魔法少女リリカルなのはmemories 第三章 蘇る記憶(メモリー) 第二十七話
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「っ!? 北方遠方に高魔力反応!? しかも、こちらに魔法が放たれています!!」

 

 その言葉に、誰もが動揺が走った。南方遠方で高魔力反応があると思いきや、反対側の北側から高魔力反応が探知されたからだ。しかも、こちらに向かって放たれていると。

 しかし、そんな同様の最中でも全く動揺せずにいたのがヴィータとシグナムだった。ヴィータはシグナムの予感が的中したことに少し驚いたが、今はそんな事を気に急いている場合ではないと切り捨てる。

 そして他の管理局員を落ち浮かせようとするのだった。

 

「みんな落ち着け!! 冷静になって対処しなければ向こうの思うつぼ――」

 

 しかし、ヴィータの言葉は途中で途切れるのだった。森の奥から、桜色の魔法が木々を粉砕しながらこちらに向かってきていたからだ。

 桜色の魔法。見覚えのある魔法の色であるが、今はそんな事を考えている場合ではなかった。

 周りの管理局員もヴィータの言葉と魔法がこちらに向かってきているという事に気づいて、冷静になっていた。

 

「とりあえず、あれをなんとかしないといけねぇーから、近くにいる全員で防御魔法を使え!!」

 

 ヴィータは近くにいる管理局員の四,五人に命令し、すぐに対処しようとする。

 しかし、たったこの人数で防げるかというのは難しいと思っていた。威力を軽減することまでは出来るかもしれないが、完全に止められるのは無理だろうと思った。あの魔法は、一発で終わらせようとしている事が丸見えだった。

 

「防ぎ切れねぇーと思ったら、すぐに回避しろよ。あれを防ぎきると思ったとしても、危ないと思ったら避けた方が良いからな。あの魔法が殺傷設定だったら死ぬかもしれねぇーからな」

「しかしヴィータ一等空尉、その場合ですと後ろの研究所に当たる可能性が……」

「自分の命を犠牲にして任務を遂行するのならば止めた方が良いぞ。もし死んで、さらには任務も遂行できなかったら無駄死になるからな」

 

 ヴィータの言うとおりだった。非殺傷設定なのか殺傷設定なのか分からない時点でそれは一番やらない方が良かった。非殺傷設定だと分かれば負傷だけで済むかもしれないが、分からない時点でなんとしてでも止めてみせるというのは唯死ぬだけとなる可能性があったからだ。だからこそヴィータはそれだけはするなと言ったのだ。

 そして、そんな会話をしている内にかなり近くまで迫っていた。

 

「いいか。防げないと思ったら自分の判断で逃げろ。あたしもそうする」

 

 ヴィータが再度そう言い、それから数秒後に目の前まで迫ってきたのだった。

 すぐにそれぞれの防御魔法を使い、ヴィータもパンツァーシルトを使用する。

 何とかして防いでいたが、魔法の威力はヴィータが想定していた以上の魔力だった。

 

「な、嘘だろおい」

 

 出力リミッターが掛けられていないというのに、しかもAAA以上の魔導師たちが集まって防いでいるというのに、やっと止められていた感じであった。

 しかも止められたと言っても、すぐに突破される可能性があり、これはすぐに避けた方が良いとヴィータはすぐに思い、他の止めていた管理局員も動揺の事を思うのだった。そしてヴィータを含め防ごうとしていた管理局員たちは防ぎれないと思って防がないで避けることにした。

 避けようとした時に魔法に少し当たり、ヴィータも右手から少し焼ける痛さを感じるのだった。見てみると少し火傷を負っているのだった。

 そして桜光の色をしているの魔法は、研究所へと衝突し、研究所内の半分くらいまで到達するのだった。しかしこの研究所で働いている研究員は、数日間だけ襲撃される可能性があったので、中には誰も居なく、死者は誰も居なかった。

 それからすぐしてシグナムや他の管理局員も駆けつけた。シグナムはすぐにヴィータに近寄り、怪我の様子を見る。

 

