真恋姫†夢想 弓史に一生 第三章 第八話 宵に見えた流星 |
〜聖side〜
「ナニヲイッテイルノカナキミタチ??」
「酷い!!」
そう言って、芽衣は泣きながら膝から崩れ落ち。
「聖様は私と交わしたあの約束、そしてあの夜のこと『わあ!!わあ!!』」
…爆弾を投げ込んできた…。
そして、同調するように奏と橙里が追い討ちをかける…。
「そうだぜ!! お頭が私に言ってくれたことは嘘だって言うのかい? それに、あの夜『わぁぁぁぁぁ!!!!!』」
「…何時になったら、私に手を出して『わあああぁぁぁぁ!!!!』」
「はぁはぁ…。分かった、俺も男だ。認めようじゃないか。確かに、君たちは俺が愛する人で、皆も俺を愛していると…。」
「なら、お嫁さんでも良いですよね〜?」
「文句はないよな?」
「早く手を『わぁぁああ!!!!』」
何だろう…。何か釈然としないが…。まぁ、仕方ない…。
「…はぁ〜…。 分かったよ…。俺もはっきり言わない所はあったからな…。 …お前たち三人は、俺が大好きな人たちだ。これからも、俺の傍に居てくれるかい??」
「…はいっ!!! …喜んで…。(ポロポロ)」
「お頭の事は、あたいが命に代えても守るからな。」
「早く『しつこい!!! しつこい女は嫌われるぞ。』あわわわっ、ごめんなさいです。この通り謝るです。だから見捨てないで欲しいのです。」
ナデナデ。
「捨てるもんか。 …橙里だって、俺の大事な人だからな。」
「はいです!!!! 私にとっても、先生は大事な人です…。」
「なら、悪いけどもう少し待ってな…。機会が訪れるまで…。(ぼそっ)」
「えっ!! …はいです!!!」
顔を赤くしながら答える橙里が、無性に可愛かった。
「あの〜…。申し訳ないのですが…。うちの生徒たちの前で、そういう事されても困るのですが…。」
「「「「はっ!!!! …申し訳ないです。」」」」
「「「「「モジモジ( ///)」」」」」
見ると、水鏡塾生達は皆、顔を赤くしながらモジモジとしている。この空気に落ち着かないのだろうな…。
「まぁ、英雄は色を好むもの。あなたは英雄の器を持っているのでしょうね。なら仕方のないことではないでしょうか。」
「きょ…恐縮です…。」
「なんなら、うちの子達全員、貰ってあげてくださいな。(コソッ)」
「えぇぇぇ!!!!????」
「…なにやら、嫌な予感が〜…。水鏡さん、そのお話は私が…。(コソコソッ)」
「あらっ?そういうことなの?? じゃあ…。(コソコソッ)」
なにやら二人で角のほうで話し始めてしまった…。何か、とてつもなく嫌な予感しかしない…。
「徳種様。もしよろしければ、また質問を始めたいのですが…よろしいですか?」
「あぁ、なにやらあっちはあっちで話してるみたいだし、授業はやりきらないとね…。」
「はいはい!!!じゃああたしが質問する!!!」
「どうぞ、馬謖ちゃん。」
「あのね…その…徳種さんってそっちの方凄いの?? 凌統さん!!」
「ぶふっ!!!」
それ系統は終わったんじゃないのか…?
