異世界で生きる
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六話

 

 

なんかめちゃくちゃ強いやつと大群を相手取って身体をめちゃくちゃにされながらも頑張って倒したカイトです。正直、握りつぶされそうになった時はどうしようかと思ったぞ……。

 

 

あれから少し経って。周りにいた魔物は強いのの最後の制止?にしたがって素直に引いていった。怨むような目線をいくつも感じたものの、特に攻撃とかは無く本当に素直に。俺はそれを見送ってから全身を回復魔法で癒した。最後の無理やり加速は結構身体に負荷がかかってたみたいだったからな。節々が痛い。

 

 

そのあとはもらった斧を軽く振りまわしてみる。2m近くあるこれは刃が半分くらいまで広がっていてとにかく分厚い。それにこびりついて取れなさそうな血痕と根元の方にあるかぴかぴの肉っぽいの。そしてよく見てみれば真っ黒に塗装されている持ち手には端から端まで術式が描かれているのがわかった。これは持ち主に筋力の恩恵を与えるものと持ち主しか持てない軽く呪いじみたもの、そして持ち主に合わせて徐々に成長・変化していくものだ。3つ目のものは今までの持ち主である魔物の性格が頑固というか愚直というか……まぁそんな感じだったみたいでこんな無骨な形になったらしい。

 

 

ちなみにガントレットの方にも同じ術式が刻まれている。こっちは筋力じゃなくて状態異常に対する耐性をつけるものみたいだが。筋力ばかり上がるのもなんだし、これはこれで良いだろう。早速こっちは元の鎧から俺好みな悪魔みたいなものになってくれてるし、折れたはずのアサシンブレードもより強化・修復してガントレットと同化してるしな。

 

 

それと、持っていたアルタイルの剣は半ばから砕けるように折れていた。新たに腕輪から出すことも出来るが、せっかくの武器だからこれをしばらく主に使おうと思う。狭いところでは別の短剣とかを使うけど、基本はこれだ。

 

 

「……眠れ、安らかに」

 

 

確認が終わったところで、首を落としたままの体勢の死体をゆっくりと仰向けに倒して腕を組ませる。そして祈りを捧げた後、ガシャガシャと鎧の音がしっかりと耳に聞こえてきたのを確認して、振り向かずに声を出す。気配だけなら奇襲をかける前から気づいてたけど。

 

 

「ようやく話せる相手みたいだが……何者だ?」

 

 

ピタリと立ち止まった音と共に振り返れば、そこそこの団体さんだった。俺より若くみえる人間の青年に耳の長い女が二人と二足歩行の猫。筋肉の塊のような身体に立派な髭のちっこいおっさんが5人。それからなにやらジッと見てくる狼男と、まぁファンタジーの代名詞を集めたようなメンバーだ。

 

 

「待て待て。そうかっかするんじゃない。わしらは話し合いに来ただけで戦いにきたんじゃないからの」

 

 

一番前にいた茶色の髭のちっこいおっさんが手をあげて制止をかけてくる。俺としても唯一の脱出手段を失いたくないからよほどじゃなければどうこうする気はない。というか、これがオルグレン爺の言っていたドワーフという種族だろうか?もしそうなら映画とかで見たまんまになるな。

 

 

「わしらはカロル・トロルからこの地下回廊に出された偵察隊じゃ。ここ最近になって頻繁に来ていたこ奴らがいっこうに姿を見せなかったからその原因を探りに来ていたんじゃ」

 

 

俺はドワーフの話を素直にしばらくの間聞いていた。情報がないから正しいのかどうかはわからないが、とりあえず信じないことにはどうにもならない。なので聞いた話をまとめてみると、国民がビビっててヤバいからとりあえず見て来いという命令で来てみれば俺がいたってことだ。国についても聞いてみたらしっかりと答えてくれた。

 

 

「なるほど。一連の騒動の原因は俺だな。軽く500は潰してるから、そのせいだろう。こちらとしても生きるためだったんだが、国に迷惑をかけたことについて深くお詫びする」