「大丈夫かヴィータ?」

「ああ、少し右手にやけどを負ったけど、これくらいならまだ動ける。他の奴らは?」

「ここから見た限りだと、大体が火傷で済んでいる感じだ。一人は出血もしているけど、大量に出血している訳でもなさそうだな」

「ちっ、やっぱり殺傷設定だったか」

 

 舌打ちをし、そして放たれた方向を見る。

 かなり遠方から放たれ他のが分かり、そのかなり遠方から誰かが歩いてこちらに向かってきてるように見えた。

 そのシルエットはヴィータとシグナム見覚えのあるバリアジャケットを着ており、髪型も片結びのサイドテールに栗色の髪であった。

 だんだんと近づいてきており、ついには数十メートル近くとまでなった時にヴィータは彼女に言う。

 

「なんでだよ……なんでこんな事をしているんだよ高町なのは!!」

 

 聞き覚えのあるヴィータの言葉に、なのはは聞こえてきた方へと顔を向ける。

 そこにヴィータとシグナムが居た事に少々驚いたが、表情には現さずにすぐに冷静になって言い返す。

 

「……ヴィータちゃんとシグナムさん居たんだ……どうしてこんな所に居るの?」

「テメェがやった研究所の破壊されたから、次の対象はここになるのではないかという事で任務で出されてんだよ」

「……なんだ。もう私がやったと気づいているのね管理局は。私が人を殺したという事に」

 

 その言葉にヴィータはなのはに対して怒りを覚えた。人を殺したのになんとも思っていないなのはを見て気味が悪いとも思ったが、それよりも今まで親友だったなのはの態度を見て怒りが溢れていたのだ。

 

「どうして人を殺したことになんとも思っていないんだよ!! 今すぐここでぶん殴って――」

「少しは落ち着けヴィータ。なのはの挑発にそう簡単に乗るな」

 

 グラーフアイゼンを構えてなのはに近づこうとしたヴィータを、シグナムは止める。

 

「どうして止めるんだよシグナム!! あたしはあいつをぶん殴らないと――」

「だからなのはの挑発に乗るな。わざと怒らせる事を言っている事に気づけ」

 

 シグナムの言葉にヴィータは冷静になって落ち着く。その様子を見ていたなのはは顔が微笑んでいた。

 

「やはり、シグナムさんには気づきましたか」

「ヴィータが先に怒らなければ、私も怒りでなのはを攻撃していたかもしれない」

「……それで、私を止めようというの?」

 

 話を突然と変え、周りの管理局員を一度見ながらなのはは言う。

 

「ああ、何としてでも捕まえて、どうしてこんな事をしたのか問いただす!!」

 

 ヴィータがそう言うと、周りにいた管理局員もなのはに向けて構える。

 

「高町なのは元二等空佐。殺人容疑で逮捕します!!」

 

 管理局員の一人がなのはに向けてそう言い、なのはに対して魔法を使おうとする。

 しかしなのはは突然背中を向け、突然歩き出す。

 

「おい、どこへ行こうとしているんだ!?」

「別に? 私のやる事は終わったし、研究所も((全壊|・・))したから」

「全壊? どう見ても半壊――」

 

 シグナムが何かを言うとした刹那、突然研究所が爆発を起こした。

 突然の出来事にシグナムとヴィータを含め管理局員全員が後ろを振り向き、跡形もなく全て粉砕にされるのだった。一体何が起こったのかよく分からず、唯その光景を見るだけだった。

 ふとなのはの事を思い出したヴィータはすぐに振り向くが、その場所になのはは居なくなっていた。

 それから他の管理局員やシグナムもなのはがいた方へ振り向き、なのはを見逃したのに気づくのだった。

 

「なんでだよ……なんでこんな事をしているんだよ……」

 

 ヴィータはなのはが居なくなったを見て、なのはに会った時に言った言葉を再度言うのだった――

説明
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。

二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。

それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。



魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。
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