英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 外伝〜匠王の提案。妖精と魔の血を引きし暴虐の麗人、降臨する〜 |
〜工匠都市ユイドラ・ウィルの家〜
「それで?依頼料はどのぐらいだ?」
ウィルとリフィアの様子を黙って見ていたリウイは尋ねた。
「勿論、ウィルの言い値で良いぞ。余達が国に帰った時、依頼料を送ろう!別にいいだろう?リウイ。」
「…………ああ。神剣の修復や改造等、並大抵の者ではできないからな。構わんだろう。」
リフィアに尋ねられたリウイは少しの間考えた後、答えた。
「依頼料か……………その事なんだけどさ。お金以外でもいいかい?」
「む?」
「ウィル?」
ウィルの提案にリフィアは首を傾げ、セラウィは不思議そうな表情でウィルを見た。
「一つはディアーネをなんとかして欲しいんだ。このままずっとユイドラを攻められる訳にはいかないし、なんとか退治以外の方法で解決したいんだ。」
「ウィル……………」
「フフ、ウィルらしいですね。」
ウィルの話を聞いたセラウィとメロディアーナは微笑んだ。
「………それはこちらもそのつもりだ。アレを放って置いた俺達に責任がある事だしな。」
「うむ。それに余はディアーネを余の使い魔にするつもりだ。だからその件は快く引き受けた!」
リウイの言葉にリフィアは頷いた。
「二つ目はずうずうしいと思うんだけど、ディアーネ達と戦う時、手を貸してくれないかな?」
「うむ!勿論よいぞ!」
「元々俺達はそのつもりでここに来た。だから気にするな。」
ウィルの話を聞いたリフィアとリウイは頷いた。
「三つ目なんだけど………将来でいいんだけど、セティ達に異世界を見せてあげて、数カ月ほど異世界でさまざまな事を学ばせて欲しいんだ。本当なら俺が行きたい所だけど、領主だからそんなに長い間、ユイドラを留守にする訳にはいかないしね。ちなみに2人やシャルティには聞かず、言っちゃたけど、いいかな?」
ウィルは話をした後、セラウィとメロディアーナを見た。
「ええ。今後のユイドラの発展に大きく役立つかもしれませんしね。」
「異世界の存在があったのは驚きましたが、ウィルの事だから自分が行きたがるかエリナ達に行かせると思いました。…………あの娘達にとってもいい刺激になるでしょうから、いいですよ。………シャルティはあまり深く考えない人ですから、シャルティも賛成するでしょう。」
話をふられたセラウィとメロディアーナはウィルに微笑んで了承した。
「ありがとう。………それでどうかな?」
「他ならぬウィルの頼みだ!よかろう!リウイもよいな?」
「……………本来なら関係者以外異世界に関わらせたくなかったのだがな……………まあ、いいだろう。こちらの目を盗んで異世界に渡り、異世界の少女と契約した”炎狐”と比べれば前もって知らされてくれる方がいいしな。」
リフィアに確認されたリウイは少しの間考えた後、答えた。
「ハハ………それにしても永恒が俺以外の人間を認めて、契約までするなんて思わなかったよ。後、まさかフィニリィも契約しているとは思わなかったよ。それでこれが最後になるんだけどさ。その前に………セラウィ、メロディアーナ、いいかい?」
「ウィル?」
「何でしょうか?」
ウィルに呼ばれた2人は首を傾げた。
「少し耳を貸してくれるかい?」
「?はい。」
「わかりました。」
そしてウィルは2人にある事を耳打ちした。
「え!?本気なのですか、ウィル!?」
「…………メンフィルを知ったらなんとなくそんな事を言う気はしたのですが…………その件は他の工匠達やエリザスレイン様を始めとし、ユイドラ近郊に住む種族の代表者達とも話し合った方がいいですよ?」
ウィルにある事を耳打ちされたセラウィは驚き、メロディアーナは静かな声で尋ねた。
「勿論そのつもりだよ。けど、メロディアーナは大丈夫かい?」
「………心配しなくても大丈夫です、ウィル。今の私は貴方と出会ったあの頃と違い、独立した天使なのですから。………それに貴方なら彼らと交流しても、問題はないと信じています。」
「ありがとう、メロディアーナ。」
メロディアーナの微笑みを見たウィルはリフィアとリウイを見て、言った。
「最後はまだみんなには話していないから何とも言えないんだけど、リフィア達――メンフィル帝国との交流を。」
「ほう…………………」
「フム……………交流と言うが具体的に何をしたいのだ?」
ウィルの話を聞いたリウイは目を細めてウィルの真意を考え、リフィアは尋ねた。
