魔法少女と竜と漆黒の狂戦士と
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 俺たちは時の庭園が崩れる前にアースラへと帰還した。そして全員は会議室の様な所に集まった。

 

「それで・・・アリシアとは会わせてくれるのね?」

 

「ああ、今会わせてやる・・・ルナ。」

 

[了解しました。・・・封印解除。]

 

 そうするとルナの中から小さな光が出てきて皆の前に滞空した。すると光が強く輝き、やがて半透明だが一人の少女が現れた。

 

「っ!?あ・・・・アリ・・シア?」

 

 プレシアは目の前に現れたアリシアの姿を見て涙を流す。

 

[残留思念を無理矢理留まらせている上に僅かに実体化させていますので、タイムリミットは数分です。悔いの無いように・・・。]

 

 そしてアリシアが目を開ける。

 

「お母さん、ひさしぶりだね。」

 

「ああ・・・アリシア・・・・アリシア!!」

 

 プレシアがアリシアに抱きつく。

 

「うん、そうだよお母さん。」

 

「・・・あなたが、アリシア?」

 

 フェイトが問いかける。そしてアリシアは微笑んで答えた。

 

「うん。あなたがフェイトね?うふふ、ほんとうにわたしにそっくりだね。」

 

「アリシア、会いたかったわ!そしてごめんね。私があんな所にアリシアを連れて行かなかったからこんな事に、アリシアが死ぬことはなかったのに!!」

 

 プレシアはアリシアに謝罪した。今までずっと言いたかった言葉を言えたのだ。

 

「ううん、お母さんのせいじゃないよ?あれはアリシアがわがまま言ってお母さんについていったんだもん。それよりも・・・お母さん?」

 

 少し周りの空気が冷たくなった。

 

「な、何?・・・アリシア?」

 

「今まで、フェイトにひどいコトしてきたでしょ?」

 

「・・・。」

 

 アリシアの問いに黙るプレシア。

 

「そんなことしちゃダメだよ?わたしはそんなことするお母さんは、キ・ラ・イだよ?」

 

 アリシアはとても良い笑顔でプレシアに言う。

 なんでだろう?アリシアの笑顔を見ると寒気が・・・。

 

「あ、アリシア!?ご、ごめんなさい!!お母さん、あなたのことを本当に愛してたから「それでもダメでしょ?」・・・うぅ。」

 

 アリシアはため息をつく。

 

「はぁ・・・お母さん、フェイトはわたしのいもうとなんだよ?やさしくしなきゃダメでしょ?」

 

「・・・・ごめんなさい。」

 

 プレシアがどんどん小さくなっていく。

 なんかシュールだなぁ。

 

「それから・・・フェイト。お母さんはフェイトにいままでひどいことしてきたけど、まだお母さんのこと好き?」

 

「え?あ、・・・うん。」

 

 フェイトがそう言うとアリシアはとても嬉しそうに頷く。

 

「そっか。それとお母さん・・・ありがとうね。」

 

「・・・え?」

 

 突然アリシアにお礼を言われて困惑したプレシア

 

「だって、わたしとのやくそくをまもってくれたよね?わたしがいもうとが欲しいって。ちゃんとフェイトをうみだしてくれた。たとえ、作られたいのちでも、わたしのねがいをかなえてくれたよ?」

 

「え?・・・あ!」

 

「だからお母さんもフェイトとなかなおりして?じゃないとアリシアはかなしいよ・・・。」

 

 悲しそうに俯き、今にも泣き出しそうなアリシア。そんなアリシアにプレシアは慌てて言った。

 

「わ、分かったから!アリシア、そんな悲しい顔をしないで!!」

 

「じゃあ、なかなおりする?フェイトにやさしくする?」

 

 アリシアが上目遣いでプレシアを見る。

 

「す、するわ!!フェイトも私の娘だって認めるし、優しくもするわ!!」

 

 そういうとプレシアがフェイトに向き直った。そして優しい瞳でフェイトに言う。

 

「・・・フェイト、今までごめんなさい。その・・・こんな事言う資格なんて無いかもしれないけれど・・・・もしよかったら、まだフェイトのお母さんでいても・・・いいかしら?」

 

「っ!!!!・・・・・うん・・・・うん!!お母さん!!」

 

 フェイトは涙を流しながらプレシアに抱きつく。

 

「今まで本当にごめんなさいね、フェイト!」

 

 プレシアも涙を流してフェイトを受け止める。そしてアリシアをみると・・・・

 

「ふふふ。」

 

 計画通り!という黒い笑顔を見せていた。

 怖っ!?アリシア怖っ!!!

 

「・・・それじゃあね、お母さん、フェイト。もう行かなきゃ。」 

 

 そしてアリシアは少し寂しそうな笑顔に変わった。

 そうか、時間か・・・。

 

「・・・もう・・・お別れなの、アリシア?」

 

「・・・。」

 

 プレシアとフェイトが悲しそうな顔をする。

 

「うん、そろそろじかんみたい。・・・お母さん、いままでありがとう!わたしをうんでくれてありがとう!それとフェイトとこれからもなかよくね!」

 

「ええ・・・私もありがとう。これからもフェイトと仲良くやっていくわ。」

 

「うん!!それとフェイト。お母さんをささえてあげてね。」

 

「うん、アリシア。」

 

 アリシアは何故か少しむくれた。

 

「むぅ〜、わたしのほうがおねえさんなんだから、おねえちゃんってよばなきゃダメだよ!」

 

「え?あ・・・・うん。・・・・・・姉さん。」

 

「うん!!」

 