「ふふふっ。 あぁ、そりゃあもう…。」
「奏も答えないの!!!!」
「じゃあ、合ってるってことなんだ…。いや〜ん、徳種さんのケ・ダ・モ・ノ♪」
「何で話がそっちの方ばかりになるのやら…。」
「そっ…そうだぞ、馬謖。あまり人の事に口を突っ込むな…。徳種さんだって困ってるだろ。」
「じゃあ、簡擁ちゃんだけ聞かなきゃ良いじゃん。他のみんなは聞きたいみたいだし♪」
後の三人の方を見ると、顔を真っ赤にしながらも、真剣に話を聞く態度になっている…。女子高に行く、新任の男の先生ってこんな感じなのかな…。 怖いな…。
「さぁさぁ、授業ももう直ぐ終わりよ? 聞きたいことは済んだ?」
何時の間にやら、芽衣との話が済んだ水鏡先生が皆に告げる。何故、その顔がほくほくなのかは、聞かない事にしよう…。
「えぇ〜もう終わり〜…。まだまだ聞きたいことがあるんだけどな〜…。」
「聞きたいことがある人は、後で『直接』本人に聞きに行きなさいね。その時、無礼がないようにしっかりと気をつけること。よろしいですね、皆さん?」
「「「「「はい。」」」」」
授業が終わり、俺は自室に一度戻った。
橙里は、水鏡先生と話があるからと機嫌良さげに出て行き、芽衣はなにやら頭が痛いらしく、しばらく休むといっていた。
と言うわけで、暇な俺は、陽華の散歩がてら、奏と遠乗りに出かけることにした。
「なぁ、お頭良いのか?? 遠乗りなんてして。 体はまだ治ってないんだろ??」
「まぁ、傷は塞がってるし、多少運動しないと、肉がついて大変なことになっちゃうからな…。」
「ふ〜ん。まぁ、お頭が行くって言うなら止めはしないけどさ。」
「ありがとう、奏。よしっ、じゃあ行こうか!!」
二人は馬を駆けて林道をひたすら走っていく。
目的地は近くの町にして、本当に散歩としておいた。近くといっても、水鏡塾は森の中にひっそりと立っているので、近くの町までおよそ五十里。馬で飛ばして片道二刻半って所である。
俺は馬上で奏と話しながら、近くの町まで一気に駆けていった。
二刻半後、俺たちは町に到着した。
この町はそれほど大きいわけではない。今まで訪れたことのある町に比べれば小さいのだが、村よりは大きいという程度である。市の賑わいもそこそこ…。何か掘り出し物でもないか、奏と一緒に市を見て回った。
ふと、装飾品の店の前で売られている商品に目を奪われる。
ここは、大きな中国でも真ん中辺り。そのせいか、北から南からの文化が入り混じり、独自の文化を形成している。その為、装飾品は見たことのないような物ばかり。しかし、一つ一つ凄く繊細に作業されていて、匠の技を感じるような仕上がりである。
とりあえず、物色していると。
「旦那、隣の彼女さんへのプレゼントですかい??」
「ん?? まぁ、そんなところかな…。」
「えっ、そんな…。あたいに…。( ///)」
「だったら、こんなんはどうですかね?」
「これは…指輪か??」
「へぇ、これは方角の四神を模して作られた指輪でして、白、青、緑、赤の色の玉をはめ込んであるんですよ。対の方角を表す指輪で、二人で対にしてはめても良し、四人の絆を確認するため、四人ではめても良しの優れもの。今日たまたま手に入ったお値打ちもんですよ!!」
「成程、青龍・朱雀・白虎・玄武をあしらってるのか、なかなか良い意匠の指輪だな。 …気に入った!! 店主、これをくれ!!」
「へいっ毎度!!お二つでよろしいですね??」
「いやっ、四つくれ。」
「四つ!? 彼女さんにあげるんじゃないんですかい??」
「他にも渡す相手が居るんだよ…。(コソコソッ)」
「かぁ〜…。旦那も色男ですねぇ〜。(コソコソッ)」
「そう言うな…。俺だって大変なんだぞ…。(コソコソッ)」
「羨ましい限りですよ。よっしゃあ、その苦労を考えて少しまけて、これぐらいで売りやしょう!!(コソコソッ)」
「良いのか??」
「へぇ、男に二言は無しってやつですよ。」
「そうか…じゃあこれお代な!!」
「へぇ、毎度…って旦那!! これじゃあ、正規の料金よりも貰っちまってるよ!!」
「良いんだよ。俺がお前の心意気に差し出した金だ!! 男に二言は無し、だろ??」
「はははっ、ちげぇねぇ〜。じゃあ旦那、これも持って行ってくだせぇ。これはその指輪たちの核。金色の玉がはめ込まれたやつで、四神の守る中央にある大事なものでさぁ。本当は売る気はなかったんだが、旦那の心意気に惹かれやした。貰ったお代と引き換えだ!! 持って行ってくれ。」
「分かった。ありがとな店主。大事にするよ。」
「旦那もお達者で!!」
俺は奏と店を離れた。
奏は、何か不機嫌そうに見えたが、先ほど買った青色の指輪を渡すと、直ぐに機嫌が戻った。
まったく、女の子っていうのは現金だね…。
その後も町をぶらぶらしていたが、そろそろ帰らないと真っ暗になってしまうということで、俺たちは帰路についた。
街を出る時には、日は既に傾きかけ、辺りは夕方と夜の間のような明るさとなっていた。所謂、宵と言うやつだ。
