神次元学園V
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序章 第二話 霊刀焔(ほむら)

 

個人カリキュラムの時間が始まって約一時間。

俺は学校の近くにある魔物の森で果物探しをさせられていた。

逃げようなんて考えは決して出来ない。だって俺に教えている先輩は俊足だもん。

 

「やーい。果物はどこだ〜」

 

呼びかけてみるが、もちろんのこと応答はない。

はあ〜、果物が喋ってくれれば楽に見つけ出すことも出来るんだが。

木をわけ、とりあえず奥地へと進んでいく。

 

「だらっしゃーーーーー!!!」

 

なんとなく、走ってみた。全力で。

 

「っと―――あ〜れ〜!」

 

森の抜けたところは滝であり、俺は見事に落下していった。

運命のいたずらおそろしや!

 

ぼっしゃーーん

 

「ぷは!お〜ながされていく」

 

川の流れる勢いは結構なものだった。

 

「って!流されていくじゃないですわ!!」

 

ながされている俺を救ってくれたのは、緑色のポニーテールの人―――先輩だった。

黒いスーツ(露出が激しい)みたいなものに身を包んでいる。

表情は必死そのもの。こんなにも必死になって助けてくれるとは俺も人生捨てたもんじゃないね。

 

「愛しの先輩だ〜」

 

俺は先輩の手をとり、先輩は俺を空中へと引き上げてくれた。

 

「まったく、世話のかかる後輩ですわ」

 

面目ないぜ。今のを見られていたなら、きっとアホにしか見えなかっただろうに。

 

っとすぐに先程うろついた辺りに先輩が下ろしてくれると―――

 

「俺は何事もなかったように歩いていくのだった」

 

「心の声が漏れてますわよ。キョウヤ」

 

先輩に肩をつかまれ強制的に対面する形になってしまった。

あーこのままでは〜。いや、別に嫌だって訳じゃないんだが、その先輩の胸がでかすぎてね。

 

「キョウヤ。どこを見ている―――〜〜〜っ!!」

 

あ、ほらな。先輩はどうやら、今頃露出の激しさに気づいたらしい。(この時間の姿はいつもこれなのに)

両手で抱くように隠してしまったわけだが、照れてる先輩の顔が見れたのでこれは俺にとってはほんの少し得かもしれない。

 

「ベール先輩。そんな仕草をしたら俺襲っちゃいますよ?」

 

「なっ!そ、そんなこと許しませんわ...」

 

「ぐへへへへ」

 

「はっ!」

 

ベール先輩は裏拳で俺の腹を叩きつけた。

 

「ごほごほ!!よ、容赦ない!?」

 

「愛のムチですわ。ふふふ」

 

「先輩がSに目覚めちゃったよ!?」

 

「あら、私はキョウヤにだけSですわよ」

 

「それは喜んで良いのか!?」

 

「あなたがMに目覚めてどうするんですの?」

 

「べ、別に目覚めてなんか無いんだからな!」

 

「ツンデレはノワールだけで十分ですわよ」

 

「.....うっす」

 

確かにそうだ。けど最近ノワールのツンデレみてないね。

 

読者の皆さんも見たいと思ってるよね!?

 

え、俺にデレデレなのはおかしい?.....そこはね、後々そうなった原因教えるから、今はほっといてくれないかな?

 

「あ、あのですね。えーと、俺探してきますね?」

 

「ええ。頑張って探す―――あ...」

 

なぜか、その場に倒れてしまった。

それと同時に先輩の身体が光り、現れたのは学園の制服に身を包んだ黄色髪のロングヘアーの女の子。

 

言っとくけど、同一人物だからね。このベール先輩は一時的に女神になることが出来る変身能力を持っているんだ。

詳しくは教えてくれないからよくわかんないけど。

 

「先輩!しっかりしてください!!」

 

先輩は息を荒くしているので、おでことおでこを合わせ体温を測ってみると

 

「あつ!凄い熱だ」

 

「うう!!」

 

先輩が熱でうなされて苦しそうにしている。

そんな姿を見てしまった俺がすることといえば一つ。俺は先輩を抱き上げ、学園に向かって走った。

 

 

 

「し、失礼しま〜す」

 

先輩の部屋に入ると、そこには大量のゲーム機が置かれていた。

まさか、先輩がゲーム大好き人間だとは。

 

「し、慎重に、出来るだけ慎重に」

 

俺は先輩をおんぶしながら素人の抜き足差し足忍び足で廊下を歩いていく。目指す場所は寝室!!(どこかは分からないけど)

