魔法先生と竜と漆黒の狂戦士と 第三話 |
「おー、やっと来たかの?」
俺は学校の中で迷い、やっとの思いで学園長室にたどり着いた。そこにはメガネを掛けたダンディなオッサンがいた。
「紹介するのぅ、こちらは高畑先生じゃ。女子中等部2−Aの担任であり、広域指導員でもある。」
「僕は高畑・T・タカミチっていうんだ。よろしく、零冶君。僕のことは気楽にタカミチでいいよ。」
「ではタカミチさん・・・と。こちらこそよろしくお願いします。」
「それはそうと零冶君。今朝、ここに来る前に広場で騒ぎがあったんだが・・・何か知らないかい?」
「・・・広場?」
一応心当たりがある。
「うん。僕が駆けつけたときには既に騒ぎが収まってたんだよ。5人組の男が気絶していたからね。」
やっぱり俺か・・・。
「あ・・・多分俺ですよ。変な男達が中学生ぐらいの女子2人にいちゃもんを付けていたからちょっと・・・ね。」
「・・・へぇ。若いのに随分と腕っ節が強いんだね。」
タカミチさんは俺を見極めるように視線を向けてくる。
・・・こいつ、強いな。
「そりゃそうじゃろうて。何せ弱体化しているとはいえ、あのエヴァンジェリンを簡単に倒したのじゃからな。それぐらい出来て当然じゃろうて。」
「な!?エヴァを倒したのかい!?」
タカミチさんは随分と驚いているけれど、あいつ・・・そんなに強いのか?どう考えても弱かったぞ?・・・そういえば、弱体化しているって言ってたな。何か理由があるのだろうか?
「ええ、まぁ。それよりも学園長。俺の警備員の仕事に関してなのですが・・・。」
「お〜、そうじゃったそうじゃった。何、簡単な事じゃよ。ただ単に見回りして、不審者や不法侵入者を捕まえてくれれば良いだけじゃ。それとここでは警備員を“指導員”と呼んでオルからの。あと、喧嘩なんかの騒ぎを止めてくれればよい。」
喧嘩・・・ね。ぶっ飛ばしてもいいのなら構わないのだが・・・。
「こちらの言うことを聞かなかった場合は?」
「実力行使じゃ。」
いいのかよ!?
「・・・まぁ、それでいいのなら構いませんが。それと、見回りエリアはどうなのですか?」
あまり広くされても困るからなぁ。
「取りあえず、女子中等部と聖ウルスラ高等部を見回ってくれるかの?後は学園の敷地内を適当に見回ってくれればOKじゃ。」
随分といい加減だなぁ。
「それで、聞くのを忘れておったのじゃが・・・零冶君の歳はいくつかの?」
今更だなおい。
「一応、17です。」
本当の肉体年齢は16だけどね。まぁ、精神年齢は80ですけど。
「む?学校には行ってなかったのかい?」
タカミチさんが聞いてきた。
「いえ、俺には必要なかったので・・・。一応高卒レベルの学力はありますよ。」
「そうか・・・でも、勿体ないなぁ。そのぐらいの歳なら学校へ行ってもいいのに。」
もう既に卒業しましたけど。
「必要性が感じられなかったので。で、今日から見回りしていいのですか?正直、暇なので。」
「お〜、構わんぞ?それと、出来ればスーツを着てくれるとありがたいのぉ。スーツ代は、ほれ・・・これで買うと良い。」
そう言って学園長は俺に茶封筒を渡した。その中には・・・10万程入っていた。
「・・・こんなに要りませんのですが?」
「なに、気にするでない。」
まぁ、学園長がそう言うなら構わないのだが。
「それでは、後のことは高畑君に聞くとよい。」
「分かりました。それではタカミチさん。よろしくお願いします。」
「ああ、こちらこそ。」
俺はタカミチさんと一緒に学園を見回ることにした。
「ふむ・・・・零冶君の素性は相変わらず分からずじまいじゃが・・・まぁ、悪い子では無さそうじゃのぉ。」
学園長は髭を撫でながら呟いた。
