見た目チンピラな善人の悪魔生活
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13.悪魔の駒はチェスの駒

 

 

 

 

 

刑夜side

 

旧校舎の中の部室に着いて初めに目に入ったのは何か怒っている雰囲気をしたグレモリーとそれに萎縮して正座しているイッセーだった

一体どうしたってんだこりゃぁ……

そう思いながらオレの近くで苦笑いしながらそれを見ている木場にこの状況を聞いてみることにした

 

「オイ、木場、こりゃ一体どうしたんだよぉ」

 

「あ、刑夜くん。いやぁ、なんていうのか」

 

と木場は言いよどむ

 

「……これ見てイッセーのやつが何かしやがったのはわかるが、それが何なのかわかんねぇんだから聞いてんだよぉ」

 

「う、うん、それはわかってるんだけど何て言うのかなあ」

 

と苦笑いをしながら

 

「予想外というか、前代未聞というか」

 

そんな事を言ってきた

イッセーのやつが予想外な事をすんのはわかるがここまで戸惑う事なのかよぉ

そう思っているとオレに気づいたグレモリーが

 

「…………刑夜、ちょっと来なさい」

 

低い声で呼んできた

オレにもかよぉ……

特に何もしてねぇだろうが

 

「んだよ、グレモリー。オレが何したってんだよぉ」

 

面倒くさそうにオレが言いながらくる事を気にも留めずに

 

「あなたにも後で話したい事があるからしばらくおとなしくしてなさい」

 

と未だに低い声で言ってきた

はぁ、なんだってんだよぉ……

 

「へいへい、わかりましたよ」

 

その言葉に対してオレは軽く答えた

それを聞いたグレモリーは一瞬目を鋭くしたがすぐにやめてイッセーに目を向けた

 

「じゃあ、まずはイッセー……今回の仕事で聞きたい事があるわ」

 

そう言ったら今度は困惑したような表情をしてこうきりだした

 

「イッセー……あなた一体何をしてきたの?」

 

その質問に対してイッセーは少し恐れながら口を開いた

 

「え、え〜と……実は今回仕事で向かった森沢さんの所で願いによる代価について話したら絶望しながら泣き出してしまってそれで慰めていったらいつの間にか森沢さんとアニメとか漫画とかの話に熱中してしまって、そして気づいたら朝になってて結局…………契約破談になりました」

 

となんとも情けないというか、イッセーらしい終わり方を説明してくれた

 

「…………一体何しに行ったんだよ、テメェ」

 

オレはそれしか言えなかった

 

「部長!悪魔の仕事をするために行ってきたのに恥をかかせる事をしてしまったのはわかっています!

だからこそすいませんでした!!」

 

とイッセーは頭を下げていわば土下座をして謝った

必死だなこりゃぁ……

てか、それならちゃんと仕事を全うしろよ

オレがそう思っていると、その謝罪を聞いていたグレモリーが口を開いた

 

「……実のところね、契約後にあのチラシに感想を書いてもらっているの。その感想にね、「これほどまでに楽しめたのは中々ありません。イッセーくんとはまた語り合いたいです。今度は良い契約になるようにしていきたいです」って書いてあったのよ」

 

そう言って今度は困惑した表情となり

 

「こんな事を書かれたのは初めてなのよ。それで、どうすればいいのかわからなくなってしまったの。だから、どう反応していいのかわからなくてしかめちゃったのよ」

 

と言ってきた

……どうやらイッセーが同じ趣味のやつとくっちゃべってただけの事にどう反応したらいいかわからんという事かよぉ

そりゃオレにもわかんねぇよ

 

「悪魔の仕事において大事なのは依頼者との確実な契約よ。それとともにその代価ももらうのも。

……それなのに今回の事は史上初な事で流石の私もどうすればいいのかわからないわ」

 

そう言葉を切るとさらに今度は笑みを浮かべてきた

 

「でも……それだから面白いわ。イッセー、あなたはとても面白い事をしてくれたわ。悪魔の中で意外性ナンバー1よ。けれど今度はちゃんと契約を結んできてね。わかった?」

 

そう言われたイッセーは

 

「はい!頑張っていきます!」

 

と緩んだ顔してそう言った

はぁ、なんだかんだできれいにまとまったって事かぁ

そう思っていると

 

「で、次は刑夜なんだけど……」

 

グレモリーがさっきよりも困惑したようにオレに顔を向けてこう言ってきた

 

「刑夜…………あなたは仕事はやってきたの?」

 

……はぁ?

