詩集「奏詞」恋巻 |
【斥愛】
愛されたくてあなたを愛す
でもあなたに愛されたことがなくて
愛しかたがわからない。
【約春】
約束した春はただただ暖かく
気持ちがいいものでした
やわらかな日差しに包まれ
やわらかな春風が吹き抜ける
本当に気持ちがいい
約束した通り二人だったなら
良かったんですけど
こんな嘆きがもし届いたら
あなたは苦笑いしますか
たぶんするんでしょうね
なんだか目に浮かびます
でも何故だかぼやけちゃうな
もうぼやけることもないと思っていたのにな
やっぱりまだ一人は慣れないな
【切心】
君が好きだと叫んでみる
叫べば叫んだだけ
思いが君に伝わる気がする
胸に溜め込んでいると
切なすぎる
だから思いを込めて大声で叫ぶ
いつかは届くと信じながら
叫ぶ言葉は「好き」だけ
それ以外の言葉は必要ない
どんなに飾ってみても
真実は一つだから
【優融】
あなたにゆっくりと
とろかされていく
外側からの刺激だけでなく
内側からの刺激で
ゆっくり、ゆっくりと
滑らかな水になるようにと
とろかされていく
どことなく心地よく
くすぐったい
最後はあなたの中に
取り込まれる
【遅恋】
毎日のように会えていたアノときには
気づかなかったこの思い
少しだけお互いが離れて生活するリズムに
踊り疲れ初めてしるこの感情
会いたくても簡単には会えなくて
会えてもいまさら伝えることもできず
胸の内だけで焦がれ、焦げつかせて眠る
【積愛】
雪がシトシトとつもるように
あなたへの想いが心のうちに積もる
外の雪は時とともに溶ける
でも
想いは伝えることができるまで
溶けていくことなく積もっていく
積もった想いの重さに
押しつぶされる前に伝えないと
押しつぶされたら
伝えれない
でも想いを積もらせることをやめることはできない
そして伝えることができるのなら
想いはつもることはない
【短い帰り道】
帰りの電車で君は疲れたといい
僕に寄りかかってきた顔をみると
安心して目を閉じていた
顔に光があたらないように
僕は抱きしめた
アナウンスが時々耳に入り
僕は目を覚ます
君はまだ気持ち良さそうに
眠りつづける
そっと君の唇に手を当てて
そのまま唇をあわせようとする
けど安心して寝ている君の顔見て
ルール違反だよねと思いとどまり
また何気なく軽く抱きしめる
降りる駅が近づくと
まだ一緒にいたいと思う
電車よ止まれ
二人が納得のいくまで
このままにしていておくれ
【気握】
掴みたい
ギュッと
掴みたい
掴んだら離したくない
指に釘を打ちこまれても
離したくない
握りしめて
握りしめて
ぬくもりを感じて
しあわせだって感じて
離したくない
でも握れない
感じれない
一方通過
【零触】
頬にそっと指をはわす
くすぐったそうに
恥ずかしそうにはにかみ
そして怒ったような表情を見せる
その表情はたまらなく愛おしい
自分以外の誰にも見せたくない宝物
指を頬から後ろに動かし
ゆっくりと抱き寄せる
一瞬だけビックリした表情は
やがて安堵感に包まれ
静かに瞳を閉じ
お互いの距離がゼロになる
【艶顔】
ときどき無意識に魅せられ
そのまま惹きつけられる
のんびりと流れた生活の中に
極上のスパイスが混ぜられたみたいに
全てが支配される
【恋愛】
忍び寄る足音はとても静かで軽く
ただただゆっくりと歩み寄る
背後に密着した
足音がもたらすものは
時にはうれしくまたは悲しい
時には騒がしくまたは寂しい
足音が再び離れていく事もある
そのまま一緒に足音を奏でる事もある
どちらの本物である
【共黙】
想い人同士で沈黙を嗜む
会話がないのは冷めている証拠
もう終わりのサイン
そんな雑音は気にしない
それは沈黙のよさを理解できない
色々と軽い人々の戯言だから
聞き流しておけばいい
一つの空間で互いが沈黙しあっても
気まずくならない関係
それが本当に理解しあえた二人の関係
沈黙の共有ができてはじめて
二人は結ばれると信じる
私もいつかは誰かと
そんな関係がきずけれるかな
【艶肌】
確かな感触を
手に感じて
一つ一つの表情を
楽しみながら
ゆっくりと
なぞるように
滑らしていく
手から伝わる
刺激を感じて
さらにゆっくりと
滑らしていく
上から下に
下から上に
ゆっくりと
ゆっくりと
滑らしていく
そして手にしていた
感触は体を飲み込んでいく
【淡心】
気づいたときに
今までのことに全て納得した
なるほどだからそうだったのかと
気がついてしまうと
とっても恥ずかしい
意識してしまうと
言葉に重りがついて
なかなか出てこない
でも気づいたために前より
深く重みがました言葉が紡がれる
そんな気がした
【臆熱】
最初は意識してなかった
この世界で出会えた最良の友人
ただただ本気でそう思っていた
お互いの内面を少しずつさらし
互いに接していくうちに
最良の友人から最愛の思い人へと
捉え方が変わっていった
その思いに気づいても接しかたは変わらない
いや変えることはできない
最良の友人を失いたくないから
あの人にとって私はたぶん友人の一人
それでいいと思う
踏み込むことで進展するよりも
踏み込むことで壊れるのが嫌だ
勇気を持ったために冷めて消えるのは切ない
