IS -インフィニット・ストラトス- 〜恋夢交響曲〜 第六話
[全1ページ]

あれから大体一週間がたち、ついにクラス代表を決める大一番の日、月曜日がやってきた。

俺たちは、試合が行われる第3アリーナの待合室に待機していた。

 

「なあ、箒」

 

「なんだ、一夏」

 

この一週間で、どうやら二人は仲直りしたらしい。かく言う俺も、篠ノ之さんではなく箒、彼女も、俺のことを天加瀬ではなく奏羅と呼ぶくらいの仲になった。

 

「気のせいかもしれないんだが」

 

「そうか。気のせいだろう」

 

一夏と箒の問題は解決されたが、俺たちにはもうひとつ、解決しなければいけない問題があった。

 

「ISの操縦を教えてくれる話はどうなったんだ?」

 

「・・・・・・」

 

「目 を そ ら す な」

 

この一週間、俺と一夏は、箒にみっちりと剣道の稽古をつけてもらった。経験者の一夏は深いところまで練習し、未経験の俺は、剣道と呼べる事が出来るぐらいにはなった。

 

「し、仕方がないだろう。お前のISがなかったのだから」

 

「まぁ、そうだけど・・・ じゃない! 実践的な知識とか教えるとか出来ただろう!」

 

特訓の合間で基本的なことは俺が一夏に教えていたとはいえ、あいつの知識は完璧とはいえるものではない。

 

「・・・・・・」

 

「目 を そ ら す な」

 

さらには、一夏のISは今この時ですら到着していないという始末である。

このままだと、一夏は訓練機でオルコットさんと戦うことになってしまうか、下手したら棄権という可能性もある。そんな中、

 

「・・・ちょっと、席をはずすぞ」

 

そう言って俺は携帯を取り出し、ある番号にかけた。

 

『はいはーい、リリツィアでーす』

 

先週、俺の装備をどこぞに輸送してしまったリリィの番号である。

 

「・・・おい」

 

『・・・ただいま留守にしております』

 

「ごまかすな。お前、いったい俺の装備をどこに送ったんだ」

 

そう、一夏と同じく、俺の装備もまだ到着していないのだ。つまりIS学園男子組は、絶体絶命のピンチに陥っている。

 

『えっと・・・ブラジル?』

 

「ウソだろ」

 

『・・・ごめんなさい』

 

バレバレの嘘をつくリリィ。日本の裏側なら信じると思ったら大間違いだ。

 

「・・・ほんとに今日届くんだろうな?」

 

『うん・・・わざわざ一回ラボにまで送り返してもらったし、届くはずなんだけど・・・』

 

俺は先週の出来事をきっちりとマリア先生に報告し、フォローしてもらった。その時リリィは、マリア先生にとてつもないお仕置きを食らったらしいが、自業自得だ。ざまぁみろ。

 

「はぁ・・・わかった。ギリギリまで待ってみる」

 

そう言って電話を切り、一夏の隣へと戻る。

 

「・・・どうした?」

 

一夏が話しかけてくる。どんなに鈍い奴でもわかるくらい一夏のテンションは低かった。

 

「いや・・・頼んでた装備がまだ来ない」

 

「つまり?」

 

「俺の勝ち目がなくなったかも・・・」

 

最後の希望が断たれたような顔をする一夏。悪い、さらにテンションを低くしてしまって・・・

 

「・・・・・・」

 

俺たちはもう、喋る気にすらならなかった。

 

「あ、天加瀬くん、織斑くんっ!」

 

そんな中、俺たちの沈黙を破るように、山田先生があわてたように走りながら入ってきた。

その姿は何だかすぐに転びそうで、みているこっちが怖くなってくる。

 

「山田先生、落ち着いてくだい。はい、深呼吸」

 

一夏の言葉に素直に従い、深呼吸をする山田先生。この人は本当に年上なのだろうか?

 

「はい、そこで止めて」

 

冗談交じりに一夏が言うと、本当に息を止める山田先生。・・・えっ、本当に止めるの?

