僕と君とやり直したい出来事と 第2問 |
―中庭ベンチ―
??『おやおや。何か悩んでるのかね?』
明久『・・・え?』
急にこちらに話し掛けてくる老人・・・。
まさか僕に話し掛けて・・・ないよね?
明久『そうだよね。きっと、このベンチの後ろにいる人にでも―――?いないね・・・』
えっと・・・、それじゃあ僕に話し掛けてるのか?
??『ここにはワシと君しかおらんぞ?』
明久『な、なんで僕が見えるの!?』
??『当然じゃわい。ワシも君と同じ状態だからに決まってるじゃろ』
明久『それじゃあ―――』
??『だが、君とは違うと言っておこうかの』
・・・え〜っと、どういう事なのかな?
明久『・・・どういう事でしょうか?』
??『ま、早い話。ワシは君と違って眠っている訳ではないって事じゃ』
明久『ならどうして―――』
??『強いて言うなら――。君が気に入ったからかの』
明久『気に・・・入った?』
ヤバい・・・。
初対面なのに気に入ったって・・・。
このおじいさん頭は大丈夫なのか?
??『おいおい、ワシはいたって正常じゃぞ?』
明久『げ!?』
心を読んだの!?
明久『なんでわかったんですか・・・?』
??『ワシは人間じゃないからのう。心を読むくらい朝飯前じゃ』
明久『・・・人間じゃない?』
??『ま、それは後で説明してやる。君には聞きたい事があるからの』
聞きたい事?
??『君はどうやら、彼女の代わりに車に跳ねられてそうなってしまったようだね?』
明久『!?なんで知ってるんですか!?』
??『だから、さっきも心が読めるって言ったじゃろ。・・・それに、ちゃんとワシは見ていたからな』
明久『はい?』
??『ワシは君を空(うえ)から見ていたのじゃ』
やっぱり頭が―――。
??『だから正常じゃ!ったく、もういいや。このしゃべり方も疲れる』バフン
明久『へ?えぇ〜!?』
??『うん。これでいいかな?』ニカッ
明久『ぼ、ぼ・・・僕!?』
おじいさんから僕の姿に変わったぁ!?
??『僕は気に入った人なら、自由に姿を変える事ができるんだ。例えば―――』バフン
明久『ま、まさか―――』
??『・・・明久。久しぶり』バフン
明久『む、ムッツリーニ!?』
??『久しぶりねアキ!』バフン
明久『美波!?』
??『久しぶりですね明久君』バフン
明久『姫路さん!?』
??『どうしたのじゃ?明久』
明久『ひ、秀吉まで!?』
えぇ〜!?
??『おひさー吉井君♪』バフン
明久『工藤さん!?』
??『随分久しぶりだね吉井君』バフン
明久『久保君!?』
??『また貴様か吉井!!』バフン
明久『て、鉄人・・・』
??『どう?なかなか面白いでしょ』
結局僕に戻るんだ・・・。
・・・でも。
明久『なんで君は僕の知り合いばかり姿を変えるの?』
??『だから言ったじゃないか。僕は気に入った人なら自由に姿を変えれるって』
明久『・・・つまり、君が気に入った人達は僕の身近の人達って事かな?』
??『そういうこと。なんたって僕は君達が産まれた時から見てきたんだから。それに、君達を引っ付けたのは―――僕”達”なんだよ?』
明久『そうなの!?』
??『僕は君達を見ていて思ったんだ。この人達を出会わせたらどうなるんだろうってね』
それって・・・。
??『そして案の定、君達を出会わせてよかった。お互いを刺激しあって力をつけ、そして協力していく姿を見て僕達は感動したよ。まあ、大抵バカな行動をとっていたけどね』
明久『・・・』
よかったのかな・・・?
??『さ、ここで無駄話は止めにしよう』
明久『そうだね』
??『早速本題―――率直に聞くよ?』
・・・。
??『君はどうしたい?』
明久『・・・え?』
??『今、体に戻ろうと思えばすぐにでも戻れるんだ』
明久『・・・』
??『でも、君はそれでも迷ってるんだろ?』
明久『・・・はい』
??『・・・今戻るのが怖いのかい?』
・・・いや、怖くなんかない。
違うんだ・・・。そういう事じゃない。
??『彼女の気持ちを考えてあげれなかった―――』
明久『!?』
??『この思いが原因だね?』
明久『そう・・・。僕はどうすればいい!?このまま戻っても大丈夫なのか!?また、考えなしで同じような事して―――また彼女を悲しませないか?・・・それが不安なんだ』
??『・・・もし、事故が起こる前まで時間を戻せる事が出来たとしたら―――君はそうするかい?』
時間を・・・戻る?
