恋姫無双 槍兵の力を持ちし者が行く 十一話
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 護衛対象が董卓と知った時はかなり驚いた。

 いやもう董卓の近しい奴だったらなーと思ったらド本命の人物って……(ここは今ありのまま(ry……とか言いそうだが、俺はそんなこと知らない)

 いやもう冷静になるのに時間が掛かった。

 その時にサポートする森羅も「こんな簡単に……理解できない。はっ、まさかこれが蒼様の豪運!しかしなんでしょう?この保護したくなるような、味方になりたくなるような感じは。くっ、このままでは蒼様が董卓の物に……って何を言っているんだ私は?」

 と支離支滅なことを言っていた。

 それより森羅よ。俺も理解出来ない。こんなご都合主義は俺も初めてだ。

 それに、ランサーさんよりは運があるにしても、俺にそんなに運はないはずだ。

 あと、見ていると保護したくなるのは分かるが、俺は華琳の下で働くからな。何度も言っている。

 

 

 

 

 

 「―で、あんた達はちゃんとボクの話を聞いてるのかしら?」

 

 何か聞こえると思ったら、まったくこのボクッ娘は……

 

 「愚問だな。こんな急展開付いてこられるわけないじゃないか」

 

 「はあ、つまり話を聞いてなかったわけね」

 

 「いやいや。俺はただ現実逃避してただけだから」

 

 少し説明すると、此処は凉州の宮殿。

 賊を蹴散らした後、お礼がしたいとの言葉でそのまま案内され、俺達(俺と森羅)と董卓の他に数名いる中で現実逃避をしていた。

 だって仕方ないじゃん。男の子なんだもん!

 

 「同じ事だと思うけど……まあいいわ。とりあえず月を助けてくれた事はボクからも礼をいうわ。ありがとう」

 

 「いや。礼を言われる立場じゃねえよ。こっちは元々董卓に謁見するために凉州に訪れたからな。余計な手間が省けたからいい」

 

 「理由を聞いてもいい?」

 

 「まあ、こんなクソッタレな世の中で善政を布いているのはどんなお人好しかと思ってな。見てみようかと」

 

 「な!貴様、月様を愚弄するか!」

 

 「ちょっ!椿、少し落ち着き!……けどな、アンタも言い過ぎや。ウチも少しイラついたで」

 

 「すまねえな。けどこいつは誉め言葉だ。

 言い方は悪いがそう受け止めてくれねえか?董卓さんよ」

 

 「はい。ありがとうございます」

 

 いや?、良い娘だね?。こうなんていうか癒される。まったく、何で俺の回りにはこういうおとしやかな女がいないんだろうな。

 華琳も董卓を見習っておとなしく……

 ハッ、殺気!なんだこれは?イメージは首もとに鎌がある感じ……ってまさか華琳?ええい。陳留の華琳は化け物か?

 

 「全く、月も簡単にお礼を言ったりしないの。

 で、話は変わるけど、貴方達これからどうする積もり?」

 

 この後、どうしようか。まず当初の目的の董卓との謁見は果たせたわけだし、このまま陳留に行ってもいいわけだが……

 

 「もし良かったら、しばらく力を貸してくれないかしら」

 

 「つまり、客将としてか?」

 

 「そういうことなんだけど。」

 

 「俺としちゃいいんだが、傭兵をすぐに信用するのはちょっとどうかと思うぞ」

 

 「アンタ自分で言ってたじゃない『紅蓮団』って。ということは頭のアンタは『紅蓮団の紅狼』でしょ。民達の間ではただの傭兵っていう認識なんでしょうけど、賊や私達、官の間では有名よ」

 

 ……え、ちょ、マジですか?紅蓮団が有名になったのは良い。俺の計画通りだ。

 それに、俺の武もそれなりに知られるようになった。(本名は回ってないが。)けどなんだその恥ずかしい二つ名は?

 まさか……

 

 「(おい、森羅。お前知ってて、黙ってただろ。)」

 

 「(エ、ナニイッテルノカワタシワカリマセン。)」

 

 「(ふざけるな。どうせこうなることを見越して黙ってたんだろ。)」

 

 絶対そうだ。こいつは慌てる俺が見たかったからに違いない。

 

 「で、何か話し合ってるようだけど、返事はどうなの?」

 

 このまま帰って後で情報不足、または利用出来なくなるか、少し我慢して華琳の所に戻るかか……

 選択肢はねえな。

 

 「フゥ、分かった。客将としてしばらく厄介になる。契約の内容はまた詳しくってことでいい。

 じゃ、自己紹介といこうか。俺は李高、李高 雲犬。一応、紅蓮団の一番上で『紅蓮団の紅狼』って不本意ながら呼ばれている。今の所自称だが、『最速』を仲間内で名乗っている。

 で、後ろにいるのが副官の司馬懿仲達だ。

 よろしく頼む。」

 

 こう言うと、袴にサラシの女が『最速』に反応していた。

 イメージは猫ってところか。恐らくアイツが『神速』の張遼だろう。僅かにだが力が入る。

 

 「私はこの凉州を治めている董卓です。真名は月です。よろしくお願いします。」

 

 「って、ちょっと月!?何でこんな奴に真名を預けるの?」

 

 「詠ちゃん。こんな奴は失礼だよ。李高さんは私を助けてくれたんだよ」

 

 「いや、俺もボクッ娘「ボクッ娘言うな!」……嬢ちゃんの意見に賛成なんだが……」

 

 「これは個人的なお礼として受け取って下さい。

 やっぱり、ダメですか?」

 

 「……あー、畜生。分かった。分かったからそんな目で見るな。まったく。

 月、俺の真名も預ける。俺の真名は蒼だ。

 そんで司馬懿が「森羅です」だ」

 

 「ほら、詠ちゃんも」

 

 「分かってるよ。

 ボクは賈駆。月だけじゃ不公平だからボクも預ける。詠よ。よろしく」

 

 「私は華雄だ。真名は椿。よろしく頼む。」

 

 「ウチは張遼。真名は霞や。よろしゅう頼むで。蒼やん」

 

 「……呂布……真名、恋。よろしく。」

 

 「ねねは陳宮なのです。真名は音々音なのです。」

 

 全員の自己紹介が終わったんだが、なんだか武官の三名から凄く見られてる気がする。大方どのくらい強いか試してやる。みたいな感じだろう。

 それより今は確かめることがある。

 

 「(おい森羅、音々音は非凡の才があるのを感じるのは気のせいか?)」

 

 「(いえ、気のせいではありません。)」

 

 「(情報は来たんだろ。)」

 

 「(はい。申し訳ありません。だから……お仕置きを直接お願いします!)」

 

 「(喜んでお仕置きを受ける奴にやるわけないだろうが!

 あとで頭掴み(アイアンクロー)をしてやる。)」

 

 「(ちっ、了解しました。)」

 

 

 

 

 ふう、もう董卓の陣営は揃ってると見ていいな。

 そして、今俺がやることは董卓達との個人的な仲を作り、来るべき『戦』が起こったら華琳の所に引き抜ける状況を作ることか。

 ちょいっとしんどいが。もうすぐ華琳の所に戻れるんだ。あと一頑張りしますか。

説明
 これにて今回は最後
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コメント
望んでいたお仕置き(ご褒美?)がもらえなくて残念そうな森羅さんでした。(アルヤ)
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