「来週来る彼の事も・・・頼もうかの?」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
俺はスーツを買って、タカミチさんと見回りをしていた。
「さて、零冶君。実は特に説明することはないんだ。大体のことは学園長が言ってくれたからね。」
「そうですか・・・。・・・・・・気になりますか?」
俺はさっきからチラチラと視線を向けてくるタカミチさんに聞いてみた。まぁ、気になっても仕方ないだろうな。
「えっ!?何のことだい?」
「誤魔化してもダメですよ?さっきから視線を感じてたので。」
俺がそう言うと、タカミチさんはバツが悪そうな顔をして謝った。
「すまないね。零冶君がエヴァを倒したことがどうにも信じられなくて・・・。」
「まぁ、いきなり言われても信じられませんよねぇ。まぁ、機会があれば俺の力を見せて上げますよ。」
「あはは、楽しみにしているよ。」
俺達は談笑しながら見回りをした。そして聖ウルスラ高等部の敷地に入って見回りすると、
「あ!こんにちわ、高畑先生!!」
「ごきげんよう、高畑先生。」
二人の女子高生がタカミチさんに挨拶してきた。一人は金髪のロン毛でお嬢様って感じの子だ。だいたい俺と同い年ぐらいか?もう一人はやや赤みがかった茶髪をツインテールにした子だ。この子は一つ下ってところか?
「あら?高畑先生、こちらの方は?」
「ああ、今日から新しく指導員に入った人だよ。」
「黒澤零冶です。よろしく。」
挨拶は大事だ。
「あら、ご丁寧にどうも。私は聖ウルスラ女子高等部二年生の高音・D・グットマンといいますわ。こちらは一年生の佐倉愛依ですわ。」
「よ、よろしくおねがいしみゃすっ!?はぅぅ・・・噛んでしまいました。」
人見知りする子なのかな?あまり話すのが得意ではないのかもしれない。
「よろしく高音さん、佐倉さん。」
「それにしても黒澤さんは・・・随分とお若いのですね?失礼ですがお幾つで?」
高音さんは俺をジロジロと見て言った。
「歳は一応17ですが?」
「え!?私たちを同い年じゃありませんか!?」
「ほえ〜、じゃあ先輩ってことですか?」
「いや、俺は生徒じゃ無いよ。行く当てが無い所に学園長が仕事をくれたんだよ。」
「そうですか・・・。」
「ちなみに彼は魔法関係者でもあるから、そのうち改めて顔合わせするだろうけどね。」
タカミチさんが補足してきた。
・・・?魔法関係者って言って良いのか?・・・まさか、
「タカミチさん、もしかしてこの二人も・・・」
「そうだよ。彼女たちは魔法生徒なんだ。」
やっぱり。どうやらこの学園には一般人に混じって魔法使いがたくさん居るみたいだ。
「え!?でも、彼はあまり強そうには・・・。」
佐倉さんが俺を見て不安そうに言う。
「実力は問題ないよ。彼はあのエヴァンジェリンを倒した人だからね。」
あまり余計な情報を与えて欲しくないのですが・・・。
「タカミチさん・・・。」
俺はちょっと非難めいた目でタカミチさんを見た。
「ははは、まぁいいじゃないか。どうせ顔合わせで君の実力を見せて貰うと思うからね。」
マジで?面倒くさいなぁ。
「あ、あのエヴァンジェリンさんを倒したのですか!?彼が!?」
そんなに驚かれてもなぁ・・・。
「まぁ・・・ね。」
「す、凄いです!あのエヴァンジェリンさんを倒すなんて尊敬します!!」
佐倉さんが目をキラキラさせて言った。ちょっと照れくさい。
「そ、それほどでもないよ・・・。それじゃ、タカミチさん。後は適当に回っておくので、俺はこれで失礼します。」
「ああ、そうかい?なら、後は頑張ってくれよ。」
「はい。では、高音さんと佐倉さんも、じゃあね。」
「あ、はい!お疲れさまです!」
「ごきげんよう。」
俺は学園の敷地内を適当に回った
