Fateなんとなく書いてみた6 |
Side:白
なんだ・・・これ?
教会で聖杯戦争の参加を決意し、十年前の火災の真実を知ったあたし――衛宮白――は目の前にいる存在に絶句した。
圧倒的な威圧感、目の前にいる者は危険だと肌で感じる。体どころか意識まで凍ってしまいそうだ。
その存在――女性――は見た目こそ普通だが内包している力は全くと言っていい程に普通じゃなかった。
その女性は前髪で顔が隠れているが、赤く輝く瞳がこちらを見ていることはわかる。
女性を引き連れているのは銀髪の少女、あたしがいつかの学校の帰り道にすれ違った娘だ。
「こんばんはお姉ちゃん、こうして会うのは二度目だね。そしてはじめましてリン。私はイリヤスフィール、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンって言った方がいいかしら?」
「アインツベルン!?」
少女の名乗りに遠坂は驚いた様子だ。遠坂は知っているのか、この少女のことを。
遠坂の様子を察するに有名な魔術師の家系なんだろう。
だがそんなことより気になるのはイリヤスフィール・・・長いのでイリヤと呼ぶが、イリヤの背後に佇む女性だ。
浅黒い肌に民族衣装のようなものを身にまとっている。
「それに何なのあのサーヴァント、単純な能力ならセイバー以上じゃない・・・なんてデタラメ・・・!!アーチャー、アレと貴方が正面から戦うのはあまりに分が悪すぎるわ。あなた本来の戦い方に専念すべきよ」
そう呟く遠坂、どうやら自分のサーヴァント――アーチャー――に向かって指示しているようだ。
霊体化していて姿の見えないアーチャーは応答する。
「了解したが、守りはどうする?あれほどの力を内包しているのだ。生半可な守りでは凌げまい」
アーチャーは己の懸念をマスターに尋ねる。
遠坂はそれに苦虫を噛み潰したような表情ではあるが答えた。
「流石に倒すことはできないでしょうけどこっちは三人、凌ぐだけなら何とでもなるわ。いえ、何とかする」
「了解した」
了解したアーチャーはどうやらその場から去ったようであった。
すると遠坂は今度はあたしに視線を合わせた。
「衛宮さん、逃げるも戦うも貴方の意志次第よ。・・・けど出来ることなら何とか逃げなさい」
「大丈夫だ、覚悟は・・・出来てる」
「そう・・・ならいいわ、セイバーも準備はいい?」
「はい、シロが決めたことならば・・・私はシロの、マスターの為に全力を尽くすまでです」
あたしは頷いて少女の方へ向き直った。
少女は涼しげな表情を浮かべながら軽い口調で訪ねてきた。
「相談事は終わった?なら、始めちゃっていいかしら?」
あたし達は身構えた。
来るべき戦闘に備えて。
そして。
「やっちゃえ!バーサーカー!」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」
幕は開く。
Side:退
「・・・!?」
白達を見送ってからしばらくして、異常なまでに悪寒がした。
今まで感じてきたチャチなレベルじゃない。
死に直結しているんじゃないかと思われるほどの悪寒。
もしかして、白達に何かあったのだろうかと不安が過(よ)ぎる。
「・・・行くか」
心配で仕方ない、何かあってから後悔しては遅いのだ。
これが白の理想の為に決めた選択でという前提があるならば俺はあまり関与しないが、不慮の事故となったりするならば話は別だし命に関わるならば尚更だ。
兄として、助けないわけにはいかない。
いや、助けられないとしてもだ。行かなければならない。
妹の為なら俺はどんな傷だって不名誉だって背負う。
俺は衛宮白の兄なんだから。
