NEET of the dead(2) |
佐々木はたぷたぷと腹を揺らしながらアパートの階段を降りる。
1階に着くころには死にそうであった。
「ブヒィ……ブヒィ……疲れたでござるな……ん?」
目の前に誰かが立っているのに気付いた。
それは女性だった。
「……き、君は……な、成田さん!?」
成田とは佐々木と同じアパートに住んでいる女性である。
美人の部類に入り、佐々木は惚れている。
「あ、あ、あのどうしたんでぶ……いや、どうしたんですか?」
「……」
成田はなにも言わずに突っ立っている。
佐々木は気付いた。
成田の服がボロボロであることに。
強姦された!?
そう思ったとき、成田はゆっくりと近付いてきた。
「あ、あああの……大丈夫ですか?」
「……」
ゆっくりとゆっくりと近付いてくる。
佐々木は異常には気付かずキモいほど興奮していた。
「あの成田さん?」
「……」
「うわぁ!」
佐々木は成田に押し倒された。
油断していたから成田の腕力でも押し倒せたのだろう。
いや、異様に強かったのもあるのだ……
「な、ななななななな成田さささささん!!? ここでは駄目だお! ハァハァ……ぼぼ僕の部屋に行こうよ! ね!? ブヒヒ」
ブヒブヒと豚のように興奮しながら佐々木は部屋に連れ込もうとする。
っが、やっと異常に気付くのである。
「ねぇ成田さん! …………うわああああああああああああ!!」
顔を上げた成田。
口は血だらけで頬の肉が抉れ歯が見えている。
そして白目を剥き、鬼のような形相で佐々木の首筋に噛まんと暴れる。
「ううう嘘だ! なになんなのこれ!? 成田さん!? これなんだよおおおおおお!!」
「ぐえあぁぁ!!」
女とは思えない気味の悪い奇声を発しながら佐々木のでっプリとした腹の上でもがく。
「やめてください! やめろおおおおお!!」
グチャ
佐々木が力いっぱい成田を吹き飛ばすと、成田の後頭部が突き出た杭に突き刺さった。
ビクビクと痙攣し始める。
「……どういうことだってばよ……成田さんが……僕の成田さんが…………ゾンビになっちゃったよおおおおおおおおおおおおお!!」
「ブッヒィィィ!!」
佐々木は逃げていた。
まるで、解体されるのが嫌で逃げ出した豚のように。
そこら中ゾンビだらけなのだ。
基地外ではない。
ゾンビだ。
生きる屍だ。
バァイオハザァド
「誰か生存者はいないであるか!? 拙者呼吸困難で死にそうでござるうううううう!!」
無様な嘆き。
その時、数m先に幼女がしゃがみこんでいた。
その後ろからはゾンビが!
「よ、幼女! 助けなきゃ! フラグ回収しなきゃ!」
犯罪者予備軍は疲れきった体に鞭を打ち、渾身の走りを魅せる。
幼女はしゃがみこんだまま動こうとしない。
ゾンビに気付いていないのだろうか?
「志村後ろおおおおおお!!」
「!?」
幼女は前から走ってくる巨肉にビビる。
前と後ろにクリーチャー。
絶対絶命!!
信じられない事が起こった。
リオンが現れたわけでも幼女がパンチラしたわけでもない。
幼女が宙を舞ったのだ。
スタッ
ゾンビの後ろの地面に着地した幼女。
するとゾンビの顔が真っ二つに裂け、地面に崩れ落ちた。
幼女は颯爽と立ち上がる。
「おい、大丈夫か?」
「こっちの台詞ブヒよ! 色々と」
「まあいい。着いてきな、私があんたを助けてやる」
「待つでござる! ……どういう事だよ!」
「……なにがだ?」
「色々だよ色々! 君、本当に幼女なのか!?」
「ああ、私は幼女とカテゴリーされる部類の存在だ。すきなものはハンバーグとお人形。嫌いなものはピーマンと親戚のおじさんだ」
「ブヒヒヒヒ! こんな幼女僕は認めないお! そうだこれきっと夢だお! 僕は悪い夢を見てるんだお!」
「夢かどうか……確かめてみるか?」
幼女は懐からM92Fを取り出すと佐々木に向けた。
「ブヒッ!? 分かったお、これは現実だお! 君もゾンビも現実だお!」
「分かればいいんだよ分かれば。ほら行くぞ?」
佐々木は渋々幼女に着いていく。
これから佐々木はどうなるのだろうか?
説明 | ||
とある大都市で突如アウトブレイク。 ピザデブヒキニートの佐々木厚(ササキ アツシ)はヒキニートなためそれに1週間気付かなかった。 しかし某巨大匿名掲示板でアウトブレイク関連のスレを見つけるも、糞スレ認定し食い物を買いに外に出る。 案の定ゾンビに襲われ、逃げる最中に一人の幼女と出会う…… |
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ゾンビ | ||
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