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
放課後になっの広場へ見回りに行こうとすると、再び騒ぎが聞こえてきた。
「・・・はぁ。これで15回目だぞ?何でこんなに問題が起きるんだ?」
『まぁ、規模が大きいから仕方ないのかもしれないね』
ロキが苦笑しながら言ってきた。取りあえず騒ぎの方へ行くと・・・
「((菲|フェイ))部長!!今度こそ勝ってみせるぞ!!」
「空手部を嘗めるなぁ!!」
「ボクシング部の底力を見せてやるぜぇ!!」
金髪で少し日焼けした女の子が数十人の屈強な男達に囲まれていた。
「・・・どういう風にしたらこんな状況になるんだ?」
『さぁ?でも、あの子・・・なんだか余裕そうに見えるけど?』
言われてみれば、数十人の屈強な男達に囲まれているにも拘わらず、女の子は全く動揺していなかった。それどころか、かなり余裕そうに見える。
「言われてみれば確かにそうだな・・・。だけど、見て見ぬフリはできn「ドンッ!!」・・・は?」
俺が助けに入ろうとしたとき・・・
「がはっ!!」
男の1人が5m程吹き飛んだ。そして次々と男達を倒していく。
『わお!あの子凄いね!魔力や気の強化も無しに、身体能力と技術だけで倒しているよ!』
「・・・意味が解らん。何なんだ、あの子の強さは?尋常じゃないぞ?それにあれは・・・八極拳だな。」
身長160cm未満の子が2m近い男を簡単に吹き飛ばすなんて・・・普通ではあり得ない。そして、彼女はあっという間に全滅させてしまった。
「やれやれ、もっと強い奴はいないアルか?」
・・・バトルマニアらしい。俺は嫌な予感がしたので、その場から逃げようとすると、
「むっ!?強者の気配がするネ!!」
・・・・・・マズい。
「そこのお主!!私と戦うアルよ!!」
『あ〜あ、気づかれちゃったね♪』
相変わらず楽しそうに言いやがるな、ロキ!
「ま、待て!俺は戦うつもりなんて「問答無用アル!!」って聞けーーー!!」
取りあえず人の話は聞かない子だというのは解った。俺は彼女の攻撃を躱していく。
っち、八極拳ってのは動きが読みづらいな!
「おお!?中々やるネ!!私の攻撃をここまで躱す人はあまりいないアルよ!なら、こちらも本気を出すネ!!」
出すな!!
「っく!仕方ない、正当防衛だからな!!」
俺は少女が肘を打ち付けてきた瞬間、それを受け流し、勢いを利用して彼女を投げ飛ばした。
「むおっ!?」
そして壁に激突した。俺は彼女の事を少し心配したが、俺は嫌な予感がしたので逃げることにした。
「待つアルよ!!戦いの最中に逃げるのは卑怯アルーー!!」
そして追いかけてくる少女。・・・勘弁して欲しい。
俺は縮地を使って彼女を何とか振り切った。
「・・・一体何だったんだ?」
『さぁ?』
俺は今日の仕事を終わらして帰宅した。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「さて、一応此処に住んでいる人達に挨拶に行かないといけないな。」
俺は学園長に無理矢理押しつけられた管理人としての責務を果たさなければならなかった。
「取りあえず、下から順番に挨拶していくか・・・。」
俺は一階から順番に部屋を訪ねて挨拶をしていった。
「次はここか・・・。」
俺は640号室と書かれた部屋のドアホンを鳴らした。すると中から活発そうな女の子が出てきた。
「はいは〜い、どちらさん〜?」
「あ、今度から此処の寮の管理人になった黒澤零冶といいます。挨拶にきたので、これからよろしくお願いします。」
「あれぇ〜?随分若い人が管理人になったね?私と歳が近いように見えるけど?それにしても・・・どこかで見たような人だね?」
ん?俺はこの子と会った覚えは無いのだが?
