青いチビの使い魔 第17話
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 イザベラSide

 

沈黙が辛い。今、私は任務を与えたシャルロットが来るのを部屋で待ってるんだけど・・・・。私は部屋の隅にいる、赤髪の彼をチラリと見る。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ううっ、メイドたちに何かさせてこの場を和ませたいけど・・・・、

 

「・・・さっきから何チラチラ見てんだ?」

 

「なん・・・でもないわ」

 

あー、ダメ! 彼の前でいつもみたいな傍若無人をしたら怒鳴られる。はぁ、見栄を張ろうとして召喚の儀式なんてしたのがいけなかったのよね。あの時はホントビックリしたわ。

ゲートが開いたらいきなり血まみれの彼が現れて大騒ぎになるし、治療した後も意識を取り戻した彼と話をしたら私や周りの貴族たちのことクズだのゴミだのと遠慮無しに暴言はいてきたり、最終的に騎士のたちと決闘騒ぎを起こしては無傷で圧勝したり。

使い魔の契約は・・・・もちろん出来ていない。かと言って、ほっとけば勝手に出て行きそうだし、使い魔に逃げられたなんて事になったらいい笑いものだし。だから、なんとか説得して私の親衛騎士としてそばに置いた。彼は辛辣だけど強いから、暗殺者などの刺客に脅えなくて良くなったとこまではいいのだけれど・・・・。城での生活を見られたら怒られた。その後も、一国の姫としてのどうのと説教を食らう始末。なんてこったい。私が現実逃避気味に物思いにふけっていたら、

 

「シャルロット様が参られました」

 

「・・ッ!そ、そうかい。早く通しな」

 

よくやったよシャルロット! これでこの重い空気から解放される。いつものように無表情の彼女が入ってきた。

 

「・・・?」

 

シャルロットが部屋の隅にいるあいつを見て表情をわずかに変えるがすぐに元に戻った。

 

「さて、今回の任務について説明するよ。っつても言うことは無いんだけどね。内容はガキの世話だよ。詳しいことは向こうに着いたら聞きな。それと今回はあいつ、アッシュを連れてってもらう」

 

私は任務の説明をした後、隅にいる彼を指差して言う。すると

 

「・・・おい。なんで俺が行かなきゃならねーんだ」

 

文句を言ってきた。彼の性格からして当たり前の反応だ。ゆえに建前は完璧に用意してあるのさ。

 

「なに、少しぐらいは外で勉強してくるのもいいだろうと思ってね。本だけじゃわからないことも多いだろうしね」

 

「・・・チッ」

 

よし、コイツが舌打ちするのは不本意だけど了承したって意味だ。これでしばらくはのんびり出来る。

 

「それじゃあ、ほれ書簡だよ。あ、それと面白い玩具があるから一つやるよ。さぁとっとと行きな」

 

私はシャルロットに書簡と特殊な魔法人形を渡して二人を部屋から追い出し(ついでに部屋にいたメイドも)、ベットに倒れこみ身体を伸ばす。

 

「あー、やっと解放されたー。アッシュはいい奴なんだけど・・・・・容赦がないのよね。しかも結構スパルタだし。でも任務についてる間は好き勝手出来るわ。じゃあ早速何しようかしら」

 

私はとても久しぶりに心が躍るような気分になった。

 

 

 

 

 タバサSide

 

私はイザベラから渡された書簡と人形を仕舞いながら廊下を外に向かって進む。後ろには友人に似た赤い髪の青年が無言でついてくる。確かアッシュと呼ばれていたはず、彼は一体何者だろうか? あのイザベラに平然と文句を言い、尚且つプライドだけが高いイザベラが癇癪を起こさずに話していた。しかも、この人、相当強い。たぶん私が全力を出しても勝てるかどうか・・・。そんなことを考えていると庭に出た。

 

「きゅい〜」

 

「あー、あ゛!?・・・・・お、お疲れさん」

 

庭に待たせておいたシルフィードとキキが声を掛けてきたが、キキの方はアッシュを見た瞬間、驚愕し声が裏返った。その後すぐに何も無かったかのように声を出したが少し震えている。・・・・・何?

