魔法少女リリカルなのはmemories 第三章 蘇る記憶(メモリー) 第三十三話 |
なのはが攻撃を仕掛けてきた事と同時に、フェイトとヴィータもお互いにバルディッシュ・アサルトとグラーフアイゼンをそれぞれ構える。なのははフェイトとヴィータの方へ突っ込むかのように突き進み、それに対してフェイトとヴィータの二人は迎え撃つ感じでそれぞれ魔法を使おうとするのだった。
フェイトとヴィータが魔法をなのはが接近して来たのに対応して魔法を使おうとしたその寸前、なのははそれを見過ごしていたかのように、突然と顔がにやつくのであった。
「『ディバインシューター』!!」
フェイトとヴィータからみて前方の斜め七十五度辺りの上下から弾丸計十八発が突然と現れ、その半分の九発がそれぞれに向かって放たれる。なのはに攻撃を仕掛けようとしていたので、すぐに防御魔法の変更へとは上手くいかず、弾丸は全て二人へと攻撃した。
なのははそのまま直線で突っ切り、フェイトとヴィータの間を通り抜けて少し離れたところで反対側に振り向いた。フェイト達が居るところは煙で全く見えておらなかったが、まだかなり警戒をしているのだった。
「……まぁ、こんな事で二人が死ぬはずもないからね」
そう思いながらも、煙が消えていくのを待つ。数秒すると煙はだんだんと薄くなり、人影のシルエットも見えてきていた。しかしなのははそのシルエットに疑問を抱き、そして完全に煙が消えるとフェイトが居なくなっている事に気づくのだった。
「フェイトちゃんの姿がないっ!?」
すぐにフェイトの位置を探そうとするが、どの方向を向いてもフェイトの姿は見当たらなかった。一体何処へと消えたのかとなのはは思うが、そう思っている間にヴィータがなのはに向かってくるのだった。
「『ラケーテンハンマー』!!」
一気になのはの付近に近づき、なのはへと攻撃をする。その攻撃は相手に読み取れるような攻撃に近かく、ヴィータの魔法を知っているなのはにとってはすぐに対応でき、プロテクションで防いでしまう。もちろんヴィータも防がれてしまうだろうとは思っていたが、意外にもなのはのプロテクションがかなり固かった。
「どうしてこんな事をしているんだよぉ!!」
そしてヴィータは尚も攻撃しておきながらも、なのはに話しかける。しかしなのはは一つも表情を変えず、ヴィータの質問に答えるのだった。
「そんな事を言うわけないでしょ。敵に教えるなんていう事を私はしないよ。そしてこれからもヴィータちゃん達に言うつもりはない」
「だったら、ぶっ飛ばして聞くまでだ!!」
カードリッジを二つ使用し、なのはのプロテクションを壊そうとする。さすがに壊されると思ったなのははすぐさまプロテクションをバリアバーストさせ、ヴィータにダメージを少し与えて距離をとった。今のなのはの魔法は全て殺傷設定なので、ヴィータの体には少し傷が出来てしまい、そこから微かに血が垂れていた。
そしてヴィータに隙を与えないかのように、なのははすぐさま攻撃態勢に入る。
「『アクセルシューター』!!」
カードリッジを一つ使用し、三十二、いやその1.5倍の四十八発を一斉に出し、数発ずつを連続して繰り返してヴィータに向けて攻撃した。
ヴィータは一つも当らないように避けながら、なのはの方へ近づいて行く。そして全ての弾丸を避けきり、またしてもなのはへと向かってラケーテンハンマーを使用するのであった。しかしまたしてもプロテクションで止められた。
「……ワンパターンな攻撃をしても、さっきと同じ事になるだけだよ」
「へっ、さっきと全く同じだと思うなよ!!」
ヴィータがそう言った刹那、先ほどまで姿を消していたフェイトが突然となのはの背後から現れ、なのはに向かって突っ込んでくるのであった。さらにはいつの間にかハーケンフォームに変わり、かなりの速さでなのはへと向かっており、さらになのはがオーバルプロテクションに変更する時間は全くなかった。またなのはがサークルプロテクションに変えたとしても、フェイトが使おうとしていたのはハーケンスラッシュだったため、壊されるのが目に見えており、なのはも攻撃してくる前からなんとなく察していた。
「『ハーケンスラ――』」
そしてこれがなのはに当たれば、なのはが貼っていたプロテクションも破壊され、ヴィータのラケーテンハンマーがそのままなのはに当たるとフェイトとヴィータはそう思っていた。
しかし、それは全くもって予想外な方法で打ち砕かれる。
「『ディバインバスター』」
突然なのはが持っていたレイジングハートを後ろに向かせ、バスターセーブで集束してあった魔力をフェイトが居る背後に向かって放ったのであった。
「えっ――」
あと数メートルの付近でディバインバスターを放たれてしまい、更にはなのはに向かって突っ込んでいたようなものなので避けきれようがなく、一瞬にして呆然となってしまった。
そしてなのはの放ったディバインバスターをもろに直撃し、ディバインバスターの中に飲み込まれていくのだった。
「フェイト!!」
目の前の光景にヴィータは驚いてしまい、ついフェイトの名を呼んでしまう。
そんな驚いているヴィータを全く気にせず、なのはは先ほどの時と同様にバスターセーブでなのはとの距離をとらせ、レイジングハートのモードをエクシードモードへと変化させた。
「『エクセリオンバスター』」
そして、すぐさまヴィータに向けてエクセリオンバスターを放ち、なのはの言葉によって今の状況を思い出したが、すでに間に合わずになのはのエクセリオンバスターに飲み込まれるのであった。
それからなのははフェイトとヴィータに向かって放った方を確認してみると、フェイトとヴィータが居た場所には誰も居なかったかのようになっていたのだった。
「まさか、私殺しちゃった?」
