魔法少女と竜と漆黒の狂戦士と |
Side なのは
わたしたちが駆動炉に向かっていると突然獣の咆哮のようなものが聞こえた。わたしは心配になって振り返る。
「・・・零冶君。」
「彼なら大丈夫だよ、なのは。」
「あいつがあんな所でくたばるタマじゃないよ!」
「零冶なら心配ない。それよりも目の前のことに集中して!」
目の前には15体程の機械兵がいる。
「・・・うん!ディバイン・・・バスター!!」
「フォトンランサー!」
わたしたちは次々と敵を倒していく。
「チェーンバインド!」
ユーノ君はバインドで敵の動きを封じてくれている。そして全部倒すと、壁を突き破って大型の機械兵が出てきた。
「大型みたい。・・・シールドもかなり強いし、背中の砲台も危険・・・でも。」
フェイトちゃんがこっちを見る。
「二人なら倒せるよね?」
「あ・・・。うん・・・うん!うん!!」
わたしはフェイトちゃんの言葉が嬉しくて何度も頷いた。
「それじゃ、行くよ!!」
わたしたちはあの大型機械兵に立ち向かった。
Side out
Side フェイト
目の前に大型の機械兵が現れた。
「大型みたい。・・・シールドもかなり強いし背中の砲台も危険・・・でも。」
私はなのはを見て言う。
「二人なら倒せるよね?」
「あ・・・。うん・・・うん!うん!!」
なのはは嬉しそうに何度も頷いた。
「それじゃ、行くよ!」
私はなのはと何度も敵対して戦ってきた。それでも、なのはは私の名前を呼んでくれた。
「バルディッシュ!」
[フォトンランサー!]
今まで母さんのためにやってきた。母さんに認めて欲しかったから。
「いくよ、レイジングハート!」
[いつでも!]
「ディバイィィィン・・・バスター!!」
それが私の生きる意味だった。それしか無かった。
「はあああああ!!」
でも・・・今は違う。今はなのはや零冶もいる。だから私は・・・
「サンダァァァ・・・・・レイジーー!!!」
彼らと生きたい!!
Side out
Side クロノ
プレシアのもとに急いでいると、母さんとプレシアの念話が聞こえた。
(プレシア・テスタロッサ、もう終わりです。次元震は私が抑えています。それに、執務官も貴女の所に向かっています。)
僕は目の前に立ちふさがる機械兵を倒していく。少しケガをしたが問題ない。
(っ!・・・まだよ。私は・・・取り戻すの!アリシアとの過去と未来を!!)
もうすぐ扉の前だ。
(アルハザードに行って・・・・私は取り戻すの!こんなはずじゃ無かった世界の全てを!!)
そして僕はとうとうプレシアのいる部屋にたどり着いて扉をブチ破る。
「・・・!?」
「世界はいつだって・・・こんなはずじゃ無い事ばっかりだよ!!」
でなければ今頃僕は執務官なんかやっていない。父さんだって死んでなんかいなかったんだ!
「ずっと昔から、何時だって誰だってそうなんだ!!」
「・・・!」
そしてフェイトが降りてくる。後ろには漆黒の鎧を着た彼もいる。
「こんなはずじゃ無い現実から、逃げるか立ち向かうかは個人の自由だ!だけど、自分の悲しみに無関係な人を巻き込んで良い権利はない!!何処の誰にもありはしない!!!」
僕はプレシアを見据えて言い放った。
Side out
「こんなはずじゃ無い現実から、逃げるか立ち向かうかは個人の自由だ!!だけど、自分の悲しみに無関係な人を巻き込んで良い権利はない!!何処の誰にもありはしない!!!」
・・・ほぅ。あいつもそれなりの痛みを味わったのだろうな。なら・・・少しアイツの認識を改めるか。
そのとき、プレシアは突然咳き込みだした。
「・・ん!ゴホッゴホッ!!」
血を吐いている。かなり重い病気に罹っているようだ。・・・自分の身を削ってまでアリシアに会いたかったのか?・・・ん?
そのとき俺はアリシアのポットが一瞬光ったように見えた。よく目を凝らして見ると、小さな、今にも消えそうな小さな光が宙に浮いていた。
・・・あれは・・・残留思念?
「母さん!!」
フェイトが駆けつけようとするが
「・・・何をしに来たの?」
「っ!?」
「消えなさい。もうあなたに用はないわ。」
しかしフェイトはしっかりとプレシアの目を見て言う。
「・・・あなたに言いたいことがあって来ました。」
「・・・。」
「私は・・・・・・私はアリシア・テスタロッサじゃありません。あなたが作ったただの人形なのかもしれません。だけど、フェイト・テスタロッサあなたに生み出して、育てて貰った・・・あなたの娘です!」
プレシアはその言葉を聞いて笑い出す。
「・・・ふ・・・ふふふふふ・・・あはは、あははははは!!・・・だから何?今更あなたを娘と思えと言うの?」
「あなたが・・・それを望むなら。・・・・それを望むなら・・・私はあなたを世界中の誰よりも、どんな出来事からもあなたを守る。」
「・・・!」
そしてフェイトはプレシアに向かって手を伸ばす。
「私があなたの娘だからじゃない。あなたが・・・私の母さんだから!!」
だが、プレシアは一瞬の動揺した後
「・・・・・・くだらないわ。」
「・・・え?」
その言葉を一蹴した。そして杖を床に打ち付けてジュエルシードが発動し、庭園が崩れ始める。その時、先ほど残留思念と思わしきものが俺の下に来て、
“お願い。お母さんを助けて。”
少女の声が聞こえた。
「おまえ・・・まさかアリシアか!?」
“うん、そうだよ。理由は良く解らないけど、ずっとここに留まっていたの。・・・でも、それも時間の問題。それよりも、お母さんを助けて!アリシアのために他の人たちを傷つけることを止めさせて!!”
