魔法少女リリカルなのはmemories 第三章 蘇る記憶(メモリー) 第三十六話
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 一方、バインドでヴィータを動けないようにして、シュートバスターで放ったなのはは静かに目を閉じていた。

 それと同時にレイジングハート・エクセリオンに魔法を収束させており、バスターセーブをしていた。

 ヴィータがいた方向は煙でまったく見えておらず、ヴィータがどうなったかという事はなのはから確認できなかった。

 だが、こんなことでヴィータが私に倒されるわけがないと、なのははそう思っていた。先ほどはかなり動揺していたが、冷静になって考えてみたら、あのような状況をなのはを含め、フェイトやヴィータも乗り越えているのだ。だから今回もまだ生きているだろうと思ったのである。

 そして煙が消えていくと、そこにいた筈のヴィータの姿は消えているのだった。だがその事になのはは何とも思わず、逆にこうなるだろうと予想していたのだった。

 

「――そろそろ出てきたらどうなのかな?」

 

 バスターセーブの収束を終わらせると、なのははどこかにいるだろうと思うヴィータに言う。

 しかし、バスターセーブを敵がいる前に使用しているため、ヴィータがどこかで見ているとしたら先ほどディバインバスターを放った理由がわかってしまう。だがそれでもなのはは今のうちにバスターセーブさせておいたほうが良いと思ったのである。

 

「なるほどな。ディバインバスターを溜めずに使ったのは、その前に魔力を収束させていたからか」

 

 突然ヴィータの声が聞こえてきて、なのはは聞こえてきた方向へ振り向く。そこにはヴィータがおり、先ほどとあまり負っている傷が変わりなかった。

 

「別に、これ以上隠し通したとしても不意打ち程度しか使えないし。それだったら敵に隠しているよりもいつでも使えるような状況のほうが戦いやすいし」

「そうか。その様子からしてもう何も迷っていないようだな。なら、これ以上説得しても意味がないな」

 

 なのははまったくもって表情を変えず、ヴィータに向けて言い放つ。

 ヴィータはなのはの表情を見て、信念を突き通すと決意したのだろうと思った。そこまでしてなのはは何をしたいのかわからないが、管理局としてなのは達が起こそうとしている事を阻止しなければならない。

 だからヴィータはなのはに説得することは止め、そして迎え撃つことを決意するのだった。

 

「だがなのはがやろうとしている事は絶対に阻止してみせる!! たとえなのはが望んでいないとしても!!」

「そう、じゃあそろそろ始めようか」

 

 刹那、なのはとヴィータは動き出した。なのははこの世界を変えるために、ヴィータは管理局としてなのはの行動を止めるために。

 そして先に攻撃を仕掛けたのはなのはだった。

 

「『アクセルシューター』!!」

 

 なのはは一度その場に止まり、の周りに約14くらいのスフィア弾を展開し、そのすべてをヴィータに向けて一斉に放つ!!

 ヴィータはそのスフィア弾を一つ一つ避け、避けながらなのはへと接近する。

 なのははすぐに次の行動に移ろうとし、ヴィータの攻撃にすぐに対応出来るように準備をする。

 

「『シュワルベフリーゲン』!!」

 

 ヴィータは一旦止まり、グラーフアイゼンをハンマーフォームに変えて8つの鉄球を展開し、4発ずつなのはに向けて放つ!!

 なのははヴィータの攻撃を上に避け、すぐに攻撃をしようとしていた。

 

「おせーんだよ!!」

「なっ!?」

 

 なのははヴィータに向けて魔法を使用していたが、いつの間にかヴィータはなのはの目の前まで近づいてきていた。

 余りにも予想していなかった行動で、なのはは少し動揺していた。

 

「『ギガントハンマー』!!」

 

 これまたいつの間にかハンマーフォームから変えていたギガントフォームで、なのはに攻撃する。

 すぐになのはも対応してプロテクションを使用するが、簡単に打ち砕かれるとわかっていた。だがすぐに避けきれるわけでもなく、とりあえずプロテクションを使うしか方法がなかったのだ。

 そしてプロテクションにはひびが入り始め、遂には壊されてしまうのだった。

 プロテクションが壊れたことによってなのはは無防備になるが、すぐに後ろに下がることによって少しでもダメージを軽減することにした。

 

