おや?五周目の一刀君の様子が……8 |
連合軍が虎牢関前に拠点を置き、数日が経った。
虎牢関での籠城戦。やはりこちらが有利に事を進められるが、敵の数が尋常ではない。
こっちも少なからず被害を受けているので、このままではじり貧……むしろこちらが不利になるだろう。
「なぁ、一刀」
さっきからこっちをちらちら見てくる銀華。
落ち着きなく歩き回っている。
「別に((出陣|で))ていいぞ」
「本当か!?」
膠着した戦況に我慢がならなかったんだろう。
俺の言葉を聞いた瞬間、目を輝かせ顔を寄せる。
「出陣たらもう二度と抱いてやらんがな」
付け足した言葉に、銀華の顔が絶望に染まる。
忙しない奴だな。見ていて飽きん。
「まぁまてよ。後二日ちょい様子を見て考える」
連合軍はグループに分かれ交代交代で攻めてきている。
今のグループが攻めている間、他は休んでいるんだろう。
実に効果的な戦略だが、籠城戦にそこまでの人員は必要ではない。
俺らも兵が少ないながら同じ様に小隊を組み休む事ができている。
向こうと比べ圧倒的に戦う時間が長い分、先に綻びができるのはこちらだろうが、それでも後一週間くらいは持つだろう。
だが俺も、銀華ではないがこの膠着状態に飽き飽きしている。
なのでそろそろ動きにでるつもりだ。
それが二日後。何故かというと。俺の予想通りならその日にここを攻めてくる勢力は……
「やっぱり、『袁』旗だな」
二日後。城壁の上から前方を眺めると、陣を構える大勢の兵。
その中央には風に靡く袁の旗が存在した。
袁術軍は三日前に確認した。よってこの軍は麗羽のもので間違いないだろう。
「一刀!今日は敵陣へ打って出ると聞いたが本当なのか!?」
銀華は金剛爆斧を持ち、既に出陣《で》る気満々の様だ。
少しは落ち着いてほしんだがなぁ。仕方ない。
銀華の腕を引きよせ、抱くと同時にキスをする。
武器が落ちるのを横目で確認するがお構いなしに銀華の舌を吸い嬲る。
目が蕩け、向こうも俺の舌を絡めようと動かし始めるが、そこで俺は口を離す。
「怪我をせず、ちゃんと命令に従えば今日の夜続きをしてやるよ」
「…………はい」
銀華は呆然とした面持ちで武器を拾うと、出陣前の最終確認へと向かった。
計画は事前に話してあるし、これで命令を無視する事もないだろう。
虎牢関の門が開き、銀華の軍が出陣した、
城壁の上から戦況を見極める。幸い両端の崖により、数の不利が若干マシになっている。
といっても無理はできない。銀華には危なくなったらすぐに撤退しろと言ってある。
敵兵と自兵の狭間。突出した人影が敵陣へと突っ込み敵兵が空へ吹っ飛んでいる。
銀華、頑張ってるねぇ。
同じ様に、俺らの軍の兵もぶっ飛んでいる場所があった。
「あそこか……よし」
兵を呼びある事を言付ける。
さて、ここからは速さが肝心だな。
「どぉりゃあああ!!!」
威勢の良い声だ。
銀華の兵を楽しげにぶっ飛ばしていたのは、予想通り猪々子だった。
「おいおい、もっと歯応えのある奴はいないのかー?」
斬山刀を肩にかけ歎息を吐いている。
あの表情、調子に乗ってやがるな。
「袁紹軍武将、文醜とお見受けするが」
「ん、誰だ?」
そんな猪々子の前へ躍り出る。
一応、一騎打ち前の形式として幾分丁寧に言葉をかけた。
一息で剣を抜き、切っ先を向ける。
「華雄軍副将。北郷一刀」
「あたいとやろうってのか?上等!」
武器を構えなおす猪々子。
緊迫する空気の中、飛び掛るため足に力を溜めたその時、
「文ちゃーん!!」
「斗詩!?」
斗詩の声に、背後を向く猪々子。
おいおい一騎打ちの((最中|さなか))に余所見はいかんだろう。
「麗羽様が……って、文ちゃん後ろ!!」
「え……」
振り向き様に武器を構えるが、お粗末だな。
剣を思い切り振りぬき斬山刀を弾き飛ばす。
唖然としている猪々子の首に片手を回し、その唇を貪った。
「んんーっ!」
「なッ!文ちゃんを離せー!!」
金光鉄槌を振りかざしこちらへ駆ける斗詩。
猪々子は俺が離れると、へなへなとその場に座り込んだ。
直ぐに剣を構え直し斗詩を迎え撃つ。
斗詩の武器は一撃が怖いな。あんなのと普通の剣が打ち合えるわけがねぇ。
なら如何するか?簡単な話、避ければいい。今の斗詩は怒りに任せ武器を振り回している。
そんな直線的な振りに、当たってやれるほど俺は優しくない。
振り落とされる金光鉄槌を、半身後ろへ下がり避ける。
斗詩は急いで引き寄せようとするが、地に沈んだ武器を俺が強く踏みつけそれを許さなかった。
((柳眉|りゅうび))を吊り上げ睨む斗詩に、満面の笑みを浮かべながら言った。
「文醜の唇、最高だったなぁ」
「ッ!!」
俺の言葉に斗詩は顔を真っ赤にして、武器を離し殴りかかってきた。
迫る右腕を避け掴みとる。
その腕を背後に回し固めをとった。
痛みに顔をしかめる斗詩の首を片手で横に向け、無理やり唇を奪う。
瞬間眼を見開き、体の強張りが抜けた。
固めを外し離れると、猪々子と同じように座り込んでしまう。
と、同時に虎牢関から退却を示す銅鑼が鳴った。
ぎりぎり間に合ったな。
放心して座り込む二人を一瞥し、俺は虎牢間へと退却した。
説明 | ||
今更ながら諱の設定は無しの方向でいきます。猪々子とか字がわからんからどうしようもないし…… 一刀の口調は、濡れ場中だとたまに変わります。 コメントで、1の次が7だったというご指摘をいただきました。 実は、2〜6は1をupした時ついでにupして、非公開にしていました。 なので新作扱いされてないので、確認しずらかったかとおもいます。 次からはこんな事が無いよう1話ずつ更新していきます。 見ていない方がいれば、久遠18の前にupされていますので、ご覧ください。 |
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コメント | ||
さすが下半身www(ホワイト) 連合・・・・大丈夫かな???(スターダスト) なんという技巧派・・・(斑鳩弍號) いっそすがすがしい悪漢ぶりw(hachidori) エロ一刀の降臨。一刀がキスしたら記憶が戻るから(連合が)やばいんじゃないのか?(VVV計画の被験者) 記憶戻るだろうなー(デーモン赤ペン) 一刀・・・精神攻撃が巧いですね・・・(字はこれであってるかな?)次も楽しみにしてます(ミドラ) 連合の主要勢力の将にものっそ白い目で見られそうなことを・・・・・・(アルヤ) これは・・・両看板に対してのフラグになるのか?(たこきむち@ちぇりおの伝道師) 両看板をいきなり持ち帰るのかと思ったw総大将でもある麗羽にはどう対応するのか?次回も期待しております。(shirou) |
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