 

「はぁ?何抜かしやがる。オレは仕事はちゃんとやったぞ」

 

そう言ってやるとそうじゃないというように首を横に振り

 

「いえ、そうじゃなかったわ。……あなたはどこに行ってたの?」

 

そう言い直してきた

……あぁ〜、そういう事かぁ

地獄行ってましたって言うわけにも、別魔界行ってましたって言うわけにもいかねぇしなぁ

仕方ねぇ、はぐらかすかぁ

 

「あぁ、それねぇ。え〜と何つうか、オレにも場所がわかんねぇんだよ。教えてくんなかったしよぉ。でもまぁ、それでも仕事は全うしてきたぜぇ。それでいいだろうがよぉ」

 

それを聞いてグレモリーは眉を少し顰めた

 

「それならチラシは戻ってくるはずよ。それなのに戻ってきてもない。それってどういう事なの?」

 

全くその通りだなぁ

正論だが、それでも確証させる事ができねぇ事は言っても意味ねぇからこっちは言えねぇんだよ

 

「それは依頼人がねぇ、また呼びたいんだけどチラシを手に入れるのが難しいんで手放したくなかったからじゃねぇのか。それなら戻ってこねぇのに納得がいくだろ」

 

そう言ってみるとグレモリーは諦めたような顔をしだした

 

「ふぅ、じゃあそういう事にしとくわ。チラシが戻ってこない事も今まで無かったからこうも困っちゃったのね」

 

じゃぁ、もういいだろと、オレは離れようとする直前

 

「でもまだ聞きたい事があるわ」

 

という言葉に止められた

 

「アァ?今度はなんだよぉ?」

 

「刑夜、あなた今日は遅かったけど…………どうしたの?」

 

言った後その顔にはこれはちゃんと言えというような威圧感があった

これは言わねぇと駄目らしいなぁ

 

「実はよぉ、外ブラついてたらシスター服着た女にぶつかっちまって、そのまま流れで教会に送ってったんだよぉ」

 

そう伝えたらグレモリーの顔がさらに真剣となった

 

「…………教会ですって?……刑夜、あなた教会に行ったの?」

 

「あぁ、そうだが」

 

肯定すると真剣な空気を纏いながらこう言ってきた

 

「あなたはなんて危険な事をしたの。もしかするとただ事じゃ済まなかったのよ」

 

この剣幕を見てオレは黙って聞く事にした

 

「いい刑夜。教会はね、私たち悪魔とっては敵地よ。それに近づいただけでも天使側と悪魔側には問題だわ。天使たちの攻撃が飛んできてもおかしくはないのよ。わかる?」

 

ふ〜ん、やっぱりかぁ

今回は運に助けられたってか

まぁ、それでも攻撃されても逃げ切るだがよぉ

 

「だからね、刑夜。……二度と教会に近寄っては駄目よ。絶対よ」

 

一度言葉を止めてイッセーにも目を向けてまた話し出した

 

「イッセーもそうよ、覚えてちょうだい。それと教会の関係者にも関わってはいけないわ。特に|悪魔祓い《エクソシスト》にはね。あれは私たちにとって仇敵。神の祝福を受けている彼らの力は私たちを滅ぼせるほど脅威だわ」

 

悪魔祓いねぇ……

……あれ?……オレは特にやばくねぇか?

 

「彼らの力を受けた悪魔は完全に消滅するわ。魂残らずね」

 

「か、完全にですか」

 

魂までねぇ……

そいつはいただけねぇなぁ

輪廻にも入れられず消されるのはよぉ

オレはそう思っているがイッセーはどう反応すりゃいいのかわかってねぇよぉだなぁ

そうそれぞれ違った反応をしているとそれを見たグレモリーはふと何かに気づいた顔をして首を横に振った

 

「ごめんなさい、熱くなってしまったわ。とにかくわかった?

以後は気をつけてちょうだい」

 

「はい」

 

「あいよ」

 

そしてやっと話を終えると

 

「やっと終わりましたわね」

 

「わっ!」

 

オレとイッセーの後ろにいつの間にか姫島が立っていて、それにイッセーは驚いた

話の途中で何か後ろに気配がしたと思ったらこいつか

 

「朱乃、一体どうしたの?」

 

グレモリーの問いを聞いた姫島はその顔を少し暗くさせてこう言ってきた

 

「大公からはぐれ悪魔討伐の依頼が届きましたわ」

 

……はぁ、面倒な事になりそうだ

 

 

 

 

はぐれ悪魔だとかいうのを討伐しろとかの命令を受けたオレたちは今町はずれにいる

ここにはぐれがいるらしい

 

