見た目チンピラな善人の悪魔生活
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11.力のあり方

 

 

 

 

 

刑夜side

 

 

…………今の状況を説明してやる

今オレの目の前には誰も彼もが全く同じ姿、表情をしたペンギンもどきたちが数えきれない程いやがる

何なんだこれは……

めっちゃ既知感あるんだが……

そう思っていると後ろにいるヴァルバトーゼがオレに向かって言い出した

 

「今から貴様にはこのプリニーたちの教育をしてもらう」

 

それを聞きオレは驚愕した

これほどの数をしばけと……

 

「驚愕しているところ悪いが、これくらいは当たり前の数だぞ」

 

「閣下の言うとおりだ。これくらいの数を教育するのはここでは常識だ」

 

二人はさらに追い討ちをかけてきた

さも当たり前だという表情をしながら

お前らからしたらそうだとしても、こちとら教育とかそんなもんをやった事がねぇんだよ

 

「では、俺たちはほかのプリニーたちをしごいてくる。貴様は俺が言った事をすればいい。簡単な事だ」

 

「閣下に託されたんだ。しっかりやるんだぞ」

 

と二人はそう言いながら去っていった

……どうすんだよ、これをよぉ……

 

「…………アンタが閣下が言っていた代わりの教育係ッスか?」

 

「……あぁ、そうだよぉ」

 

ふと、一体のプリニーが話しかけてきたのでオレは答えた

 

「あんまり強そうには見えないッスねぇ。頼りなさそうッス」

 

「そうッス。信用できないッス」

 

「正直オイラたちの方が有利ッスね、数的に」

 

次々とオレに対して嘗めた事を言い始めたプリニー共

……言ってくれるじゃねぇか

 

「オイ、テメェら、言いたい放題言ってくれるじゃねぇか。嘗めた口叩いてんじゃねぇぞ」

 

オレが怒気を含めて言うと

 

「ふ、ふん!そんな言い方しても意味ないッス」

 

「な、納得できないなら、オイラたちを全員倒してみせるッス」

 

体を震わせながらそんな事を言ってきやがった

ほぉ、言ったなぁ

 

「テメェら……それ言った以上……覚悟はできてんだろうなぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

そう言いオレはプリニーたちに突撃した…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………いいか、テメェら。テメェらが今いるここはどこだぁ?」

 

『地獄ッス!!』

 

オレの言った事に頭にタンコブができているプリニーたちは全員敬礼をしながら答える

 

「じゃぁ、何故テメェらはここに来ちまったんだ?」

 

『罪を犯したからッス!!』

 

さらにオレが言った事をまた全員答え返す

 

「そうだ!テメェらは罪を犯した!

だからその罪を償うためにこうしててめぇらはプリニーとして転生しているんだ!

そしてプリニーとしての心得をその身に刻みこむんだ!

わかったか!!」

 

『わかりましたッス!!』

 

「よし!いい返事だ!

これからもそうしていくんだぞぉ、テメェら!」

 

『わかりましたッス!!兄貴!!』

 

オレの言う事に全員表情変えずに答えぬく

これならこれからもこうしてやっていけるなぁ

 

……兄貴とか触れないでくれ……

何故か全員倒したらこう言われるようになったんだよぉ

…………どうしてこうなったんだろう…………

そうしている内にそろそろ帰る時間になってきたなぁ

 

「オイ、テメェら。オレはこれでもう帰るぜぇ。だがなぁ、オレがこれまで言ったきた事を忘れるんじゃねぇぞぉ!」

 

『了解ッス!!兄貴!!』

 

その言葉を聞いたオレは満足しながらヴァルバトーゼの元へ向かった

 

 

 

 

「そうか、もう帰るのか」

 

「あぁ、世話んなったなぁ」

 

オレが帰ると言うと、ヴァルバトーゼは表情を変えずにそう答えた

 

「短い時間だったが、こちらも助かった。礼を言うぞ」

 

「それは良かったぜ。こっちとしてもそう言われて嬉しいもんだ」

 

ヴァルバトーゼに礼を言われ、オレは気分が良くなった

やっぱ、礼言われんのはいいもんだぜぇ

 

「報酬を今フェンリッヒに用意してもらっている。それまで少しゆっくりしているがいい」

 

そう言われたが、ふとオレはヴァルバトーゼに聞いてもらいたい事が浮かんだ

他人に答えを求めているわけじゃねぇが、それでも今は人じゃねぇが人には聞いて欲しい事があるんだよ

 

