英雄伝説〜光と闇の軌跡〜  146
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能天使ニル・デュナミスとの戦いは複数の味方がいるエステル達が優勢と思われたが、戦いは互角だった。

 

〜キルシェ通り〜

 

「やっ!」

「やぁっ!」

「甘い!」

エステルとミントの攻撃をニルは武器で捌いた所を

(燃えよっ!)

「やぁっ!」

後方よりサエラブは炎の玉を吐き、テトリは弓矢で攻撃したが

「させませんわ!」

ニルは武器を持っていない片手で簡易結界を作り、防いだ。

(光よ、集え!………光霞!!)

そこにパズモが放った魔術がニルに命中した!

「ナイスよ、パズモ!」

(………………)

ニルにダメージを与えたと思ったエステルはパズモを褒めたが、パズモは何も答えず、厳しい表情で魔術の爆発によって姿が見えなくなったニルがいる場所を見ていた。

「よ〜し、一気に決めるわよ、ミント!」

「うん!」

「2人とも、待って下さい!ニルさんは天使です!恐らく今の魔術では………」

そしてエステルとミントは制止するテトリの声に気付かず、それぞれクラフトの構えをした後、爆発によってできた煙が晴れるまでにニルがいる場所を攻撃した!

「ハァァァァ……セ……」

「行っく……」

「光よ、集え!光霞!!」

「え……あう!?」

「やん!?」

パズモが放った同じ魔術がエステルとミントに命中した!

 

「いった〜……ミント、大丈夫!?」

「う、うん………」

魔術を受けた2人は呻きながらも武器を構え直した後、一端サエラブ達の所まで後退した。そして煙が晴れると傷一つついていないニルがいた。

「え……魔術が命中したのに、なんで傷一つついていないの!?」

「フフ………天使であるニルに神聖魔術、それも初歩の神聖魔術で攻撃しても無駄よ。」

傷一つついていないニルを見てエステルは驚き、ニルは口元に笑みを浮かべて答えた。

「お二人とも、大丈夫ですか!?」

そこにテトリが慌ててエステルとミントに話しかけた。

「うん。ミント、今治してあげるね。……癒しの闇よ!……闇の息吹!!」

「あったかい……ありがとう、ママ!」

テトリに答えたエステルはミントの傷を治癒した。

「エステルさんの傷も今治癒しますね。……母なる大地の力よ………大地の恵み!!」

「サンキュー、テトリ!………にしても、なんでパズモの魔術を受けたのに平気なのかしら?」

(当たり前だ。奴は”天使”。我自身が炎に強いと同じように、神聖属性の攻撃に関してはほとんど、無効化する体質を持っている。)

ニルに魔術が効かなかった事に首を傾げているエステルにサエラブは説明した。

「そうなの!?……ならパズモは攻撃から補助に切り替えて!」

(わかったわ!)

「光よ、降り注げ!……爆裂光弾!!」

エステルがパズモに指示した時、いつの間にか詠唱を終えたニルが魔術を放った!

「!上です!」

空から降り注ぐ光の弾に逸早く気付いたテトリはエステル達に警告した。

「みんな、散って!」

そしてエステル達は散開して、魔術を回避しようとした。

 

「あうっ!?」

「やん!?」

(くっ……!)

「ひゃん!?」

しかし回避が間に合わず、降り注ぐ光の弾に被弾したエステル達はダメージを受けた。

(ぬん!)

また、持ち前の素早さで唯一回避に成功したサエラブは鋭い爪でニルに飛び掛かった!

「!ハッ!」

(チッ!)

しかしニルが震った連接剣によってサエラブの爪は弾き返され、ニルの攻撃の衝撃によってサエラブはエステル達に所に着地した。

(戦意よ、芽生えよ!戦意の祝福!!)

「風よ、我らに癒しの祝福を!………再生の風!!」

そしてパズモの援護魔術、テトリの傷ついた身体を時間と共に自動的に治癒させる魔術がエステル達を包み込んだ!

「貫いちゃえ!……アイスニードル!!」

パズモ達に続くようにミントは魔術をニルに放った!

「わっと!?」

足元からいきなり出現した氷の刃をニルは驚きながらも回避した。

「はっ!」

そしてエステルは棒でニルを攻撃した!

「させないわ!」

しかしニルは連接剣でエステルの攻撃を防御した。

「かかったわね♪」

「え!?」

不敵な笑みを浮かべて言ったエステルの言葉にニルは驚いた。

「サエラブ!」

(ああ!)

そしてエステルの声で意図がわかったサエラブは自らの体に炎を纏って、ニルに突進した!

(フン!)

「キャアッ!?」

サエラブのクラフト――炎狐強襲を受けたニルはダメージを受けると共に吹っ飛ばされた!

「闇よ、我が仇なす者を吹き飛ばせ!………黒の衝撃!!」

「クッ!?」

さらにエステルは魔術をニルに命中させ、さらに傷を作らせると同時に吹っ飛ばした!

