見た目チンピラな善人の悪魔生活
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12.純粋なやつほどダメージはでかい

 

 

 

 

 

刑夜side

 

初の仕事が終わった翌日、オレは外を歩いていた

特に意味はねぇがただただ歩いているだけだ

そうして歩きながら昨日の事を思い出す

……昨日の夜はホントに大変だった

今までにねぇ経験だ……あんな多くのプリニーをしごいたのは

おかげでクタクタだぜぇ

今日が休日でよかったよ

…………これで夜に召集がなかったらもっとよかった

こんな休日に呼ぶたぁどういう事だぁ?

ホントに何してぇんだよコンチクショウ

 

そう思いながら歩いていると

 

「はわぅ!」

 

どっかの誰かとぶつかっちまった

ただぶつかった時、すさまじい痛みを感じたがそれは後にしてぶつかったやつを見てみた

 

そのぶつかったやつは金髪をしてシスター服を着た女だった

 

なんだこいつはぁ?

いかにもシスターみてぇなやつだなぁ

マジで見たのは初めてだぜぇ

と、んな事より起こしてやらねぇとなぁ

 

「オイ、悪ぃなぁ、大丈夫か?」

 

そう言いながら手を差し伸べていると

こっちに気づいたやつはオレを見て

 

「ひぅっ!」

 

突然涙目になって怯えられた

 

 

…………今までにねぇほど心が傷ついた

 

 

side out

 

刑夜と彼女がぶつかる前

 

アーシアside

 

こんにちわ、私はアーシアといいます

今私はとある所に向かうためにここ日本に来ましたが

 

「はぅ〜〜、場所がどこなのかわかりません」

 

初めて来たところで全くわかりません

人に尋ねようとしても言葉がわからなくて駄目です

どうしましょう……

 

「いえ、これも神の試練なのかもしれません!

だから一人で乗り越えみせます!」

 

そうと決まれば頑張って行きます!

そう決心して前を歩いていたら

 

「はわぅ!」

 

誰かとぶつかってしまいました

あぅ〜、やってしまいました〜

そう沈んでしまっていると

 

「オイ、悪ぃなぁ、大丈夫か?」

 

そう言いながら手を差し伸べられました

本当に申し訳ないです

そう思いながらその人の顔を見てみましたが

 

「ひぅっ!」

 

その人の顔はまるで病気のように白くて、とても怖い顔をして私を見ていました

 

side out

 

刑夜side

 

…………今、オレは今までで一番心が痛んだ気がしている

その原因は目の前で涙目でオレを見ているシスターによるものだ……

これまではただ怖がられただけでそこまで精神的にきついだけだったが、こんなに怯えられたのは初めてだ……

しかも純粋に怖がられているときたもんだ……

つれぇ……とてもつれぇ……

だ、だが、このままといくわけにはいかねぇ

覚悟を決め、なんとか表情をできるだけ良くして未だに怯えているやつに声をまたかける

 

「こ、怖がらせて悪ぃし、ぶつかったのもすまなかったな」

 

怖がらせないように声を抑えながら出してみる

すると

 

「は、はひ!こ、こちらこそすみませんでした!」

 

声を返しながら手を握ってすぐに立った

返してくれたはいいが、まだ怯えているのか震えている

……どうするべきだよこれはよぉ

こんな状況今までなかったもんだからどうにもできねぇよ

 

頭の中でどうするべきか悩んでいると

シスターのすぐ近くにある荷物を見てどういう事なのかわかってきたんで切り出した

 

「その荷物からするとどっかから旅行にきたのか?

かなり大きいぞ」

 

「い、いいえ、ち、違います。じ、実はこの町の教会に赴任する事になって今日来たんですけど、道がわからなくて迷っていたんです」

 

少し落ち着いて話をしてくれたがまだ怖いようだ

もう諦めていながらオレはそれを聞き、こう口に出した

 

「教会か……、一応どこだかわかるから案内してやろうか」

 

その言葉を聞き、笑みを浮かべて

 

「ほ、本当ですか!ありがとうございます!」

 

頭を下げて礼を言ってきた

……すんげぇ純粋なやつだなこいつはよぉ

ここまで素直なやつは見た事がねぇ

 

「じゃぁ、いくぞ」

 

「あ、ま、待ってください!

