英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 260 |
〜遊撃士協会・ボース支部〜
「ただいま〜、ルグラン爺さん。」
「こっちの手配魔獣は片付けたぞ。」
「あ、お帰り、ママ!」
「こっちも終わっているわよ。」
エステル達がギルドに戻ると手配魔獣を倒しに行っていたミントとシェラザードのチームもギルドに戻っていた。
「おお、ご苦労じゃったな。どれ、全員戻って来たようだし先に今回の報酬を渡しておくか。」
そしてルグランはエステル達にそれぞれ報酬を渡した。
「ふむ、かなり凶暴だったらしいが問題なく退治できたようじゃな。」
「うーん、それなんだけど……。ちょっと気になることがあってね。」
「?気になることじゃと?」
「ああ、実はな―――」
そしてエステル達がルグランに魔獣の様子がおかしかった事を説明し始めた。
〜同時刻・ボース市〜
「ご機嫌よう、ヤハトさん。」
一方その頃リラを伴って街を歩いていたメイベルは親しげな様子で市民に話しかけた。
「おお、市長じゃないかね。教会に礼拝に行くのかね?」
「いえ、マーケットの視察に行くつもりですの。礼拝はその後するつもりですわ。」
「お嬢様……。先日も、そんな事を仰いながら結局お行きになりませんでしたが。」
市民に尋ねられ、答えたメイベルの言葉を聞いたリラは呆れた表情で溜息を吐きながら答えた。
「もう、リラったら。つまらないことを覚えてるわね。今日は絶対に寄りますわよ。」
「ふぉふぉ、仕事も結構じゃが日々の生活を大切にする事じゃ。あんたみたいに責任のある立場にいる人間ならば特にな。」
「ええ、肝に銘じておきます。それではわたくしたちはこれで失礼しますわ。」
「失礼します。」
そしてメイベルはリラを伴って、マーケットに入って行った。
「お父上が亡くなった後、すぐに市長に立候補した時はどうなるかと思ったが……。今ではすっかり一人前の市長の顔になったのう。ふむ、もう少し肩の力を抜いた方がいいと思うが。」
メイベル達を見送った市民は顔を上げると、何かを見つけた。
「……なんじゃ、あれは?」
〜遊撃士協会・ボース支部〜
「ふむ、魔獣が怯えたり、やたらと暴れておったか……。何とも気になる話だのう。」
「うん、何だか不気味よね。そういえばアガット。前にもボース地方で同じようなことがあったとか言ってたよね?」
「む、そうなのか?」
エステルの話を聞いたルグランはアガットに尋ねた。
「ああ……まあな。爺さんがボースに来る前の話さ。」
「あれ、ルグラン爺さんって前からここにいるんじゃないの?」
アガットの話を聞いたエステルは意外そうな表情をして、ルグランに尋ねた。
「わしがこの街に来たのは『百日戦役』が終わった後じゃよ。かつてリベールの遊撃士協会はグランセルにしかなくてな……。各地方に支部が作られたのは戦争が終わってからなんじゃ。ちなみにわしは、10年前までは王都支部の受付をしてたんじゃよ。」
「へえ〜、そうだったんだ。」
リベールでの遊撃士協会の歴史を聞いたエステルは意外そうな表情をした。
「……その『百日戦役』の直前だ。魔獣の様子がやたらとおかしかったっていうのはな。」
「へ……?」
「なんじゃと……?」
アガットの説明を聞いたエステルとルグランが首を傾げたその時
ズドン!!
辺りを響き渡らせる轟音がすると同時に地面が激しく揺れた!
「な、なんじゃあ!?」
「な、なに今の!?」
「外だ……確かめるぞ!」
轟音に驚いたエステル達はギルドを出た。
〜ボース市〜
「ああっ!?」
エステル達が外を出ると、そこには巨大な竜がマーケットの屋根に乗っていた!