 アリシアはフェイトの言葉に満足したようだ。それから提督に向き直った。

 

「リンディさん。」

 

「・・・なにかしら、アリシア?」

 

 アリシアは少し真面目な顔をして言った。

 

「・・・わたしが死んだことのできごとを、もう一回しらべてほしいの。」

 

「・・・あの事件を?」

 

「うん。あのできごとには、まだ皆はほんとうのことをしらないの。・・・おねがい、もう一回しらべて。」

 

 リンディはアリシアに力強く頷いて見せた。

 

「・・・わかりました。必ず調べます。」

 

 そういうとアリシアは微笑んだ。そして最後に俺に向き直る。

 

「れいじおにいちゃん、ありがとうね。おにいちゃんのおかげで、お母さんとフェイトはなかなおりできたんだよ?ほんとうにありがとう!」

 

「気にするな。だから・・・・・安らかに眠ってくれ。」

 

「うん!」

 

 そう返事をすると、アリシアは最後目で笑顔で消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリシアが消えた後、俺はプレシアだけに話があると言って医務室に連れて行った。提督たちは少し渋ったが、プレシアの治療をすると言って無理矢理押し通した。そして医務室で

 

「プレシア、その病気は現代の技術ではもう治らないほど進行しているみたいだな?」

 

 俺の問いにプレシアは暗い顔をする。

 

「・・・えぇ。今から治療しても1年持つかどうか分からないわ。・・・でも・・・それでも私はフェイトと一緒にいたい!!アリシアに言われたからではなく、自分の娘だから!」

 

 その言葉を聞いて俺は安心した。

 

「そうか。じゃあ、その病気を治すとするか。」

 

 俺の言葉にプレシアは訳が分からないといった表情をする。

 

「あなた、さっき自分で言ったでしょ?もう治らないって・・・。」

 

「ああ、‘現代の技術’ではと言ったが?」

 

 そう言うと俺は持ってきた巾着を開けて、赤みがかった丸薬を取り出す。

 

「それは・・・?」

 

「これは‘いにしえの秘薬’と俺たちは呼んでいる。とある素材を調合して製作した究極の薬だ。これを飲むとあらゆる病気やケガを治癒することができる。まぁ毒なんかは無理だが。」

 

 俺はプレシアに飲ませた。

 

「・・・・あれ?・・・体が何だか軽い?それに・・・息苦しく・・・ない?」

 

「ああ、これでお前はずっとフェイトと一緒に居ることができる。」

 

「本当に・・・・フェイトと・・・・。」

 

 プレシアは涙を流し、俺は医務室を後にした。

 

 

 あれから数日経った。フェイトとプレシアは裁判のためにミッドチルダという次元世界に行くらしい。それとプレシアが過去に起こした次元航行エネルギー駆動炉ヒュウドラの暴走事故をもう一度洗い直したら・・・まぁ出てくるわ出てくるわ。上層部が無茶苦茶やって、さらにそれをもみ消してプレシアに擦り付けた証拠が。

 そしてさらに数日後の早朝、フェイトとなのははお互いにお別れを言うためにとある丘で待ち合わせた。そこにはプレシアや提督たちもいた。

 

「まったく、遅いぞ。もう諦めようかと思ったぞ?」

 

 クロノがちょっと不機嫌だった。

 

「悪いな。なのはが寝坊してな。」

 

 俺がそう言ってなのはを見るとなのははバツが悪そうに笑った。

 

「にゃはは〜。」

 

 そしてフェイトに近づき、

 

「フェイトちゃん、少しの間離ればなれになっちゃうね。」

 

「うん・・・。」

 

「フェイトちゃん・・・友達になろう?」

 

「友達・・・?」

 

「うん、もうフェイトちゃんは私の名前を呼んでくれてるけど、ちゃんと言ってなかったね。・・・わたしとお友達になってくれませんか?」

 

 その言葉にフェイトは

 

「・・・うん・・・うん!!」

 

 涙を流して答え、なのはと抱き合った。しばらく泣いたあと俺の方へ来た。

 ・・・なんだ?

 

「あの・・・その・・・零冶?」

 

「うん?なんだ、フェイト?」

 

 フェイトはもじもじしながら言う。

 

「その・・・もしよかったら、零冶が身につけているもので・・・なにかお守りになる物を・・・くれないかな?その・・・しばらく・・・会えないから。」

 

 ああ、そういうことか。・・・だが、あげるような物なんてないぞ?あるのは投擲ナイフとCOLT9mm拳銃と・・・なぜかクナイがあった。

 あ、そういえば昔・・・あの、はっちゃけおっさんに貰ったんだったな。すっかり忘れていた。

 実はこのクナイ、刺すと電撃が流れる。あ?原理?・・・知らん。あのおっさんに聞いてくれ。

 

「まぁ、こんなものでよければ。」

 

「・・・これは・・・ナイフ?」

 

 首をかしげるフェイト。

 

「ああ、これはクナイといってな、昔この日本にいた暗殺者がよく使っていた暗器の一種なんだ。それで対象を刺すと電撃が流れる。」

 

「・・・うん、ありがとう!!大切にするね!!」

 

「あ、ああ。」

 

 かなり喜んでいたが・・・そんなに嬉しかったのか?

 

「・・・むぅ〜。」

 

 後ろでなのはが不機嫌そうだった。

 ・・・なんで?

 

「うふふ。」

 

 プレシアが笑っていた。

 

 そのあとフェイトとアルフにお別れの言葉を言い、フェイトたちは去って行った。

説明
最終話 母と娘の涙、そして別れの時
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タグ
原作崩壊

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