たまにギシギシと音が鳴るのはきっとうぐいす張りに違いない!考えたな、同居人!!注:寮のどこにもうぐいす張りは敷いてありません。

なんたってこの部屋は―――この寮は神棟なのだから。

先輩には確か同居人がいて、―――ってそれしかしらないや。

神棟にいる人だ。おそらく、神棟の中でも優しさと厳しさを持ち合わせているのはベール先輩だけなんじゃないだろうか。

 

「よし、寝室まであとすこ―――げふっ!?」

 

天からなぜか、銀タライが降ってきた。見事に脳天に命中。

 

「ん?ベール帰ってきたのなら返事ぐら―――っ!?」

 

先輩をおんぶしているため頭をさすることが出来ない。

 

「いてえ?....そう言えば、声がしたような気がするな」

 

「おおおおお男!?なななな何で!?」

 

目の前に現れたのはバスタオル一枚を纏った小さい先輩(?)だった。

薄茶色のショートヘアーな髪の毛はとてもいい。

 

「やべ。かわいい」

 

「かかかかか可愛い!?」

 

だめだ。なんかこのまま話していてもらちが明かないような気がする。

 

「あ、そう言えばベール先輩が凄い熱でそれで連れてきたんです」

 

「そ、そうなの?わかった。こっちに来て」

 

 

 

「これで一安心ですな」

 

俺は先輩方のリビングの座布団でお茶をすすりながら少しだけゆったりしていた。

 

(.....さっきのタライはなんだったんだ?)

 

「一安心じゃない。もし、あなたがベールの後輩じゃなきゃ今頃拷問をしていたのだけど」

 

対面にある一人用のソファーにちっこい先輩が座った。

というか、見た目と違って考えることが恐ろしい。

 

「......」

 

「......」

 

何だ、この沈黙。プルと話していればこんなことはまずないからな。

こういう時どうすればいいんだ?

 

「あ、このちっこい先輩の名前聞かな「だれが、ちっこいだ!」ごふっ!」

 

鉄拳が飛んできて、見事なまでに腹にクリティカルヒットした。

ふ〜、耐久力高くてよかった。痛いのは我慢できなかったので、俺はその場で悶絶してしまった。

 

「......」

 

うつ伏せになって急に動かなくなり、死んだふりをしてみる。

さあ、どうする?ちっこい先輩よ!!

 

「死んだの?....確か、庭園に大きな食虫植物がいたような」

 

「俺は虫じゃないっすよ!?」

 

たまらず、起き上がり抗議する。

俺は虫以下じゃないはず!!

 

「じゃあ、食細胞植物で」

 

「俺ってミジンコ並み!?」

 

「その前に人間じゃないけどな」

 

「人間止めさせられた!?」

 

「人間だったの!?」

 

「そんなに驚かないで!俺の設定おかしく思われちゃうから!!」

 

「設定っていっちゃダメだと思うんだけど」

 

「あ....いや。....ちっこい先輩。待ってください。何で「おい、ベールの後輩だからって言っていいこと悪いことがあるんじゃねえか!」逆切れ!?」

 

俺は恐怖のあまり後ろに座布団ごと後ずさった。

 

ちっこい先輩から何か黒いオーラが見えるぞ。

 

「あれ、もしかして俺ピンチ?」

 

ど、どうする。相手は未知の領域の神棟生。こ、こんな時は―――

 

「あ、UFOだ!!」

 

「な、何処だ!?」

 

ひ、引っかかったぞ!今だぜ!

 

「今日のとこは大目にみてください!!」

 

俺は全力でその場から逃げた。

 

「あ、てめえ!騙したな!!」

 

うお!せ、背中がめっちゃぞわっとしたぞ。

か、関係あるかーーー!!何とか玄関に到達し、恐怖のあまり勢い余った俺は柵を超え空に投げ出された。

 

「ここ、10階だぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ぼっしゃーん

 

本日二回目のダイブ。ん?何処にかって?神棟の寮のプールの中だよ。

 

「へっくしょん!!....さぶ」

 

せっかく乾いた制服をまた濡らしてしまった。

 

「あわわわわわわ.....へっくしょん!!」

 

と、とりあえず早く出なければ。溺死なんてしたら―――ある意味有名になれるな。

 

『深水1mで溺死!?驚愕の事件!!』

 

てな、感じの見出しで新聞に載るかも。

.....冗談はよして、ほんとに早く出なければ。

 

「よいしょっと」

 

俺は適当な泳ぎでプールサイドまで行き、上がった。

 

あんまりゆっくりしているとちっこい先輩に捕まりかねん。

 

「帰るか」

 

暗い月明かりの中をびしょ濡れのまま一人歩いていった。

 

 

 

部屋の前まで来ると、やたらと中がうるさいことに気づいた。

 

まさか、ついにプルのやつ精神がおかしくなっちまったのか!?