 

「・・・・・・」

 

何も言わない一夏。だんだんと山田先生の顔が赤くなっていくのがわかる。

 

「ぷはぁっ! ま、まだですかあ?」

 

とうとう我慢できなくなった先生が、息を吸いながら一夏に尋ねる。

この人は本当に、俺たちが頼る事が出来る教師なのだろうか・・・? そんな疑問を浮かべていると、

 

「目上の人間には敬意を払え、馬鹿者」

 

という言葉とともに、俺たちの頼れる鬼教官が、一夏の頭を叩いていた。

 

「千冬姉・・・」

 

パァン!という音とともにまた一夏の頭が叩かれる。この人は本当に容赦がないな。

 

「織斑先生と呼べ。学習しろ、さもなくば死ね」

 

ものすごい言葉である。ていうか、たびたびこの人が教師なのか本当に怪しくなってくる。

 

「ふん。教員免許ぐらいなら、後でいくらでも見せてやる」

 

まったく喋っていないのに、考えを読まれてしまった。俺はどんだけ成長してもこの人に敵わない、そんな気がする。

 

「そ、そ、それでですねっ! 来ました! 天加瀬くんの装備と、織斑くんの専用IS!」

 

よかった、間に合った! 安堵する俺とは対照的に、混乱したような顔をする一夏。

 

「天加瀬は第一試合だろう。すぐにAピットに向かい、装備をインストールしろ。後、アリーナを使用できる時間は限られている。織斑はISをぶっつけ本番でものにしろ」

 

「わかりました」

 

その言葉とともに、俺は行動を開始する。一夏は・・・まぁ俺には気にしている時間はなかったので、そのまままっすぐAピットまで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か? 天加瀬」

 

Aピットにて、インストールを終わらせた俺のもとに、織斑先生が現れ、声をかけてきた。一夏、箒、山田先生も一緒だ。

 

「ええ、インストールは終わりましたが・・・ いかんせん特殊な装備なので、設定をいじらずに展開できるかはわかりませんが」

 

「その程度、男子たるもの気合いで何とかして見せろ」

 

と、箒が根性論を説いてくる。

 

「気合いって・・・ まぁ、努力するけどな」

 

そう答えたあと、俺は右耳に意識を集中させる。

 

「プラチナ、起動」

 

その言葉とともに、俺の体は光の粒子に包まれる。各種ハイパーセンサーが俺の意識に接続、モノクルをはずしていた俺の右目の視力が一気に上がり、悪かった視界が通常の状態に戻る。続いてPICが起動し、体が重力から開放されたように浮遊した。

 

「それが天加瀬くんのISですか?」

 

驚いたような山田先生。まぁ、その反応は予想していた。プラチナは、通常のISとは規格がまるで違う。

ウイングスラスターや、大型の装甲、スカート・アーマーなどは付いておらず、全体的に人間そのものの形に近くなるよう、装甲がついている。

そして、左腕にレーザーなどの光学兵器に対するアンチ・コーティングをした、小型の物理シールド、そして武器として、脚部に接近戦闘用高振動ナイフ『フェザー・ダガー』を収納しており、銃としても扱える可変型複合剣『ソニック・ブレイズ』を腰部背面に装備している。

まぁ、フォルムが通常のISと比べて、全体的に小さいって言うのにはわけがあるのだが。

 

「どうですか? かっこいよくないですかね?」

 

と冗談めかして言ってみるが、実際には結構緊張していた。

要は、心に余裕を作ってみようという試みである。

 

「せ、先生をからかうんじゃありません!」

 

と、顔を真っ赤にする先生。いや、そういうことじゃないんだけど・・・

気をとりなおして、試合のことを考えてみる。とりあえず、当面の問題は装備が展開できるかにかかっている。それが出来なければ、俺の勝率は一気に下がってしまうだろう。

 

《戦闘待機状態のISを感知。操縦者セシリア・オルコット。ISネーム『ブルー・ティアーズ』。戦闘タイプ中距離射撃型。特殊装備有り》

 

