魔法先生と竜と漆黒の狂戦士と 第四話 |
翌日の夜、俺は学園長に呼び出された。何でも指導員達との顔合わせをするみたいだ。
『また面白くなってきたね!』
ロキはワクワクしながら言った。
「面倒事だけは勘弁して欲しいけどな・・・。」
[それは無理でしょう?零冶はいつも面倒事に巻き込まれますから。]
そうなんだよなぁ。何で俺はこういつもいつも巻き込まれるんだろうなぁ?
そうこう言う内に集合場所の世界樹という巨木の下の広場に着いた。周辺には何か結界のようなものが感じられた。恐らく人払いの結界だろう。そして、そこには何人もの学生や先生がいた。その中には先日会った、佐倉さんや高音さんもいる。
「来たかの?これでみんな揃ったようじゃな。」
学園長は満足そうに頷きながら言った。
「学園長、今日は一体何の用件で招集を掛けたのですか?それに・・・彼は一体?」
身長の高い黒人と思われる先生が学園長に聞いた。
「まぁそう急かしなさんな、ガンドルフィーニ君。・・・さて、今日集まって貰ったのは他でも無い。彼、黒澤零冶君が新しく指導員となったので、その顔合わせじゃ。」
用件をみんなに言ってないのかよ・・・。
「・・・彼が?しかし・・・本当に大丈夫なのですか?実力も分からない相手を指導員にするなんて・・・・」
ガンドルフィーニと呼ばれた男は疑り深い目で俺を見る。ちょっと不愉快だ。
「実力なら確かじゃ。彼はあのエヴァンジェリンを倒したのじゃからな。」
「なんと!?」
ガンドルフィーニさん以外の人達も驚いてお互いに話していた。
「し、しかし!彼女は今弱体化しています!そんな彼女相手なら不意打ちでどうとでもできるはずです!」
だが、ガンドルフィーニさんは納得いかなかったようで、学園長に反対の意見えお示す。
「ふむ・・・それならば誰か彼と戦ってみてはどうじゃろうか?そういうわけで零冶君。すまんが、この中から好きな相手を選んで戦ってもらえんかのぅ?」
っは!最初から戦わせるつもりだったろうに・・・。
「仕方ないですね・・・。では人数も自由で構いませんね?」
俺は少し挑発して言った。
「な!?複数を相手するというのか!?」
『それぐらいじゃないと釣り合わないだろうしね。』
「すぐに終わったら面白くないでしょう?だから、複数と戦ってみたいんですよ。」
俺は余裕の表情で言った。そんな言葉に周りの人達は俺を睨んできた。唯一、佐倉さんは心配そうにオロオロして俺を見ていた。
「き、貴様!言わせておけば!」
「・・・言い方に問題があるが、まぁいいじゃろう。それでは相手を決めてくれるかの、零冶君?」
俺は周りを見渡して人を選別した。あまり力を見せたくないので、それなりの実力者を選ぼうと思う。
「それでは・・・・そこの刀を持った子とさっきの色黒の先生にしようかな。あまり時間が掛かっても面倒ですからね。この二人ならちょうどいい時間でケリが着くでしょう。」
俺がそう言うとガンドルフィーニさんは怒った表情で、刀を持った子は俺を睨んできた。どうやらプライドに傷をつけてしまったようだ。まぁ、それが狙いなのだが・・・。
「ふむ・・・二人はそれでいいかの?」
「構いません。」
「もちろんです!私1人でも十分なくらいです!!」
「よろしい。それでは・・・・・・始めっ!!」
「刹那君、いくぞ!!」
「はい、ガンドルフィーニ先生。」
2人は一斉に俺に掛かってきた。ガンドルフィーニさんはナイフと拳銃を抜いて、女の子は野太刀を抜いた。俺は二人の攻撃を避けて距離を取って
「ルナ、デュアルソード。」
「了解、ブラックウィング。」
周りに聞こえないようにルナに言った。そして俺は夜天連刃【黒翼】を構えた。
「っ!双剣のアーティファクト!?」
「なら私が行こう!」
愚かな・・・一人で勝てると思っているのか?
