見た目チンピラな善人の悪魔生活 |
6.人の視線や非難は時に人を傷つける
刑夜side
グレモリーと共に学校に来てみれば予想通りの光景が広がっていた
校舎に多くのやつらが群がってやがる
そして男共から嫉妬や殺意
女共からは驚愕と嘆き
それが全てグレモリーの隣にいるオレに集中してきやがる
…………わかってはいた
だが、それでもこれはひでぇ
「なんで、あんなやつが……」
「ありえない、ありえない、ありえない、ありえない」
「おねえさま離れて!そいつは危険です!」
「脅されているのよ!きっとそうよ!」
…………言いたい放題言ってくれるじゃねぇか
しかもあの三人も一緒に睨んできてやがる
その殺意がほかよりも強ぇってどういうことだよ
「朝から人が多いわね。一体どうしたのかしら」
隣にいるこいつはホントにわかってて言ってんのかぁ!
なんで平然としていられんだよ!
そんな状況を耐えながら抜けると
「ここまでね。じゃあ刑夜、後で使いを出すからまたその時ね」
なんてこと言ってグレモリーは自分の教室に行きやがった
まだ伝わってくる視線の中、やっと教室に来ると
「「「け・い・や〜〜〜〜〜〜〜!!!」」」
あの三人組が血涙流して迫ってきた
…………汚ねぇし、うるせぇわ
しかもイッセーのやついつもの調子に戻ってやがるし
「刑夜っ!!朝のは一体どうゆうことだっ!!」
「そうだ!リアス先輩と登校するとはどういうことか、詳しく話してもらうぞ!」
「昨日のあの後の事、吐いてもらうぞ、刑夜!!」
三人が次々と言いたいことを未だに血涙流して言ってくる
どうやって流してんんだよそれは
「知るかよ、オレだって何でこうなったのかわかってねぇんだよ」
とオレは三人をあしらい自分の席に向かう
それからも席に座ったオレに何度も言い寄ってくる三人の怒声を聞き流してホームルームが始まるのを待った
騒がしい学校の一日が終わりグレモリーが言っていた使いをイッセーと待っていると
「兵藤 一誠くんに、凶月 刑夜くん。待たせて悪かったね」
オレとイッセーにイケメンと言われたら絶対納得できる金髪の男が声を掛けてきた
「ああ、そうだが」
「…………」
オレは返事をするが、イッセーは親の敵を見るように睨んでいた
オイ、イッセー
テメェがイケメン嫌いなのはわかるが、初対面のやつにそれはねぇだろ
そういえば、今さっきやつは待たせたと言っていたなぁ
ということは
「ああ、名前を言うのを忘れてたね。僕の名前は木場 祐斗っていうんだ。それと、リアス先輩の使いで来たんだよ。」
「!じゃあ、お前が」
「はぁん、そういうことかぁ」
木場とは今まで話もしてねぇからなぁ、こういうやつが声を掛けてくるとなるとそれしか考えられないからなぁ
「ホント遅れて悪かったね。僕に声を掛けてくる子たちをどうするのかに時間が掛かっちゃって」
木場のやつが遅れた訳を言うとイッセーのやつが今度は悔しそうにしている
…………もういいだろうが妬みは自分の評価を下げるぞ
「じゃあ、先輩たちも待たせてるし付いてきてくれるかな」
「……わかったよ」
「あぁ」
オレたちが木場についていくと女共が悲鳴などを上げてきた
「きゃあ、木場くん!そいつらから離れてえ!」
「穢れてしまうわ、木場くん!」
…………わかってはいたが、心が痛むぜぇ
しばらく木場についていくとオレたちは今は使われることはない旧校舎に辿り着いた
「……こんなとこまでつれてくると怪しくなってくるぜ」
「そう思うのも仕方ないと思うんだけどここであってるよ」
それからも木場に案内され旧校舎の中を歩いていると木場がある教室のところで止まった
「ここに部長がいるんだよ」
それを聞いた後オレとイッセーはその教室のドアに掛けられたプレートに気づき見てみると
「…………オカルト研究部だぁ?」
思わず声があがった
イッセーも同じ反応のようだ
つうか、あいつはこんなところで何やってんだぁ?
ますます怪しいぞ
オレがそう思っていると木場のやつがドアをノックし
「部長、二人を連れてきました」
そう声を掛けると
「ええ、待ってたわ。入ってきてちょうだい」
中からグレモリーの声が聞こえ、木場はドアノブを捻り、オレたちは中に入った
side out
−−−−刑夜たちが教室に辿り着くまでのリアスたちは
リアスside
今私はそろそろ来るであろう刑夜たちを迎える準備のためにシャワーを浴びている
そんな最中私は今朝一緒に登校した刑夜についてふと考えだした
凶月 刑夜…………彼は学校では一番の不良として認識されている
でも彼が通って二年、彼は一度も無断不登校もせず、問題といったものをやっていない
意外と真面目なのかと思ったわ
それ以外にも経歴を調べてみたけどわかっている事は彼には両親が存在せず、この学校にくる前は他校の生徒とケンカの日々を送っていた事くらいだわ
でも私にとってそんな事はどうでもいいわ
私が彼に興味を持ったのは…………あの死に際に見せたあの紅く輝く目を見たからよ
いままでは彼もほかの生徒たちと同じ認識だったけどあの目を見た瞬間からそんな認識は捨て去ったわそれと同時にある衝動が私の中を駆け巡った……
この子が欲しいと…………
だからこそ今から来る彼と一誠をこちらに引き込まないと
彼の性格上ただ勧誘しても簡単に了承してくれるとは思えない
それでも…………絶対に逃さない
必ず彼をこちらに引き込んでみせる
そう私が決意していると
「部長、どうかしましたの?」
このオカルト研究部の副部長である姫島 朱乃が声を掛けてきた
「なんでもないわ、朱乃。ただ今から来る二人のことについて考えていたの」
「兵藤 一誠くんに、凶月 刑夜くんの事?