プラチナからアリーナで待っているオルコットさんのISの情報が入ってくる。特殊装備が付いているあたり、簡単には勝てないはずだ。厳しい戦いになるだろう。

ふと、気になったので、一夏と箒のほうを見た。見たといってもハイパーセンサーが起動しているので、顔を向けてはいないが視覚情報として入ってくる。どうやら、二人とも心配してくれているらしい。

 

「一夏、箒」

 

顔を二人に向ける。別に向けなくてもいいのだろうが、なんとなくそうすべきだと思った。

 

「な、なんだ」

 

不安そうな声を出す箒。一夏も何も言わないが顔は箒と同じように不安げだった。

 

「行って・・・勝ってくるよ」

 

「あぁ、勝ってこい」

 

「そのあとは俺と一騎打ちだ」

 

二人の言葉に強くうなずき、俺はピット・ゲートへと進む。

そうだ、俺には応援してくれてる友達がいる。その絆に応えるためにも・・・

 

「約束、守るからな」

 

多分、誰にも聞こえていないであろうつぶやき。その決意を胸に、俺はアリーナへと飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、逃げずに来ましたのね」

 

余裕を持ったオルコットさんの言葉。どうやら、相当の経験があるようだ。

彼女の機体、『ブルー・ティアーズ』は特徴的な外見をしており、彼女の手には2メートルほどの銃器、プラチナの検索よりわかったことだが、67口径特殊レーザーライフル『スターライトmk3』が握られていた。

アリーナ・ステージの直径は200M。発射から目標到達までの時間は0.4秒。射撃したと理解してからの回避が成功することは万が一にもないだろう。

 

「最後のチャンスをあげますわ」

 

そういいながら、人差し指を突き出した状態でこちらに向けてくる。左手の銃は、まだ砲身が下がったままである。どうやら、余裕のつもりらしい。

 

「チャンス?」

 

「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。ですから、ボロボロの惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝るというのなら、許してあげないこともなくってよ」

 

そう言いながら笑う彼女。しかし、プラチナから入ってくる情報、《警戒、敵IS操縦者の左目が射撃モードに移行。セーフティのロック解除を確認》から、彼女が俺の返答しだいで即座に攻撃するのは明白だった。

 

「そういうのって、チャンスって言わないんだけどな」

 

「そう? 残念ですわ。それなら」

 

《警告! 敵IS射撃体勢に移行。トリガー確認、初段エネルギー装填》

 

その情報が入った瞬間、俺は回避行動へと移る準備をする。

 

「お別れですわね!」

 

耳をつんざくような音とともに走った閃光が、俺のさっきまで居た場所を貫いた。

 

「やっぱり、そうくるよな!」

 

回避で崩れた姿勢を、プラチナが自動姿勢制御を行うことでたてなおす。

ダメージを確認、どうやら上手く避けれたようだ。

 

ISバトルは、相手ISのシールドエネルギーを0にすれば勝ちである。しかし、バリアーを貫通し、実態のダメージを受けると、数値化しているシールドエネルギーと違い、破損によって戦闘に支障をきたす。

ちなみに、操縦者が死ぬことのないように、ISには『絶対防御』と呼ばれる機能が必ず備わっている。この機能は、ありとあらゆる攻撃を受け止めるが、シー ルドエネルギーを大幅に使用する。つまり、絶対防御が発動する攻撃を受け続けると、すぐに決着がついてしまうということだ。

 

「なかなかやりますわね。 しかし、このわたくしとブルーティアーズからは逃れられませんわ!」

 

言い終わると同時に、雨のように、そして正確にこちらを狙ってくる。動き続けなければ、一瞬でハチの巣にされてしまうのは明らかだった。現に、プラチナのアラートがうるさいくらい鳴りっぱなしである。

 

(くそっ、このままじゃまずいな・・・)

 

俺はプラチナにあの装備をコール、展開を試みた。

高周波の音とともに粒子が放出。

 

「いけるか・・・?」

 

