ISとエンジェロイド |
第三話 クラス代表決定戦!!
入学してから翌週の月曜。クラス代表を決める日。
決闘内容は俺対オルコット。次に勝者対一夏となった。
「――なあ、箒」
「なんだ、一夏」
いつの間にか、互いを名前で呼び合う仲になっている。
ここ一週間はイカロス達に生活の基本と買い物の仕方を教えていたから、一夏が特訓をしていることしか知らなかった。
「気のせいかもしれないんだが」
「そうか。気のせいだろう」
「ISのことを教えてくれる話はどうなったんだ?」
「……………」
「目 を 逸 ら す な」
「し、仕方がないだろう。お前のISもなかったのだから」
「まあ、そうだけど――じゃない! 知識とか基本的なこととか、あっただろ!」
「……………」
「目 を 逸 ら す な っ」
一夏専用のISは今もまだ来ていない。
『……………』
一夏と篠ノ之が沈黙した。因みに俺はイカロスに授業で習ったところを、解りやすく教わっていた。
「お、織斑君織斑君織斑君っ!」
一夏の名前を三度も呼びながら、第三アリーナAピットに駆け足で山田先生がやって来た。
「山田先生、落ち着いて下さい。用件は何ですか?」
「あっ、はい。それでですねっ! 来ました! 織斑君の専用IS!」
「織斑、山下が戦ってる間に準備を済ましておけ。アリーナを使用できる時間は限られているからな。山下もそろそろ行け。相手は待ち草臥れているぞ」
「はい、分かりました。……起動、GUNDAM」
左手に付けているISが光り、全身に装甲を纏う。光りが収まった時には、トリコロールカラーの0ガンダムを纏い、銃と盾を装備している。
「それが航のISか。なんか凄そうだな」
「そうか? この試合を見てしっかり学習しろよ」
「ああ、そうさせてもらうぜ」
一夏とのやりとりを終え、ゲートに向かう。
「0ガンダム、山下航……出る」
背部にあるGNドライヴで浮遊し、出撃するとオルコットが既に待っていた。
「あら、逃げずに来ましたのね」
何か言ってるが無視だ。機体名は『ブルー・ティアーズ』、手に握っている武器は《スターライトmkV》か。見た感じ、接近戦が弱そうだ。
試合開始の鐘は鳴っているので、いつ行動を開始しても可笑しくない。
「最後のチャンスをあげますわ」
「必要ないな」
そう言って、俺はビームガンとシールドを構える。
「そう? 残念ですわ。それなら……お別れですわね!」
此方に向かってレーザーを撃ってくるが、シールドで防いでビームガンでビームを二発撃つ。
「くっ。でもこれからですわ。踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルーティアーズの奏でる円舞曲で!」
オルコットがレーザーをどんどん撃ってくるがどれも中らない。逆に俺が放つビームを悉く中るオルコット。このままでは不利になると判断したのか、ビットを四基射出する。
「無駄だ」
ビームを四発放ち、四基のビットを全て破壊する。
「そんな!? それでも!」
再びレーザーを撃ってくるが俺には中らず、俺の放つビームには中るオルコット。
オルコットのシールドエネルギーが残り三桁を切ったので、俺はビームガンを左手に持ち替えて、右手で背部からビームサーベルを取り出し、オルコットに接近する。
「掛かりましたわ。ブルー・ティアーズは六基あってよ!」
ミサイル型のブルー・ティアーズを撃ってきたが、ビームサーベルで斬りオルコットの懐に入る。
「これでトドメだ」
「きゃあああああ!?」
ビームサーベルでオルコットを斬り裂き、ブルー・ティアーズのシールドエネルギーを0にする。
『試合終了。勝者――山下航』
「そんな……わたくしが、一撃も与えることが出来ずに敗れるなんて……」
「お前は自分がエリートだと慢心していたから負けたんだ。これを期に改め、訓練すれば更に伸びるはずだ」
「はい」
「さて戻るぞ。強くなったオルコットと戦えることを期待している」