ガンドルフィーニは俺に向かって銃弾を乱射する。だが、その弾丸は全て正確に俺の急所や関節を狙っていた。たぶん実弾じゃないと思う。
「ふんっ。」
俺は鼻で笑うと彼が撃った弾丸を全て弾き、斬り落とした。
「なっ!?」
驚いている彼に俺は縮地を使い、懐に潜り込む。
「影忍流暗殺術、鴉の舞。・・・((飛翔|ひしょう))!」
俺はガンドルフィーニの腹を蹴り上げる。
「((天襲|てんしゅう))!」
次に俺も跳躍して浮いた身体に踵落としで地面に叩きつけ、
「((地裂|じれつ))!」
地面に衝突すると同時に俺は回転しながら踵落としを腹部に決めた。軽めにやっておいたので、肋骨が数本折れた程度で済むだろう。ガンドルフィーニを見ると、気絶していた。
・・・脆いな。
「はあああああ!!」
「っ!?」
俺が拍子抜けしていた時、俺は上空から斬りかかる少女に気づかず、反応が遅れていた。そして、そのまま斬られるはずだが・・・
ガキンッ!!
「なっ!?」
[パシカムルバス。]
「崩銃槍パシカムルバス。」
俺はルナをガンランスに変え、巨大な盾で受け止めた。
「なんと!?」
学園長もこれには驚いているようだった。
「武器が変わった・・・だと!?まさか、アーティファクトが2つもあるのか!?」
そして少女もかなり驚いているようだ。
「まったく、2人掛かりで挑めば良いものを。随分と甘く見られていたようだな。」
「っく!やあああ!!」
「せいっ!」
少女は果敢にも挑む。手数は向こうが上だが、それは盾でカバーした。そして俺は突きを高速で繰り出す。
「っぐ!は、速い!?」
当然だ。ガンランス等の重量武器の弱点である速さを克服してない訳がないだろう?
「これで終わりだ。」
俺は最後にもう一度突きを繰り出した。彼女はそれを野太刀で受け止めた。
「っくぅぅ!お、重い!」
だが、俺はソレを待っていた。
「掛かったな?」
「何っ!?」
ズドオオォン!!
「ぐああっ!!?」
俺はトリガーを引いた。これがガンランスの特徴だ。槍の先端から砲撃を撃ち出す。射程距離はごく至近だが、近接戦闘ではかなりの威力を発揮する。
「な、何ですの今のは!?」
「ば、爆発しました・・・。」
高音や佐倉だけでなく、他のギャラリーも驚いていた。
「ぐ・・・うぅ・・・。」
砲撃をまともに受けてしまった彼女は動けずにいた。そんな彼女に俺はガンランスを突きつけた。
「チェックメイトだ。」
「・・・参りました。」
「それまでじゃ!!」
そして、学園長が試合終了の合図を出した。
「・・・これで文句は無いでしょう?」
「もちろんじゃ。零冶君の力、確かに見せてもらった。皆も納得したじゃろう?」
全員は黙って肯定の意を示した。
「さて、急いでガンドルフィーニ君と刹那君の治療をするんじゃ!」
「ああ、学園長。彼女の方は意識があるので、俺の薬で治すので管理人室に連れて行きます。その後で部屋まで送ります。それよりも彼を治療してあげてください。肋骨が数本折れている程度に抑えてますが、念のために。」
「うむ、分かった。治癒術士が1人しか来とらんからのぅ。正直助かるわい。刹那君は零冶君に任せるとしよう。じゃが一応倫理的問題があるので佐倉君を君に同行させるが・・・いいじゃろ?」
「は、はい!」
「了解です。」
そして俺は刹那と呼ばれた少女に駆け寄って声を掛けた。
「刹那さんって言ったね?大丈夫?立てるかい?」
「はい・・・ありがとうございます。何とか立てまっ!?」
少女は立ち上がろうとするが、上手く立てないようだ。・・・仕方ない。自分がやったことだからな。責任持って連れて行くか・・・。。
「悪い。」
「・・・え?きゃっ!?」
「わぁ・・・。」
俺は刹那さんを抱きかかえた。いわゆるお姫様抱っこだ。佐倉さんはなんだかポケ〜っとしていた。
「あ、ああああああの!私は自分で立てますので!///」
「いや、思いっきり転びそうだったじゃないか?か弱い女性に暴力を振った俺の責任でもあるしね。ま、俺の部屋に着くまで我慢してくれな。」
「わ・・・分かりました///」
刹那さんは顔を赤くしながら頷いた。
・・・・なんで赤いんだろう?
