魔法少女と竜と漆黒の狂戦士と A’s編 |
「とりあえず、みんなの衣食住の確保が必要だということが分かったわ。」
シグナムたちの戦いから翌日、俺は一先ずシグナムたちをはやての家に泊めてはやてが目を覚ますのを待った。そして石田先生からはやてが目を覚ましたという連絡があったので、はやてを家に連れ帰った。ちなみに、石田先生には俺たちが一緒に住んでいることを伝えた。・・・なんか喜んでいたが、本当に良かったのだろうか?
そして、シグナムたちは闇の書という物について説明したが、
「それから、蒐集?ってやつはしたらアカンよ。人様に迷惑を掛けとぉないしな。」
「し、しかし主はやて!それでは我々の存在する意味がありません!?」
はやてはそれでも絶対に首を振らなかった。
「・・・あんなぁシグナム?人が生きることに、理由なんていらへんのよ?それにシグナムたちはもうウチと零冶兄ぃの家族やもん。なぁ、零冶兄ぃ!」
ふふふ・・・そう言うと思ってたよ、はやて。
「ああ、俺もはやてに同意だ。」
「っ!!?・・・感謝します・・・主はやて。」
そう言うとシグナム一同は深く頭を下げた。
「そうと決まったら早速、夕飯の買い物に出かけるで。シャマル、手伝ってくれるか?」
「え?あ、はい!」
そうして、はやてとシャマルは夕飯の買い出しに出かけた。さて、俺たち居残り組はどうしようか?っと悩んでいると、
「その、・・・申し訳ない!!」
「本当にすまねぇ!!」
「・・・スマン。」
三人が土下座していた。
・・・なんで?
「貴方が主はやての兄君ということは本当だった。」
「それをあたしたちは・・・。」
「面目ない。」
ああ〜、まだ気にしていたのか。
「もう気にしなくていいよ。それよりもシグナムたちは時空管理局じゃなかったんだな。」
「そういう兄君こそ、魔導師ではないのですか?」
「ああ、俺は魔術師だよ。未熟者だけどね。それと、俺の事は零冶でいいよ。」
最近魔術の勉強していないんだよなぁ。まぁ代わりに魔法とあいつらの特訓でかなり時間を食ってるからな。
「では零冶・・・魔術師というのは?」
また説明しなきゃいけないのか・・・。面倒だな。
説明中・・・。
「そうですか・・・。まさかこの世界にも独自の魔法技術があったとは・・・。」
「でも実際にあるんだから認めないとな・・・。」
お?赤毛の子は意外と素直に認めたなぁ。
「・・・それよりも零冶、零冶が使っていたあの巨大な剣は一体?」
狼の姿をしているザフィーラが質問した。
「あぁ、あれは斬魔刀というんだ。」
「「「斬魔刀?」」」
「最初は違う名前だったんだ。最初の名前は“ドラゴン殺し”っていうんだ。」
「「「ど、ドラゴン殺し!?」」」
そんなに驚くことか?
「ああ、竜種、または竜属性に対して威力を発揮するんだ。だけど、魔物や悪霊などを斬り続けたことで、“魔を斬る”という概念が付加されたんだ。それで付いた名前が斬魔刀。その名の通り、魔を斬ることができる・・・つまり、霊体や悪魔、魔法や魔力を持つ生物に対して絶対的な威力を誇るんだ。」
「「「・・・。」」」
みんな絶句している。まぁ、当然だな。
「それと、俺にはもう一つ秘密がある。」
「「「・・・?」」」
俺は小さな魔法陣を展開させてとある二匹を呼び出した。
「来い・・・ムサシ、コジロー。」
「「ニャアーーオ!」」
「「・・・猫?」」
ザフィーラとヴィータが首を傾げる。
「・・・可愛い。」
・・・え?何か聞こえた気がしたが・・・。
「「「・・・・・。」」」
全員がシグナムを見る。
「・・・っ!?ご、ゴホンッ!!れ、零冶、この猫は一体?」
無理矢理誤魔化したな・・・。
「私たちは旦那様の召使いの、アイル−族のムサシと・・・」
「メラルー族のコジローだニャ〜。」
あ〜、相変わらず癒やされるなぁ〜・・・・っと!危ない、トリップしかけた。
「こいつらは獣人族のアイル−族とメラルー族の最後の生き残りなんだ。」
「「よろしくニャー!(ニャ〜!)」」
そしてはやてたちが帰って来た。
「ただいまや〜。ほら、シャマルも!」
「あ、・・・・ただいまです。」
その二人を二匹が出迎える
「「お帰りなさいませニャー!(ニャ〜!)」」
「「え?」」
しばらく二人は固まった。が、はやてはすぐに正気に戻った。
「か・・・・かわええーーーー!!!!零冶兄ぃ!!この二匹どうしたん!?猫が二本足で立って喋ったで!!それに、めっちゃかわええやん!!!」
・・・いや、そこは普通に驚くのが先じゃないか?ってか、二本足で立っているのはまぁ良しとしても、喋ったことには突っ込めよ!!
