英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 外伝〜奇跡の共闘〜後篇 |
敵の数は多かったが、ウィル達のように連携はとれていなく、対するウィルやリウイ達は歴史に残る戦いを生き抜いた英傑揃い。魔物の軍団はそれぞれ、ウィルやリウイ達の仲間によって数を激減させて行った!
〜工匠都市ユイドラ・近郊〜
「思いしれ!夢幻天翔!!」
「行きます!フェヒテンバル!!」
「超!ねこ、パ〜ンチ!!」
「貫け!アイスニードル!!」
「喰らえー!破滅の轟雷!!」
「うふふ……死んじゃえ!玄武の鎌撃!!」
「光よ、集え!光霞!!」
ユエラ達が援護していた右翼はユエラとエミリッタ、そして途中参戦したプリネ達によって、右翼を襲っていた敵は全滅し
「超!絶!ねこ………パ〜ンチ!!」
「それぇっ!冥府斬り!!」
「遊びは終わり!ゼーレラオベン!!」
「ハァァァァァァ!暗礁!電撃剣!!」
最前線で戦っていたシャルティ達も敵を全滅させ、
「光よ!今ここに集いて、明日を斬り開く道標(みちしるべ)となれ!………行けっ!彗星の光剣!!」
「裁きを受けよっ!贖罪の光霞!!」
「マーズテリアよ………我が仇名す者達に聖なる刃を………!聖剣!!」
左翼を襲っていた不死者達はメロディアーナ達の聖なる技や魔術で消滅し
「わたくしの魔術、ご覧あそばせ♪イオ=ルーン!!」
「行きます………!水刃………!」
「風の精霊よ………我が呼びかけに応えよ!………大竜巻!!」
「大いなる闇よ……ティルワンの死磔!!」
フィニリィ、マーリオン、フォーチュラ、ペテレーネの魔術は敵の屍を山のように積み上げていき
「エヴリーヌ、行くぞ!」
「オッケー!!」
「「……我等に眠る”魔”の力よ、我等に逆らう者達に滅びを!………血の粛清!!」」
「ウィル!私達も!」
「ああ!!」
「「降り注げ!七色の矢よ!………ルン=アハト!!」
リフィアとエヴリーヌ、セラウィとウィルの協力技は魔物の屍をさらに増やし
「我が魔の力に呑まれよ!……魔血の目覚め!!」
リウイが放った大技で、魔物の軍団は完全に全滅した!
「ヤッタ〜!あたし達の勝ちね!」
「………待て!あそこを見ろ!」
敵の全滅を確認して喜んでいるエミリッタに戦場の先から見えて来る何かの集団に気付いたユエラは忠告した。
「へっ…………?」
ユエラの忠告に首を傾げたエミリッタが先を見ると、なんとディアーネが先頭に立ち、大量の上級悪魔の軍団を率いていた!
「フン!調子に乗るなよ、人間共が!ここで貴様等の息の根を止めてくれる!」
援軍の登場に驚いているウィル達、ユイドラ勢を睨んでディアーネは高々と叫んだ。
「クッ………まさかここで敵の援軍が来るなんて…………」
援軍の登場にウィルは顔を歪めていた。
「…………ペテレーネ、できるか?」
「お任せ下さい、リウイ様。」
一方リウイは冷静にディアーネの軍団を見た後、ペテレーネに尋ね、ペテレーネは頷いた後身体全体に魔力を覆わせ、詠唱を開始した。
「………この感じ、ルティーナが真の姿を見せた時に感じた時と似ている………まさか、あの女性がやろうとしている事は………」
「今までとは比べ物にならないほどのこの魔力……それに神気がかすかに感じられますが……まさか!”神”を召喚するつもりなのですか!?」
魔力の流れが最も感じられるフォーチュラとセラウィは周囲から伝わって来る雰囲気に驚いた後、ペテレーネを見た。
「………混沌を司る我が主神よ………今こそ、ここに其の姿を現せたまえっ………!」
ペテレーネが叫ぶと、空が夜のように真っ暗になり、そして空間が歪み、そこから魔女が纏うような黒い衣装を纏った銀髪の女神――混沌の女神、アーライナが現れた!