その二人のなかでも部長は凶月 刑夜くんの事を考えてるように見えましたわ」
その事に気づかれるか
流石朱乃ね
「部長がご執心になるんですもの。私もその彼に興味がでてきましたわ」
「朱乃もそう思うのね。だからこそ彼は絶対にこちらに入れてみせるわ」
そう話していると、ドアからノックの音がして
「部長、二人を連れてきました」
祐斗の声が聞こえた
どうやらやっと来たようね
「ええ、待ってたわ。入ってきてちょうだい」
さあ、刑夜
覚悟なさい
絶対逃がさないんだから
side out
刑夜side
オカルト研究部の部室に入り、最初にオレの目に入ったのは大きな変な紋章みてぇなもんが描かれた床だった
そしてそれだけでなく辺りには至る所に変な模様が描かれている
……これだけでうさんくささが半端ねぇ
オレはそう思いながら部室を見回しているとある一点に目がいった
それはソファーに座って何故か羊羹を食べながら座っているガキがいた
…………何故に羊羹?
めちゃくちゃ変だぞ、オイ
イッセーもオレと同じように見ていた
そんなオレたちに気づいたのか木場が紹介してきた
「ソファーに座っている彼女は一年の塔城 小猫さんだよ」
そう紹介すると気づいたのか塔城はこちらに顔を向けてきた
「彼らは兵藤 一誠くんに、凶月 刑夜くんだよ」
さらに木場がオレたちの事を言うと塔城は頭を下げてきた
「あ、どうも」
「よろしくな」
オレたちが挨拶したのを確認するとまた羊羹を食べだした
なかなか無口なやつだなぁ
そう思いながらふとイッセーを見てみたら、何故かニヤついていた
……何考えてんだこいつはよぉ
そうこうしているとイッセーがさっきから聞こえている音に気づいたようだ
オレもよく聞いてみた
これは……水音?……
オレはその水音のする方へ顔を向けると
…………カーテン越しに女と思われる体のラインをはっきりさせる影を見てしまった
「ブゥッ!」
それを確認してしまったオレはすぐに顔をそらしたが、鼻から今朝と同じように鼻血を噴出してしまった
間違いねぇ、あいつだ!
こんなとこでシャワー浴びやがってぇ!
今度は何がしてぇんだぁ!!
オレはグレモリーの常識を正直に疑いながら鼻血を抑えようとしても止まる試しもねぇ
そうしていると
「け、刑夜くん、大丈夫かい?
こ、これティッシュだよ」
木場が少し鼻血の量に引きながらも気遣ってくれた
すごく申し訳ねぇ
「…………すごい量」
無口な塔城も流石に驚いたのか目を大きくしていた
すまんがそんな目で見ないでくれぇ
オレたちがあたふたしている(オレのせいだが)のに何も反応がないイッセーに気づいたオレはやつを見て軽く殺意が湧いた
イッセーはまさにエロ猿と言える顔をしながらカーテンを凝視していやがった
人がこんなことになってんのにテメェはこんな時でもかぁ!
オレがイッセーを睨んでいる(まだ鼻血は止まっていない)のを気づいた塔城はイッセーを見て
「……いやらしい顔」
もっともな事を言ってくれた
お前の言うとおりだ、こんな状況じゃなかったら、ぶん殴っていたんだからよぉ
やっと鼻血が止まった後(何故か木場や塔城は一滴も血がついてない)、シャワーの音が止まった
「部長、タオルですわ」
「ありがとう、朱乃」
そんな会話があってからカーテンからグレモリーではなく黒髪の女が出てきた
「あらあら、これはどうしたのかしら」
部室の惨状を見て困った様子をみせるが、そいつは落ち着いてこちらに近づいてきた
「ちょっと状況が読めないのだけれど、はじめまして。
このオカルト研究部の副部長をしている姫島 朱乃と申します。どうぞ、お見知りおきを」
そしてニコニコ笑いながらオレらに挨拶をしてきた
ただオレはその笑顔に何か引っかかったが
「ひょ、兵藤 一誠です。こ、こちらこそよろしくお願いします」
「…………凶月 刑夜だ」
今は気にしないことにした
そして姫島に挨拶をした後で髪を拭きながらやっとグレモリーがカーテンから出てきた
「みんなまたせたわね…………何なのかしら、この惨状は」
流石のグレモリーもこれには顔が引きつっていた
「これってもしかして…………刑夜ねこんなにしたのは」
今朝のことを思い出したのかオレを呆れながらも見てきた
流石にこれはオレが悪いので
「…………すまねぇ」
素直に謝った
「……全く、掃除しなきゃいけないじゃない」
とグレモリーの一言で掃除が始まった
…………ホントにすまなかった
オレがだした鼻血を全て処理した後
「やっと終わったわね。それじゃあ、刑夜、一誠くん」
そう言いグレモリーはオレとイッセーを見ると
「私たちオカルト研究部は、あなたたちを歓迎するわ」
そう微笑みだし、そして
「悪魔としてね」
そんな事を言いだした
「…………え?」
「はぁ?」
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