〜貴方の笑顔のために〜 Episode4 蜀の危機
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〜一刀が向かう1日前の蜀〜 

 

〜桃香視点〜

 

 

どうして・・どうしてこんなことになってしまったのだろう?

私は、私は間違っていたのだろうか? 

それとも、もう平和になったって。華琳さんが平和をつくってくれるって

そう、甘えていたのだろうか?

 

「桃香様っっ!ご無事ですか?」

 

私の大切な友達でもあり、頼りになる女の子

関羽雲長、愛紗ちゃんが慌ただしく玉座の間に駆け込んでくる。

 

「うん・・・だ・・大丈夫だよ愛紗ちゃん・・・」

 

私にはそんな答えしかできない。気持ちはみんな一緒なのに

私だけがこれでいいの?

元気にふるまおうとするけれど、やっぱり私には無理みたい・・

 

「しかし張任めっ!皆が平和へと歩いている中

 何故反乱をおこすかっ!!」

 

そう、私たちは今、この乱世がやっと終わったというのに、

内乱という問題にぶつかっている。

悪いのはきっと私。

益州にせめ行ったときに、私はなるべく人は殺してはいけないと、

投降した者は味方に迎え入れるようにと、そういっていた。

その時の一人の将が張任さんという、人だった。

私は、わたしは、こんなことは考えもせずに、相手のことも

ちゃんと見ないで、愛紗ちゃんの意見も無視して、彼たちを仲間に迎えた・・

 

「そうなのだ!みんな楽しくしてるのに変なやつなのだ!

 んでも、鈴々がやっつけるから平気なのだ!」

 

と笑いながらいう鈴々ちゃん。でも鈴々ちゃんはきっと私を元気づける

ためにわざとこういっているんだと思う。

 

「あわわっ あの鈴々ちゃん、笑い事じゃないです・・・」

 

「はわわっ・・・そうです」

 

と冗談気に釘をさす蜀軍二大軍師、朱里ちゃんと雛里ちゃん。

この二人も自分のことを心配してくれているのだろう・・

 

だめ、だな私・・

しっかりしなくちゃ。

 

そう思い私は頬を叩き、王としての顔でいう。

 

「みんな、ごめんね。でも、もう大丈夫だから。」

 

ふぅっ、と一呼吸をおく。そうすると愛紗ちゃんたちの心配そうな顔は一度和らぎ、

そして引き締まった。

 

「それでは、張任さんの反乱の件について、軍議を行いたいと思います」

 

 

 

 

そんな桃香の言葉によって軍議がはじまった。

 

「じゃあ、まずはじめにそうですね・・・じゃぁ朱里ちゃん、

 現状説明をよろしくね」

 

「はい、桃香様」

 

「敵は元劉璋配下の張任将軍と冷苞将軍です。

 張任将軍は、白帝城で、籠城戦に備えているようです。

 冷苞将軍は、この成都の街に火矢をはなち、

 今は行方知れずです。」

 

「ありがとう、朱里ちゃん。雛里ちゃん、敵の数は?」

 

「はい、張任将軍のもとには約三千、冷苞将軍のもとには

 約二千の兵がいるようです」

 

「ふむ・・・それならば、数的優位なのだが、

 冷苞殿の行方が気になるな・・・」

 

と考えている星。

 

「はい・・・問題はそこなんですが・・“伝令です!”  はわわっ!?」

 

皆が星の問いかけについて考えていたとき、

玉座の間に、ところどころ負傷し、

今にも倒れてしまいそうな兵が駆け込んできた。

 

「何だっ?」

 

そんなただならぬ兵の様子に愛紗が身を構え答える。

 

「はっ。北東の長坂の関のあたりに五万の兵を確認しましたっ」

 

その伝令の報告により王座の間は少し騒がしくなる。

 

「少し静かにしてみんな、最後まで伝令さんの話をきこうよ。」

 

そんな桃香の言葉に周りが静まる。

 

「それで、伝令さん。それは敵なのかな?旗は?」

 

「はっ。冷であります」

 

その答えに、愛紗が驚く。

 

