プロローグという名の出会いの瞬間
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ここにある桜の木は、歩いている者の足を止めさせてしまうかのように、綺麗に咲き誇っていた。

そんな道を、2人の少年が歩いていた。

 

そこに割って入るかのように、ドスのきいた大きな声が聞こえてきた。

 

「吉井、坂本、遅刻だぞ!」

 

「おはようございます。西む…鉄人先生」

 

「おはよう。黒鉄の鉄人」

 

「まて、吉井はなぜ言い直した。そして坂本は堂々と鉄人と呼ぶんじゃない」

 

「え?すみません。愛称で呼んだ方がいいのかと思いました」

 

「それだったら鉄人と呼んでいる生徒全員を西村先生に直してからにしろ」

 

「まったく、お前らは……」

 

そう言って2人を注意した彼の名は西村宗一。

趣味がトライアスロンなので、生徒には鉄人という愛称で呼ばれている。

 

「まあいい。ほら、クラス分けの結果だ」

 

「ありがとうございます」

 

「ま、俺達は見なくてもわかるけどな」

 

「そのことについてだが、なぜあんなことをした?」

 

鉄J「西村先生だ」西村先生がそう言うと、2人は笑いながら、はっきりと言った。

 

 

「「わかるでしょ(だろ)?1年間僕(俺)達を見てきた先生なら」」

 

 

「……ハハッ。そう、だな。それならきちんとやってこい!」

 

「「もちろん!」」

 

そう言って2人は再び歩き出した。

 

紙に書かれていた、自分たちのクラスに向かって――――――。

 

 『吉井明久 Fクラス』

 

 『坂本雄二 Fクラス(代表)』

 

 

 *

 

 

校舎内では、文月学園の学園長室の前に立っている、1人の少年がいた。

 

「へぇ……。ここが学園長室か」

 

少年はそう言うと、ノックをして学園長室へと入っていった。

 

「お前さんかい?私的理由でAクラスだったのをFクラスにしてもらった転校生っていうのは」

 

「んー……多分。自分、それに該当してますしね」

 

「それで、お前さんの名前は?」

 

学園長がそう言うと、少年は元気よく答えた。

 

 

「吉井経久です!よろしくお願いします!」

 

 

 『吉井経久 私的理由にて、Fクラス』

 

 

その瞬間、この物語が動き始めた。

 

 

 

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〜明久SIDE〜

 

「ここがAクラスかぁ……」

 

「つーか、広すぎんだろ」

 

「ここに彼女がいるのかな?」

 

「ああ、おそらくな」

 

僕と雄二はAクラスを眺めながら話していた。すると……

 

「……雄二、吉井、おはよう」

 

「よぅ、翔子」

 

「翔子さん、おはよう」

 

中学校からの雄二の彼女、霧島翔子さんが現れた。

 

「……ここにいるということは、2人もAクラス?」

 

「ううん、僕達はFクラスだよ」

 

「前に教えただろ?『あの事』を果たしてみたいって」

 

「……それじゃあ、最終目標は打倒Aクラス…?」

 

「もちろんだ」

 

「……それじゃあ、来るのを待ってる」

 

「うん。じゃあ、また」

 

そう言って、僕達はFクラスへと向かった。

 

 

 *

 

 

僕達は今Fクラスの教室の前にいる。んだけど……

 

「……ねえ雄二」

 

「なんだ、明久」

 

「ここに来てもう、僕達の目標を達成するには難しいような気がしてきたんだけど……」

 

「奇遇だな、思いたくないが、俺も同じことを考えていた」

 

僕達が見ている光景を簡単に説明しよう。

 

 ・クラスの標識が段ボール

 

 ・ひび割れた壁

 

 ・窓から見えるゲームなどをしている生徒

 

………こんなことで大丈夫なのだろうか。彼らの人生とこの学校の社会は。

 

「とりあえず、入るね」

 

そして僕は教室の扉を開けた。

 

「すみません、遅刻s『死ねやぁっ!!』うおっ!?危ねえっ!!」

 

一体誰だ!扉を開けたとたんにカッターを投げてきたやつは!

 

しかも数十本もあるということは、団体か!

 

『吉井を殺せぇぇぇぇぇっ!!』

 

え!?これって団体じゃなくて、まさかクラス全員!?

 

再びカッターが飛んできた。さっきの倍の数で。

 

避けられない!そう思い、僕は鞄を使って痛みを最小限にしようとした。その時、

 

 ガシッ!シュッ、カカカッ!

 

誰かに抱えられた感覚があり、目を開けてみると、なぜか自分がいた場所から移動していた。

 

「え?何で?」

 

まだ抱えられていたので、僕は人物を確認するべく、上を向いてみた。

 

そこにいたのは……

 

「え……兄、さん?」

 

「久しぶり、明久」

 

ここにいないはずの兄さんがなぜか文月学園の制服を着て、僕を抱えていた。

 

そして僕を下におろすと、見た目だけの笑顔でFクラスの方を向いた。

 

「俺は今日このクラスに転校してきた吉井経久。ここにいる吉井明久と双子の兄弟だ。ちなみに、さっきみたいに明久に危害を加えようなんて奴は男女関係なしに容赦なく潰す。よろしくな」

 

それを聞くと、Fクラスの人が一気に青ざめた。

 

「……というわけでお前ら、ちょっと面かせや♪」

 

『ギャァァーーーーーーーーーーッ!!』

 

兄さんがあんな事をやっているうちに、改めて紹介しよう。

 

彼は吉井経久。僕の双子の兄だ。背が高くてイケメンだから、女子にモテるんだけど……

 

「明久、あいつ、もしかして……」

 

「うん。そう、なんだよねぇ……」

 

 

そう、誰もが認めてしまうほどの、『ブラコン』なのだ。

 

 

 

僕は学園生活に不安を感じながら、雄二とさっきFクラスの人を全滅させ終えた兄さんと一緒に、決められていない席へとついた―――――――。

 

 

 

説明
「ついに明久と再会するぜ!」
「最初から兄さんは兄さんだけどね……」

「「それでは、どうぞ」」
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