テイルズオブエクシリア〜転生者はイレギュラー |
〜レオンSIDE〜
俺たちはトリグラフ海停から船に乗って、工芸都市シャンべリルアンを目指している。
その途中で、ミラが俺に聞いてきた。
「しかし、レオン。今さらだが、何故光と闇の精霊に会いに行くのだ?」
「そうだね。まあ、暴走した源霊匣(オリジン)の2体を止めないといけないとはいえ、何でその2体がいるのに気づいたの?」
ミラに続き、ジュードも俺に聞いてきた。他のメンバーも俺を見る。
俺はため息をつきながら、8つの術式を展開する。
「これを見てくれ。光り輝いているのが今現在、俺が契約している火・水・風・地・氷・雷の精霊だ。後2つ、光と闇の精霊の部分が光ってないだろ?」
皆は俺の出した術式を見る。
「確かに、他の6つと違ってこの2つは光ってないな」
「そう、俺がジランドがセルシウスを精霊の化石から復活させたと聞いた時に、既にヴォルト・レム・シャドウがいるであろうとわかっていた」
俺は一旦息を吸い、吐く。
「そして、あの時……丘から街に帰る時に俺は感じた。3つの強い気配を。その内2つは精霊だったわけだ」
「では、もう一つは?」
「……いや、これは確信がない。今いっても意味はないし、そのもう一つの気配については後で調べるよ」
話をする俺はアルヴィンを見る。
「そういえば、アルヴィン。工芸都市シャンべリルアンってのはどういった街なんだ?」
「あ?あー……俺が20年前にこっちにいた時は、まだそこまで有名じゃなかったが、バランに聞いたら何でもその街に偶然来ていた旅人の工芸士が作った工芸品が、かなり価値のある物で、それを皆が作ろうとしていったら、いつの間にか数々の名品を残したんだと。その結果、街は年々大きくなっていき、今では工芸都市シャンべリルアンって呼ばれているんだと」
「なるほどな……他の情報は無いか?」
「んー……精霊レムがいるっていう光明の塔ってのは何か10年前に街の記念祭の時に、街の工芸士達全員が総動員して作った、確かその塔は夜でも光り続けていて街を照らしているから工芸都市シャンべリルアンは別名:光が途絶えない街……って呼ばれているってよ」
「……レムが居座るのも頷けるな」
レムは光の精霊。光が多い所にいると思っていたが、まさかそんなところにいるとは思いもしてなかったぞ。だが、暴走状態なのに何でシャンべリルアンの人々に危害を加えない?おかしいぞ。……まさか、正気を取り戻しているんじゃないだろうな。まあ、会ってみればわかるか。
「(だが、何だこの嫌な予感は……?)」
俺は、嫌な予感がしていた。光の精霊レムとの戦いで何かあると。
「レオン、どうした?」
「! いや、何でもないぜミラ」
「そうか?ならいいのだが」
考え事をしていたらミラが心配して俺に話しかけてきた。ふぅ、ホント、ミラは可愛い奴だ。
「おっ、見えてきたぜ」
アルヴィンがそう言いながら指をさす。その方向には、
「うわー」
「これは…」
「すごい、です」
「すっごいー!」
「これはまた、爽快ですな」
「すっごく大きいね!」
「こんなにでかいのか……」
工芸都市といわれていたわけがわかったぜ。何故なら、ここから見えるもんは、
街の四方と中央には、俺がかつて住んでいた日本で、有名な四神によく似た大きなガラスでできた像が立っていた。東の青竜・南の朱雀・西の白虎・北の玄武、そして中央に黄竜である。
しかも、よく見たらその四方を見れば、他にも置いてあるな。あれは……麒麟・鳳凰・霊亀・応竜か?
俺は元々、生前は日本や外国の神話や神獣、幻想種とかが好きで調べていたことがあったからな。そういった知識はかなりある。あの像は俺が昔に見たものとそっくりだ。……まさかと思うが、アルヴィンが言っていた工芸士って、俺と同じ存在か?でも、あれはどう見てもここ10年以内に作られたものだ。おそらくだが、その工芸士がもっていた本か何かを参考に作ったんだろうな。
俺はあれらの像を見て、呆れていた。だが、同時にあの合計で9つから何やらマナを感じている。何故だ?