 

俺は心配のあまり、玄関を駆け上がり声のするほうに必死に走っていった。

洗面所の扉を開け、声のする奥の扉に手をかける。

 

「プル!!」

 

がらーん

 

開けたときには時すでに遅し。

 

俺が開けたのはお風呂の扉だった。

目の前には今まさに出ようとしたのだろうか、女の子が佇んでいた。

湯煙で奇跡的に女の子の裸体は俺の視界には入らなかった。

 

「......どなたですか?」

 

頭が錯乱して次に何を起こせばよいのかわからなくなった俺は見知らぬ人物に名を尋ねていた。

 

「ねねねねねネプテューヌだけど!」

 

見られた本人も錯乱してるのか、質問に答えている。

 

「え?ネプテューヌさん?」

 

「う、うん」

 

あんなにちっこくてかわいらしい容姿は何処へやら、クール系美少女になってるよ。

人ってこんなに変われるんだね。そういえば、昨日会ったような気もする。

 

「すみませんでした」

 

扉を閉め、やってしまった感満載でリビングのソファーに腰を下ろした。

 

「いくらなんでも不幸ではないけど.....きっと誰かが俺に呪いをかけているに違いない!!」

 

やい、出てこいや!おかげで気まずいじゃないか!!

 

「へっくしょん!.....そう言えばそうだった」

 

さっき俺プールの中に落ちたんだっけ。

びしょ濡れの制服をベランダに干し、替えの服を装着し再びまったりしだした。

 

「.....白に赤の線か」

 

俺がこの学園に入学する前ある偉大な方にこのコート&服一式&長刀をもらった。

偉大な方曰く「これ着とけば、何とかなる」と適当なことを言ってろくな説明も受けれずに今までずっと俺の部屋のタンスに放置していたのである。

全体的に白がメインで赤の線が所々奔っているカッコいいコートである。

 

どっかーーーん!!

 

「!?」

 

近くで爆発か?ま、まさかUFO墜落!?......っと冗談はおいといて、これはマジでやばいやつかも。

 

「一難去ってまた一難とはよく言ったものだ」

 

すぐに支度をし、玄関まで走ると風呂から出てきたのだろうか若干髪が濡れているプルが洗面所の扉から出てきた。

服はいつもの普段着を着ている。

 

「ぷる〜ん....キョウヤ?」

 

「少し、行って来るよ」

 

プルにそう短く返し玄関で靴を履き替える。

 

「キョウヤ〜.....連れてって」

 

「.....危ないかもしれないぞ」

 

「キョウヤと離れるのはやだよ〜」

 

プルは話さないといわんばかりに腕に抱きついてくる。

と、そこで異変に気づいたもう一人が風呂場から出てきた。

 

「ネプテューヌさん」

 

現れたのはプルと同じくらいの背のネプテューヌさんだった。動きやすい服に身を包んでいる。

スカートが短いのが少し俺にとってはきついかもしれん。

 

「キョウヤ。今のって?」

 

この子はどういう理由があるかは知らないけど、ベール先輩やノワールと一緒で変身できる。

姿形も変わる変身なんて、俺の知ってる中ではこれで二人目だよ。

 

「分からない。けど、本能が言っている!何かあると!!」

 

「何も無かったら?」

 

「うーん....お土産でも買ってくるよ!」

 

「ここら辺お土産なんか売ってないよ!?」

 

「違うよ。お土産を何か狩ってくるよ」

 

「そっちの狩う!?買って来るの方じゃないの!?」

 

「狩って来る!!」

 

俺は扉を勢いよく開け外に出て行った。

 

ネプテューヌさんとコント結構いけたな。

 

「キョウヤ!!」

 

ネプテューヌさんの声が後ろから聞こえる。

 

俺は一瞬だけ後ろを向き

 

「留守番任せた!」

 

歯をきらりと光らせ、今度こそプルを連れて走り去るのだった。

 

かっこよく見えたかな?

