灰色の立派な魔法使い(マギステル・マギ) 第八夜 |
「くぁ〜…」
「これこれ女の子がはしたない」
眠いのだからしょうがないだろ。早朝ジジイから電話があり『今すぐ来ておくれ』などと言い出し、小僧に関係することだというので仕様がなく小僧を叩き起こし、茶々丸と一緒に学園長室に向かった。
学園長室につくとジジイが袋を取り出し『アレン君これを着て来なさい。隣の会議室を使っていいから』と言った。小僧は寝ぼけ眼のまま袋を持って着替えに行った。それを私は待っているという事だ。
「マスタ−眠いのでしたら缶コーヒーでよろしければ買ってきますが?学園長もどうですか?」
「あぁ…たのむ」
「すまんの茶々丸君。お金はワシが出すから3個買ってきてくれんかの?」
「はい」
まったく人の従者に命令するな。しかも小銭はちょうど3個買える値段…ケチめ!
茶々丸が出て行った後、3度目のあくびが出そうになったときノックの音が鳴った。
「アレンです。着替えてきました」
「おお!待っとったぞ。入りたまえ」
そして扉が開く。中に入ってきたアレンの姿は…
「えっと…どこか変でしょうか?」
麻帆良学園の制服を着た姿だった
朝エヴァンジェリンさんに叩き起こされた僕は問答無用に学園長の下に連れてこられて着替えて来るように言われた。目覚めた時『夢じゃなかった』とがっかりした。でもしょうがないと思いながら、教団の服から渡された服に着替えた。
服はスーツに似ていたけど着にくさはなく、教団の服より頑丈ではないけど、それなりに頑丈なつくりだった。初めて着るものだから少し手間取ってしまったが、何とか着替え学園長室に戻った。
「えっと…どこか変でしょうか?」
「大丈夫じゃよ。似合っておるよ」
「ふん、まあまあじゃないか?」
僕の制服姿を2人は褒めてくれた。初めて教団の制服を着た時リナリーが褒めてくれた時の事を思いだした。
「ふむ…寸法の方は大丈夫かの?」
「えぇ。袖の長さも裾の長さも丁度でした。…そういえば茶々丸さんは?」
「呼びましたか?」
「うわ!?ちゃっ茶々丸さん!?」
僕が茶々丸さんが何処にいつか尋ねると、いつの間にか後ろにいた茶々丸さんが声をかけてきて、僕は驚いてしまった。そしてその手には見たことのない缶詰みたいなのを3つ持っていた。
「驚かしてすみません。マスター、学園長、缶コーヒーを買ってきました」
「おぉ、ありがとう茶々丸君。一つはアレン君に渡してくれ」
そう言って茶々丸さんは手に持っていた缶を渡して、残りの2つを2人に渡した。
これは何だろ?缶詰にしてはちょっと小さいし、横にはcoffeeって書いてあるから中身はコーヒーなのかな?
「で、この服は何なんですか?エヴァンジェリンさん達のに似てますけど」
「似てるのは当然じゃ。なんせ君はこの学園の生徒になるんじゃからな」
「生徒…ですか?」
そう僕が聞くと、学園長は「うむ」と言って頷いた。確かにそう考えると胸元にエヴァンジェリンさん達と同じ紋章(学園章らしい)が施されている。
「君はこの世界じゃ身分を証明するものが全くない。だが学生という立場なら多少は誤魔化せるし、警察沙汰にならん限り平気じゃろ」
「それに小僧を学園で保護する意味合いも兼ねてるそうだ」
「はぁ…ありがとうございます」
僕は曖昧な返事をした。なんだが現実味のない返事なのは当たり前だ。昨日まで僕はアクマと戦ってきたのにいきなり学生になれと言われたのだから。
一息つくためなのか2人が手に持った缶を開けて飲み始めた。僕も見よう見真似で缶を開けると、空いた所からコーヒーの香りがしてきた。僕は驚きながらも缶に口をつけ傾けた。
「!?…おいしい…!」
「ん?そうか、アレン君にしてみれば初めて缶コーヒーを飲んだ事になるのか」
「時代を考えると、缶詰が関の山か…」
「缶コーヒー…ですか?」
コーヒーのお陰か目覚めてきた頭で、やっぱり未来だという事に理解し始めた。建造物はヨーロッパ調が多かったけど所々見た事のないものがたくさんある。そしてアクマがいない平和な世界。
(僕たちの世界も、こんな風に平和な世界にしたいなぁ…)
「それともう一つアレン君にしてもらいたい仕事があるんじゃよ」
「ふぅ…仕事…ですか?」
コーヒーを味わっていた時、学園長が話しかけて来たので飲むのを止めた。
「うむ。今日これから新任の教師が来るのじゃが、君にはそのサポートをしてもらいたいのじゃ」
「サポート…ですか?でも僕が出来る事なんて…」
「まぁサポートと言っても精神的に支えてもらうだけじゃ。なんせその教師は『10歳』じゃからの」
「なるほど、わかりま……へ?じゅ10歳!?」
学園長から発せられた言葉に一瞬頭が付いて行けなかった。普通に考えて10歳で教師なんて元の世界じゃありえないことだし、この世界でもありえない事だろう。
悩んでいた頭にある言葉が浮かび上がった。
「もしかしなくても…魔法関係者ですか?」
「そうじゃ。彼はイギリスの魔法学校を首席で卒業した天才での、修行の課題で『日本で先生をすること』と出たそうじゃ。で、」
「向こうの校長と友人関係のジジイが学園長をしているここ麻帆良学園で先生を…と言う訳さ」
学園長の説明にわって入り、説明を続けた。なるほど、確かにそう言う事なら説明がつくけど…何で先生?
