲んでいいよ」
「オ…オラはさっき飲んだから平気なんだな…」
嘘をついているのはすぐに分かったのだが、彼なりの優しさなのだろう
玉のような汗は全然引いていないし、喉が渇いているのは明らかだった
「じゃあ…一口だけ…」
貴重な水分なので、軽く喉を潤す程度の量を頂いた
魔法瓶に入っているわけでもないので冷たさなんてものは感じられなかったが、
それでも喉の渇きは多少収まった気がした
「何から何まで本当にありがとう」
そう言いながら瓢箪を返すと、男は飲まずに腰に括りつけた
本当に大丈夫なのだろうか?
「それにしても…荷物も何も持たないでこの辺りを歩くのは、とっても危険なんだな…」
確かにその通りだ、だが気が付いた時には何も持っていなかったので、仕方ないと言える
「あーそのなんだ、無くしてしまってな…」
頭を掻きながら申し訳なさそうに答えると、男は信じてくれたようだった
もしかしたら嘘をついているのがバレているのかもしれない
「行く当てが無いんだったら…オラの村まで一緒に来ると、どうなんだな?」
思いがけない提案に、思わず息をのんでしまった
「いいんですか?」
思わず敬語になってしまった
危機を救ってもらった恩もあるので、これ以上迷惑をかけるのは心苦しいが、とても魅力的な提案だった
「まぁオラもこれから村に帰るところだったから、着いてくる分には別にかまわないんだな、それにお前は悪いヤツには見えないんだな」
人を見る目はあるつもりだと暗に言っている気がした
「実は道に迷っていたので、その提案はとても助かります」
「じゃあ話は決まりなんだな」
そう言いながら、広げていた布を手慣れた手つきで折りたたむと、紐で縛り上げてから荷物に括りつけ、大きなリュックの様なものを背負った
「そういえば村まではどれくらいなんでしょう?」
「そうだな…村へは後2日くらい歩けば着くから、そう遠くないんだな」
「2日?!」
てっきりkmで言われると思っていたので、その言葉は予想外だった
2日歩くなんてことは今まで経験したことが無かったので、さすがに驚いてしまった
まぁ見渡す限りに荒野が広がっていたので、さすがに納得はいく
「そんなに驚くほどのコトでもないんだな…」
「まぁ…そうですね…」
驚いていても村には着かないので、男は少し空を見たかと思うと
「こっちなんだな夕方までにはまだ時間があるから、日が出ているうちに距離を稼ぐんだな」
と言いながら、歩き出した
今の一瞬で方角と時刻を割り出したのだろうか?何気にすごい特技である
「これからよろしくお願いします」
「よろしくされるんだな」
楽しげに笑いながら男は歩き出した
後姿を見ると、昔ドラマで見たおにぎり大好きな絵描きさんを思い出した
「しゃべり方と言い、体格と言い、雰囲気と言い…なんかそっくりだな」
考えれば考える程似ている気がして思わず噴き出してしまった
「ん?どうかしたんだな?」
振りかえりながら、急に笑い出した私に声をかけてきた
「いえいえ…ちょっと昔の知り合いにそっくりなんで…」
「…? おかしなヤツなんだな…」
特に気にする訳でもなく、また正面に向き直りそのまま歩き出した
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三国知識も武力もない… いわゆる普通の一般人である主人公が恋姫世界で生きていく物語です ちなみに一刀くんは魏ルートです |
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コメント | ||
さぁ4話になっても主人公と男の名前が出てきません!w 次の話で自己紹介の場面にはいりますよw(らぱん) | ||
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