英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 158 |
エステル達を圧倒していたロランスだったが、カーリアンとニルが戦闘に加わると、押され始めていた。
〜女王宮・テラス〜
「それ、それ、それぇっ!!」
「クッ…………」
カーリアンのクラフト――3段斬りをロランスは必死で捌いている所を
「剛震突き!!」
「!!」
突進と共に相手を攻撃するニルの突撃クラフト――剛震突きをその身に受け、ロランスを覆っていた絶対防壁の一枚がなくなった。
「あら?」
攻撃を受けたにも関わらず、無傷のロランスに気付いたニルはロランスの反撃を受けないよう空へ飛んだ。
「「風よ、切り裂け!………旋刃!!」」
さらにエステルとシェラザードが放った魔術がロランスの周囲で風の刃がいくつも発生した。
「!!チッ………」
2人が放った魔術を回避しようとしたロランスだったが、2人はそれぞれ別の場所に放っていたので、回避できず、残っていた絶対防壁が破られた。
「あっち行け〜!」
「グッ…………」
そこにミントの魔力を籠らせた蹴りのクラフト――バーストショットがロランスに命中し、ロランスは吹っ飛ばされた!吹っ飛ばされたロランスは空中で受け身を取って、着地したが
「水流よ、吹きあがれ……!ブルーインパクト!!」
「クッ………!」
着地した瞬間、クロ―ゼのアーツが命中してしまい、足元から噴き出た水流に打ち上げられた。
「ハァッ!」
そして打ち上げられているロランスに空を飛んでいるニルが連接剣で強襲した!
「せいっ!」
しかしロランスは空中で態勢を整えて、ニルの攻撃を捌いた。
「そこだっ!」
さらにロランスはクラフト――零ストームを空から落ちながらエステル達に放った!
「それぇっ!」
しかしカーリアンが放った衝撃波に相殺された。
「………”戦妃”をどうにかしないと、防戦一方……か。本気を出さなければ、やられるのはこちらだな。10年をかけて磨いた修羅の剣、どこまで通用するか試させてもらうぞ!」
着地したロランスはカーリアンを見て、呟いた。そして残像を残すほどのスピードで、カーリアンに強襲した!
「むん!」
「フフ………」
常人では回避ができない攻撃をカーリアンは余裕の表情で双剣で捌いた。
「ハァァァァァァァ!!」
そしてロランスは激しい攻撃を何度もカーリアンに仕掛けた!
「フフ………私が睨んだ通り、結構やるじゃない♪」
一方カーリアンは楽しそうな表情でロランスの攻撃を捌いていた。
「”傭兵王”や”闘神”、”戦鬼”を……越えていると言われている貴女に……そんな言葉を……聞けるとは光栄……です!」
ロランスは激しい攻撃をしながら途切れ途切れに答えた。
「フフ、機会があったらその人達とも戦ってみたいわ♪それより、私にばっかり構っていていいのかしら?」
カーリアンは好戦的な笑みを浮かべて答え、尋ねた。
「!!」
カーリアンの言葉に込められている意味に気付いたロランスは自分の失策を悟って、攻撃をやめて一端後退しようとしたが遅かった。
「大地の力よ!我が仇名す者の力を我の元に……!地脈の吸収!!」
「!!」
いつの間にか詠唱を終えていたエステルの魔術が発動し、魔術によって地面から木の根が生えて来てロランスを拘束した。
「みんな、今よ!」
ロランスの動きを止めたエステルは仲間達に総攻撃の号令をかけた!そしてニルが最初に魔術を放った!
「光よ、集え!光霞!!」
「グッ!?」
ニルの魔術をまともに受けてしまったロランスは呻いた。
「ミントのとっておき、見せて上げる!ソードファング!!」
「えい!やあ!はあっ!」
「ガハッ!?」
そしてニルの魔術が命中した後、ロランスを挟み撃ちにしたミントとクロ―ゼはSクラフトやクラフトを放って、ロランスの傷をさらに増やした!そして2人の攻撃が終わると鞭に雷を宿らせたシェラザードが攻撃を仕掛けた!