「なにキョロキョロしてんだ??お頭。」
「う〜ん…宵の明星を探してるんだが…なかなか見つからなくてね…。」
「なんだい? その、宵の何ちゃらって言うのは?」
「宵の明星ね。このぐらいの時間帯に、東の空に見える明るい星だよ。恒星の金星じゃなかったかな…。」
「ふぅ〜ん。あたいは天体なんてまったく知らないからねぇ…。お頭は占いもやるのか?」
「いいや。俺は星を見ることは出来ても、そこから何か分かるわけではないからね…。」
「そうか。 …んっ?? お頭、あの星がそうじゃないか??」
「どれだ〜…あぁ〜あれか…。 確かに明るいが方角が……って、あの星だんだん大きくなってきてないか!?」
「なんか…大きく、明るくなってる気がするね…。」
「あれ落ちてるのか?? 落ちる先は…ここから先の荒野っぽいな…。」
「お頭は流星に乗ってきたんだっけか?」
「あぁ…。行ってみれば何か分かるかもしれない。行ってみよう!!」
「あぁ。」
二人は馬を走らせて、その星が落ちる場所へと向かった。
〜○○side〜
「う〜ん…ここは…。」
目が覚めて辺りを探ると、日暮れの夕焼けを一望出来るようなそんな広大な荒野にいた。
見渡す限り何も無く、地平線が遥か彼方に見える。
「こんなところ、日本にあったかな…。」
しばらく呆然と立ち尽くすしかなかった。まだ、思考の整理が追いついてない…。
「おい、兄ちゃん。悪いことは言わねぇ。金目のもん全部置いてきな!!」
「けっひっひ。痛い目見たくなければ大人しくしてな!!」
「大人しくするんだな。」
「へっ?? うわわわ…コスプレ?? …剣も持ってるし!!! これって本物?? ドラマの撮影かなんかじゃないよな??(キョロキョロ)」
「何、訳分かんねぇ事言ってんだ!! 命が欲しかったら早く金目のもん置いてけ!!!」
「っ!!! 分かった、分かったから…。 え〜っと…財布に金あったかな…。 あぁ〜…千円しかないんでこれで許してくれませんかね…。」
「何だこの紙切れ!? こんなんで俺たちを騙すつもりか!? おちょくってんのかお前は!!!」
「やっぱり駄目ですよね…。でも、今本当に手持ちが無いんですよ…。」
「金がねぇならその服を置いてきな!! こんな暗がりで、それだけ光ってんだ…良いものに違いねぇ。」
「たっ…ただのポリエステルですけど…。」
「ぽりえすてーるだ??」
「ポリエステルですって!!」
「だぁ〜もう、そのぽりえすてーるとか言う服を置いてきやがれ!!」
「ただの学生服なんだけどなぁ〜…。」
「つべこべ言ってねぇで早くするんだな!!」
「分かったよ…。まったく、今日はついてない『ドシャッ』な…??」
「なっ!! 何だ、何が起こった!?」
「兄貴!!矢だ!! デクの頭に鏃が潰してある矢が当たったみたいだ!!」
「何だと!? 弓兵なんて一人も見えな…おいっチビ!!あれ見ろ!! あっちから二騎やってくるぞ!!」
「ほんとでやんすね。 …ってことは、あの距離を射抜いたってことですかい? ひぃ〜化けもんだ…。」
「おい、早く逃げる準備だ!! 早くしないと、俺たち『シュッ』も…。『ドシャッ』チビ!!おい!!しっかりしろチビ!!」
「どこかで見たような奴だと思ったら…。またお前らか…。」
「あっ…あんたはあの時の!!」
「まだ懲りずにこんなことやってんのか…。一度お灸をすえてやった方が良いか?」
「かっ…勘弁してくれよ!! 俺たちだって生きるために必死なんだから。」
「はぁ〜…。まぁ、この世界じゃしょうがないわな…。 おい、そこのヒゲ!! どうしても困ったら、広陵の町に行け!!そこで県令の男に仕事を求めろ!! 俺の名前を告げてな…。やつは、俺の部下だから、少しくらい融通を利かせてくれるはずだ。」
「あんた、俺たちに仕事をくれるのか?あんた一体…。」
「俺は天の御使いだよ…。(ボソッ)」
「っ!!! あんたがあの…。へっ、天に運命任すってのも悪くは無いかもな…。」
「そう思うんなら行ってみてくれ。あんたの活躍に期待してるよ。」
なんだかさっきから置いてきぼりな俺…。
それにしても、さっきまでの男と違って、この男は日本の弓道の衣装を着ている。
なんだ?? やっぱりコスプレ大会か何かなのか?? それに、さっき広陵って…。そんな地名日本にあったかな…。
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どうも、作者のkikkomanです。 中途半端な時間に更新となってしまいましたが、それに関してはすいません…。すこし、忙しかったもので…。 それから、第一話の方が総閲覧数が1000を超えました。本当にありがとうございます。 これからも宜しければ、この小説を読んでいって下さるとうれしいです。 今話では、遂にあの人が…。お楽しみに…。 |
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