 

「どうしたの?」

 

「いや、なんでもない」

 

私は気になって聞いたがキキはそう言って顔を逸らす。・・・・・・一体何を隠しているのだろう。後でじっくり話をしよう。

 

「乗って」

 

「ああ」

 

私はアッシュにそう言ってシルフィードに乗らせて、目的地まで移動する。任務先はガリアの首都リュティスにあるロバール街のド・ロナル伯爵家である。任務内容はその家のオリヴァンという十五歳の少年をなんとしてても学院に通わせろというものだ。ちなみにこれを聞いたキキとアッシュは

 

「引きこもりの世話かよ」

 

「あいつ、こんなくだらねぇことをさせようとしやがって」

 

普通に呆れていた。まあ、そうだろう。私もこれを読んだときは流石に冗談かと思ったが、サインの所にちゃんと印が押されていた。まったく、とんでもない嫌がらせだ。そして問題の家に到着し、私たちが門の前に立つと、

 

「当家に何用ですかな」

 

「ガリア花壇騎士、タバサ」

 

マンティコアの像が喋り、私は肩書きと名前を述べると門がゆっくりと開いていく。私たちが入っていくとシルフィードもついて来ようとしたので空で待機するよう言った。シルフィードはとても不満そうにして屋敷の上を飛び始めた。それから、私たちはまず屋敷の客間に通された。客間はあちこちに宝石や金の像が置いてある、成金を見事に表したような部屋だ。その部屋の真ん中、巨大なソファに身体をうずめるようにして、肥えた太った女性が座っている。まさに堕落貴族の典型のようなこの女性が、ド・ロナル伯爵夫人だろう。夫人は客間に入ってきた私たちを無遠慮にジロジロと見ると

 

「そなたたちが王宮が寄越した花壇騎士かえ?」

 

夫人が古い宮言葉で聞いてきた。背後から舌打ちと嫌そうな声が聞こえてきた。私も同じ気持ちだがそれは表情に出さずに夫人の問に私は頷く。すると夫人が顎をしゃくり、魔法の鈴を鳴らすと先ほど案内してくれた執事が飛んできた。

 

「お呼びでございますか?奥様」

 

「誰が子供を呼べと申した。それに、そこなみすぼらしい格好の者と頭の悪そうな顔の者。どうせいやしい家の出の者たちだろうて。こんな者たちをあの子の相手をさせるわけにはいかん。わらわは((騎士|シュヴァリエ))≠呼べと申したのじゃ。臆病者に、勇気や気品を与える騎士が欲しいのじゃ。遊び相手や、使いっ走りなどが欲しいわけではない」

 

夫人が一気にまくし立てる。とんでもなく自分勝手な人だ。しかしそれよりも

 

「その肉、そぎ落としてやろうか・・・」

 

「自分の姿も理解できてねぇクズが。死ね」

 

後ろから小さな呟きと共に軽い殺気が漂ってくる。近くにいた執事は夫人の剣幕とキキとアッシュの威圧感に顔を青くしながら

 

「お、恐れながら奥さま、ここの皆さまは、様々な功績を上げシュヴァリエの称号を得た、まごうことなき栄誉あるガリア花壇騎士でございます」

 

執事がそのように説明するがキキとアッシュに関してはもちろんでまかせだ。本当のことを説明すると面倒になるので、そのようにしてある。

 

「シュヴァリエ≠ニな。最近では商家の認可証並みに、濫発しておるという話ではないかえ・・・。まあ、よい。そちに任す。よきに計らえ」

 

夫人はそう言うが、何をどうしろと? 私たちが呆れていると夫人はまた鈴を鳴らした。

 

「お呼びでございますか?奥さま」

 

すると、赤い髪の召使の少女が現れた。

 

「オリヴァン付きの召使じゃ。わからぬことがあれば、このものに尋ねよ」

 

夫人がそう言うと、少女は私たちに近寄り一礼した。

説明
魔法人形の話だったもの。実際はとあるキャラの顔見せだけ
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ゼロの使い魔 タバサ オリ主 クロスオーバー テイルズ ご都合 

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