「なぁ、ヴァルバトーゼ。ちぃと、聞きてぇ事があんだけどよぉ」

 

オレの言葉を聞き、ヴァルバトーゼは静かに

 

「何だ?言って見ろ」

 

そう答えてくれた

 

「お前は自分を狂わす程の力があったらどうする」

 

オレの問いにヴァルバトーゼは目を閉じ少し黙った

だが、すぐに目を開け

 

「その質問は貴様自身が抱えているものか?」

 

真意を確かめるように問い返してきた

こりゃぁ、大体見抜かれてるなぁ

 

「……あぁ、そうだよ」

 

オレははぐらかす事なく本当の事を言った

 

「やっぱりな。貴様から感じるその力から察しがついた。それにそういう質問がくれば大体は予想がつく」

 

当たり前かのようにヴァルバトーゼは言ってきた

すっげぇ推察力だなぁ

 

「では、その質問について答えやろう。

 

 

 

 

そんなもの力づくで制御してやる」

 

やつは堂々と両手を広げて言い切った

 

「力というものは制御できなければある意味がない。だからこそ俺はこの答えをだした。だが、これは俺の考えだ。他のやつらなら別の答えを出すだろう。さらに言っておくが、俺は貴様ではない。だから貴様自身で答えを導き出せ」

 

そして次々と言ってくる

わかってはいたがやはりきついものだなぁ

だが、その答えが出ればもうとっくに出てるっつうの

そう思いながら顔を歪めていると

 

「もし貴様が答えを出せないのなら、少し助言を言ってやろう」

 

それをわかっていたかのようにやつはこう言ってきた

 

「その力を使う事に恐怖を持っているのなら、

 

 

その力を使う理由を見つけてみろ」

 

「使う……理由……」

 

「そうだ、そのために一生を捧げる程のな。それほどの覚悟を持って力を受け入れてみろ」

 

「……簡単に言ってくれるじゃねぇか」

 

オレがそう言うとやつは顔に笑みを浮かべながら

 

「そうだ、俺は貴様ではないのだからな」

 

と言ってのけた

 

「言っておくぞ。そのままでいるのなら貴様はこの先、その力に飲まれるぞ。自分の中にある力を否定するという事は、自分自身を否定する事でもあると俺は思う」

 

そう言葉を止めるがすぐに

 

「だからこそ!己のこの一生に成したい望みを見つけ出すのだ!」

 

また大声を上げて言ってくる

 

「そうすれば、おのずと答えは出るだろう。わかったか、凶月」

 

言いたい事を言い、ヴァルバトーゼはオレに視線を向けてくる

それに対しオレは

 

「…………あぁ、少し気が楽になった。すまねぇなヴァルバトーゼ」

 

そう言った

今の聞いてこれからどうすんのか少しわかってきたぜ

 

「ふっ、気にするな。俺は言いたい事を言ったに過ぎない」

 

「それでもありがてぇよ」

 

そう話していると

 

「閣下、報酬の準備が完了しました」

 

フェンリッヒがやって来てついに帰る時がきた

 

「そうか、ご苦労だったな、フェンリッヒよ」

 

「いえ、滅相もございません」

 

そう言いフェンリッヒはこっちを向き持っていたボックスみてぇなもんをオレに出してきた

 

「閣下に感謝するんだな。こんな事はそうないからな」

 

「あぁ、わかってるよ」

 

フェンリッヒが淡々と言ってきたが、オレは構わずにボックスをもらう

 

「んじゃぁ、オレはもう行くぜ」

 

「ああ、わかった。」

 

報酬をもらいオレは別れを言った後、返ってきた言葉を聞きオレは歩きだそうとすると

 

「ああ、そうだ。ちょっと待ってくれるか」

 

ヴァルバトーゼから突然思い出したように言った言葉によりオレはその歩を止めた

 

「今回の手伝い本当に良かったぞ。だからまた呼ぶかもしれんからその時もよろしく頼むぞ」

 

そう笑いながら言ってきたんで

 

「あぁ、いいぜぇ。そん時なぁ」

 

オレも笑いながらそう返した

 

 

こうしてオレの悪魔としての最初の仕事は終わりを迎えた

 

 

 

 

 

余談であるがもらった報酬はイワシ一週間分だった

それを見たオレはなんとも言えない状況になっちまった

だが、食ってみたがそのイワシはこれまで人生で食べたイワシが霞む程うまかった

 

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