「佐倉さん、いくよ?」
「あ、はい!」
そして俺は刹那さんの傷を治すために部屋へ行った。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「さ、何も無い所だけど上がってくれ。」
「は、はい!」
「・・・・・///」
佐倉さんはなんだか緊張していた。まぁ男の部屋に入るなんて早々あることじゃないだろう。
「さて、・・・痛む?」
俺は刹那さんを降ろして聞いた。
「はい・・・少し。」
俺は机の一番下の引き出しの中から巾着袋をとりだして黄色がかった丸薬を刹那さんに渡した。
「・・・これは?」
「何でしょう?見たところ丸薬のようですけど・・・?」
刹那さんと佐倉さんが首をかしげている。
「これは秘薬っていって、俺が調合した薬だよ。これを飲めば一瞬で治るよ。」
刹那さんは不安そうに俺を見たが、俺がニッコリと笑うと思い切って飲んだ。
「・・・あ、痛みが・・・消えた!?」
「え?嘘!?」
2人とも驚いている。そりゃそうだろう。一瞬で怪我を完治させる薬なんて普通は存在しない。
「黒澤さん、貴方は一体何者なんですか!?」
「そ、そうです!こんな凄い薬なんて、世界中探してもありませんよ!!」
刹那さんと佐倉さんが俺に詰め寄った。まぁ、この2人なら信用してもいいだろう。
『うん、悪意は全くないね。信じてもいいんじゃない?』
ロキも賛同してくれたみたいだ。
「・・・これから話すことは絶対に誰にも言わないって誓える?」
2人は互いに見つめた後頷いた。
「「はい。」」
「分かった。あと俺の事は零冶でいいよ。・・・じゃあ、まず紹介しないといけない人がいるんだ。」
「・・・?それは一体?」
刹那さんが首を傾げた。俺は首に掛けているペンダントを取り、テーブルの上に置いた。
「これは・・・ペンダントですか?」
刹那さんが聞くと、
[初めまして。]
「「しゃ、喋った!?」」
2人は目を見開いて驚いた。
「れ、零冶さん!このペンダントは!?」
刹那さんが俺に聞いてきた。
「ああ、こいつは俺の相棒のルナ。インテリジェントデバイスのルナだよ。」
[ルナといいます。零冶共々よろしくお願いしますね、お二人さん。]
「あ、こ・・・こちらこそお願いします。」
佐倉さんが丁寧にお辞儀をする。
「零冶さん。インテリジェントデバイスというのは?」
「ああ、それは・・・。」
説明中・・・。
「そんな物が存在するなんて・・・。」
「しかも、違う世界からきたとは・・・。」
二人は呆然としていた。一応俺が別世界の住人だという事を教えた。じゃないと、ルナの説明ができないからな。
「二人とも、今説明したことは絶対に他人に漏らしてはダメだよ?」
俺は二人に釘を刺した。
「い、言えませんよこんな事!」
「間違いなく頭を疑われますね・・・。」
「まぁ、そういうことだから。」
「・・・それで、零冶さんは元居た世界では何をしていたのですか?」
佐倉さんが興味津々に聞いてきた。
あ〜、やっぱり気になるかな?
「う〜ん、色々やってたからなぁ。まぁちょっと魔法使いの軍隊みたいなところで、陸士訓練学校特別戦技教導官とか、特務特攻隊、零番隊隊長とかやってたけど・・・。」
「「・・・・。」」
二人とも言葉が出なかったようだ。
[ちなみに、その零番隊は通称“虐殺部隊”って言われてたのよ?]
「ちょっ!ルナ・・・。」
あの呼び名、恥ずかしいから嫌なんだよなぁ。
「・・・どおりで強い訳ですね。」
「そ、そうですね・・・。それならあの強さに納得いきます。」
刹那さんと佐倉さんが呆れながら言った。そして、急に刹那さんが俺に土下座をしてきた。
「お願いします!私を・・・零冶さんの弟子にしてください!!」
・・・何故に?
「私もお願いします!!」
佐倉さんまで・・・。
「ちょ、ちょっと待ってよ!いきなりどうしたんですか!?」
俺は慌てて二人の顔を上げさせた。
「私は強くなりたいんです!私の大切な人を守るために!」
「私もお姉様を支えられるようになる為に強くなりたいんです!」
二人が力強い目で見てきた。俺は断ろうとしたが二人の想いの強さを知って、首を縦に振った。
「・・・分かった。俺に出来ることなら力になるよ。」
「「ありがとうございます!!」」
こうして俺は二人の訓練に付き合うことになった。
説明 | ||
ちょっと戦闘が雑になっているかもしれません。 | ||
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コメント | ||
私も似たよな体質ですwww(クライシス) wwwwwww断れない体質は大変だww(鎖紅十字) |
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