「俺達、ユイドラの工匠達にメンフィル帝国の技術を学ばせて欲しいんだ。今のユイドラのようにさまざまな種族と共存し合う国、メンフィル…………きっとそこには俺達の知らない技術もたくさんあるだろうからね。」
「ほう!それはいい考えだが、余達メンフィルも当然、お主達ユイドラの技術を学ばせてもらう事になるぞ?」
「勿論、そのつもりだよ。………まあ、さすがにこれは俺の独断ではできないから、レグナー達やユイドラ近郊に住む種族の代表者達と話し合って、みんなが賛成してからだからする事になるだろうけど。それにいくら皇女のリフィアとは言え、さすがに独断で決められないだろう?」
リフィアに尋ねられたウィルは苦笑しながら答えた。
「フム。確かにウィルの言う通りさすがにそれは余の独断ではできん。父達や家臣達も認めないと無理な事だ。………ちなみにリウイ、お主はどう思う?」
「…………俺は隠居の身で、基本お前達の政治には口を出さないつもりだ。……………ただ俺個人としては、悪くない考えだと思うぞ。」
リフィアに尋ねられたリウイは口元に笑みを浮かべて答えた。
「そうか!ではウィルよ!お互いの納得させるべき者達を納得させれたら、その提案を受けるという事でいいだろうか?」
「ああ。時間はかかるかもしれないけど、みんなを納得させてみるよ。だから、リフィアも頼むね?」
「うむ!」
その後ウィル達はリウイ達やリウイの仲間達、ロカ、フォーチュラを領主の館に呼んで歓迎会を開いた………
〜セテトリ地方・某所〜
「クッ…………まさかリウイ王がいるとはな…………ユイドラの人間程度なら、何とかなったのかもしれないが………クソ!今の手駒では足りんな………」
一方その頃、ディアーネは自分達の配下の魔族達を見下ろして、舌打ちをしてこれからの事を考えていた。
「………少しいいかしら?」
そこにある女性がディアーネの所に飛んで来て声をかけた。
「?何者だ、貴様は。……………見た所、睡魔か。」
女性――腰までなびかせる美しい金髪に山羊が持つような立派な角が生え、鮮血を帯びたような真紅のドレスを着た睡魔を見たディアーネは尋ねた。
「この私を卑しい睡魔と一緒にしないで頂戴。私はセオビット。貴女は?」
「フン。我が名はディアーネ!それでこの我に何の用だ。」
女性――セオビットにディアーネは鼻を鳴らして答えた後、尋ねた。
「フフ………彷徨っていたらたまたま貴女達を見つけてね。………見た所、戦をしそうな雰囲気だったから、混ぜてもらおうと声をかけたのよ。」
「フン。参加するなら勝手にするがいい。」
「フフ…………それで?相手は誰かしら?」
ディアーネの了承を聞いたセオビットは凶悪な笑顔で笑い、相手を尋ねた。
「ユイドラの人間達だ。全ての種族との共存とやらを謳うふざけた奴らだ。………その中には我のような魔族達が奴らに力を貸している。」
「何それ?人間なんか、私達に支配されて当然の脆弱な存在じゃない。そんな奴らに力を貸しているなんて、魔族の面汚しね。」
「フン。魔族の面汚しと言えば、リウイ王がその筆頭だな。………半魔人の分際で暴虐を好まず、人間共との共存を目指しおって…………ええい!今、考えただけでも腹立たしい!」
「…………半魔人?それって半端者でしょう?そいつ、強いの?」
リウイの種族を知ったセオビットは驚き、尋ねた。
「忌々しい事にこの我を破った腕は持っている。」
「ふ〜ん………ふふっ………それなら少しは楽しめそうね。いいわ。そのリウイとやらはこの私が相手してあげるわ。」
「フン。好きにしろ。………近い内、総攻撃を仕掛ける。せいぜい我の足を引っ張らない事だな。」
不敵な笑みを浮かべているセオビットを見てディアーネは鼻を鳴らした後、どこかに飛び去った。
「リウイと言ったかしら…………この私と同じ半魔人の癖に人間と共存するなんて脆弱な考えを持っているような男をどうやっていたぶって殺そうかしら。………ふふっ………ふふっ………」
ディアーネが去った後、セオビットはまだ見ぬ相手をどういたぶるかを考え、凶悪な笑顔で笑っていた。その出会いが自分の運命や考えを大きく変える事になるとは、この時、セオビットは気付かなかった。
同時刻、幽霊騒動が起こっていたルーアン市のある場所で、エステル達の前に姿を現した『身喰らう蛇』の『執行者』――ブルブランがある人物を待っていた…………
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外伝〜匠王の提案。妖精と魔の血を引きし暴虐の麗人、降臨する〜 | ||
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