魔法少女リリカルなのはmemories 第三章 蘇る記憶(メモリー) 第二十三話
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「それはホンマなのか?」

 

 フェイトが担当をしていた事件が大体状況が把握された三日後、フェイトは一昨日はやてに会うことを約束して、その二日後にはやての家で会う事にしたのだ。

 そして今日、はやての家にフェイト、はやて、リインフォースII、シグナム、ザフィーラ、スバル、エリオ、キャロ、アギトの九人が集まった。他にもヴィータ、シャマル、ティアナ、そしてユーノを呼んでいたのだが、仕事の都合によって来れる事が出来なかった。

 

「多分、本当の事だと思うよ。犯人の姿を聞く限り、なのはに間違いないかと」

「どうしてなのはさんが」

 

 フェイトとはやての会話を聞いていたスバルは、あのなのはが人を殺めるとは思いもしてなくて驚いていた。

 いや、この場に居る全員がなのはが人を殺めるとは思っていなかっただろう。やり方は他の人間に比べて違うけど、それでも正義という事は持っていたはずだ。そのなのはが人を殺すなんて想像もしていなかった。

 

「分からない。けど、よほどの事が無い限りなのはが人を殺すなんてありえへん」

「そのよほどの事が分かれば簡単なのだがな」

 

 はやての言葉をつぎ足すかのようにシグナムは言い、さらにみんなを悩ませる。何か理由が無ければなのはが人を殺すなんて事をするはずがない。誰だって分かっていたが、その理由が分からなかった。また、その理由が自分たちが所属している管理局が原因だという事を知る由もなかった。

 だんだんと空気が重くなり、それに耐えかねたリインフォースIIがなにかを言い始める。

 

「今は悩んでいるより、この先をどうするか決めるのではなかったのですか?」

 

 そう、元々集まったのはなのはの事だけではなくもう一つ理由があった。リインフォースIIの言葉で思い出したフェイトは突然ポケットから何かを取り出して、テーブルに置く。

 

「今回、私が担当した事件の犯人。多分、後数時間もしない内に指名手配になると思うけど」

 

 フェイトが取り出したのは自分が担当した研究所の研究員を殺害した犯人の写真だった。写真は三枚あり、その内一枚は全員が見覚えのある人物であった。

 

「ラスティル・エメリア、デュナ・シルフィア、そしてなのは。主犯は魔法の痕跡を見る限りなのはだと思われている。っというより一人を除いて全てなのはが殺して、一人重症に負わせた」

「どうして一人を除いてなのですか?」

「一人の殺され方は首を切られて殺されてるの。なのはの魔法ではそんな事を出来るような魔法でないから」

 

 キャロの質問にフェイトは答える。しかしなのはが大半の人間を殺したのは変わりがない。それ以前になのはがそんなにも人を殺している事に驚いており、たった一人殺しているかいないかなんて余り関係なかった。

 

「それで、その首を切られて殺された人物は誰に殺されたんや?」

「そこまでは分かってないの。けど……」

「けど?」

 

 はやての質問にフェイトはまだ分かってないと答えるが、その後なにかを言おうとする。

 すぐにはやてが同じ言葉を返し、それから少し間を開けてフェイトが言い始めた。

 

「なのはの魔法ではない事は分かっているけど、ラスティル・エメリア、3年前に管理局を辞めたデュナ・シルフィアの魔法のデータには剣などの刃物類のデバイスを使っている魔導師ではない。要するに首を切りつけられて殺された人間を殺したのは……」

「三人以外にも共犯者が居たという事ですか……」

 

 エリオの言葉にフェイトは頷く。共犯者が居るという事は、どこかある目的を持っている組織であるという可能性が高い。もしある組織があるのならば、なのはが共に行動しているという事を考えるとかなり限られてた。

 

「それともう一つ。この事件の少し前に研究所の研究長が殺されてたという事件を知ってる?」

 

 フェイトは突然別の事件の事を話し始め、スバルが確認をするかのようにフェイトに聞く。

 

「たしか、その研究所に居た人間の一人が誘拐された事件ですよね。研究所内で爆発があったとかであたしの所にも出動待機されましたし。結局出動する事はありませんでしたけど。けどその事件が一体?」