「・・・・承知した、少し待ってろ。・・・ルナ、聞いていたな?」
[はいマスター!僅かな間だけですが、マスターの魔力を使って私の中にアリシアを一時的に封じます。]
「よし、上出来だ。」
【クロノ君!早く撤退して!!】
エイミィが慌てた様子で言ってた。
「了解した!フェイト・テスタロッサ!・・・・フェイト!!」
クロノが呼びかけるがフェイトは呆然としている。
「私は向かう・・・アルハザードへ!そして全てを取り戻す!過去も!未来も!・・・たった一つの幸福も!!」
そしてプレシアの足元が崩れていき、
「・・・・・お母さん!!」
プレシアはアリシアのポットと共に落ちていった。
「させるかよ。」
「っ!?」
俺はユーノが使っていたチェーンバインドを行使してプレシアとアリシアのポットを捕まえた。
「何をしているの!?離して!!私はアルハザードに「まだ言うかこの馬鹿者!!」っ!?」
まったく、自分の娘の気持ちぐらい考えてやれよ。
「アリシアはこんな事を望んでいない!!」
「っ!?あなたにアリシアの何が解るって言うの!!」
解るに決まってんだろ?
「今のお前に何を言っても無駄だな。なら、力尽くでも連れて行くぞ!クロノ!!落とすなよ!!」
そして俺はアリシアのポットを引っ張りあげてクロノの方に向かってそのまま投げた。
「は?え、あ、ちょっ!!!」
ギリギリでキャッチした。
「離して!!私はアルハザードに行ってアリシアともう一度会うのよ!!!」
「なら会わせてやろうか?」
「・・・え?」
プレシアが一瞬暴れるのを止めた。俺はその隙を見逃さなかった。
「そらよっ!!」
「あ!?」
俺はなんとかプレシアを引き上げることに成功して、プレシアがまた暴れないようにチェーンバインドをかけた。
「っく!あなた、さっきの言葉はどういう意味よ!?」
プレシアが俺を睨む。
「そのままの意味だ。僅かな時間だがアリシアと会わせてやると言ったんだよ。さて、お前に二つの選択肢を与える。このまま虚数空間に落ちて限りなく0に近い確率でアルハザードに向かおうとするか、僅かな時間だが、確実にアリシアと再会するか・・・だ。」
プレシアはしばらく考えていた。そして俺を見て言った。
「・・・・・・本当にアリシアと会えるのね?」
その目は疑いもあるが期待が半分含められている。
「本当だ。」
俺はプレシアの問いに即答する。
「・・・分かったわ。」
「よし、ならば先にジュエルシードをなんとかするか・・・・ルナ!」
[はいマスター!・・・封印解除!]
俺は一度仕舞った斬魔刀を再び手に取った。さすがのプレシアもこの斬魔刀の大きさには驚いている。それを普通に扱っている俺にも。そして、全員が俺がやることに注目する。
「・・・真名解放。」
俺はジュエルシードに向かって斬魔刀を上段に構える。
「((斬魔|魔を斬る))・・・・・」
そのままジュエルシードに突っ込み、斬魔刀を振り下ろす。
「((刀|破壊の大剣ぉぉぉ))!!!」
九個のジュエルシードの魔力の奔流を斬り裂きながらジュエルシードも斬り裂く。
ドガアァァァァン!!!!
そしてジュエルシードは粉々に砕け散り、次元震も終息していった。
「な、なんてやつだ・・・。魔法も使わずに、ジュエルシード九個を・・・・破壊しただと!?」
クロノの口が大きく開いていた。
「す、すごい・・・。」
「零冶君・・・凄すぎるの。」
「本当に規格外だね、彼は。」
「ってか本当に人間かい?」
フェイト、なのはは驚き、ユーノとアルフはもはや呆れていた。
「・・・・・・。」
プレシアに至っては言葉も出ないようだ。
「・・・さて、取りあえずプレシアとの約束を果たすために一旦アースラに戻るぞ。おい、エイミィ!全員をすぐに転送しろ。」
【・・・・え?あ!わ、分かったわ!】
どうやらアースラにいる奴らも呆然としていたらしい。
そんなにおかしいか、俺?
『今更ですか、((主|あるじ))?』
『まったく、妾たちを従えてる時点でとっくに規格外じゃろうて・・・。』
クシャナとナナが何か言ってるが俺は聞こえない。
そして俺たちはアースラへと戻った。
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第十九話 決着 | ||
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