 

 

 

 

爆発のあった場所から煙が立ち上っていたので、案外UFO墜落場所(?)は見つけやすかった。

 

「ここはカリキュラムの時に落ちた滝だよな?」

 

俺達の眼前に広がっていたのは、滝ではなく壮絶な崖になっていた。....水どこに行った?

おかしなことに今日のカリキュラムの時間の時には水というか川が流れていたのに、水が張っていなかった。

 

簡単に言うと、水が一滴も流れていない。ただの水がない道.....水無道!!

 

「我ながら頭脳がさえてらっしゃる」

 

「?」

 

隣ではプルが俺の顔を見て頭の上に?マークを三つほど浮かべていた。

 

「なあ....今気づいたんだけどそのぬいぐるみなんだ?」

 

いつの間にやらプルの右手には熊(?)のぬいぐるみが握られていた。

 

ちなみにプルはいまだに俺の腕に抱きついておられるので.....いくら胸が小さいプルでもこうも接近されるとその...気になるんだよ。

 

「これは....戦闘用だよ〜」

 

「.....おーけー。よく分かった」

 

どうやら天然なプルさんはぬいぐるみで宇宙人を倒そうとしていたらしい。

 

「天然、可愛い!!」

 

「.....?」

 

またもや?マークを浮かべるプル。.....何しに来たんだっけ?

 

えっと、ミニコント?ちち違う、断じてそんなんじゃなかったはず!

あー....爆発が起きたから調査しに来たんだっけ。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

「スマト○沖地震!?」

 

だが、すぐに地の震えは収まった。

 

ってかスマト○って何処?

 

「キョウヤ〜....何かあるよ〜」

 

プルの指を指す方向に目を向けてみると

 

「剣?....男の好奇心が溢れ、俺の心が言っている!!やつを抜けと!!」

 

剣を中心に小さなクレーターが出来ていた。

 

もしかしたらマス○ーソードかも。たいした鍛錬も積んでいない俺があれを抜けるのか!?

 

とりあえず、プルに手を離してもらい剣のあるクレータの中へと入っていく。

近くで見てみると剣の外装の奇妙さに少し驚いた。

 

「というかこれ剣なのか!?」

 

まるで地面から生えるように2.5mぐらいの結晶の塊が突き立っていた。

結晶が回りに纏わりついていて、剣の柄らしき所だけが飛び出ていた。

 

柄しか見えなかったから剣と勘違いしたんだな.....たぶん。

 

「触れるか、触れないか......好奇心おそろしや」

 

好奇心に負けた俺は柄の部分に触れてしまった。

 

「触ってしまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

べ、別に後悔なんてしてないんだからね!

 

彼が好奇心に負けさえしなければ.....

 

「後悔したぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?いや、その前に誰だよ!?俺のF○I並みの脳内のセキュリティーを潜り抜けたのは!?」

 

頭の中に響いた何かに突っ込みを入れてみた。

 

「.....何も起こらんのかい!!」

 

柄に触れても何も起こらなかった。

 

「ほっといておくか」

 

俺が握っていた柄を離そうとした次の瞬間

 

『Confomity確認。作業を開始します』

 

「しゃしゃしゃべった!?な、なんじゃこりゃ!?」

 

柄から銀色のほそーい棒みたいな柔らかいものが出てきて、握っていた俺の手に絡み付いてきた。

 

「ふん、っぐぐぐぐぐ!!」

 

力を込めもう片方の手を使い捕らわれた手を柄から離そうとするが、全然放すことが出来ない。

 

パリーン!!

 

ガラスの割れるような音ともに俺の身体は5mほど吹き飛ばされた。

手には細い棒は絡まっていなかったので、

 

「開放されたと思っていいんだよな?」

 

目の前には先程とは打って変わって、全てがライトレッドな剣が浮遊していた。

 

「に、2mはあるな。もう、よく分からん」

 

土を払い立ち上がると俺は剣に対面した。

 

....長刀持ってくんの忘れたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

『適者よ。試練を言い渡す。私を蹂躙せよ!!』

 

剣が高らかにかっこのよい声(女の子の声)で俺にそう言った。

 

ん?今のは剣がしゃべったのか?

 

「キョウヤ〜....きっとこの剣はMなんだよ〜」

 

10m離れた場所でプルが大声でそんな事を言った。

 

ててて天然娘よ!俺の命が削れるからそんな発言はよしてくれー!!

 

「いや、待てよ。.....これはドッキリなのか?.....もしかしたら後衛で誰かがしゃべってるのかも」

 

....そうだとしたらどうすればいいんだ?