「さて、その前に・・・あの人から貰ったアレを持っていくか」
万が一、あの人みたいな非現実的な者に襲われたりしてたりしたら、手ぶらじゃ敵わないからな。
辿り着いた其処は戦場だった。
そこかしこが破壊され、何があったんだと思わず誰かに問いたくなるような惨状だ。
だがそこに俺の妹とその友人たちはいた。
しかし、白と遠坂さんは動けもしないようだった。
確かに、と俺は納得せざるをえなかった。
俺は遠くで戦っているセイバーさんと謎の褐色肌の女性を見て、その圧倒的な光景を、彼女らと同じ光景を目の当たりにしているのだから納得するしかない。
俺は一瞬で頭を切り替えた。
ここはどうやら俺の知っている日常とは全くの別物らしい。
どこからか飛来している何か――弓だろうか――が、セイバーさんを援護しているようだがあの女性はものともしていないようだった。
お互いの剣戟がぶつかり合い火花が散る。
その衝撃は窺い知れるものではない、凡そ一般人に受けきれる一撃ではないだろう。
あれほどの練度を持つセイバーさんもそうだが、あの女性も何者なのだろう。
しかし今はそんなことをゆっくりと考えている暇はない。
何故ならば拮抗していたパワーバランスが徐々に崩れてきたからだ。
セイバーさんが押され始めてきたのだ。
俺は即座に飛び出す。
一本しかない腕に一本の刀を携えて。
刹那、セイバーさんが女性の岩を切り抜いたような大剣の一閃を諸に受け止め体勢を崩す。
是非もない。
「駆ける・・・!」
一切の無駄を無くし最速の一歩を踏み込む。
これを繰り返し行うのは足への負担が大きいがためらっている暇はない。
セイバーさんに刻一刻と危険が迫っているのだ。
女性がセイバーさんに向かって大剣を一閃する。
俺は思い切り体勢を低くし、女性の一閃とセイバーさんの間に割って入る。
そして俺は来るべき衝撃に備えその場で屈み、手に持った刀を地面に突き立てて受け止めるべく足に力を入れる。
「・・・!? 兄君!?」
「あ、兄貴!!」
「な、なんでここに!?」
「くっ・・・!!」
遠くからの弓の援護が大剣に命中し、勢いを緩和させる。
内心で姿の見えない援護者に感謝し、その一撃を受け止めた。
「ぐっ・・・!」
重い、だが先程の援護のおかげか受け止められないほどじゃない。
これが援護なしだったならば間違いなく俺は押しつぶされていただろう。
俺は攻撃の衝撃を利用し、そのまま後ろに思い切り飛んだ。
「ふぅ・・・」
俺は相手が追撃してこないことを確認してから一息ついた。
冷や汗が酷い。
震えはない、実は殺し合いは初めてじゃない。
以前に両儀と名乗る少女と一戦交えたことがある。
その時は両儀の友達の黒桐という眼鏡の少女に助けられたが、この褐色肌の女性は両儀と違いあの特殊な眼を持ってないにしても、それに匹敵する恐ろしさがある。
「大丈夫か兄貴!?」
心配だったのだろう。白が近寄ってこようとする。
「阿呆!油断するんじゃねえ、まだ終わっちゃいねえんだぞ!!」
「・・・!!」
しかし俺はそれを一喝した。
ここで見ていて分かったが足手纏いの白が敵に少しでも近づくのは得策じゃない。
俺はこちらを何故かキョトンとした表情で見る女性に対峙する。
すると女性は俯きくっくっ、と笑い始めた。
「大したものだ、我が一撃に仲間を助けるべく潜り込み、あまつさえ受け止めるとは・・・その刀、何か特殊な霊装か?」
「しゃ、喋った!?」
すると後ろにいた遠坂さんから素っ頓狂な声が上がる。
そりゃ喋るだろう、力こそ人外じみているが人?なのだから。
それともこの戦いを切り抜けるのに重要なキーパーソンだとでも言うのか?