俺と同じなのか、ミラも気づいているようだ。
「レオン……」
「わかっている。あの像だろ?マナを感じるな。しかも、ご丁寧に火・水・風・地の属性のマナを感じる」
そう、何故あの像からマナを感じるのかはわからないが、そこまで協力でないので平気だろうな。
「あの像についてはシャンべリルアンについてから調べるとしよう。それにしても……まさに工芸都市だな」
像以外を見てみると改めてそう感じる。
まるで俺がいた日本の新宿を見ているかのように大きな建物やビルが見える。故郷に帰ってきた感じがするな。
「そろそろ、だな」
船はシャンべリルアン海停に到着するところであった。
シャンべリルアン海停について俺たちが一番に思ったこと、それは……
『すごく、大きいです』
そう、街が街なら海停は海停だった。そう、大きいく広いのだ。周りには荷物が多く、置かれていた。
荷物をよく見ると、工芸品を作るのに必要な素材、材料だ。けど、すごい量だな。
「これが……工芸都市シャンべリルアンか……」
「本当に光がすごいな……街の中が輝いているぞ」
俺もミラもこれを見て、驚くなというのが難しいと同時に思っている。しかも、この街に来て思ったこと。それは……
「この街は黒匣(ジン)を……」
「ああ。使ってないな。この街からは精霊たちの死を感じない」
そう、黒匣(ジン)を使ってないのだ。だが、源霊匣(オリジン)も使ってない。なのに、光……電気が通っているようだ。これではまるで……
「(俺の元いたい世界そのものじゃねえか……どうなってんだ?)」
船でも思っていたことだが、近くで見れば見るほど……俺がいた世界に似た環境だった。
すると、俺たちの目の前をこの街の人間の工芸士が通り、俺は話しかける。
「少し、話を聞かせてもらえないか?」
「ん?なんだ、あんたら?」
工芸士の男は俺たちを見る。
「この街は他の街と違うみたいだが、なんでなんだ?」
男はまるで、ああ、そのことかっという風に笑う。
「そりゃ、この街がここまで発展したのは20年前にこの街に訪れた旅人の工芸士が置いて行った本のおかげさ」
「本の?」
「ああ。俺はその頃、子どもだったが、親から聞かされていたよ。今まで、この世界にはないであろう技術で街を発展させる方法が書かれていたってな」
「この世界にない技術?」
「そうだ。例えば、この街は黒匣(ジン)を使ってないだろ?なのに、何で電気が通っているか……それは、この街の各工房には熱エネルギーを溜めることのできる装置があるんだよ」
……熱エネルギーを溜める……だと。
「工芸品を作る際に火を使うだろ?その熱とかを溜めてその熱エネルギーを利用して家の電気や街の電気に使うことができるというシステムがあるんだ。他の街にもこの方法を進めたんだが、黒匣(ジン)信者が多くてな。この街でしか使っていない方法さ」
「……そうか。ありがとう。それともう一つ。光明の塔ってのはどこにあるんだ?」
「北西にあるぜ。光明の塔に行くにはこの街のシンボルである四神の像に置いてある証と黄竜の証を集めるんだな。そうすれば、光明の塔に入るための扉は開く。けど、最近は光明の塔が変なんだよ」
……変だって?
「どういうことだ?」
「数日前の三日月の夜の日のことだ。その日、光明の塔がいつも以上に光を発したかと思ったら3つの光が降り注がれた」
「なん……だと……」
3つ……3つだと!?光の精霊……レム……3つ……まさか、な。まさか、他の光の精霊じゃないよな。
「それからかね?夜になると必ず3つの光が塔から発し始めたのは」
「……そうか。ありがとう」
「いいってことよ!じゃあな!俺は仕事があるんでな」
アーハッハッハ!っと笑いながら男は去って行った。
その後、俺たちは話しあっていた。
「さて、光明の塔に入るには合計で5つの証が必要。さっきの街の人の話じゃ、夜になると3つの光が塔から出て来ている……つまり」
「夜までに5つの証を手に入れて、塔に持っていけばいいのか。簡単じゃねえか。まだ昼ごろだしな」
「うん。今から5つの証を手に入れて、夜まで休むってことで……これでいいよね?レオン」
「ああ。今は証を手にして、休むことを考えよう」
俺たちはシャンべリルアン海停から街の中に入って行き、証を手に入れることにした。
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第63話 工芸都市シャンべリルアン | ||
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