魔法少女リリカルなのはmemories 第三章 蘇る記憶(メモリー) 第三十四話
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「おまえは誰なんだ?」

 

 尚も驚きながらも、ヴィータはアリシアに向けて言い放つ。

 アリシアはヴィータの言葉に反応し、ヴィータが居る方へ振り向いて答える。

 

「多分、私の名前を言ったところでフェイトが動揺するだけだと思うよ。別に名前ぐらい教えても構わないのだけどね。まぁ、その内分かってしまうと思うけどね」

「……それじゃあ、今まで私に似たような人間が研究所を破壊したのはあなたなの?」

 

 フェイトはアリシアをみて尚も驚いていたが、アリシアにそう聞く。本当なアリシアの名前を聞きたかったが本能的にそれを聞くのはいけないと思って聞かなかったのである。

 また、今までフェイトはフェイト似の人間が研究所を何度も破壊している事についてで、管理局に任意同行をされたりなどとされていたので、目の前に居る彼女が犯人なのかと思ったのである。

 あぁ、その事ね、とアリシアは思いながらフェイトの質問に答える。

 

「その通りだけど。私もなのはと同じようにフィルノと一緒に行動しているの」

 

 最初本当の事を答えるか悩んだアリシアであったが、フィルノと一緒に行動している事と、フェイト似の人間が研究所を破壊している事が管理局には気づかれている時点で、自分がやっているとなんとなく分かるだろうと思って言ったのである。

 フェイトはその言葉に警戒し、バルディッシュ・アサルトを構える。

 

「どうして、あなたもこんな事を繰り返しているの?」

「それはなのはが言った事と同じよ。何も知らないからこそそんな事が言えるの。教えたところであなた達はどうするの? なのはみたいに私たちの側に付けるの? そうとも分からない人間に気安く教えられるものじゃないのよ」

 

 アリシアの言うとおりだった。フェイトたヴィータなどに気安く話しかけたとして、本当にアリシアが思っている通りに動いてくれるのかといえば無理である。下手したら知ってても尚敵対する可能性だってあり、現になのはは一度それでかなり悩んでいた。さらに言えば、その事を敵対している管理局全体に伝えられたとしたら尚更酷く、取り返しがつかなくなる場合だって考えられた。それが分かっているからこそ迂闊に教える事なんて出来やしないのだ。

 組織に所属しているという事はそういう事である。そんな簡単に教えられるものだったらこんな事をしているわけがないのだから。もちろんそれは管理局に居ても同じ事であった。

 

「さて、戯言もこれくらいにしてさっさと終わらせましょうか。なのははもう大丈夫?」

「大丈夫。さっきは情に流されていたけど、次からは冷静になるから」

 

 アリシアの言葉になのははさっきまでの動揺や不安がっている姿は全くなく、最初にフェイトとヴィータが戦ている時の凛とした顔でアリシアに答えた。

 アリシアはその顔を見て安心をしてデバイスを構え、フェイトの方を向きながら後ろに居るなのはに言うのだった。

 

「わかった。けどこれが終わったら何が待っているか分かっているね」

 

 その言葉になのはは帰ったら何をされるのかを思い出し、一瞬鳥肌が立つが今はそれ何処ではないという事でそれを切り捨てた。ほんの少し体が震えていたが。

 

「なんだかよく分からねぇが、戯言で片づけられたのが気にくわね!!」

「私もヴィータと同じことを思った。私達はなのはを救おうとしていたのに、それで済まされるのは許せない」

 

 フェイトとヴィータはなのはを救おうとしたのにアリシアがくだらない事で片づけられたのに苛立った。

 しかしこの後、二人の言葉に予想外な人物から返ってくるのだった。

 

「……さっきは動揺したけど、あのような((戯言|・・))にはもう惑わされない」

 

 そう、救おうとしていたいなのは本人にまで戯言扱いにされたのであった。

 なのはの言葉にフェイトとヴィータは驚いたが、それよりもはるかに怒りが込み上げてくるのであった。

 

「な、なのはぁぁ!!」

 

 ヴィータは怒りに任せてなのはへと攻撃を仕掛ける。

 相手にも全く丸見えな攻撃を、なのははバインドでヴィータと止め、攻撃を防いでしまう。

 

「……少し前に私もそんな事をしたことあったけど、怒りに任せていたら自分の守りが手薄になるだけだよ」

 

 エメリアが居た研究所でやらかしたなのはは、ある意味先輩としてそんな事をヴィータに言う。怒りに任せて人を殺し、それによって仲間を危険な目に合わせた事には重々と反省していた。その行動は自分の周りを見渡せなくするだけだからと、あの後なのはは思ったのである。

 それからなのははエクシードモードのままバインドで固定したヴィータへとレイジングハート・エクセリオンを向ける。様子からしてまだバインドを解除できそうな感じではなかった。

 

「『ショートバスター』!!」

 

 そしてなのははバインドで動けないでいるヴィータに向けたまま魔力を集束し、すぐにシュートバスターを放つのであった。

 なのはのバインドはかなり固く、尚もバインドを解除することが出来なかったヴィータは諸に直撃を喰らう。

 

「ヴィータ!!」

 

 多分殺傷設定なのは変わらないだろうと思ったフェイトは、さっきみたいに避けられる方法はないだろうと思って、さすがにヴィータが大丈夫なのかと心配となった。

 実は言うと、ディバインバスターを諸に受けたと思っていたフェイトであったが、あの時咄嗟の対応でディバインバスターを利用して、使おうとしていたハーケンスラッシュをディバインバスターに向けて急遽使用したのである。それによって僅かにフェイトの進んでいく方向ががずれ、その事になのははディバインバスターを放っている最中で全く気付いていなかった。

 ヴィータが驚いてつい叫んでいた理由はフェイトが何とか回避するところを見たのであるが、遠くから見ていたらディバインバスターを少し触れたのが原因でなにか負傷しているかのように見えたのである。そのことについ叫んでしまい、その後なのはがヴィータに向かってエクセリオンバスターを放ったれ、それに対してフェイトがすぐさまヴィータの所に向かって、逃げられないヴィータを助けてなのはの見えない場所に一旦回避しあたのである。

 だが今回はそうはいかない。フェイトはヴィータを助けに行けられなかったし、何よりヴィータはバインドで固定されていた。今回こそは完全に逃げようがなかったのである。

 

「よそ見している暇なんて与えないわよ!!」

「っ!?」

 

 フェイトはすぐにヴィータを助けに行こうと思って動こうとしようとしたが、アリシアがデバイスでフェイトに攻撃して来た事によってによって助けに行けなかった。

 すぐにバルディッシュ・アサルトでアリシアのデバイスにぶつけ、攻撃を阻止した。

 アリシアのデバイスは魔力光からデバイスの形までフェイトのバルディッシュ・アサルトと似ていると言えば似ているが、よく見ると違う。まずバルディッシュ・アサルトの黒い部分の色が紺に近く、銀色の部分が僅かながら金色が混じっているような感じであった。

 少しすると、お互いにぶつけていたデバイスから離れて距離を取る。

 

「あなたは、本当に何者なの?」

「だから言ったでしょ。私の名前を教えたところでフェイトが混乱するだけだって。まぁ、私に勝ったら教えてあげるよ」

「そう、なら私があなたに勝って聞く!!」

「そう簡単に私は負けないけどね」

 

 フェイトは目の前の敵を倒すためにも、なのはを後回しにしてアリシアと戦う事にするのだった――

説明
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。

二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。

それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。



魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。
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