臆病だからこそ内にこもる思いは熱く消えない
【双愛】
包みたいし包まれたい
どちらか一方では
必ず破けてしまうから
与えたいし与えられたい
どちらか一方では
必ず溢れてしまうから
繋ぎたいし繋がれていたい
どちらか一方では
必ず千切れてしまうから
だから愛は難しい
【搦安】
離れることを恐れ無意識に指と指をからみつかせる
からみついた指は絶えず動き落ち着かない
不安のなんだろうかすぐ側にいるのに
それとも意味のない反射的なもの
正直どちらでもかまわない
ただ手を繋ぐよりも心地がいい
意識が戻ったときにしっかりとした繋がりを
真っすぐに感じることが出来るから
【希花】
思いを募らせて募らせて
美しい花を咲かす
咲いた花には楽しげに
蝶や虫が舞乱れる
花が散り後に小さなみが宿る
みは愛しく優しさに包まれ
いつしか希望となる
【想双】
握った手はもう離さない
握った手を離さないで
ずっと一緒にいるって決めたから
ずっと一緒にいてほしいから
握ってないと見失いそう
握られてないと彷徨うから
だから手を離せない
だから手は離さないで
ずっと繋がっていたい
ずっと繋いでいて
キミが好きだから
あなたが好きなの
【途繋】
もどかしい思いを幾つも募らせる
それは恋だと言われなくてもわかっている
いつもいつも繋がっている恋よりも
もどかしい思いをいくつもする恋がステキ
相手のことを思い今は何をしてるのかと心焦がす
わからないことばかり考えもどかしい
それでもそんな思いをしている間も幸せ
今流行の安易に指一本で繋がる恋なんて言っちゃ悪いが
恋じゃないオママゴトのごっこ遊び
相手を信頼してないし信用してないから
常に繋がりを確認したくなるんだよ
会えない時間があるから会える時間がたのしい
会えない時間があるから相手を深く考え思える
自分のこと相手のこと離れているから
繋がりっぱなしよりも深く強く結ばれる
【好想】
たった二文字の大事な言葉
簡単に口にする人が多くなった
そんな言葉は軽くてサラサラっと流される
だから一生続かない
この二文字はおもい
どんな言葉よりもおもい
人の一生を決める二文字だから
【嬉寂】
熱と熱とが互いを行き来する
温もりが嬉しかった
だから温もりを失ったとき
とても寂しかった
冷水を頭からかぶせられたように
体の奥底から冷たくて壊れそうだった
だから温もりを求める
凍えた体と心を温めるために
【苦想】
苦しいよ
どうしていいのわからない
ただただ思いだけが強く強く募っていく
あえる唯一の場所で会えない
できるのは会えるのを待つだけ
来るのを待っているだけ
待たなければ会う事も出来ない
だから私は待ち続ける
例えその日が来なかったとしても
会えると信じて待ち続ける
苦しさの先に幸せはきっとあるから
【共歩】
ずっと一緒にいてくれますか
どんなときも一緒にいてくれますか
今まで一人で歩いてきた道
これからは二人で歩いていきたい
一人では進めなかった場所を
今度は互いに手を取り合い
一緒に乗り越えたい
長い長い道のを
喜びも怒りも哀しみも楽しさも
すべてを分かちあい手を繋いで歩いていきたい
ずっと一緒にいるどんなときも一緒にいる
繋いだ手は道の終わりまで離してあげない
【惹蜜】
花に群がる虫のようにあなたの魅力に
誘われて引寄せられて全てを吸い込まれそう
いつも気がつけば求めて近くを群がっている
けどあなたにとまるりたくてもとまれない
だって吸い込まれたら離れられなくなりそう
それは嬉しいけどまだ少しだけ怖い
【心の中で】
あなたの事を想うだけで 心が切なくなる
自分の心音が耳に強く強く打ちつける
目の前にあなたの笑った顔がみえる
すると心がせつなくなり
心音が前よりも強く強く打ちつけられる
見た事がないはずの あなたの泣いた顔
頭の中でなにもかもがグチャグチャになって
苦しくて 苦しくて耐えられない
なぜだろう いつからだろう こう想うようになったのは
気がつけば あなたばかり見ている
【激伝】
君が好きだと伝えたい
世界の裏側まで届くような声で伝えたい
思いを日々募らせて
思いのマグマ限界で
ほんの少しの刺激で
思いは噴火する
好きで好きで好きでたまらない
もうおさえるえれない
【恋希】
好きなあの人が結婚する
でも心からおめでとうって言える
そんな自分にビックリして
なさけなくって
招待状は来ている
でもいけない
いったらなにかとんでもない事をしでかしそうで
大切なあの人を傷つけそうでこわいから
だから祝電だけ
「ずっと素敵な笑顔 これからもお幸せに」
あの人に伝えれる思いの最後
職場では毎日これからも会うけど
この思いは死ぬまで胸の中にしまっておく
【伝遮】
伝えたいのか伝えたくないのか
未だによくわからない
思いに気づいてから結構時間が
経つけどまだ判断できてない
今はどちらを選択しても後悔しそうで
怖くって怖くってしかたない
どちらを選んでも後悔しないときが
くるときまで考え続ける
【気美】
時たま見せる表情に
ハッとさせられ
気づかされる美しさ
気づかされると
いつもの何気ない
全ての動作が気になる
気づかされた美しさは
まさに魔力
引き寄せられて吸い込まれ
そして飲み込まれていく