「エヴァ、途中から割って説明せんでもいいじゃろ?」
「ふん、ちょっとした嫌がらせだ。それとそこからは私が居なくてもいいだろ?なら退室させてもらう」
いや、嫌がらせしなくても…
って思っていたら、エヴァンジェリンさんが茶々丸さんを連れて学園長室を出ようしていた。
「行っちゃうんですか?」
「…安心しろ。ジジイの企み通りならすぐに会えるさ。行くぞ茶々丸」
「はいマスター。それでは学園長、失礼しました。アレンさん、また後程」
そう言って、エヴァンジェリンさんと茶々丸さんは部屋を出て行ってしまった。なんだかんだでお世話になっていたからお礼の一言でも言って置きたかったのだけれど…
でもさっき言ってた『学園長の企み』って何だろ?
「あ!そうだ、1つ聞きたいことがあるんですが?」
「ん?なんじゃ?」
「昨夜桜咲さんが戦っていた化け物の事です」
そう、昨日聞きそびれた事がある。魔法やこの学園の成り立ちは聞いたけど、昨日の化け物については何も聞かされていないのだ。
多分そこまで関わらなくてもいいという学園長の計らいだと思うけど…関わった以上何もしないのは嫌だ。関わった者として…((エクソシスト|・・・・・・))として。
「……君の意思は揺るがない様じゃの、わかった説明しよう」
「はい、お願いします」
「何処から話せばいいかの…ここが日本での魔法使いの総本山と言う所はいいかの?」
「はい」
「よってここには西洋魔法の情報が多く管理されておる。それらの情報が入っている本が『図書館島』と呼ばれる島の地下に眠っておる。それを狙っておる魔法使いやそれに雇われた傭兵なんかが麻帆良に侵入しようとするのじゃ」
「ん?魔法使いは皆マギステル・マギを目指しているんじゃないんですか?」
「そこは人間、私利私欲に魔法を使い人間もおる。無論魔法を使って犯罪を犯す者もの・・・その例がエヴァンジェリンじゃ。今は取り消されたが少し前までは高額の賞金首だったんじゃ」
「エヴァンジェリンさんが…」
学園長の言葉に僕は内心驚く。表面上に出てこなかったのはおそらく昨夜の出来事があったからだろう。僕に対しての殺気、急所狙いの氷の矢。アクマと戦ってきた僕だから分かる。あの人は何かを((破壊|ころ))してきた事のある人だと……
「エヴァの事はいいとして、話を戻そう。昨日アレン君が見たものはそういった侵入者が召喚した先兵と言った所じゃな。そして刹那君はその魔物を退治していたと言った所じゃ」
「そうだったんですか……」
普通の人達が知らない所で化け物を退治する。その姿はエクソシスト《僕たち》と変わらなかった。
だったら、僕に出来る事は…
「学園長、お願いがあります」
「流れからなんとなくわかるが、何じゃ?」
「僕にも、戦わせてください!」
誰かを助けるための破壊者になる事だ
灰マギ劇場 第6夜 もう一人の主人公
カーン!
???「へーここがニッポンか。えっと麻帆良学園行きは…」
電車移動中
?「うわーニッポンは本当に人が多いなー。それに女の人が一杯だ」
ドドッ
?「あうう〜」 ムギュー
ガタッ
?「へぷっ」 ムニュ
ゴトッ
?「むぐ〜」 ムニョン
?(に、ニッポンの通勤ラッシュはすごいって聞いてたけど、これは多過ぎだよ〜)
カカーン
ラビ「何がとは言わない…ネギ…羨ましすぎるさ〜!」
ネギ「って、『?』にしてる意味ないじゃないですか!?」
アレン「それ、自白してるのと同じだよ…」
説明 | ||
第八夜 麻帆良学園 これでにじファンで上げたのは全部です。ぶっちゃけこの先一字も書いてません。にじファン閉鎖に伴い他の作品をホームページに移植する作業が忙しくなるし、こっちはおろそかになると思います |
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