まだ名前を言ってませんでした」

 

と呼び止められて

 

「私はアーシア・アルジェントと言います。よろしくお願いします」

 

と名乗ってきた

オレもそれに答えるために

 

「あぁ、オレは凶月 刑夜だ。好きに呼べ」

 

そう名乗り返した

それを聞いたアルジェントは嬉しそうに

 

「はい!刑夜さん」

 

そう言ってきた

それを聞いたオレは

 

「んじゃ、もう行くぜ」

 

案内するために歩き出した

 

「ああ!待ってください〜」

 

そしてオレに続いてアルジェントは慌ててついてきた

 

 

 

 

 

 

教会に案内するために歩き出してしばらくオレは少し追い込まれていた

そう、先ほどからアルジェントにまだ怖がられているんだよぉ

今でも歩きながらチラチラとこっちを怖そうに見てくるから精神的にきちぃんだよ

おかげでどう接すればいいのかわからねぇ

 

……どうすりゃいいんだぁ

 

そういう沈黙が続きながら歩いていると

 

「あっ」

 

ふとアルジェントが止まった

止まった訳が気になり見ている方向を見てみると

 

「うわぁぁぁん!!」

 

転んだのか膝に怪我をして泣いているガキがいた

そんなガキが心配になったのか、アルジェントがガキのところへと駆けて行き

 

「大丈夫?すぐに良くしてあげます」

 

そう言って膝の怪我に手をかざしだした

 

すると、あいつの手から光が溢れ、その光が怪我を包みだしていき

みるみると怪我が消えていった

そしてついには膝にあった怪我がきれいになくなっていた

 

これにはオレは驚いた

今見た光景がまるで神秘的なものだからだ

だがしばらくしてオレはその神秘的なものが何なのかわかってきた

 

あれは神器だ……

 

それが理解できた同時に納得した

神器ならこれくらい力があるはずだ

 

「もう大丈夫ですよ。でも次は怪我をしても泣いてはいけませんよ」

 

そう考えているとアルジェントがガキの頭を撫でながら笑顔でそう言ってた

 

「うん!ありがとう、おねえちゃん!」

 

怪我がなくなった事が嬉しかったのかアルジェントにお礼を言ってガキは走り去っていった

 

それを見ていたオレはアルジェントのもとへ行き

 

「もう済んだか?」

 

そう声を掛けた

 

「あ、はい。待たせてすいませんでした」

 

走っていったガキに手を振っていたがオレに気づいてそう答えてきた

だが、何故かすぐに顔を暗くしだした

 

「オイ、どうした、そんなに暗くなりやがって」

 

それが気になり聞いてみたところ

 

「今のを見て驚きましたよね。私が持つこの治癒の力は神様から授かったものなんです」

 

弱弱しくも笑みを浮かべてそう言ってきた

 

「でも怖いですよね。手からいきなり光をだしたかと思うと怪我をなおしてしまうなんて」

 

だがまたもや顔に悲しみを浮かべてうつむいていった

それを見たオレは改めてこいつが優しいやつだと思った

 

「オイ、誰がその力が怖いと言った?」

 

「え?」

 

オレが言った事に驚いたのかアルジェントは顔を上げてきた

それを確認しすぐに新たな事を口にする

 

「はっきり言ってやるが、人の怪我治したくれぇで怖がるかよぉ。怖ぇもんなら人を傷つけるとかだろ?

ならテメェが持ってるもんは怖ぇもんじゃねぇし、それにそれを使っているテメェ自身も怖かねぇよ」

 

そんな事を聞いたこいつは先ほどからしていた暗い表情から一気に笑顔へと一変した

 

「刑夜さん……ありがとうございます!」

 

そして今まで以上に元気に礼をしてきた

それにしても怖いねぇ……

 

…………本当に怖いもんってぇのはオレかもしれねぇからなぁ

 

オレの中にある聖遺物と比べたらこいつの力は怖いもんじゃねぇよ

だからこそオレはこいつの力は怖かねぇ

といけねぇなぁ、そろそろ案内しねぇと

 

「んじゃ、そろそろ行くぜ」

 

「はい!」

 

そうしてオレたちはまた歩きだしたが

前とは違いわだかまりはなくなった

 

 

 

そうしてしばらくしてやっと教会に辿り着いた

辿り着いて思ったんだがオレ悪魔だからいたらやべぇんじゃねぇかよ

その事実に今更気づいたオレをよそにアルジェントは笑顔をこっちに向けて

 

「刑夜さん、案内ありがとうございました」

 

頭を下げてきた

ホントにこいつは善いやつだなぁ

今までこういうやつがいなかったから嬉しいもんだ

 

「ま、気にすんな」

 

「それでもですよ。それでは私はこれで行きますけど」

 

一旦言葉を不安そうに

 

「また、会えますよね」

 

そう尋ねてきた

 

「まぁ、またどっかで会えんだろうよ」

 

そう返すと

 

「はい!その時を楽しみにしています」

 

また嬉しそうに言ってきた

 

「そうかい、じゃ、またな」

 

「はい、また会いましょう」

 

こうして、オレはアルジェントと別れ旧校舎へと向かいだした

思った以上に時間かかったぜぇ

急がねぇとなぁ

 

side out

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続いてどうぞ。
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