「行くわよ……サンダ−ビュート!!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はぁっ!」
「グアアアアッ!?」
魔術の力によって鞭に雷を宿らせて脅威の連打を行うシェラザードの新Sクラフト――サンダ−ビュートを受けたロランスは身体中の到る所に鞭による痣を作り、そして雷を宿した攻撃を受けていたので、感電して悲鳴を上げた。そしてシェラザードの攻撃が終わると同時に、今度はロランスを捕えていた木の根全体が光った!
「ガアアアアッ!?くっ……動きを止める魔術だけではなかったのか。……!?」
木の根に体力を吸われたロランスは一瞬地面に手をつきかけたが、なんとか持ち直して呻きながら呟いた後、カーリアンの構えを見て表情が強張った。そしてカーリアンは止めを刺すかのようにSクラフトを放った!
「激しいの、行くわよ♪……白露の桜吹雪!!」
「ガッ!?見事だ…………」
カーリアンのSクラフトによって吹っ飛ばされ、さらに傷ついたロランスは受け身を取った後崩れ落ちるようについに地面に手をついた!
「はあ、はあ……なんとか勝った〜!」
「やった〜!ミント達の勝ちだ!」
「勝利は我にあり!ですわ!」
戦闘不能になったロランスを見たエステルは息を切らせながら、安堵の溜息を吐き、ミントは勝利にはしゃぎ、ニルは胸を張って答えた。
「私達はカーリアン様達の力を借りてようやく勝てたに、プリネさんはこんな化物相手によく一人で勝ったわね………」
「さすがは”剣皇”と謳われるリウイ皇帝陛下の血をひいているだけはありますね………」
シェラザードは疲弊しながらプリネが一人で勝った事に驚き、クロ―ゼも同じように疲弊しながらプリネの強さに感心した。
「やはり”戦妃”がいる以上、敵わなかったか…………エステル・ブライト……。侮っていたことは詫びよう。お前ならあるいは……父親の域まで達するかもしれん。」
「え……」
ロランスの言葉を聞いたエステルは驚いて、ロランスを見た。するとロランスは平気な表情で立ち上がった。
「嘘!?」
「へ〜………あれを喰らってまだ動けるか。見た目によらず、結構タフね♪」
ロランスが立ち上がったのを見たエステルは驚き、カーリアンは感心した。
「フフ……そうは言いますが、かなりいい一撃をもらいましたよ?」
カーリアンの言葉を聞いたロランスは口元に笑みを浮かべて答えた。
「あら♪その様子だと、まだ戦う気かしら?」
ロランスの様子を見たカーリアンは好戦的な笑みを浮かべた。
「もうやめて下さい……今なら、まだ間に合います……!」
まだ戦いを続けそうなロランスを哀れに思った女王がロランスに言った。
「……………………………」
女王の言葉に反応したロランスは女王を見た。
「………………………………。その瞳……なんて深い色をしているのかしら。まだ若いのに……たいそう苦労してきたようですね。」
「………………………………。女王よ、あなたに俺を哀れむ資格などない。『ハーメル』の名を知っているあなたには……」
「!?」
(ん〜?何か、聞き覚えのある名前ね?)
ロランスの口から出たある言葉を聞いた女王は信じられない様子で驚き、カーリアンは聞き覚えのある言葉に首を傾げた。
「さてと、そろそろ時間だ。お望み通り、女王陛下は返してやろう。」
「へ……!?」
ロランスの口から出た予想外の言葉にエステルは驚いた。
「大佐を止めたければ地下に急いだ方がよかろう。もはや手遅れだろうが……。無用な被害が広がるのを食い止められるかもしれん。」
「地下に……まさか、あの場所から地下に降りたという事ですか?」
ロランスの警告を聞いた女王は信じられない様子で尋ねた。
「フ……今のあなたならばその意味が嫌というほど判るはず。彼らを導いてやるといいだろう。……それでは、さらばだ。」
女王に答えたロランスは高度のあるテラスから飛び降りた!
「な!?」
「しょ、正気!?」
「チッ!逃がしちゃったわね〜。」
ロランスの行動にエステルやシェラザードは驚き、カーリアンは舌打ちをして溜息を吐いた。
「闇に呑まれよ!……ティルワンの闇界!!」
「!?ガアアアッ!!」
その時誰かの声が聞こえた後、ロランスの悲鳴が聞こえ、下にある池から何かが落ちた音がした……………
説明 | ||
第158話 | ||
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