「落っちろ〜!………サンダーボルト!!」

「キャァァァ!?」

そこに追い討ちをかけるかのようにミントの魔術がニルに命中した!

 

「よっし!やっぱり暗黒属性には弱いわね♪」

(何故、天使が暗黒属性に弱いとわかった?)

吹っ飛ばされたニルを見て得意げになっているエステルにサエラブは尋ねた。

「え?光に強いんだったら、闇に弱いかな〜と勘でなんとなく思っただけよ?」

(ま、まあそうなんだけど……けど、よく勘だけで天使の弱点を見極めたわね……)

「アハハ……相変わらず、エステルさんの天性の勘には驚かされちゃいますね。」

「凄いよ、ママ!」

エステルの答えを聞いたパズモやテトリは苦笑し、ミントはキラキラした表情でエステルを見た。

「癒しの光よ……癒しの息吹!!」

「い!?」

しかしニルが自分自身に治癒魔術を使い、せっかく与えた傷が治癒されるのを見たエステルは驚いた。

「フフ……見事な連携だけど、それではニルを倒せないわ。」

驚いているエステルにニルは不敵な笑みを浮かべて言った。

「強力な神聖魔術に治癒魔術、おまけに接近戦もできるようだし……凄い!万能な戦いができるじゃない!……うん!一緒に戦ったら、心強いわ!」

(エ、エステル……そういう事は勝利してから言いなさい……)

驚いていたエステルだったがやがて明るい表情になり言った言葉を聞いたパズモは呆れた。

「ハァッ!!」

そしてニルは連接剣を伸ばして、エステルを攻撃した!

「わっと!?」

ニルの攻撃にエステルは驚きながら防御した。

「そう言えばニルの武器って初めて見る武器だけど、何アレ?伸びる剣とか聞いた事ないんだけど……」

「ニルさんが使っている剣は“連接剣”という伸縮が可能な特殊な剣で、距離を選ばない武器なんです。」

ニルの武器に首を傾げているエステルにテトリは説明した。

「へ〜…………でも、それならこっちだって……!せいっ!」

テトリの説明を聞いたエステルはクラフト――捻糸棍を放った!

「フフ………」

しかしニルは簡易結界を張って防いだ。

「……罪人を処断せし……」

そして魔術の詠唱を始めた。

 

「やばっ!?あの詠唱って、パズモやリフィアが使っていた高位魔術じゃない!……でも……これは一つのチャンスかもしれないわね………パズモ。」

ニルの詠唱の一部が聞こえたエステルは焦ったが、すぐに反撃を考え、パズモを呼んだ。

(何?エステル。)

「ニルが今から放つ魔術……1回でいいから、防げるかな?」

(………1回は防げるけど、防いだ後は私はもう戦えないと思うわ。あの天使、上位を冠する天使だけあって、高位神聖魔術である”贖罪の光霞”の威力もさらに高くなっているだろうから、私に残っているほとんどの魔力を注ぎ込まないと防げないと思うわ。)

「十分よ!サエラブ、テトリ!」

(……次は我等か。)

「私にできる事なら、なんでも言って下さい!」

「えっとね………」

パズモに指示したエステルはサエラブとテトリを呼び、ニルには聞こえないよう小声でそれぞれがするべき事を頼んだ。

「……お願いできるかな?」

(フン……我を誰だと思っている?それぐらいの指示、造作もないわ!)

「お任せ下さい!我が弓で貴女を勝利に導きます!」

エステルに頼まれた2人はそれぞれ力強く言った。

「ママ!ミントは何をすればいいの!?」

そして最後にミントは自分は何をすればいいのか、エステルに尋ねた。

「ミントはあたしが声をかけた時、ミントのとっておきの技をニルにお見舞いして!」

「うん!」

エステルの指示を聞いたミントは元気良く頷いた。そして全員、それぞれいつでも動けるような態勢になった。

 

「(フフ……どうやら作戦会議は終わったようね………)贖罪の光霞!!」

エステル達の行動を詠唱しながら見ていたニルは口元に笑みを浮かべた後、魔術を放った!

(聖なる護りの光よ、我等を守りたまえ!………防護の光陣!!)

ニルの魔術が放たれると同時にパズモは自分に残っている魔力のほとんどをエステル達を守る防護魔術に注ぎ込んだ!そして辺りを響き渡らすような轟音と爆発がエステル達を襲った!!

