魔法少女リリカルなのはmemories 第三章 蘇る記憶(メモリー) 第二十八話
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「正直、研究所を一人で崩壊させるとは思わなかった」

 

 ツュッヒティゲンの本拠地としている艦船内に戻り、ある一室でアリシアはなのはに言う。

 

 先ほどの研究所を破壊をするのに、アリシアはずっとなのはの様子を見ていたのだが、まさか一人で研究所復興出来ないまでにするとは思ってなかったのだ。

 フィルノがアリシアを一緒に連れて行ったのには、場合によっては二人で合わせて研究所を破壊するという意味だった。アリシアもフィルノがそう考えているのだと分かっており、あの状況で一人で終わらせるのは無理だとアリシアも見ていて思っていた。16人も魔導師がいて、しかも魔導師ランクが最低でもAAAであったので、実際二人以上でも厳しいと思っていたのだ。

 しかし、なのははあんな大人数の管理局が居る状態なのにたった一人で任務を終わらせてきたのだ。しかもなのはの友達が居たのにも対してもだ。さらに言えば、その友達を利用して研究所を確実に崩壊させたのである。さすがにこれはアリシアでも驚き、数日前まで本当に人を殺したことが無かったのかと思うくらいであった。

 

「それは言いすぎだと思うよ。あれはあそこにヴィータちゃんとかが居たからその間に破壊する準備をしていたのだから」

 

 いや、普通はそこまで冷静に出来ないから。とアリシアは内心思う。

 ちなみになのはがどうやって半壊した研究所を破壊したのかというと、新しい魔法の使い方を使用してみたからである。実は言うと、あの時なのはの中で二つの新たな魔法の使い方を思いついていたのだのである。一つは先ほど言ったディバインバスター・エクステンションなどをレイジングハートに蓄えて、後で発射する方法である。これは即興で考えた事であったのだが、あの時アリシアが言った「初めて使う魔法」というのは、これだけを指しているわけではなかった。

 そう、もう一つあったのである。あの時なのはが思いついた新しい魔法というのは。

 それはなのはが研究所に向かっている時に使用されていた。歩いている間に自分の魔力を土に分散させておいたのだ。簡単に言えばスターライトブレイカーの周囲の魔力を集積したのとは反対に、自分の魔力を地面に分散させるのである。魔力を分散させたときにはディバインバスター・エクステンションを放たれているので、分散させた魔力に気づく人間は居ないだろうと思って使用したのである。そしてそのなのはの魔力をある一点で圧縮集束させ圧縮を解いた瞬間に付近が爆発するという寸法であった。散らばった魔力を集積させるよりかなり難しく、分散させた自分の魔力をまた集束させるという作業をしているので、かなり負担は結構掛かるのであった。魔力は分散させた分だけ消費するだけで済むが、細かい魔力をコントロールをし、それを遠くで行っているのでかなり疲れるのであった。

 しかし、初めてやってみた割にはかなり上出来だったとなのはは思っていた。

 

「っていうか、今回は人を殺さずに済んだのは正直予想外だった」

「それはやっている私も思ったよ。人一人くらいは殺してしまうかと思っていたのだけど、ヴィータちゃんと私が会話している時に誰も私に攻撃してこなかったからさ」

 

 なのは自身、今回の研究所を破壊することに人を殺さずに済んでしまった事に驚いていた。殺傷設定にしていたのだって手加減せずにする為であり、殺す気で魔法を使っていたのだけど、結果的に人を殺さずに済んでしまったのである。あのままヴィータ達と交戦すれば殺してしまったかもしれなかったが、あの状況で戦ったとしても不利であるし、戦うだけ無駄になるだけであったので、戦わずに離脱したのである。アリシアもあの状況ではそれが最善だと思ってなのはが戻ってきたのを見てこの戦艦へと戻ってきたのである。

 

「とりあえず、今後初めて使う魔法を実践ですぐに使うのは禁止ね。それくらいなのはでも分かっているでしょ」

「それについては反省してます。管理局に居た時もそういう事はしなかったのだけど、あの状況でどうすれば良いかと思っていたら新たな魔法だったから。それに、アクセル・コンプレッションは魔力消費はしないけど操作にかなり疲れるし。バスター・セーブは使い道ありそうだからこれからも使うかもしれないけど」

 

 なのはは分散した自分の魔力を一点に圧縮するアクセル・コンプレッションを使うのは自分でも使いづらいと思っていた。細かい操作がかなり必要であるので、改良が必要だと思っていたのである。

 逆にレイジングハートに集束させた魔法を一時的に蓄えさせておくバスター・セーブは使いどころがかなりあった。不意打ちにも最適であるし、スターライトブレイカーにも使えるだろうと思った。

 

「まぁ、新しい魔法を使うときなら今度から模擬戦の時だけにしておいて。私が相手になるから。一応模擬戦用の場所もここにはあるのだし」

「アリシアちゃんが相手だと、なんかフェイトちゃんと戦っていると思って勘違いしそうかも」

 

 そんな苦笑を交えていると、なのはとアリシアの周りの空気はさっきと少し違って穏やかな感じになるのだった――

 

 

----

 

 

『そうか。なのはちゃんがそっちに現れたんか……』

 

 第12管理世界の研究所から姿を消したなのはを数分間捜索していたのだが、なのはがいる気配が全くないと分かった。任務失敗という事を管理局に報告した後、シグナムははやてに任務先でなのはと遭遇し、なのはの魔法で軽傷者は出てしまったが死者を出さなかったと伝えていた。

 シグナムの隣にはヴィータが居り、シグナム同様にはやてと会話しているのだった。

 

「どうしてなのははこんな事をしているんだよ……」

『それはなのは自身に聞かなければ分からへんわ』

 

 はやての言うとおりだった、なのはがどうしてこんな事をしているかなんてなのは自身しか分からない。ヴィータの疑問にははやてもシグナムも答える事なんて出来ないのである。

 

『それで、細かい事は戻ってきたらでええか?』

「それで構わない軽い報告は先ほど管理局にしたが、報告書を後で書かなければならないのでな」

 

 シグナムはそう言い、隣にいたヴィータもそれで良いと頷く。

 

『それにしても、今回なのはちゃんは人を殺さんかったんやな』

「殺傷設定だったのは確かだけどな。なのはの様子から見ると、時と場合によって必要な分だけ人を殺すような感じだった気がする。今回はこれ以上交戦したとしても不利になると思って逃げたような気がするし」

『これ以上、なのはちゃんには人を殺してほしくないんやけどな……』

 

 ヴィータの言葉にはやては胸が少し苦しくなっていた。フェイトが担当していた事件の時は本当になのはが犯人だと信じていなかったのだが、ヴィータからその事を聞いてしまうと本当になのはがやったのだと思ってしまったのである。親友だったなのはが、本当に人殺しなんて事をしているとは思いたくなくて先ほどまで否定していたのである。今回なのはは人を殺してないが、殺傷設定にしている時点で殺そうとしていたというのは分かっていた。

 だが、辛いのははやてだけじゃなかった。シグナムとヴィータも今まで仲が良かったなのはが、こんな事をしているとは思いたくなかったのである。しかし目の前で見られてしまえば事実だと認めるしかなかったのだ。

 

「とりあえず主はやて、そろそろ戻らないといけませんので」

『了解や。細かい事は家で待っておるから』

 

 はやてとの通話を止め、シグナムとヴィータは他の管理局員が集まっている方へと戻っていくのだった――

説明
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。

二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。

それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。



魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。
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