 

 

「いや、原因が戦争準備とかじゃなかったのじゃから良い。あの『斧神』を倒すという戦果をあげておるのじゃからお偉いさん方も戦力に加えようと少し言う位で、他の罰則や無理強いなどはせんじゃろう。個人意見としては、ギルドに加入してないならさっさとすることをお勧めするぞ」

 

 

「……わかった。戻り次第加入することにする」

 

 

ドワーフの言葉に頷いて、ため息をつく。また何やら面倒な事になりそうだ。国が関わっているなら余計にヤバそうではある。ドワーフ曰く、冒険者によって守られ、支えられている国であるし、『斧神』――あの強い奴――を倒すような人間に無理強いして暴れられたらそれこそシャレにならないために本当にしないだろうとのこと。ドワーフは基本、本当の強者には小細工しないんだとか。

 

 

「殊勝な考えじゃな。それで、今度はこっちから質問させてもらおうか。お主は何故ここに居る?それと、どうやって入ったのかも聞いておこう」

 

 

「はぁ……話せば長くなる。この手紙を読んでくれ。違うドワーフ宛てだが、内容はすべてそこにあるらしい」

 

 

俺は腕輪からオルグレン爺からの手紙を差し出す。これは転移の際にもらった袋の中に入っていた物で、羊皮紙に走り書きされたメモと一緒にくるんで入れてあった。走り書きによると、オルグレン爺の友人宛てと俺の身分証明書用の手紙のらしい。そこには説明と真実が書かれている。かばんの中身を確認している時に見つけて、その時にメモを読んだ。

 

 

ちなみに、国の手紙には特殊な暗号・印の魔法と真偽を判別させる技術がそれぞれの国で使われているため疑われる事はない。最も、この手紙が通用するのは彼の友人がいるか、同盟国だけだ。あの国はわりかし嫌われた国ということが自嘲気味にメモに書かれていた。

 

 

「……ふむ。王妃派のオルグレンからの証明書か。本物のようじゃし、これを持っていれば一応うちの国は大丈夫だろう。他国は知らんがな。まったく、あやつの転移魔法の下手さは相変わらずじゃのう」

 

 

「あの爺さんと知り合いなのか?」

 

 

「あぁ。若いころに冒険者として各地を旅していたのじゃよ。そこに書いてある鍛冶馬鹿とあと数人でな。その時から魔法の才は秀でていて、一通り旅を終えてからあやつは故郷の宮廷魔導師になった。わしは同じく故郷のカロル・トロルの騎士に……っと、話がそれたの。とにかくあやつは昔から転移魔法だけはへたくそなんじゃよ。まったく、あやつを知っているわしがここに偵察隊として送られてきていて良かったな」

 

 

はぁ、とため息を吐きながらもどこか懐かしそうな顔をするドワーフ。口ではあぁ言っているが、本当に仲がよくて楽しい日々だったんだろう。俺は読み終えた手紙を受け取り、腕輪に入れる。

 

 

「それじゃ、事情も聞けたことじゃし戻るとしようかの。お主も来てくれ。あぁっと……」

 

 

「カイト。カイト・サザナミだ。あなたは?」

 

 

「珍しい名前じゃの。わしは長年カロル・トロルの騎士をしとるファーガス・パラゾールじゃ。今回の偵察隊長を勤めておる。他の連中は道中で説明しよう。それでは、行くとするか」

 

 

ドワーフの言葉に頷いて、俺は彼らを先頭についていった。

説明
何かと不幸な人生をイケメンハーレムの友人のせいで送ってきた主人公、漣海人。しかも最後はその友人によって殺され、それを哀れんだ神達は力を与えて異世界へと飛ばしてくれた!!とにかく作者の好きなものを入れて書く小説です。技とか物とかそういう何でも出てくるような物やチートが苦手な方はご注意を。
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