「はい! わたくしも精進して航さんと戦えるのを心待ちにしておりますわ」
俺はオルコットと共にAピットに戻る。
「それにしても強いな、航は」
「そうでもないさ。稼働時間が短くても機体の性能と技術で補っただけだ」
「ふーん。俺は簡単に負けないぞ」
「面白いことを言うな、一夏。俺は先に行くぜ」
再びゲートに向かい、飛び立つ。大凡の位置に着いたら0ガンダムが光りだし、一次移行を開始する。
「そんな、わたくしと初期設定の機体で戦い、勝利を収めていたなんて信じられませんわ」
「ほう。初期設定の機体で代表候補生を下すとは、なかなかやるな」
光りが収まり、色は肩から胴体まで青く、腕から手首と腰から下は白くなっている。一次移行を終えると一夏が空中にやって来た。
「いくぞ、航!」
「来い、一夏……エクシア、目標を破壊する」
試合開始のブザーが鳴り、俺と一夏は互いに突撃する。
『はぁぁぁああああ!!」
直後、雪片弐型とGNソード・ソードモード(以下ソードモードをSとする)がぶつかり、力が拮抗する。俺は一度距離を取る為に左手首からGNバルカンを連射する。
「隙あり」
「なっ」
一夏が回避した先に距離を詰め、GNソード・Sで雪片弐型を弾き飛ばして、両腰にある二種類のGNブレイドを投擲する。続いて後ろ腰部にあるGNビームダガー二本を一夏の肩に突き刺し、肩にあるGNビームサーベル二本を一夏の腰に刺して持ち上げる。
「これで終わりだ」
GNソード・Sを下段から上段へ逆袈裟斬りをして白式をシールドエネルギーを0にした。
『試合終了。勝者――山下航』
試合が終わっての帰り道。俺は一夏と篠ノ之と一緒に帰っている。
「一夏は気を抜きすぎだ。巧く立ち回れば勝機を掴めたはずだ」
「そう言ってやるな。初めての専用機で浮かれてたんだから」
「ぐっ。事実なだけに言い返せない」
思えば左手を開いたり、閉じたりしていたな。
「航、箒、頼みがある」
「む、なんだ?」
「頼みとは?」
「今の俺じゃあ、千冬姉の名前を守ることができない。だから、俺にISの訓練をつけてくれないか?」
一夏から頼み込んできたか。俺も技術の向上ができるから引き受けるか。
「わかった。俺のISを深く知る機会だからな」
「私もいいぞ。お前は剣道の腕が落ちてるからそれを維持するのも必要だろう」
「有難う、二人共」
「それじゃあ明日から猛特訓だな」
「うむ。厳しくするからな」
「げっ。やっぱりやめようかな」
そんな話しをしながら寮に帰った。
翌日、朝のSHR。山田先生がクラス代表の発表を行った。
「では、一年一組の代表は織斑一夏君に決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」
山田先生が嬉々として喋り、クラスの女子も大いに盛り上がっている中、暗い顔をしているのは一夏だけだ。
「先生、質問です」
「はい、織斑君」
「俺は昨日の試合に負けたんですが、なんでクラス代表になってるんでしょうか?」
「それは、俺とオルコットが辞退したからだ」
「わたくしも大人げなく怒ったことを反省しまして“一夏さん”にクラス代表を譲ることにしましたわ。やはりIS操縦には実戦が何よりの糧。クラス代表ともなれば戦いには事欠きませんもの。それに“航さん”とご一緒に訓練すれば、効率が良さそうですから」
「いやあ、セシリア分かってるね!」
「そうだよねー。折角このクラスに男子がいるんだから、同じクラスになった以上持ち上げないとねー」
「私達は貴重な経験を積める。他のクラスの子に情報が売れる。一粒で二度おいしいね、織斑君は」
クラスメイトを売って何がいいのだろう。
「静かにしろ、馬鹿ども」
織斑先生の一声で途端に静かになるクラスメイト。
「クラス代表は織斑一夏。異存はないな」
はーいと一夏以外のクラス全員が一丸となって元気良く返事をした。
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