英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 275 |
〜ボース市〜
「さてと、霧降り峡谷にいるウェムラーって人を訪ねるのよね?」
「ああ、峡谷の東側の山小屋に住んでいるはずだ。それよりも……。……やっぱり付いて来るつもりか?」
エステルに尋ねられたアガットは頷いた後、ティータを見た。
「えへへ、もちろんです。振動ユニットが故障したらその場で修理できますし……。飛んでいる相手だったら導力砲が役に立つと思うんです。」
「チッ……しゃあねえな。あまり無理をして足を引っ張るんじゃねえぞ。」
「はいっ!」
アガットの返事を聞いたティータは嬉しそうな表情で頷いた。一方その様子をエステル達は見つめ続けていた。
「な、なにお姉ちゃん?」
「……何だってんだ?」
エステル達の様子に気付いたティータとアガットは首を傾げた。
「いや〜、なんと言いますか。今まで以上に馴染んでるなぁって思って。」
「ええ。お二人とも凄く仲良く見えますよ?フフ……どうやら良い事があったみたいですね。」
「……まあ、仲が悪いよりは断然よいな。」
「フフ………ティータちゃん、アガットさんと前以上に凄く仲良くなったんだね!」
「うん。一体どうやって仲良くなったのか、凄く気になるよ。」
アガット達に尋ねられたエステルはからかうような表情で2人を見て言い、エステルの言葉にリタやアムドシアスは頷き、ミントは嬉しそうな表情で言って、ツーヤは微笑みながらアガットとティータを見た。
「ふえっ……?」
「な、なに言ってやがる。」
エステル達の言葉を聞いたティータは驚き、アガットは焦った。
「あはは、焦ってやんの。でも……気持ちの整理は付けられたみたいじゃない?」
「……まあな。もう1人で突っ走って自滅するようなマネはしねえさ。またどこぞのチビスケに怖い顔で叱られたくねえしな。」
「あう……アガットさんったらぁ。」
アガットの言葉を聞いたティータは恥ずかしそうな表情で言った。
「ふふ……そっかそっか。よーし、それじゃあ霧降り峡谷に急ぎましょ!」
「うんっ!」
「おう!」
その後エステル達は霜降り渓谷に向かい、アガットが尋ねた人物によって、通れなかった道が通れるようになり、そしてジークを呼んでメモをジークの脚にくくりつけて、ジークに連絡を頼んだ後、竜がいるであろう場所に出発した。
〜ボース地方・上空〜
「ピューイ!」
「おお、来たか!」
エステル達が竜がいる場所への道を歩み進んでいる頃、ジークがアルセイユの艦首で連絡を待っているユリア達の所に飛んで来た。そしてユリアはジークの脚にくくり付けてあるメモを外して、内容を読んだ。
「……エステル君たちが無事、竜のいる岩山に到達しました。これから内部を通り抜けて竜のいる場所を目指すそうです」
「そうか……。……全艦艇に通達!徹甲弾を装填した上で所定の位置に待機せよ!万が一、竜が逃げ出しても絶対に包囲を突破されるな!」
ユリアの話を聞いたモルガンは頷き、指示をした。
「イエス・サー!」
〜霧降り峡谷・北西部・最奥頂上〜
霧降り峡谷を登り続けたエステルたちはついに、竜の棲む洞穴を見つけた。
(ああっ……)
(いたか……!)
竜を見つけたエステルは驚き、アガットは警戒した。
(ね、眠ってるのかな?)
(……そうみたいですね。)
眠っている竜の様子に気づいたティータの言葉にリタは頷いた。
(ほう………中々立派な竜ではないか。このような竜、滅多にお目にかかれんぞ。)
(ボースで見た時も思ったけど、本当に大きい竜だね……)
一方アムドシアスは竜を見て感心し、ミントは竜の大きさに呆けた。
(………マスターが戦ったレーヴェという人もいませんね……)
(これはチャンスかも……。アガット、どうする?)
ツーヤの言葉に頷いたエステルはアガットに尋ねた。
(まずは俺1人で接近する。うまく行きゃあ、そのまま”ゴスペル”を破壊できるだろう。)
(そっか……分かった。)
(アガットさん……)
(大丈夫だ、心配すんな。失敗した時は援護を頼むぞ。)
(はいっ……!)」
(気を付けてね……!)」
そしてアガットは”重剣”を持って、近くの岩陰に身を隠した。
(あれか……)
”ゴスペル”を確認したアガットは、重剣についたユニットの電源を入れた。
(……行くぜ!)
アガットは眠っている竜に走って行きそして!
「らあああっ!」
ありったけの力で竜の額に重剣を食い込ませた!その時、”ゴスペル”にヒビが入る音がした。
「やったか……!?」
アガットは警戒しながら竜を見ていた。すると”ゴスペル”から黒い光が出て、竜が目覚めた!
「チッ……浅かったか!」
竜の様子を見たアガットは舌打ちをした後、重剣を一端しまい、両手剣を構えた!そして竜はアガットに炎を吐いた!
「!!」
竜の攻撃に気づいたアガットは横に飛んで回避した!
「アガットさんっ!」
「アガット!」
導力砲で竜の頭を攻撃したティータが慌てた様子でアガットに近づいた。そしてティータに続くようにエステル達も武器を構えて、アガットに近づいた。
「ヒビは入ったが破壊まではできなかった!こうなりゃもう1度チャンスを作るしかねえ!手を貸してくれ!」
「もちろん!」
「はいっ!」
アガットの言葉にエステルとティータは力強く頷き
「……同じ”竜”として絶対に助けてあげようね、ツーヤちゃん!」
「うん!」
ミントとツーヤはそれぞれ決意の表情で武器を構え
「古の竜よ……ソロモンの一柱たるこの我の旋律……とくと聞くがいい!」
「フフ………相変わらずですね、アムドシアス。”魔槍のリタ”………参ります。」
アムドシアスは高々と言って弓を構え、リタはアムドシアスの様子を見て口元に笑みを浮かべた後、不敵な笑みを浮かべて竜を見た!
「みんな、行くわよ!!」
エステルの掛け声を合図に、”伝説”の存在に挑む戦いが始まった…………!
説明 | ||
第275話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
870 | 829 | 2 |
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