魔法少女と竜と漆黒の狂戦士と |
ブリッジに向かうと、モニターにフェイトが映っていた。そしてフェイトは
「あの馬鹿者め・・・・・・何をしているんだ!」
6個のジュエルシードを強制発動させていた。
・・・あいつ、あの時の事を忘れたのか?たった一個であれほどのケガを負ったのに、6個など封印できるはずがない!
「まったく、呆れた無茶をする子だわ!」
「・・・無謀ですね。あれは・・・個人の出せる魔力の限界を超えている。」
提督とクソガキが呆れていた。
「フェイトちゃん!!」
なのはが叫ぶ。
このままではマズイ。すぐにフェイトを助けに行かないと!
「あの!わたし、すぐに現場に向かいます!!」
なのはも心配なのだろう。・・・が、
「その必要はないよ。放っておけばあの子は自滅する。」
「っ!?」
「仮に自滅しなかったとしても、弱ったところを叩けばいい。・・・今のうちに捕獲の準備を!」
・・・・・・。
『・・・虫酸が走りますわね。』
・・・そうだな、クシャナ。
「私たちは常に最善の選択をしなければいけないわ。残酷に見えるかもしれないけど、これが現実。」
ふざけるな!元から救う手段を考える事を放棄している奴がどの口で言ってやがる!
確かに組織としてはそれが正しいだろう。だがそれは・・・
「・・・最善であっても最良ではない。」
だから俺は転送ポートに向かう。
「おい、バ−サーカー!!どこに行くつもりだ!!」
何を聞くかと思えばそんなことか。
『頭が少し可哀想なのでは?』
・・・相変わらず毒舌だな、クシャナ。
「・・・知れたこと。あそこに向かう。」
「ふざけるな!そんなこと許されると思ってるのか!?」
こいつ、人の話を聞いていたのか?
「協力条件の一つ、我の単独行動を認めること。」
「っく!だが!!」
・・・いい加減うるさいな。少し脅すか。
「・・・今ここで我をあそこに行かせるか、それとも・・・・ここで皆殺しにされるのとどちらがいい?」
ついでにクソガキだけに殺気もプレゼント。
「っ!!?」
おー、青ざめてんなぁ。
そして転送ポートに入ってユーノに頼んだ。
「ユーノ、転送を頼む。」
「う、うん。分かった。」
ユーノが端末を操作する。
「わたしも行く!!」
・・・フッやっぱりお前も行くか。
「待ちなさいなのはさん!!あなたの単独行動は認められません!」
「ごめんなさい。高町なのは、指示を無視して勝手な行動を取ります!!」
「ユーノ、やれ。」
「分かった!」
そして俺たちはフェイトの所に向かった。
「ひどい・・・。」
「・・・凄まじいな。」
海鳴市海上に出ると、そこにはフェイトと6個のジュエルシードが発動していた。ジュエルシードの周りには膨大な魔力の影響で竜巻が幾つも出ていた。
「フェイトちゃん!!」
「っ!?」
フェイト達が驚いてこちらを見るがそれも一瞬だった。
「っ!フェイトの邪魔をするなああああ!!!」
先にアルフが高町に攻撃を仕掛けた。しかし、その攻撃をユーノが結界で止める。
「待てアルフ!!高町たちは今は敵では無い!今回は協力してあれをどうにかするのが先だ!」
「なっ!?アンタ、無事だったのかい!?」
(零冶!!)
(フェイト、今はアレをどうにかするのが先だ!高町たちと協力して封印するぞ!)
(・・・わかった。)
「高町!フェイト!我があの竜巻をどうにかする!その隙にジュエルシードを封印しろ!アルフ、ユーノ!貴様等は二人のサポートだ!!」
「「「「わかった(うん)(あいよ)!」」」」
「ルナ、行くぞ!」
[了解マスター!封印解除!]
俺は斬魔刀を構え、竜巻に向かって突撃する。向かってくる竜巻を斬り裂き、フェイトたちの道を作り、邪魔をしようとする竜巻も斬り伏せる。
「すごい・・・あれだけの魔力で作られた竜巻をいとも簡単に斬っている。」
ユーノたちが驚いている。だがそれも一瞬で、四人はすぐにジュエルシードに向かう。
なのはとフェイトが俺が作った道を通って行き、撃ち漏らした竜巻が迫るがアルフとユーノが二人をサポートする。
そして二人がジュエルシードにたどり着く。
「レイジングハート!ディバインバスター・フルパワー、行けるね?」
[いつでも行けます!]