「はぐれ悪魔というのはね、簡単に言うと野良よ。主人を裏切ったり、又は殺した悪魔の成れの果てとも言えばいいかしら」

 

グレモリーの説明を聞き、オレとイッセーは納得いった

主人に愛想ついたか、それとも|主人よりも《・・・・・》強くなっちまったやつの事か

どこにもいるよなぁ、そういうやつら

 

そう思っているとある匂いがした

それが何なのかともにその匂いに気づいた塔城が鼻を服の袖で覆ってつぶやいた

 

「…………血の匂い」

 

あぁ、そうだ血だ

さてどういうやつだ

強さ次第じゃぁ、オレの体は疼くからなぁ

そう思いながら敵意と殺意に満ちた空間を見回す

普通ならこの空間にいるだけで発狂するだろうが、オレはこの体で慣れてしまっている

そう、あの日からオレの中に潜む渇望が蠢いてきだしやがった

だからこそこの程度じゃぁどうもならねぇな

まぁ、イッセーだけは体が震えて怯えているが仕方ねぇよ

今まで一般人だったやつがこの空間は耐えられるわけねぇ

それが普通だ

 

「刑夜、イッセー。今回あなたたちは見学してなさい」

 

グレモリーの言葉を聞いたオレは心のどこかで落胆した感じがした

だが、それをオレは押さえ込む

まだだ……まだこれを使う理由がねぇんだよ

だから…………それまでこれは使わねぇ

 

そうしているとグレモリーが口を開く

 

「これからあなたたちに戦闘というものを見せてあげる。参考にしなさい。それと一緒に下僕の特性も教えてあげる」

 

「下僕の特性ですか?」

 

ほぉ、ようするに下僕だけにある能力か

 

「そうよ、前に人間を悪魔に転生させていると話したわよね。そしてそれをするのに用いられるのが|「悪魔の駒」《イーヴィル・ピース》といわれている駒よ。その原理はチェスの駒と同じものよ」

 

チェスか……

そうなるとそのままの特性って事かぁ

 

「それでね、より優秀な下僕なほどそれは主人のステータスに反映されているの」

 

「へー、そうなんですか」

 

「まあ、私はまだ成熟した悪魔ではないから、公式の大会とかに出場できないわ。ゲームをするのにいろいろとまだ条件を満たしていないからゲームをする事ができないわ。そしてそれは、当分の間は私の下僕たちがゲームをする事もないってことにもなるわ」

 

悪魔にもそんな遊戯染みたシステムがあんだなぁ

そういやぁ、オレは何の駒で転生されたんだぁ?

 

「そういえば部長。俺の駒って何の役割なんですか?」

 

オレがそう思ったようにイッセーも同じ事を考えていたようで早めに聞こうとしていた

 

「そうね、確かイッセーは……」

 

その質問にグレモリーが答えようとする瞬間

 

「匂うぞ、匂うぞ?不味そうな匂いがするぞ。それと美味そうな匂いもするぞ。どっちなんだろうかな?」

 

という声に遮られた

それを聞いた全員はそれぞれの構えをする

そして討たんとする者を待ち構えていると

 

現れたのは上半身が裸の女だが、下半身はもはや何かの獣のようなやつだった

普通オレは女に耐性がねぇがやつの存在の歪さ、そしてこの空間に満ちた殺意によってそんなもんは気にもしなかった

まぁ、戦闘の時は全く意識してねぇしなぁ

 

「はぐれ悪魔バイサーね。主のもとから逃げ、己が欲望に身を委ね暴れまわるのは万死に値するわ。だからここで、あなたをこの世から消滅させてあげるわ!」

 

グレモリーの言葉を聞いたはぐれはその顔を怒りに染めて吼えた

 

「小賢しぃぃ!小娘如きがぁぁぁ!その紅い髪のようにその体を血に染めてくれるわぁぁぁぁ!!」

 

そして突撃をしてきたが

オレには無謀な行い見えた

それにあれで吼えてるようじゃぁ、弱ぇのがわかってくる

そしてそれがわかるようにオレの体にあるものは静まった

まるで話にならんと言っているかのように

 

「雑魚ほど吼えるというけど、まさにその通りね」

 

オレが思っている事と同じ事をグレモリーは言った

全くその通りだよ

 

「祐斗」

 

「はい」

 

グレモリーの声を聞き、それに木場は答え、飛び出していった

そして木場は腰の西洋の剣を抜きはぐれに切り出す

だが、ただの切り込みではなく木場の目にも留まらぬ速さではぐれを翻弄し、

その両腕をあっという間に切り飛ばした

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

それに悲鳴はあがる

 