明久『・・・する』
??『何故かな?』
明久『悲しんでほしくない・・・。僕は彼女に―――僕の親友に悲しんでほしくないんだ!』
戻れるとしたら―――絶対防いでみせる!!
??『・・・ふふふ、さすが”僕”だ。そうだね、悲しませたくないか・・・。それじゃあ、君に選択肢を与えるよ』
・・・選択肢?
??『1、今すぐ―――とは言わないが、このまま体に戻る。2、このまま決断できずにさまよう―――そして、3だ・・・。3、君は過去に戻り人生をやり直す』
明久『人生をやり直す?』
??『そう僕の力でね』バサッ
羽!?
一体―――!?
明久『君は一体何者なんだ!?』
??『僕はこの世界の時間を管理する―――神さ』
明久『な!?神様!?』
??『僕は君の事を一番気に入っている。だから、君のために一度だけ―――一度だけ好きな過去からやり直せるようにしてやろうじゃないか』
明久『な、なんで僕のために・・・』
??『ふふっ、別に君だけのためじゃないよ?今、悲しんでる彼女や親友も何事もなかったように―――いまの記憶を無くす。もちろん、君の怪我も全て無くなる』
それじゃ―――!
神様『ただし、3を選ぶ場合はよく考えるんだ』
明久『どうして?』
神様『どうしてか・・・。それは今の記憶からその戻った時までの記憶までが消えるからさ。君は例外としてね』
明久『それじゃあ!?』
神様『もし君が小学校から・・・。中学校や高校の初めから始めたいと願うなら―――今の彼女とはなんの関係もない――親友も親友じゃなくなる』
僕以外の人の記憶が無くなる・・・か。
でも、もう決まってるんだ。
記憶を無くしても、1から始めればいいんだ!
明久『・・・僕は3を選ぶよ』
神様『・・・そうか、時間はどうする?』
明久『時間は僕が文月学園二年生の時―――出来たら『清涼祭』の前日にでも戻らせてほしい』
神様『それじゃあ、彼女との関係がほぼないところからのスタートだな。本当にいいのか?事故が起こる前じゃなくても』
明久『うん。実はさっきの君の変身した皆を見てると、もう一度ばか騒ぎしたくなったんだ・・・』
神様『そっか・・・』
明久『それに、僕は彼女に迷惑をかけすぎた。だから、出会う前―――最初からやり直したいんだよ』
神様『――本当に君らしいね。他の神も君を応援しているよ』
他の神・・・?
神様『普通は気に入ったからって、神が人にこんな事しちゃいけないんだよ』
明久『ん?じゃあどうして―――』
神様『この世界のすべての神が満場一致で君に一度だけチャンスをやろうってなってね』
明久『そっか――ありがとね』ニコッ
神様『ああ。――さて、もう君を過去に連れていくよ』ブン
神様の前に光が集中していく・・・。
神様『・・・では、さよならだ』
明久『そうだね』
どんどん光が僕も包んでいく。
ああ――意識もだんだんと・・・。
神様『そうだ。大事な事を言うのを忘れていた!?明久!』
・・・ん?
神様『君が過去に戻れば戻るだけ今の記憶は―――れてくる!未来をかえ―――から切っ掛け―――たえるんだ!!』
―――――
――――
―――
――
―
明久「むにゃむにゃ・・・はっ!?」ガバッ
ゆ、夢か・・・。
明久「まったく・・・。最近同じような夢をみるな・・・」
・・・なんで、あの子が僕の彼女なんだ?
ありえないよ・・・。
明久「・・・」
でもなんだろう・・・。
この夢は本当にあった出来事なような気がする・・・。
明久「・・・ん?あぁ!?」
ヤバい!?
早く学校に行かないと鉄人に怒られる!?
明久「うおぉぉ!!」バタン
僕は制服に着替えて家を飛び出した。
―上空―
あちゃー・・・。
神様『やっぱりうろ覚えな状態になちゃったかぁ・・・』
あの時最後に言った言葉―――。
神様『・・・何か切っ掛けさえ掴めればいいんだけど』
この物語の本当の始まりは―――ここからである。
説明 | ||
僕と君とやり直したい出来事との続きです。 | ||
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待ってました!次も楽しみにしてます(ルッチ) | ||
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