二人の姿が全くないのを見て、なのははふとそう思ってしまった。
確かに今まで殺傷設定でフェイトとヴィータに戦っていたが、あれぐらいの事で死ぬはずがないと思っていたのである。だから全力全開で二人に放った後に、フェイトとヴィータが居なくなている事に少し不安になってしまったのである。
フェイトのヴィータの魔法や能力的に考えて避けたのだろうと普通は思うのだが、今のなのはには不安の方が勝っていた。理由は今まで何人も人を殺していたせいで、親友などを殺してしまったらどうなるかという事を忘れかけていたのである。だから最初から手加減せずに二人に敵対していたのである。
もしフェイトとヴィータを殺してしまったらどうしよう。なのははその不安がだんだんと強くなっていく。
どうしよう、どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。
その言葉がなのはの頭に繰り返され、ついには頭を抱えてしまう。その様子にフィルノ達は気づいていたが、シルフィア姉妹はテュディアの位置を把握するのに忙しく、フィルノもシルフィア姉妹が言う範囲内を手当たり次第探していたので、今なのはの方へ向かう事は不可能な状況であった。
「やはり、そこまで道を外していないようね」
突然、フェイトの言葉がなのはの近くで聞こえる。声が聞こえてきた方をなのはは振り向くと、そこにはほとんど無傷の姿のフェイトとヴィータが居た。
その事になのはは驚いていたが、また逆に安堵するのだった。
「どうして……あんな近距離なのに無傷なの?」
「それを敵に教える必要があるか?」
尚も驚きながら、なのははフェイトに聞くが、ヴィータに言われてその通りだと思う。
「なのは、今私たちが生きていると分かって安堵しているでしょ?」
「っ!? 何を言っているのかなフェイトちゃん」
今度はフェイトからなのはに聞き、図星質問になのはは一瞬動揺した。もちろんフェイトとヴィータはそれを見逃さない。
「もうやめよう、なのは。今のなのはを見ていると悲しくなる……」
「私は止めない!! 何も知らないからフェイトちゃんはそれを言えるんだ!!」
「……そう。なら戦って止めてみせる!!」
フェイトはそれ以上何も言わず、唯バルディッシュ・アサルトを構え、フェイトが話し終えた刹那にヴィータがなのはへと突っ込んでいく。
「『ラケーテンハンマー』!!」
なのはの近くまで近づくと、ヴィータはまたしても同じことを繰り返すかのようになのはに攻撃する。もちろんなのははそれをプロテクションで阻止する。
「何度同じことを繰り返せば――」
「何度も同じだと思わない事だね」
なのはの言葉を遮るかのように、突然背後からフェイトの声が聞こえてきた。背後を見るとフェイトがなのはのかなり近くまで接近しており、このまま行けばフェイトの攻撃がなのはに直撃する所まで来ていた。
先ほどのようにすぐにディバインバスターを放てば回避できるが、バスターセーブで蓄えた魔力は全て先ほどのディバインバスターで使用している。もちろんそんな事をフェイトとヴィータが知る由もないのだが、それでも今回の攻撃にはなのはは回避できないと分かっていた。
今度同じような事をしてしまえば、フェイトが死ぬかもしれないという不安が出てしまうからである。先ほどのなのはの動揺をみて、なのはは親友を殺してしまったかもしれないという不安をかなり強くしてしまい、迂闊に同じ繰り返しをする事が今のなのはに不可能であったのである。
今回はオーバルプロテクションを張る機会があり、すぐになのははオーバルプロテクションに変更するが、フェイトが使おうとしていたのは先ほど使おうとしていたハーケンスラッシュであった。
「『ハーケンスラッシュ』!!」
これは完全にやられた、となのはは思うのだった。
しかし、ここでなのは、フェイト、ヴィータの三人が予想もしていない事態になる。
ハーケンスマッシュで確実になのはに直撃を与えたと思ったのだが、その間にフードを被った何者かが割り込んできてハーケンスマッシュを割り込んできた人物が持っているデバイスで防がれたのである。
何者かによって割り込まれて防がれた事にフェイトは驚くが、フェイトはこの後更に驚くことになる。
フェイトのバルディッシュ・アサルトと割り込んできた人物のデバイスが衝突した衝撃で、被っていたフードが脱げてしまったのである。そのフードの中にいた正体を見て、フェイトは驚いてしまった。
それはなのはをラケーテンハンマーで攻撃していたヴィータも驚いていた。なぜなら、フードを被っていた人物は今のフェイトを五年くらい若くした姿だったのであるのだから――
「まったく、なに情に流されているのよなのは。そのせいで私まで出ることになったじゃない」
そう、フードを被っていた人物はアリシア・テスタロッサであったのだ――
説明 | ||
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。 その青年はなのはに関わりがある人物だった。 だがなのはにはその記憶が消されていた。 消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。 二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。 それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。 魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。 |
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