「以前はやてに言った猫だよ。ほら、自己紹介。」
二匹ははやての前に立って自己紹介した。そのあとはやてが暴走したのは言うまでもない。何か、シグナムがそわそわしていたが・・・きっと気のせいだろう。
そうして、俺たちの波瀾万丈な生活が始まった。
・・・しかし、俺はまだ知らなかった。この生活が長く続かないことを・・・。
あれから約5ヶ月。
俺たちはこれまで楽しく暮らしていた。しかし、それももう終わりのようだった。
・・・はやてが突然発作を起こした。急いで石田先生に診てもらったが、原因が解らないらしい。とにかく今日ははやては入院することになった。
一旦俺たちは家に帰った。だが、シグナムたちの表情は暗かった。
・・・もしかして何か心当たりがあるんじゃないのか?
その日の夜、シグナムたちは俺が寝るのを確認した後家を出た。俺は寝たふりをしてシグナムたちの後を付いていった。そしてとあるビルの屋上で四人はなにか話していたので、俺は四人に話しかけた。
「・・・こんな時間に何処へ行くんだ?」
「「「「っ!?」」」」
全員、俺がいたことに気づかなかったようだ。
「お前ら・・・はやての病気に何か心当たりがあるだろ?」
四人は黙秘していたが、突然シグナムが話し出した。
「・・・主はやての病気の原因は闇の書だ。」
「っ!?」
闇の書が原因・・・だと?
「おいシグナム!!零冶兄ぃには関係ないだろ!!」
「関係なくなど無い!主はやては零冶の妹なんだぞ!!」
「うっ・・・けど・・・。」
「・・・シグナムの言うとおりだわ。零冶君にも話しましょう?それが私たちの義務だわ。」
「俺も異論は無い。もしかしたら零冶に話すことで何か良い案がでるかもしれん。」
シャマル、ザフィーラ・・・。
「・・・わかったよ。みんながそう言うんなら仕方ねぇな。」
そして俺はシグナムたちから説明えお受けた。
曰く、はやてが蒐集しなかった為に闇の書が未成熟なはやてのリンカーコアから魔力を無理矢理抜き取っているという。それが原因で足が動かなくなったり、先日のように倒れたりするらしい。そして・・・・このまま蒐集しなければ。はやては・・・・死ぬということ。
シグナムたちの説明を聞いて俺は血が滲むほど拳を握りしめた。
・・・また、俺は繰り返すのか?あの時のように・・・。
「そういうわけで私たちは蒐集活動を行うことを決めたのだ。・・・主はやてとの誓いを破るのは心苦しいが・・・・・・主はやてが死ぬよりよっぽどマシだ。」
「・・・分かった。俺も手伝おう。それで、具体的にはどうするんだ?」
俺ははやてが助かるなら何でもしよう。
「とりあえずは魔導師から魔力を奪ったり、他の次元世界の魔法生物から蒐集したりする。」
魔導師からか・・・・・・待てよ?なら、フェイトやなのはからもか?それはダメだ。あいつらを巻き込む訳にはいかねぇ。それにそんなことをすれば十中八九管理局が出てくる。それはマズイ。恐らく、はやても罪を負うことになる。
「待てシグナム。魔導師から蒐集するのは絶対に止めてくれ。」
「?何故だ?魔導師から蒐集したほうが効率的なのだが?」
「そうだぜ。その方が早く集められるだろ?」
「問題はそこじゃない。魔導師をから魔力を奪うことは犯罪になるだろう?」
「「「「・・・・。」」」」
全員が黙った。恐らく分かっててやろうとしたんだろう。
「そんなことをすれば、はやてが罪を背負うことになるぞ?それじゃあ助けても意味が無い。」
「・・・ならどうするんだ?」
ザフィーラが俺に問う。
「効率は悪いが、魔法生物から蒐集するほうがいいだろう。野生の魔法生物を狙っても恐らく罪にはならない。例えなったとしても罪はかなり軽くなるはずだ。それと、念のために俺に従うようにしてくれ。もし管理局に感づかれたとしても、はやてが主だということを誤魔化して時間稼ぎは出来るはずだ。」
シグナムは少し考えて答えを出した。
「・・・分かった。零冶の言うとおりだ。我々は零冶に従おう。皆も異存は無いな?」
「「「ああ。(はい。)(おう。)」」」
「とりあえず今から行こう。・・・シャマル。」
「分かったわ。」
俺たちは多次元世界へ転移した。
―――――はやてを助けるために・・・。
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第三話 新しい家族、忍びよる影 | ||
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