しかし、俺の願いも虚しく、粒子は形とならなかった。

 

《エラー! 装備を展開することできません》

 

どうやら、装備とプラチナのマッチングが上手くいってないらしい。

これはまずい・・・非常にまずい。

 

「ふふっ。理由はわかりませんが、どうやら装備が展開できないようですわね。」

 

「くそっ!」

 

装備が展開できないとあれば、今はこの状態で戦うしかない。俺は腰部背面から、『ソニック・ブレイズ』を抜き、スタンバイモードからライフルモードへと変形させた。

 

「その銃一丁でわたくしに勝てるのかしら?」

 

すぐさまオルコットさんの射撃。それを左手のシールドでかろうじて防御する。

 

「やるしかないのさ」

 

そういいながら彼女に一発銃弾を放つが回避され、反撃される。

 

「さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

 

次々と放たれるレーザーを、当たらないように動き回りながら、俺はプラチナのシステムコンソールとを呼び出す。

 

「そう、やるしかないんだよ」

 

彼女の隙を窺いながら、俺はキーボードパネルを叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく・・・ちょこまかと・・・」

 

開始から大体5分、俺は全力で逃げ回っていた。

彼女は正確無比の射撃をおこなってくる。正確は裏を返せば予測しやすいということ。つまり、ある程度は狙ってくる位置がわかるということだ。さらに、プラチナは普通のISと比べ小型なので、被弾する可能性は少ない。その隙をついて、ISと装備のマッチング設定を行う、それが俺の立てた作戦だった。

 

「いける・・・これなら!」

 

『ソニック・ブレイズ』で威嚇射撃を行いながら、システムコンソールに目を通す。

 

(マッチング率67%、これが最低でも8割をきれば・・・)

 

装備が使える、そう思ったその時だった。

 

「仕方ありませんわね・・・ ブルー・ティアーズ!」

 

ブルー・ティアーズから何かが射出される。そして、その飛び出した何かからレーザーが発射され、そのうちの一本が俺の左足をかすめた。

 

《バリアー貫通、ダメージ18。シールドエネルギー残量582。実体ダメージ、レベル低》

 

被弾した個所の状況がプラチナから伝えられる。そうか、ブルー・ティアーズの特殊装備は・・・

 

「ふふっ。あなたも開発者を目指すもののはしくれ。これがどんな兵器かお分かりでしょう」

 

「自立機動兵器っ・・・!」

 

「そう、このISの名前にもなった兵器、BT(ブルー・ティアーズ)ですわ」

 

マリア先生の持っていた資料でしか見たことがなかったが、自立機動兵器、いわゆるビット兵器を使いこなすには、相当の技術が必要のはずだ。それを使ってくる彼女は、代表候補者になる際、才能があったとしても相当な努力をしたに違いない。

そして、ビット兵器を使ってくるのであれば、先ほどの正確な射撃に、変則的な動きが入る。つまり、先ほどまである程度予測できていたものが、予測できなくなってしまった。よって、隙をついて設定の調整が出来ない。なので、これでは作戦が成り立たない。

 

「最悪だな・・・」

 

「では、閉幕(フィナーレ)と参りましょう」

 

彼女は右腕を横にかざし、ビットに命令。すぐさま、ビットがさまざまな方向から襲いかかってきた。

 

「くっ・・・!」

 

俺を挟むようにビットが移動し、レーザーを放つ。それを回避すると、その隙を狙ってライフルで攻撃をしてくる。

 

「まずいな。パターンに嵌ってしまうぞ・・・」

 

かろうじて被弾を少なくしているが、いつまでもつかわからない。このままいくとジリ貧で負けてしまう。そうこうしている間にも、だんだんとシールドエネルギーが削られていく。

 

「冷静になれ・・・冷静に・・・」

 

こういうときは観察をする、何かの漫画か小説で読んだことがある。俺は、何とかしてビットとオルコットさんの攻撃を防ぎながら、考えを巡らせた。

 

(彼女は俺を挟んで攻撃している・・・挟む・・・?)