「どうした、遠坂さん。それはこの場で重要なことなのか?」
「だってバーサーカーなんでしょう!?バーサーカーは理性を代償に強力な力を得たサーヴァント、本来なら言葉を話すような知性を持たない筈よ!!それに退さんも何よ今の移動速度、貴方魔術を知らないんじゃなかったの!?それにその刀は一体・・・結構な魔力を内包しているようだけど・・・」
「はっ・・・えっと、魔術って・・・なに?」
「え?」
「え?」
お互いに?を浮かべる。
その様子を見た女性――バーサーカーさん?――は愉快そうに笑った。
「ふふ、実に面白い。魔術の存在を知らず魔術を使わずしてその実力か。一切の無駄を無くした動きの成せる技か・・・」
「リン、驚くのは無理もないわ。私も驚いたもの」
見知らぬ銀髪の少女が会話に割って入ってくる。
少女はどうやらバーサーカーの主人的な人物なのだろう。
その少女もバーサーカーに理性があったのに驚いたという。
一体どういうことなんだ?そもそも魔術って何?
「バーサーカーは勇猛EXのスキルを持っているみたいでね、どうやら狂化させる以外では理性を失わないようなの」
「そんな情報を私たちに教えるだなんて・・・随分余裕ね?」
「そりゃそうよ、貴方達じゃ私のバーサーカーに勝てるわけないもの。なんて言ったって私のバーサーカーはあの大英雄ヘラクレスなんだから!」
「ヘラクレス!?そんな英雄がバーサーカーで能力強化されている上に理性があるだなんて・・・ってじゃあまさか宝具は!?」
「そう、十二の試練(ゴッド・ハンド)。12回の蘇生魔術の重ねがけ、だからバーサーカーは一、二回殺したくらいじゃ死なないんだから!」
それを少女が言うと、バーサーカーは少し悲しそうな表情で呟く。
「死なないといってもかなり痛いのだが・・・だというのにどいつもこいつも『まあこいつ十二の試練越えてるし大丈夫だろ』って思いっきり無理難題押し付けおって、そのせいで男も出来ないし・・・うぅ・・・」
「・・・」
な、なんか可哀想になってきたんだが・・・。
しかし、恐らく175cm越えであろう長身のワイルドな魅力の女性がシュンと落ち込んでいると先程まで殺しあっていたとはいえ、こう・・・クルものがある。
「えっと・・・バーサーカー?」
「ぐすっ、なんだ・・・?勇敢なる者?」
「それって俺のことか?まあいいが、まあなんだ。あんまり気にするな、俺はアンタみたいなワイルドなタイプ嫌いじゃないぞ?は、ははは・・・」
口説いてどうする俺!
何サラっと変なこと言ってんだよ!
恥ずかしい・・・。
「え、あ・・・うむ。あ、ありがとう・・・」
俺たちはお互い顔をあわせて赤くなって俯いてしまう。
そんな霧散した戦場空気に、除け者だった白とセイバーと援護者――アーチャー――が呟いた。
「なんでさ・・・」「なんでですか・・・」「何故だ・・・」
この後、退達はまた戦いを再開するのだろうか?
それは、神のみぞ知る。
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どうも、闇ロマです。
今回主人公が戦闘に乱入しましたが、せっかくなのでステータスだけでも参考につくってみました。
名前 衛宮 退
性別 男性
身長・体重 182,5cm 72,3Kg
属性 秩序・中庸
筋力:D
耐久:E
敏捷:A+
魔力:E
幸運:B+
宝具:?
対魔力:D
いやあ、速さしか基本はありませんね。
腕があれば筋力がC+は言ったかもしれない。
正直敏捷がまじ人間じゃありませんが主人公補正的な感じで大目に見てくださいお願いします!
また、バーサーカーのスキル設定については完全に私のオリジナルです。
バーサーカーのキャラが気に障った方は申し訳ありませんでした。
なんか酷いバランスブレイカーになる気がしますね、いやさせないよう努力しますけどね。
では。
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Fateの性転換祭りハーレムとかあんま見ないな、とか思ったのでちと書いてみた。適当にやっていこうと思います。 |
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