「冷だと?・・・っ!冷苞か・・・

 しかし冷苞は確か二千の兵のはずだがっ!!」

 

「落ち着け、愛紗よ。そうあわてていては何もわからん」

 

「うぅぅ・・・星・・・すまん・・」

 

「ふむ・・・してその五万の兵とは?」

 

と伝令に尋ねる星。

 

「はっ。見た目からして五胡の兵かと・・」

 

「何っ!?五胡だと・・・」

 

これにはさすがに星も含め、場にいた皆が困惑している。

五胡兵といえば、確かに前より懸念していた問題だが、

冷苞がいっしょにいるということが気になるのであろう。

・・・そんな中、一人だけは冷静に事態を捉えていた

 

「あの・・・劉備殿、少しよろしいでしょうか?」

 

そんな彼の一言に皆が彼のほうに目を向けた。

 

彼の名はケ賢―――――

張任、冷苞とともにかつて、劉璋に仕えていた武将。

しかし、劉璋の死をしると劉備へ降る。

そしてその日から彼は蜀軍一の細作部隊隊長として活躍している。

真面目で勤勉、そんな彼は皆から信頼されていた。

 

 

 

「それでケ賢さん・・なんでしょうか?」

 

そんなケ賢の言葉に桃香が尋ねる。

 

「はっ。劉焉様の時代より五胡とは内密に関係を築いて

 おりました。劉璋様もそれをひきついでおられました。

 しかし、これは益州のなかでも最重要機密だったために

 劉璋様をはじめ、張任、冷苞、そしてこの私四人にしかしられて

 おりません。とくに張任は五胡の民に信頼されていたため、

 その関係を利用したのではないかと」

 

「そうなの?紫苑さん?」

 

前に劉璋に仕えていた黄忠、紫苑に桃香が尋ねる。

 

「さぁ・・・私と桔梗と焔耶ちゃんは特に劉璋様に嫌われて

 いましたから私たちからはなんとも・・・

 ご協力できず、申し訳ありません。」

 

「えっ?あっいっいや・・・紫苑さんのせいじゃないよ・・」

 

「しかしなぜ私の細作部隊は報告がないのでしょう?」

 

ケ賢の細作部隊は軍のなかでかなりのものとして知られていた。

そして、その細作部隊から一言も連絡がないのはおかしい、そう思ったのであろう。

 

「はっ。冷苞将軍の指示によりケ賢様の部隊は全滅させられたようです」

 

「な・・・んだと?全滅?そんなばかなっ」

 

伝令のそんな言葉により先程までは冷静だった彼がいっきに焦りの表情を

顔に浮かべる。

 

そんなやりとりに、今までの話が、五胡のはなしが

事実であるということが皆に

伝わる。

 

 

「あぅぅ・・・朱里ちゃん朱里ちゃん・・・」

 

「うん・・・そうだね雛里ちゃん」

 

なにやら伝令とケ賢の話を聞き頷き合っている二人。

 

「どうしたの?朱里ちゃん、雛里ちゃん」

 

二人が何か分かったのではないかと思い、二人にそう聞く桃香

 

「はわわっ!あっその桃香さま、

 敵の狙いはおそらく白帝城に目を向けさせ

 古くからの仲だったケ賢さんの部隊の性質をよく知っていた上で、

 情報を制するためにこれを殲滅。

 情報戦で勝った上で冷苞将軍が五胡の兵を率いて

 成都を奇襲するつもりだったのではないかと」

 

「はい、そう、思われるのではないかと」

 

そんな二人の言葉にさすがだなと思う桃香。

 

「それでも、やっぱり、伝令さんがいなければ危ないところでした」

 

「ふぅ・・・そっか、危ないとこだったんだね・・

 よかった。ありがとう伝令さん、

 救護室に向かってけがの手当てをしてください」

 

「はっ」

 

そう、桃香が言うと伝令は下がった。

 

「とりあえずは、ですね桃香様」

 

そんな安心したような言葉をかけてくる朱里。

そんな姿にやはり、結構危なかったんだと改めて理解する。

 

「うん。」

 