「はわわっ……」
「なんて大きさ……!」
「こいつは……竜か!?」
竜を見たティータは慌て、シェラザードは竜の大きさに驚き、ジンは竜がいる事に驚いた。
「はい……古代竜です!昔からリベールのどこかに棲息していると伝えられていましたが……」
クローゼはジンの言葉に頷きながら、不安そうな表情で竜を見ていた。
「お、大きい………ミント達が”竜化”した時の数倍の大きさはあるよ………!」
「うん…………きっと長い年月を過ごして来た証だね…………」
ミントは竜の大きさに驚き、ツーヤはミントの言葉に頷いた。
「………まさかこのような竜がこの世界にいたなんて………!」
「…………あの竜、”邪竜”ほどではないけど、かなりの力を秘めているよ………少なくても魔神一柱分ぐらいの強さはあると思う。」
プリネは竜を見て信じられない表情をして、リタは真剣な表情で竜を見ていた。
「いやはや、たまげたねぇ。」
オリビエは感心したような言葉を言いながらも、真剣な表情で竜を見ていた。
「まさか……こいつも『結社』の仕業か!?」
アガットが竜を睨んで言ったその時
「……まあ、否定はすまい。」
アガットの言葉に答えるかのように、銀髪の青年――レーヴェがいつの間にか、ボースマーケットの上にいた。
「!!」
レーヴェを見たプリネは驚いた!
「あ……!」
「てめぇは……!?」
「特務部隊隊長、ロランス・ベルガー少尉!」
一方エステルも驚き、アガットはレーヴェを睨み、シェラザードはレーヴェを睨みながら、かつてレーヴェが名乗っていた偽名を叫んだ。
「フフ、それはただの偽名だ。執行者No.U。『剣帝』レオンハルト。以後、そう呼ぶといいだろう。」
執行者No.U、『剣帝』レーヴェは不敵な笑みを浮かべて、名乗り上げた!
「『剣帝』……レオンハルト。」
「なるほど……『獅子(レオン)の果敢(ハルト)』か。すると『獅子(レーヴェ)』というのはキミの愛称だったわけだね。」
エステルはレーヴェの本名を呟き、オリビエは納得した表情で言った。
「あ、あんですって〜!?」
「貴方が『レーヴェ』……」
「……………………………」
オリビエの言葉を聞いたエステルは驚き、クローゼは不安そうな表情でレーヴェを見て、プリネは悲痛そうな表情でレーヴェを見ていた。
「……いささか不本意だが、仲間内ではそう呼ぶ者は多いな。まあ、お前たちも好きなように呼ぶがいい。」
「……舐めやがって……」
レーヴェの言葉を聞いたアガットはレーヴェを睨んでいた。
「グオオオオオ―――ッ!!」
その時、竜が雄たけびを上げた後、口から炎のブレス――竜の息吹(ドラゴンブレス)を吐いて、近くの建物を焼いた!ドラゴンブレスによって、いくつかの建物が火事になり、隣の建物へと次々と燃え広がった!
「ああっ!?」
「街を焼くつもり……!?」
竜の行動にエステルは驚き、シェラザードはレーヴェを睨んだ。
「……やれやれ。手間をかけさせてくれる。」
一方レーヴェは溜息を吐いた後、竜の背に乗った。
「ま、待てやコラ!」
「どこに行くつもり!レーヴェ!!」
レーヴェの行動を見たアガットとプリネは制止の言葉を叫んだが
「?(何だ?まるで”あいつ”に呼びかけられた気がしたが………)……今回の実験は少しばかり変則的でな。正直、お前たちの手に負える事件ではない。王国軍にでも任せて大人しくしておくのだな。」
レーヴェは一瞬戸惑ったが、すぐに気を取り直してアガット達に答えた後、竜を舞い上がらせ、エステル達に背を向けた。
「クソがあああああああああああああ―――っ!!」
アガットの悔しさの叫びを背にレーヴェを乗せた竜は飛び去って行った…………
説明 | ||
第260話 | ||
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