「エステル!!みんな!!」

爆発と轟音の中に包み込まれたエステル達を見て、ヨシュアは声をあげた後、双剣を構えて走りだそうとしたが

「待て、ヨシュア。」

リフィアがヨシュアの目の前で片手を真横にして、制した。

「どいてくれ、リフィア!」

「やれやれ……普段はどんな時でも冷静な癖にエステルの事になると、冷静さをなくす癖はなくしたほうがいいぞ?少しは落ち着け。」

「多分、まだ勝負は終わってないよ。」

「え……?」

リフィアとエヴリーヌの言葉に驚いたヨシュアは立ち止まり、爆発と轟音に包まれたエステル達を見た。やがて煙が晴れると、そこには無傷のエステル達がいた。

「嘘……!?今のを防ぐなんて、あの守護精霊……かなりの力の持ち主じゃない!」

自分が放った高位の魔術が防がれた事にニルは驚いた。

(クッ………悪いけど、私は休ませてもらうわね………)

「ありがとう、パズモ!ゆっくり休んで!」

そしてパズモはエステルの身体に戻った。

 

「さ〜て……反撃開始よ!……サエラブ!!」

(ああ!)

エステルの呼びかけに頷いたサエラブは素早い動きでニルとの距離をある程度狭めて、クラフトを放った!

「ウオオオォォォォッ!!」

「キャッ!?」

サエラブのクラフト――拡散咆哮を近くで聞いてしまったニルは吹っ飛ばされると同時に怯んだ。

「行っくわよ〜………!ハァァァァァァッ!!」

(フッ!)

そしてエステルは棒にいつも以上の闘気を込めた!また、サエラブは真横に跳んだ後、エステルの所に戻った。

「クッ……」

エステルの行動に気付いたニルは簡易結界を展開しようとしたが

「させません!」

「キャッ!?」

テトリが放ったクラフト――精密射撃によって妨害された。

「とりゃあっ!紅燐撃!!」

そしてエステルは棒に込められた闘気を衝撃波に込めて放った!

「グッ………!」

飛燕剣の技の一つを棒術に組み込んだエステルの新クラフト――紅燐撃を受けたニルは襲いかかる衝撃を身体に受けて、痛みに顰めた。

「ミントのとっておき、見せて上げる!ソードファング!!」

「痛ッ!?」

さらにエステルの技が放たれた直後に走り出して、ニルに近付いたミントはSクラフトを放ち、ニルにダメージを与えた!そしてミントはすぐにその場を離れた!

「猛る大地よ、我が矢に力を!……大地の援護射撃!!」

そこにテトリがSクラフトをニルに目がけて放った!

「好きにはさせないわっ!光よ、裁きの雷と共に我が剣に宿れ!……極光電撃剣!!」

襲いかかる闘気と大地の魔力が込められ、衝撃波と共に襲いかかって来る矢をニルは光と雷を宿した連接剣のSクラフト――極光電撃剣で振り払った!

「フゥ………。!?」

テトリのSクラフトを防いだニルは安堵の溜息を吐いたが、サエラブに跨って信じられない速さで近付いて来るエステルを見て驚いた。

「これで……終わりよっ!!」

そしてエステルはサエラブに跨ったまま、力を込めた棒を横薙ぎしてニルの腹に命中させた!

「カハッ!?」

棒が腹に命中したニルは呻いて、地面に蹲った。

「いたた。……!?」

腹から伝わる痛みにニルは呻いた後、顔を上げた時、自分にそれぞれの武器を突きつけているエステル達を見て驚いた。

「フフ〜ン、勝負ありね♪」

驚いているニルにエステルは得意げに言った。

「フフ……お見事。ニルの負けね。貴女達の連携、恐れ入ったわ。」

「ありがとう。じゃあ……!」

「ええ。約束通り、貴女を契約者として認めます。両手を出して。」

「うん!」

ニルはエステルの両手を握り、両手から伝わるエステルの魔力に同調して、その場から消えた。

 

「……どうやら、終わったようだね、エステル。彼女が放った高位の魔術を君達が受けて、心配したけど、無用の心配だったみたいだね。」

「まあ、パズモの力がなければ、多分負けていたわ。だから、みんなの勝利よ!」

ヨシュアの言葉を聞いたエステルは胸を張って答えた。

「それでどうだ、エステル。天使と契約した感想は?」

「うん。ニルがあたしの身体に入った時、教会に漂っている空気以上の凄く清らかな感じがしたわ!………ニル!」

リフィアに尋ねられたエステルはニルを召喚した。召喚されたニルは眩い光と共に姿を現した。

「これからよろしくね!」

「ええ!創造主様より頂いたこの力、貴女のために震いましょう!」

こうしてエステルは新たな仲間と力を手に入れた。

 

その後エヴリーヌの転移でホテルに戻ったエステル達は明日に備えて、疲れた身体を休ませた…………

 

 

 

 

説明
第146話


戦闘BGMはFCの武術大会の戦闘で流れるBGM、”Challenger Invited”かVERITAのセリカsideの通常戦闘BGM、”疾風怒涛”か碧の”Conflicting Passions”(ラストダンジョンの通常戦闘BGM)が流れていると思って下さい♪
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イリーナ復活 エウシュリー無双 エステル最強キャラ化 カリンも復活 メンフィル無双 他エウシュリーキャラも登場 幻燐の姫将軍 碧の軌跡 空の軌跡 零の軌跡 

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