 

そして俺はある結論に至った。

彼女は俺をビットで囲みながら攻撃し、その隙をライフルで攻撃している。ビットは彼女が命令を下して、はじめて攻撃を行う。そして、彼女のライフルは銃口が長く、近距離を狙えない。ならっ!

俺は自分を挟んだビットの攻撃をなんとかして避けた後、彼女のライフルの攻撃をシールドで受け止めながら、一気に距離を詰めた。

 

「なっ!?」

 

それは予想外の行動だったらしい。ならば、この機を逃すわけにはいかない。

俺は『ソニック・ブレイズ』を連射しながら、彼女の至近距離へと迫る。

 

「お前は俺をビットで挟みつつライフルで狙撃している。つまり!」

 

そして『ソニック・ブレイズ』をブレード・モードに変形させ斬りかかる。

彼女はライフルが剣に変形すると思っていなかったらしく、反応が少し遅れたのだろう。攻撃がまともに入った。

 

「こうして接近すればライフルは使えないし、ビットで俺を狙えば自分を誤射する可能性がある!」

 

「くっ・・・!」

 

焦り始める彼女を見て、勝機をつかんだと俺はそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何とか勝てそうだな奏羅」

 

「ああ・・・」

 

ピットでモニターで戦いを見ていた一夏と箒は、勝負が奏羅のほうに傾き始めたことに安堵する。

その横で、山田真耶も奏羅の健闘に驚いていた。

 

「あれだけの時間でセシリアさんの弱点をつかむなんて・・・すごいですね、天加瀬くん」

 

「あいつはあれでも開発者を目指している。ISの特徴をつかむなど容易いことだろうな」

 

「そういえば自己紹介でそんなことを・・・ でも織斑先生、自己紹介の時いましたっけ?」

 

素直な疑問をぶつける真耶に、内心ギクリとする千冬。

 

「い、いや、入る前に少し聞こえてたからな・・・」

 

「あっ、もしかして、SHRがはじまったときから廊下で中の様子を聞いてたんじゃ・・・」

 

そこまで言って真耶の言葉は千冬の突然のヘッドロックに遮られる。

 

「いたたたたたたたたっっ!!」

 

「私はからかわれるのが嫌いだ」

 

「はっ、はいっ! わかりました! わかりましたから、離してっー」

 

そんな二人の様子を苦笑しながら見る一夏と箒。

千冬は真耶をヘッドロックしたまま、モニターを見て、

 

「しかし、この調子だと、天加瀬は負けるかもしれんな」

 

とつぶやいた。

 

「えっ? どうしてですか?」

 

彼女の言った意味がわからないのか、真耶が尋ねる。一夏と箒も理解していないようだった。

 

「勝機が見えたことで、あいつは油断し始めた。そして、自分にも奥の手があるということは、相手にも奥の手があるということに気づいていないようだからな」

 

歴戦の戦士ともいえる千冬の言葉。

 

「奏羅・・・」

 

その言葉に、一夏と箒は不安そうにモニターに視線を戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

(いける!)

 

攻撃が入ったことにより、距離をとる彼女をビットに命令する隙を与えないように、再びライフルモードに換えた『ソニック・ブレイズ』で追撃、その射撃に合わせて再度距離を詰める。

 

ライフルは間に合わない。そう思ったその時だった。

 

「かかりましたわ」

 

彼女の怪しい笑み。反射的に危険を感じて距離を置こうとするが、彼女の腰部のスカート・アーマーの突起が外れ、動いた。

 

(しまった! こいつは・・・)

 

「おあいにく様、ブルー・ティアーズは六機あってよ!」

 

俺の考えを彼女が続ける。

回避が間に合わない。しかもあろうことかこれはレーザービットではなく『弾道型(ミサイル)』。

その思考が終わった直後、俺は爆発に包まれた。

 

説明
恋夢交響曲・第六話
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
1196 1160 2
タグ
IS インフィニット・ストラトス 交響曲 

キキョウさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com