「ですが桃香様、相手は五万、それに五胡兵の戦力はいまだ

 よくわかりません。即急な対策がひつようかと」

 

雛里の言葉にその場に再び緊張が走る。

 

「桃香様、張任さんは私、桔梗、焔耶ちゃんにまかせてくれませんか、

 彼はもともと益州の民を一番に考えていたお方。

 説得することが可能かと。」

 

そう一番乗りを切ったのは紫苑だった。

 

「うん、そう、だね」

 

そうして桃香は深呼吸をし命を下す。

 

「それじゃぁ北東の長坂には、星ちゃん、鈴々ちゃん、翠ちゃん

 蒲公英ちゃん、朱里ちゃんの五人でお願い。

 翠ちゃん、蒲公英ちゃんは機を見計らって

 華琳さんのところに伝えてきてほしい。

 白帝城には、紫苑さん、桔梗さん、焔耶ちゃん、雛里ちゃん

 の四人でお願い。

 成都には、愛紗ちゃん、恋さん、ねねちゃん、月ちゃん、詠ちゃん、

 ケ賢さんが残ってください。

 ・・・・これでどうかな?朱里ちゃん」

 

「はい。適材適所かと」

 

「うん、じゃぁみんなじゅん“大変ですぞー”・・・っへ?ねねちゃん!?」

 

軍議も終盤に近づいたところに音々があわてながら入ってくる。

 

「こら、ねね、こんなときにどこにいっていたんだっ?」

 

「うぅ・・・・はっそっそんなことより恋殿がっ恋殿がー」

 

「ふむ・・・そういえば恋がいなかったな」

 

「ふがー星はひどいやつなのです。

 恋殿を忘れるのはねねが許しませんぞー!!」

 

「ねねちゃん、おちついて・・・それより恋さんがどうしたの?」

 

「っは!?  そうなのです。恋殿が、なぜか急に居なくなったのです」

 

「なん、だと、それはどういうことだ音々?」

 

「音々にもよくわからないのです。ただ周りにいたものは、恋殿が

 なにか、桃香様に文をもらい、そこからいなくなったとからしいのです。

 それで、音々はここで訪ねたのですが、ここには居ないと言われ、

 ここに来たのですよ」

 

これに、桃香はものすごい驚いている。

 

「音々ちゃん、私、恋さんに手紙なんかおくってないよ・・」

 

「・・・え?」

 

そんな桃香の言葉に音々をはじめ、皆が驚いている。

 

「では、これも何かの奴らの仕業なのか!」

 

そう怒りながら言う愛紗。音々はそこで倒れそうになっている。

しかし、それもつかの間。彼女の目はいらだちに変わっていた。

 

割ける人員もないため桃香は音々に恋のことは任せることにする。

 

「ねねちゃん騎馬隊二千を連れて恋さんをお“当然なのです!”・・・・」

 

桃香の指示が終わる前にねねは玉座の間を飛び出していった。

 

不安が積もる中、桃香が最後の言葉で軍議をしめる。

 

「恋さんのことはねねちゃんにまかせて・・・・

 みんな私にまたちからをかしてね」

 

「御意」

 

 

このとき誰もが敵をすぐに鎮圧できまた平和な日常

が戻ってくると思っていた。

 

このときの彼女の、いや彼女たちの判断が絶望へのはじまりであることを

まだだれもしらない・・・・

 

 

そんな中、

皆が玉座の間をでていくのをみて

ケ賢は不敵な笑みをうかべていた。

 

説明
内乱が起こった蜀では皆が動揺を隠せないでいた。
部下、仲間、五胡、それらのものが蜀のを狂わせる。
起こるはずのないと考えていた反乱に桃香たちはどのように
たちむかっていくのであろうか?
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コメント
今回は軍議中心の話ですね。加えてケ賢の不敵な笑み・・・一刀は蜀を救えるのでしょうか?続きを楽しみにしています。(本郷 刃)
一刀は間に合うんでしょうか・・・続きがすごく気になります!(ミドラ)
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真・恋姫無双 恋姫†無双 北郷一刀 桃香 

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