「あれは…………!」
「このすさまじい魔力、それに神気………まさか”神”なのですか!?」
姿を現したアーライナをロカは驚いて注目し、メロディアーナはアーライナから感じられる自分達とは比べ物にならないくらいの魔力からアーライナの正体を見抜いた。
「ねえねえ、プリネお姉様!あの人、誰?レン達の中で一番魔力が高いママやリフィアお姉様とも比べ物にならないくらいの魔力が感じられるけど。」
一方レンはアーライナを見ても、恐れを抱かずプリネに尋ねた。
「あれは恐らく混沌の女神、アーライナ様よ。………お母様が召喚したのね。」
「なんだと………!」
「嘘!?神様を召喚するって、貴女のお母さん、どれだけ凄いのよ!?」
プリネの説明を横で聞いていたユエラは驚き、エミリッタも驚いた後、プリネを見た。
「お母様は術者として、最高峰に値する方ですから………それに加えて”神格者”でもありますし。」
「”神格者”!?それってまさか………!」
「………聞いた事がある。神に選ばれた者だけが授かるという力………その存在になれば、不老不死の存在になれると聞いたが………」
恥ずかしそうに説明するプリネを見て、エミリッタは信じられない表情で驚き、ユエラは呟いた後、プリネを見た。
「ええ。おっしゃる通り、お母様は不老不死の存在です。」
「ふえ〜………まさかそんな存在があたし達の近くにいるなんて思わなかったわ…………………………」
プリネの話を聞いたエミリッタは驚いた後、考え込んでいた。
「どうしたんだ、エミリッタ。そんなに考え込んで。」
エミリッタの様子を見たユエラは首を傾げた後、尋ねた。
「あ……うん。ウィルが”神格者”になれば、セラウィが女性として最高の幸せを手に入れられるのになって、ちょっと思っちゃった…………」
「……………そうか。」
エミリッタの話を聞いたユエラは目を伏せた。そして2人はアーライナを注目した。
「アーライナ様…………裁きをっ!!」
ペテレーネが叫ぶと、ペテレーネの願いに答えるかのようにアーライナが片手を震った!すると空を覆うほどの無数の暗黒の槍が現れ、アーライナがもう一度片手を震うと無数の暗黒の槍が雨のようにディアーネ達に降り注いだ!!
「何!?」
自分達に襲う無数の暗黒の槍に驚いたディアーネは結界を貼って防御した。ディアーネの部下達も結界を貼る等して、防御したが神が放つ魔槍には効果を示さず、結界ごと貫かれて絶命していった!魔神であるディアーネだけは無事であったが、完全に防御が仕切れず、身体の到る所が傷ついていた。
「ひゅ〜!相変わらず、凄いわね。」
「ええ。神を召喚する技量…………称賛に値するわ。」
アーライナの攻撃にカーリアンは感心し、ファーミシルスはアーライナを召喚したペテレーネを感心していた。
「す、凄い…………」
(ほう……まさか混沌の女神を召喚するとはな…………あの者、かなりの術者にようだな……)
ウィルはその様子を驚いて見ていた。また、ウィルが付けている腕輪から様子を見ていたアスモデウスは感心していた。
「………………………」
アーライナはウィルに一瞬だけ目をやった後、現れた時と同じように空間を歪ませ、姿を消した。アーライナが去ると、空も青空に戻った。
「よくやった、ペテレーネ。」
「はい、ありがとうございます…………」
リウイはペテレーネの頭を撫でながら褒め、褒められたペテレーネは恥ずかしそうにしながらも幸せそうな表情で答えた。
「おー。久しぶりに見たね、ペテレーネのアーライナの召喚。相変わらず凄い威力だね、キャハッ♪」
「うむ!さすがはペテレーネだ!余もペテレーネのような臣下を手にれなくてはな………!」
エヴリーヌの言葉にリフィアは胸を張って答えた。
「クッ………神を召喚するだと………!?待て、確かこんな真似ができる奴が一人いたぞ………!奴がいるという事はまさか………!」
一方ディアーネは身体に伝わる痛みに呻きながら、アーライナを召喚できた人物を一人知っており、その人物の傍にいるであろう人物を思い浮かべた時
「その通りだ。………久しぶりだな、ディアーネよ。」
「やっほ〜。久しぶりだね、ディアーネ。」
リウイがディアーネに近付いて来た。また、エヴリーヌとリフィアもリウイに付いて来ていた。