「祐斗の駒は「騎士」、その特性はスピード、最大の武器は剣」

 

はぁん、速さか

騎士ならではだなこりゃ

 

そして次なる展開が始まる

未だに悲鳴をあげるはぐれに塔城が接近していた

それに気づいたはぐれは

 

「小虫がぁぁぁぁぁ!!」

 

足元に来たところで足を振り下ろして、踏み潰そうとした

 

「小猫ちゃん!」

 

それを心配したのかイッセーは叫ぶが、次でその心配は意味が無くなった

振り下ろされた足によって衝撃が走るが、

 

 

塔城はその足を軽く受けきっていた

 

 

「小猫の駒は「戦車」。その特性はシンプル。馬鹿げたな力と防御。あの程度じゃ全く効かないわ」

 

そして踏みつけを受けきった塔城は

 

「……邪魔」

 

足を放り、バランスを崩したはぐれに跳躍し、その腹に拳を打ち込む

打ち込まれたと同時にはぐれは簡単に吹っ飛んだ

凄ぇ力だなぁ

 

「そして最後に朱乃」

 

「はい、わかりましたわ」

 

呼びかけに答えた姫島ははぐれに近づいていく

だが、オレは姫島の顔を見て軽く引いた

そうその顔は

 

「あらあら、どうしましょう」

 

今からどのように敵を痛ぶるか考えている顔だった

 

そして近くまで来ると

 

「今までお痛が過ぎたようですから、ここでお仕置きですわ!」

 

そして両手を出し、そこから雷を発生させた

そしてその瞬間、その雷をはぐれに放った

 

「ぎやぁぁぁぁぁ!!」

 

その雷による激痛に絶叫をあげる

 

「朱乃の駒は「女王」。私の次に強く、「王」以外の全ての駒の力を兼ね備えた無敵の者よ」

 

そう言っている間に、また姫島が雷撃を作り、放った

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「あらあら、まだまだ元気ですわね」

 

そう言ったらまた雷撃を放つ

そしてオレは理解した

…………あいつはドSだと

今でも嬉しそうに笑いながら攻撃してやがる

なんてやつだ、敵が哀れに見えてきた

 

「朱乃は魔力を用いた攻撃が得意なの。雷だけでなく、氷、炎も使えるし、そして何よりも彼女は究極ともいえるドSよ」

 

そりゃぁわかるっての

今でもその様を見せ付けていやがるよ

イッセーはその姿に恐怖して体を震わせていた

これは誰もがわかるぞ

 

「うふふふふふ、どこまで耐えれるのかしらね?

ねぇ、まだへばっては駄目ですのよ?

トドメはまだですから、おほほほほほほほ!」

 

…………見るもんじゃねぇよこりゃぁよぉ

 

「怯える事はないわ。朱乃は味方にはとても優しいから問題なしよ」

 

そう言って笑っているが、オレにはお前も同じだと思っちまったよぉ

 

そうしていると、やっと攻撃は終わりそこには黒こげで倒れたはぐれができていた

そして成し遂げたとばかりに顔が笑っている姫島が離れていった

それを確認したグレモリーは倒れたはぐれに近寄り

 

「最後に言う残す事はある?」

 

と言い出した

その問いにはぐれは

 

「殺せ」

 

そう返した

潔いこってぇ

 

「そう、なら消えなさい」

 

そう言ってグレモリーは手から黒い魔力を出して、その一撃を放った

そしてその黒い一撃ははぐれを覆う

それが収まると、はぐれの姿は跡形も無く消えていた

今のでここまでか……凄まじいなぁ

 

「これで終わりね。皆、ご苦労様」

 

一息ついてグレモリーはそう言った

これでやっと終わりかぁ

 

「あの〜、それで部長」

 

「ん?どうしたの、イッセー」

 

恐る恐るイッセーはこう口にする

 

「それで結局、俺の駒って一体」

 

「ああ、それね」

 

そう言葉を切って、こう告げた

 

「イッセーの駒は…………「兵士」よ」

 

それを聞いたイッセーは唖然としていた

まぁ、しゃぁねぇだろうと言いたいが、こいつ気づいてねぇな

 

 

 

 

 

 

 

 

…………あれ?

そういえばオレは何の駒だ?

 

 

 

 

side out

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ようやく、にじファンに投稿した話まできましたね。次の最新話を楽しみにしております。(王蛇)
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