[バルディッシュ!]
[サー!!]
二人が魔法陣を展開し、膨大な魔力が収束している。
・・・ったく、魔力の押し売りみたいにでかいな
「行くよフェイトちゃん!・・・せーのっ!!」
二人は杖を構え、
「サンダー・・・」
「ディバイン・・・」
「「レイジーー!!!(バスター!!!)」」
二人の砲撃がジュエルシードに向かって撃ち抜く。
・・・あれはくらいたくないな。
『・・・((私|わたくし))でも耐えきるかどうか分かりませんわ。』
さすがに生身じゃ無理だろ?障壁を展開さえできればなんとかなるかもしれんが、お前たちがそれをできるまでどれ程時間が掛かることか・・・。
ともかくジュエルシードは無事に封印できた。残る問題はなのはとフェイトか・・・。二人は今お互いに向き合って話しをしているみたいだ。
「・・・友達になりたいんだ。」
と、なのはが言ったのが聞こえた。フェイトは目を見開いて驚いていた。
きっとこんなことを言ってくれる人がいなかったんだろうな。
そう思っていると突然ルナが叫んだ。
[マスター!!上空から高魔力反応!!]
「なにっ!?」
魔力反応はなのはとフェイトの上空からだった。膨大な魔力が収束している。
・・・マズイ!!!これはなのはたちが耐えられるレベルじゃない!
俺は瞬時に行動した。ルナのサポートで魔法陣を足場にし、縮地を使い二人の所へ向かう。その時、収束した魔力は雷撃となってフェイトに向かって落ちる。
頼む、間に合え!!
「フェイトオオオオ!!!」
「え?きゃあ!!」
俺はなんとかフェイトに当たる前に突き飛ばすことができた。その代わり、俺に雷撃が直撃した。
「がああああああっ!!!」
『主!』
雷撃をまともに受け、高圧電流が俺を襲う。俺が着ている鎧は魔力耐性が殆ど無く、ルナの障壁も間に合わなかった。
[マスター!!!]
攻撃が止んだ時は俺は飛んでいることが精一杯で、今にも落ちそうだった。体中から煙りが吹き、兜にはヒビが入り、そして・・・
・・ピシ・・・ピシピシッ・・・バキンッ!!
兜が砕け散った。そしてフェイトとアルフがこちらに全力で向かう。
「零冶ぃぃ!!!(レイジーー!!)」
フェイトたちが叫ぶ。
「・・・え?うそ、・・・れ・・いじ・・・君?」
「・・・まさか、彼が・・・バーサーカーだったのか?」
あーあ、とうとうバレちまったかぁ。
「しっかりして零冶!!あぁ、そんな・・・お母さん、どうして!?零冶・・・ねぇ、零冶ったら!!」
「レイジ!大丈夫かい!?」
二人が体を揺する。
・・・二人とも、ソレ・・・結構痛いから。
「・・くぅ、・・るせぇな。体を・・・ゆす・・んな。・・・体・・に響くだろ?」
「「零冶!(レイジ!)」」
だから揺するなって!
「・・・零冶・・・君?」
そういえば、なのはの事を忘れてたな。だけどもう・・・限界みたいだ。
[マスター!!しっかりしてください!!]
「ルナ・・・後の・・・ことは・・任せた。・・・フェイトも・・・あいつたちのことは・・・話すな。」
[・・・り、了解・・・マスター!]
ああ、ちょっと眠くなってきたな。
「分かった、分かったから・・・しっかりしてよ!」
「ちょっとだけ・・・眠るから心配・・すんな。」
そして俺は目を閉じた。
side なのは
「・・・友達になりたいんだ。」
わたしはやっとフェイトちゃんに伝えることができた。フェイトちゃんはちょっとビックリしているみたい。・・・やっぱり、いきなりじゃ迷惑かな?
「・・・私・・は。」
フェイトちゃんは何かを言おうとしたその時、
「フェイトオオオオオオ!!!」
突然バーサーカーが叫んでこっちに向かってくる。そして空から紫色の雷が落ちてきて、それがフェイトちゃんに・・・危ない!!フェイトちゃんは無事だった。でも代わりにバーサーカーが!
