おや?五周目の一刀君の様子が……9
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「このド阿呆が!!」

 

虎牢関に帰ってくると、張遼が額に青筋を浮かべて迫ってきた。

理由はわかっている。勝手に出陣したことに激怒してるんだろう。

 

「うちは一刀なら銀華を止められると思って副官にしたんやで」

 

「まぁ銀華なら止められたな。俺が((出陣|で))たかっただけなんだ」

 

「尚の事悪いわ!」

 

張遼の意図を知っての行動だからな。

俺も少なからず悪いとは思うので、素直に聞き流しておこう。

 

「霞!ここにいたのですか!」

 

と、捲し立てる張遼の背後から陳宮が慌てた様子で走ってきた。

 

「何や!うちはまだ一刀に言いたい事が……」

 

「洛陽からの報告で、月殿が危ないと!」

 

その言葉に張遼の表情が一変する。

舌打ちを一つ放ち振り向く。片腕を広げ、羽織を大きく棚引かせた。

 

「恋を叩き起こしぃ!部隊の再編や!夜が更けると同時に洛陽へ戻るで!」

 

言うが早いか張遼自身も帰還の準備へ向かった。

何が起こったかいまいち把握できないが、とりあえず洛陽へ後退するみたいだな。

なら、俺のおかげで後退前に一当てできたって事か。

まぁ結果論だが。

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「…………虎牢関が無人?」

 

「はい。袁紹が偵察を放ったところ、中には呂布どころかネコの子一匹いなかったそうで」

 

「何の罠かしら」

 

「分かりません。呂布も張遼も華雄も健在な現状、虎牢関を捨てる利点はありませんし」

 

「虎牢関が落とされた後なら本土決戦も考えられるけど……董卓軍としてはこのまま現状維持の方がこちらの兵力を削れるはずよね」

 

「もし都での籠城戦となると、民にも心を配らねばならなりません。それをするくらいなら、兵しかいない砦で籠城した方がはるかに負担が少ないはずです」

 

「やはり罠かしらね」

 

「そうとしか思えません。どこかの馬鹿が功を焦って関を抜けに行ってくれれば良いのですが……」

 

「華琳様ー。今連絡があって、袁紹さんの軍が虎牢関を抜けに行ったみたいなのー」

 

「…………」

 

「…………」

 

「……ここは素直に馬鹿に感謝しとこうかしら。袁紹が無事に関を抜け次第、私達も移動を開始するわよ」

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「お、女も金も好きなだけやる!だから頼む!命だけは……」

 

張遼によって突き殺された仲間を見、床へ額をすりつけ懇願する肥えたおっさん。

その惨めな姿も、屑な台詞も反吐が出る。

剣を一閃し首を刎ねる。

似たような死体は数体あり、室内に溜まったむせ返る様な血の匂いが鬱陶しかった。

 

「全部片付いたみたいだな」

 

「そうやな。別に一刀までこない嫌な役やらんでもよかったやで?」

 

洛陽への道中、事の次第を聞かせてもらった。

簡単に言えば、十常侍っつー奴らが董卓に手を出そうとしていたらしい。

董卓とは十常侍を始末する前に紹介され会ったが、これまた可愛らしい少女だった。

星の話だとこの子を侍女として自分に侍らせていたらしいが、大納得だ。俺でもそうする。

ああいう女の子は後数年立てば立派な美女に化けるだろう。

とまぁそんな董卓に手を出そうとしてた十常侍に俺も苛立ちを覚え、今に至る。

 

「俺がやりたいと思ったからやっただけだ。あの子も行く行くは……」

 

言うなれば董卓はまだ青い果実だろう。数年の時を得、赤みを帯びて食べごろを迎える。

収穫の時期になったら、俺が迎えに行ってやるさ。

 

「月にまで手ぇ出す気なんか……銀華見たいにちゃんと想い合ってるならうちは構わんけど、詠が黙っとらんでぇ」

 

賈?か。癖の強そうな女だったが、ああいう女に自分を惚れさせ、素直にさせるのが醍醐味ってもんだと俺は思っている。

なんにせよ、今は結果を報告しに行くか。

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「そう……ありがとね」

 

張遼と俺からの報告を受け、眉を顰め顎に指を沿え思案する。

 

「詠、ここまで来たら後には引けんで?」

 

「分かってるわよ。分かってる……けど」

 

賈?とはまだ会って間もないが、すぐにわかったことがある。

異常と言える程董卓に心酔しているようだ。

戦には負けても董卓の命だけは……その様な考えが、言葉の随所に見受けられる。

まぁ、張遼や陳宮等がそれを理解した上で賈?に従っている様なので問題はないだろうが。

この戦で董卓の命を繋げるためには、勝利が逃亡の二択。

袁紹により連合まで組まれたこの戦。連合の勝利では、恐らく董卓の首無しに治まりはつかないだろう。

よって逃亡も無理。となると、この劣勢の中勝つしかないわけだ。

賈?の中ではその勝利への図式が描けていないのだろう。

 

重い空気の中、一人の兵が駆け寄り膝をつける。

 

「賈?様、張遼様!こちらにおいででしたか!」

 

「何かあったんか?」

 

「はっ。地平の向こう、虎牢関の方角より大軍団が迫っている様子。恐らく、連合軍かと……」

 

「相変わらず早いなぁ……総員に戦闘準備を通達!今度こそちゃんとした籠城戦やし、虎牢関よりも長期戦になるで!」

 

さて、第三ラウンドの始まりか。

勝利のために頑張りますかねぇ。

説明
久遠の執筆が進まない……
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コメント
な・・・なんと言う狼;(スターダスト)
もう全員「当店でお召し上がり」コースだな(デーモン赤ペン)
一刀さん月を食べる気満々ww(たこきむち@ちぇりおの伝道師)
一刀はどんな奇策で切り抜けるか楽しみにしてます(ミドラ)
篭城戦って基本援軍を頼りにした戦法だからなぁ。目的は連合の兵糧切れだろうが。(アルヤ)
待ってましたぁ! 続きがきになります!(斑鳩弍號)
洛陽での篭城戦かぁ。篭城しながらどれだけの将を篭絡するのか楽しみです。次回も期待しております。(shirou)
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