 

『適者よ「ささては、俺に告白か!?....ごめんなさい。俺はちゃんと段階踏まないとムリかな?」....』

 

「ふ〜...万事解決だぜ!!」

 

俺は告白者に背を向け歩こうとした

 

『適者よ!始めようぞ!!』

 

先程と同様で女の子の声が聞こえたので、俺は思わず振り向いてしまった。

 

「.....気のせいか」

 

『適者よ、貴行の実力見せてもらうぞ!!』

 

「またか!....気のせいか」

 

女の子の声がしたんだけどな〜....まあ、いいか。

 

「プル、帰ろうぜ」

 

「キョウヤ、後ろ!!」

 

珍しくプルが大声を上げたので、後ろを振り向くと

 

「なっ!ぐう!!」

 

後ろから剣が俺の背中を突き刺していた。俺は力なく前のめりに倒れる。

     

『適者よ。霊冴服(れいごふく)を着ていても使わなければ意味はないぞ』

 

「な、何のことだか....さっぱ―――あぐ!?」

 

背中の剣が引き抜かれ、剣がプルに向かって一直線に勢いよく飛んでいく。

 

「くそがっ!!」

 

激痛に何とか耐え、俺は立ち上がり走った。

 

「間に合え、間に合えぇぇぇぇぇぇ!!」

 

するとコートの赤い線から光が浮かび上がり、急に身体が軽くなった。

 

「やらせない!!」

 

一瞬で距離を殺し、プルの前で両手を広げ剣の進行を妨げるように佇む。

 

「キョウヤ!」

 

プルの声が泣いている。.....だから、もう泣かせないためにも

 

「俺が―――守るんだ!!!」

 

俺の声に応えるように、コートがよりいっそう強い光を放った。

 

ズゴン!!

 

突如として目の前に現れた赤の魔法陣が剣の突を受け止めた。

 

『これは!?....』

 

剣は驚いた声を出すと、突をやめ地面に自ら突き刺さった。

目の前の魔方陣は役目を終えたのかのように音もなく消え去った。

 

剣は突き立ったまま光ると、剣は消失しそこに女の子が現れた。

赤髪の腰まであるロングヘアーで、学園の制服に身を包んだ美少女がいた。(胸はでかい)

 

『適者よ。私の名前は霊刀焔(ほむら)。貴行は中々良い筋をしている。よって、試練は合格だ!!』

 

焔は俺の傷口に手を当てると、傷口がだんだんと消えていく。

 

「.....傷が癒え始めたぞ?」

 

『ふふん。適者と私はすでに一心同体!私の身体が万全なら適者の身体もいつでも万全にすることが出来るぞ!!その変わりこうして直接触らないとダメなんだ』

 

高らかに胸を張ってそう言う焔を見て、何故か少し安堵できた。

悪い子じゃなくてよかった。

 

「ぷる〜ん....大きいなぁ〜」

 

むにゅ

 

『ひゃん!ななな何をするか!!』

 

すっかり普段の状態に戻ったプルが焔の胸をひと揉みした。

 

おい、そいつは俺と一心同体(にさせられた)なんだから特権は俺にある!!

 

「よっと....あいた!」

 

俺の手は胸に届く前に焔によって弾かれた。

 

『適者よ。私は貴行に全てを委ねた訳じゃない。そういうのは....まだ早いぞ』

 

「ふむ。じゃあ、委ねろ!!」

 

『軽くないか!?』

 

「委ねろとは言わない。預けろ!!」

 

『言ったぞ、委ねろと!しかも預けろって同じ意味だぞ!?』

 

「せめて、ご主人様と呼んでくれ!!」

 

『私と適者の関係って!?』

 

「ん?ご主人様と愛人&メイドじゃないの?」

 

『何だ、そのややこしい設定!それにそんな深い関係になった覚えは無いぞ!?』

 

「結婚しよう!!」

 

『えーい!恥ずかしい事を言うな!!』

 

焔は胸を手で抱きこちらに背を向けてしまった。

 

「.....帰ろうか」

 

「ふあ〜.....うん」

 

『て、適者よ。私の寝床はあるのか?』

 

背を向けたまま、こちらに問う焔。

 

「ああ。あると思うよ」

 

新たなめんどくさそうなキャラを連れて俺達は寮に帰った。

説明
今回は多くのキャラというかおなじみのキャラが出ますね!
うわさのカリキュラムの時間が少しだけ載っております!
キョウヤがボケる!ツッコム!そして、早くも新オリキャラ出現!
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