「あの事件の犯人は割り出されているの。どうやって知ったのか分からないけど、ウェイズ・リュベル一等空佐が調べたとか」

「そいつなら私も知っておるで。一度会った事あるんやけど、正直言って私たちとは合わない性格の持ち主だとすぐに思ったくらいや」

 

 フェイトからリュベルの言葉を聞いたはやては、会った時の事を思い出したのか少し嫌な顔をするのだった。どんな事があったかという事は今関係ないので、誰もリュベルがどういう人物だったのかという事は言わなかった。

 

「それで、そのウェイズ・リュベル一等空佐の調べた結果がどうやったんや?」

「フィルノ・オルデルタ」

 

 フェイトが言った名前にフェイトを除く全員が言葉を失った。

 フィルノ・オルデルタ。なのはの幼馴染であった人物。その事はなのはが行方不明になった時にはやてとフェイトが全員に伝えてあったので全員知っている。だからその名前を出てきたときに驚いていたのだ。

 みんなが驚いている事を気にせずに、フェイトはそのまま言い続ける。

 

「どうして彼がそんな研究所に来たのか。それは誘拐した人物に関係があったのだとすぐに分かった」

 

 フェイトがまたしてもポケットから一枚の写真を取り出す。そこに映っていたのはデュナ・シルフィアに似ているような顔立ちをしている少女だった。

 

「オルデルタに誘拐された人物はリィナ・シルフィア。写真を見て分かるかもしれないけど、彼女はデュナ・シルフィアの妹であるの。そして今回私が担当した事件にはデュナ・シルフィアが犯人の一人であるということは」

「なにか関連性があるか、なのはちゃんたちが起こした事件とオルデルタが起こした事件は、同じ組織の人間が起こした事件である可能性が高いというわけやな」

「どちらかといえば後者が有力だと思うけどね」

 

 その言葉にはやては頭を悩ませた。もし後者が本当ならば、いろいろとめんどくさい事になる可能性が高かったからだ。しかも向こうになのはが居るとなれば、敵対出来るのは相当居ない。正直言えばその可能性は一番外れて欲しい事でもあった。

 

「――場合によっては、またしても特務六課を再結成する必要があるのかもしれへんな……」

 

 少し声を落としてはやては呟いていた。正直な所、そこまでせずに終わらせられたら良いとは思っていた。それははやてだけでなく、ここに居る全員が思っていた事でもあった。JS事件やフッケバイン事件の時も機動六課、特務六課として動いていたが、どちらも終わればかなり大変な事件だった。今から特務六課を再結成すれば一番早い話なんだが、何か起こってからではないと動く事なんてなく、しかも何事も無く終わってしまったら無駄になるだけだからなるべく避けたかった。

 

「はやて、とりあえず今のところはそのままでいいという事?」

「せやな。念のためいつでも特務六課を再結成することになっても準備はしておいてくれや。多分特務六課になるとは思うのやけど」

「それはここに呼んでいた全員にか?」

 

 今まで何も話していなかったザフィーラが確認のためにはやてに聞いた。

 

「ユーノ君以外に一応言っておいてくれ。あとスバルにはトーマにも声を掛けておいてくれへんか? たしか管理局に入ったんやろ?」

「一応そうなっています。どちらかといえば管理局側が保護観察するために管理局に入れたような感じなのですけど」

「治っているとはいえ、((EC因子適合者|エクリプスドライバー))を管理局が野放しにするわけがないのは分かっていたのやけど、さすがに仕方ないことやな」

 

 はやての言葉にスバルは苦笑するしかなかった。エクリプスウィルスの発症者になってしまったのだから、この先の人生が変わってしまった事に、はやてはトーマに同情しているのだが仕方ない事だとも思っていた。それはスバルやこの場に居る全員も同じであった。

 余談だが、トーマの名前はスバルの養子になった事によってトーマ・ナカジマとなっている。

 

「フェイトちゃん、とりあえず話はこれくらいでええんか?」

「一応話す事は全部話したから大丈夫だよ」

「分かった。それじゃあ、昼食は私が御馳走するからみんな待っててくれへんか」

 

 そう言うと、はやては椅子から立ち上がってキッチンがある方へ向かい、みんなから離れていくのだった――

説明
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。

二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。

それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。



魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。
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