今日敗者に生きました。
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今日敗者に生きました。

 

「だからあなたはいつまでたってもアレなのよ。罰としてお好み焼きを削り節とマヨネーズだけで

食べなさい!ソース無しで1分以内で。

青のりは、まぁかけてもいいわ。それすら緩さ名程私も偏狭ではないから。その代わり、飲み物は

不二家ネクター一択よ。」

 

・・・、なんと言う暴虐な仕打ちなんだろう。これならまだタコの入っていない、昨日からの作り置きを1キロ食べさせられた夏休みのあの日の方ははるかにマシだ。

いや、あれと同時系列でやられたら間違いなくそれは殺意に変わるだろう。お好み焼きにソース無しというのはその位に許されない事だとぼくは思う。

 

「で、・・・結局の所これを『酷い仕打ち』と受け取るか『ご褒美』と受け取るかはあなた次第なんだけど。そこはどう思っているのかしら? 

私としては『ご褒美』と思うのよ。だってもしあなたがナツメヤシの成分にアレルギーを持つ体質だったらお好み焼きのソースで湿疹や蕁麻疹が出たり、最悪の場合死んだりするかもしれない。

私にはそれがとてもじゃないけど耐えられないの・・・。

 ねぇ、わかる?ううん、私の気持ちの方ではなくて、『お好み焼きのソースの原材料にナツメヤシが使われている』という事の方。 知ってた?湾岸戦争でクェートがイラクに侵攻された時って

石油だけでなく、ナツメヤシの輸出も止まってしまったのよ?ひどい話よね。戦後クェートが

米紙に参戦国への感謝を表す広告を掲載したのだけど、私にとってはそこに日本の国名が

入っていなかった事よりもナツメヤシの輸出が滞って迷惑をかけた事に対しての謝罪がどこにも

無かった事の方が許せないの。」

 

「だから」

 

どこで息継ぎをしているのかわからない長い台詞をそう一旦区切って、彼女は僕の口に指を軽く当てて目を見つめながら、

 

「あなたとはこの思いを共有したいの。あなた以外のだれともそんな事したくないしそんな気持ちはおきやしない、貴方が相手でないと私は嫌・・・。」

 

そう言って艶かしく生真面目に、慈愛に満ちた微笑みを魅せながら。

 

焼きすぎて水分が抜け始めている熱いそれをコテに乗せてぼくの口の中へと押し込んでいった・・・。

 

説明
授業中にでた課題、「今日は医者に行きました」の誤変換から思いついたショートストーリー。とりあえず「ぼく」にたいしてなにかと理由をつくって怒るぼくラヴな彼女とそんあ彼女ラヴなぼくのお話。
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