「リウイ王!それに貴様はエヴリーヌ!なぜ貴様等がここにいる!?」
リウイ達の登場に驚いたディアーネはリウイ達を睨んだ。
「…………ユイドラにはある用事があってな。まさかお前がここにいるとは思わなかったぞ、ディアーネ。…………相変わらずの様子だな。」
「フン!エヴリーヌと共に我をあざ笑いに来たのか!」
リウイの言葉にディアーネは鼻を鳴らして答えた。
「生憎だが、俺はお前に用はない。」
「なんだと?」
リウイの言葉に首を傾げているディアーネの所にリフィアが進み出た。
「お前がエヴリーヌ達と同じ”深凌の楔魔”の序列第9位に値する魔神ディアーネか。」
「黙れ!貴様は何者だ!!」
「余か?余の名はリフィア・イリーナ・マーシルン!!リウイとシルフィア様の孫だ!!」
「何…………!?」
高々と名乗るリフィアを見て、ディアーネは驚いてリフィアを見た。
「ディアーネよ。余の使い魔になれ。そうすれば、ユイドラを襲った件に関しては余達がウィルに謝罪しておこう。」
「この我を使い魔にするだと………!?ふざけるな!!」
リフィアの提案にディアーネは怒鳴った後、片手を震って、魔術でできた槍――封印王の槍を放ったが
「甘いわ!死愛の魔槍!!」
リフィアが放った魔術によって、ディアーネが放った魔術の槍は真っ二つに割れ、ディアーネの目の前で突き刺さった!!
「バカな…………!」
「これで余の力はわかっただろう?大人しく、従順せよ!」
自分の魔術が破られた事に驚いているディアーネにリフィアは威厳を纏って答えた。
「………………………………クッ………………………勘違いするな?今の我は万全ではない!我が万全であれば、貴様ごときすぐに滅してやるものを………!」
「フム。ならば万全の貴様を倒せば、余を認めると言うのだな?」
「……………………フン。……………だが、この我が貴様ごときに膝を折る訳がない。」
(あ〜あ…………ディアーネ、自分で墓穴を掘っちゃったよ………………)
リフィアとディアーネの会話を聞いていたエヴリーヌはディアーネを哀れんでいた。
「フム。ならば最高の状態でもう一度、勝負だ!その時、貴様が負ければ大人しく余の使い魔になるがよい!」
「おい、何を言っている。リフィ………」
リフィアの提案を制しようとしたリウイだったが
「いいだろう!首を洗って待っているがよい!!」
時既に遅く、ディアーネはリフィアを睨んだ後転移魔術を使って、その場から消えた。
「…………………遅かったか………………」
「あ〜あ。エヴリーヌ、し〜らないっと。」
転移したディアーネを見てリウイは頭痛を抑えるかのように頭を抑えて溜息を吐き、エヴリーヌは呑気に呟いていた。
「えっと……………よくわからないけど、ディアーネってもしかしてリウイ達の知り合いなのかい?」
そこにいつの間にか近付いて来たウィルが遠慮気味にリウイ達に話しかけて来た。
「……………そんな所だ。それより奴は去った。兵達を安心させた方がいい。」
「そうだね。………みんな!魔神は去ったぞ!!俺達の勝利だ!!」
「オォォォオオッッッ!!!!」
ウィルの勝利宣言にユイドラ兵達は勝利の喜びの雄叫びをあげた。
「リフィア達も手伝ってくれてありがとう。もしよければ、俺の家に来てもらってもいいかな?手伝ってくれたお礼もしたいし、それにディアーネとの関係も聞きたいし。」
「うむ!」
「ねえねえ、ウィル。温泉ってまだある?」
ウィルの提案にリフィアは頷き、エヴリーヌはある事を思い出して尋ねた。
「ああ。温泉もそうだけど、家も以前君達が訪れた時よりもっと大きくなっているよ。………それとリフィアやリウイ達の宿の手配は俺がしておくよ。」
「うむ。快く、お前の好意を受け取っておこう。リウイもよいな?」
「ああ。」
リフィアに尋ねられたリウイは頷いた。そしてウィルは握手を求めるかのように、リウイの前に手を差し出して言った。
「ようこそ!ユイドラへ!!」
こうしてリウイ達はウィル達と共にユイドラに向かった。
一方その頃、エステル達はジェニス王立学園に到着した……………
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