「まぁいいや。私は明石裕奈っていうんだ。よろしく!」
「こちらこそ。」
「あ、ちょっと待ってね。今ルームメイトを呼ぶから。おーい!アキラー!!」
「どうしたの、ゆーな?」
「新しい管理人さんが挨拶に来てるから、アキラも挨拶しなよー!」
「分かったー。」
そしてもう1人の少女が部屋から出てきたのだが・・・
「お待たせしま・・・・し・・・た?」
その子は今朝絡まれていたのを助けた少女だった。
「あ!!今朝の!!」
「ほぇ?知り合い?」
「あー、君か。ここの寮生だったんだね?」
「あ、はい!今朝は助けてくれてありがとうございました!」
「いや、気にしなくて良いよ。偶々通りがかっただけだから。」
「・・・あーー!!思い出した!!」
そして、突然明石さんが叫んだ。
「黒澤さんって、アキラが言ってた白bもごぉっ!!」
明石さんが何か言いかけたが、それは先ほどの少女に口を塞がれて・・・堕ちた。
「はく・・・?」
俺が聞き返すと
「い、いいいいえ!!何でも無いんです!!」
全力で首を振って、何もないと言った。
「そ、そうですか・・・。」
俺は一応納得することにした。
「あ、それよりも名前を聞いてなかったです。」
あーそういえばそうだったな。
「ああ、あの時は急いでたからね。じゃあ、改めて自己紹介するよ。俺は黒澤零冶といいます。一応此処の寮の管理人と指導員をやることになりました。よろしくお願いします。」
「そ、そんな・・・敬語なんて使わなくてもいいですよ!・・・あの、私は大河内アキラっていいます!」
「そうか?なら遠慮無くため口で話すよ。これからよろしく頼むね、大河内さん。」
「え?あ、はい!こちらこそよろしくお願いします!」
そして、
「あ!今朝の人!」
横から声が聞こえた。そっちを見ると、今朝助けたもう1人の子だった。
「あ!亜子、ちょうど良かった。亜子も挨拶しなよ。」
「う、うん。その・・・今朝はありがとうございました!」
「ううん、気にしなくていいよ。」
「この人、今日からこの寮の管理人さんになった黒澤零冶さんだって。指導員もやってるみたいなんだ。」
「黒澤です。よろしく。」
「あ、こちらこそよろしくお願いします!あの・・・黒澤さんって一体幾つなんですか?ウチらと歳が近いように感じられたんですけど・・・。」
この子にも言ってなかったな。
「17だよ。」
「若っ!?ウチらと3つしか変わらんですか!」
「そんなに近かったなんて・・・。」
2人はかなり驚いていた。・・・それもそうか。
「まぁ・・・ちょっと訳ありでね。それじゃ、俺は他にも回らないといけないから、これで失礼するね。それじゃ。」
俺は二人に手を振って立ち去った。まぁこの後が問題だった。まさか今日の夕方に会ったバトルマニアの子がまさか此処に住んでいるなんて思わなかった。俺を見た瞬間、「あ!さっきの強者アル!!勝負するアル!!」と言って散々追いかけ回された。此処で暴れるわけにもいかないので、今度相手をするという約束で今日の所は退いて貰った。おかげで挨拶は中止する羽目になったが、また今度挨拶しよう。
・・・なんだか今日は疲れたな。
俺は異様に疲労感を感じながら眠りについた。
説明 | ||
二つの作品を同時に書くのはキツいww | ||
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コメント | ||
一応、話し合いで解決するぐらいの我慢さがある設定をしています。ま、長い目で見て下さいw(クライシス) あっはっはwwそりゃ古菲はバトルマニアだからな〜、だけど我慢することは知ってたと思うけどな?あれ〜?(鎖紅十字) |
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