「ぐっ、」

 

 しかし後ろに下がったとしても、完全に避けきれるわけでもなく、ヴィータのギガントハンマーがなのはに直撃していた。なのはと違って非殺傷設定なのだが、たとえ非殺傷設定だろうとギガントハンマーの威力はかなりのものである。

 後ろに下がったことによってダメージを軽減できたが、それでもかなりの威力であり、少しふっとばされていた。

 すぐに体制を整え直し、ふっとばされたことによってヴィータから距離を取ることができたのを利用し、ヴィータとの距離を一旦離れるようにした。

 

「後ろに下がることによって、ダメージを軽減させたか。だがそれでもかなりのダメージの筈だぜ」

「……ヴィータちゃんの言うとおりだよ。あの状況で避けきれるとは思ってなかったし、まさか目の前にいた事には驚いたね。だけど――」

 

 なのははレイジングハート・エクセリオンをヴィータの方へ向け、構えながら言う。

 

「――やはり甘い、甘すぎるよ。私を殺さず、それで捕まえようとしているなんて甘すぎる。『シュートバスター』」

 

 話しながらもレイジングハートの先に少し溜めて、そしてすぐに放った!!

 だがヴィータはその攻撃をしてきたと同時に避け、なのはに攻撃しようとなのはに近づこうとする。

 

「今度こそ、なのはのたお――」

「『アクセルシューター』」

 

 なのははヴィータの言葉を無視して、アクセルシューター2発をヴィータに放った。

 だがそんな攻撃も簡単に避けきれる事ができ、このままなのはに攻撃しようとした直後に、ヴィータはどうしてかその場に止まってしまう。

 どうして止まってしまったのかというと、目の前の光景に驚いていたからである。

 

「な、なんなんだよ!! その数は!!」

 

 ヴィータが驚いていたのはなのはが先ほど使ったアクセルシューターの事だった。

 なのはの周りにはアクセルシューターで使用するだろうと思われる弾丸が、ありえないほどの数がなのはの周りに存在していたのである。

 合計100を超え、最初の2発は一瞬でもヴィータがよそ見する為に放ったものであった。

 

「ヴィータちゃんはこの弾幕に避けられるかな?『アクセルシューター・フルオーバー』」

 

 刹那、なのはに周りに浮いていた弾丸の五分の一を一斉に放つ!!

 ヴィータは最初避けて見せようと思ったが、避けきれたとしても、次にまだ弾丸が残っているので次々に増やされていったら避けようがないと思った。

 

「『パンツァーヒンダネス』!!」

 

 だからパンツァーヒンダネスを全体に使用するが、使用したところであれほどの数からして途中で壊されているのが目に見えていた。

 完全に八方塞であったが、ヴィータはこんな状況でも諦めるつもりはなかった。一瞬の隙を狙っていたのであった。それしか逃げ道はなかったからである。

 

「次!!」

 

 だがなのはは更に弾丸をヴィータに向けて放つ。

 今度は残った弾丸の半分を一斉に放ち、放った弾丸を全て操りながら確実にヴィータのパンツァーヒンダネスに攻撃していた。

 パンツァーヒンダネスは無数の弾丸の攻撃によってかなり罅が入っており、いつでも壊れてもおかしくないような状況だった。

 

「最後!!」

 

 残っているすべての弾丸を一斉にヴィータに向けて放ち、そのすべてをヴィータが張ったパンツァーヒンダネスにぶつけるような感じに飛んで行った。

 そしてそのすべての弾丸がパンツァーヒンダネスを割り、さらに隙を与えないかのように周りに飛んでいた弾丸をパンツァーヒンダネスが割れた瞬間に全て操作してヴィータに方向を変えるのだった。

 ヴィータの周りは煙で姿が見えなくなり、なのは空ではどうなっているのか分からないでいた。

 だが少しすると、その煙の中からヴィータが落ちていくのが見えた。それを確認したなのははすぐにレイジングハート・エクセリオン構えて、ヴィータの向けるのだった。

 

「ごめんね、ヴィータちゃん――『ディバインバスター』」

 

 なのはは悲しそうな顔をしながらヴィータに謝り、そしてバスターセーブで溜めていた分の魔力を使用して放つのだった――

説明
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。

二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。

それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。



魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。

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