「がああああああっ!!!」
雷をまともに受けてバーサーカーが苦痛の叫びを上げる。
「バーサーカー!」
雷が消えるとそこには体中から煙りを吹いているバーサーカーがいた。そして、兜にヒビが入って
・・ピシ・・・ピシピシッ・・・バキンッ!!
バーサーカーの顔が曝され・・・・え?
「零冶ぃぃ!!!(レイジーー!!)」
フェイトちゃんたちが叫ぶ。
「・・・え?うそ、・・・れ・・いじ・・・君?」
そんな・・・どうして?なんで・・・零冶君が!?そ、それよりも大丈夫!?
「・・・まさか、彼が・・・バーサーカーだったのか?」
「しっかりして零冶!!あぁ、そんな・・・お母さん、どうして!?零冶・・・ねぇ、零冶ったら!!」
「レイジ!大丈夫かい!?」
「・・くぅ、・・るせぇな。体を・・・ゆす・・んな。・・・体・・に響くだろ?」
良かった。ちゃんと生きてるみたい。
「「零冶!(レイジ!)」」
「・・・零冶・・・君?」
私が呼びかけると、零冶君はこっちを向いて少し微笑んだ気がした。
[マスター!!しっかりしてください!!]
零冶君のデバイスのルナちゃんも心配してるみたい。・・・当然だよね、こんなに痛い思いをしてるのに・・・。
「ルナ・・・後の・・・ことは・・任せた。・・・フェイトも・・・あいつたちのことは・・・話すな。」
[・・・り、了解・・・マスター!]
「分かった、分かったから・・・しっかりしてよ!」
あいつたちって誰?
「ちょっとだけ・・・眠るから心配・・すんな。」
そうして零冶君はそっと目を閉じた。
アースラ 艦長室
「・・・それで、彼はなのはさんのお友達なの?」
あの後零冶君をすぐにアースラの医務室に連れていった。ここにいるのはわたしとフェイトちゃん、アルフさん、クロノ君、リンディさんとエイミィさん・・・そして零冶君のデバイスのルナちゃんが艦長室に集まった。ユーノ君は零冶君と一緒に医務室で見張っている。
「はい・・・同じクラスの子です。」
「・・・そう。それで、確かルナと言ったわね?彼の事について教えてはくれないかしら?」
[拒否します。]
そ、即答ですか・・・。わたしもちょっと知りたかったなぁ。
「・・・何故かしら?」
リンディさんが少し苦笑いを浮かべて聞いた。
[簡単なことです。ただ単に管理局という組織を信用していないだけです。]
「なんだとっ!?」
クロノ君が怒っちゃった。
[当たり前でしょう?司法と政府が混在している組織なんて汚職のし放題。さぞかし、いろいろな黒い事がありそうですねぇ。それが分からない程あなた方管理局の人はバカなんですか?]
「なっ!?お前!!」
「やめなさいクロノ!・・・彼女が言っているのはもっともなことよ。」
リンディさんが俯いて呟いた。
「・・・そんなことよりも、今はフェイトさん・・・あなたの事だわ。」
「・・・。」
フェイトちゃん・・・。
「あなたは何故ジュエルシードを集めようとしたの?」
「・・・・・・。」
フェイトちゃんは黙ったままだったけど、アルフさんが突然話し出した。
「・・・プレシア・テスタロッサ。」
「プレシア!?あの大魔導師の!?」
「っ!?アルフ!!」
「もう止めようよフェイト!これ以上あんなクソババアの言うことを聞いてたらフェイトが辛い思いをするだけだよ!アタシは嫌なんだ!これ以上フェイトが傷ついて・・・辛い思いするのは嫌なんだ!!!」
「・・・アルフ。・・・ごめんね・・・ごめんねアルフ!!私、アルフの気持ちを考えて無かった!本当にごめんねアルフ!!」
アルフさんが涙を流しながらフェイトちゃんに訴え、フェイトちゃんもアルフさんの言葉を聞いて涙を流してアルフさんに謝った。
そのときユーノ君から念話が来た。
(みんな、零冶君の目が覚めたよ!)
「・・・みんな、一先ず零冶君の様子を見に行きましょう。」
そして皆は零冶君の様子を見に医務室に向かった。
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第十六話 死神の涙、戦士の正体 | ||
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