ソードアート・オンライン―大太刀の十字騎士― |
ゲームが始まってから一ヶ月と少し。
死者は二千人以上に上った。
一ヶ月でここま行くとは。
で、私はキリト君と最前線の迷宮を探索し終えて、街に帰っていた。
それにしても、数ヶ月で女でいることに抵抗なくなってきたなんて、私は女になることを望んでたにかな?
って、んな分けないだろ。なに考えてんだ私は。
普段、私たちはソロでやっているんだが、こうしてたまにパーティーを組むことがある。
レベルには問題ない、防具それなりに強いのだが、ソロ狩りは危険がパーティー狩りの数倍はある。
なので、こうしてたまにパーティーを組んで、安全(と、いっても、絶対の安全なんてないんだが)を確保してレベル上げをしたりしている。
べ、別に、私が寂しいからとかじゃないからね!
だって、ルーフェルがいるし。
あ、ルーフェルってのは私の作った、AIね。
「なあ、ヒナ」
「何?キリト君」
私が心の中で無駄な言い訳をしていると、キリト君が話しかけてくる。
「お前はギルドとか入らないのか?俺と違って、人付き合い良いし、そっちの方が安全だろ」
「うーん、そうなんだけど。そんなにギルドがないじゃん。いいギルドがないんだよね」
今あるギルドはなんか、攻略目指してるってより、仲間で集まって生き残ろう、みたいのばっかなんだよね。
「そっか」
「それに、キリト君をほっとけないしね」
「いいよ、俺は大丈夫だから」
「そう、なら考えよっかな」
そんな話をしていると、街に着く。
私たちは拠点にしている街が違うので、そこで別れる。
私は基本的に、最前線の迷宮区でレベル上げをしているので、最前線の宿屋に泊まっているんだが、最近ちょっとずつ貯めていたお金でホームハウスを買おうかと考えている。
私がキリト君と別れて、宿屋に向かおうとすると、いきなり肩を掴まれた。
「すまない、少し時間を頂けないかな」
「え?私ですか?」
そう言って振り返るとそこには、二十代ぐらいの男性が立っていた。
初めてあった筈だが、その男性のことを知っている気がした。
しかしそれは、疑惑から確信へすぐに変わる。
男性が纏っているオーラ、雰囲気がある男と同じで、しかも、ルーフェルが送られてきたデータに、プレーヤーでは有り得ない情報があったからだ。
その男の名前は――
「茅場さん」
私が、男性プレーヤーの本名であろう名前を呟くと、男性は眉を少し動かす。
どうやら、当たりのようだ。
「まさか、一目でバレるとわね。ここでは人目が多い、移動しよう」
「はい」
そう言って茅場さんは、歩いていく。
それに私もついて行く。
そして、茅場さんについていって数分、着いたのは私の泊まる気でいた宿屋だった。
そして茅場さんはその一室を借りて、その部屋に向かっていく。
「なんで宿屋ですか?」
私が歩きながら質問すると、茅場さんはすぐ答えた。
「宿屋なら、他に聞かれないし、君が帰る手間が省けるだろう」
「私がここに泊まってるって、知ってたんですか」
「君を探しているときに、たまたまこの宿に入るのを見つけただけだ」
それでも怖いわ。
そんな話をしている間に、部屋に着いたようだ。
「ああ、この部屋は君が泊まってくれよ。私からの奢りだ」
そう言いながら茅場さんは、部屋にあった椅子に腰掛けた。
というか、宿代を奢る人なんてはじめて聞いたよ。
「で、私に何の用ですか?」
私がそう切り出すと、茅場さんは用件を簡潔に告げた。
「私はこれからギルドを作ろうと思う。君にはそのギルドに入ってもらいたい」
茅場さんのギルドか、ちょうどギルドに入ろうと思っていたところだ、いいだろう。
「わかりました。入ります」
私が即答すると、茅場さんは驚く。
どうやって説得しようとか考えてたんだろうなぁ。
思いっきり無駄にしちゃったな。
「そうか、なら君は今日から私のギルドの一員だ。よろしく頼もう」
「はい。よろしくお願いします。それより、ギルドのメンバーは集まってるんですか?」
「ああ、君のほかに数人だがな」
少数精鋭かな。
「で、ギルド名は?」
私が聞くと、茅場さんは一つ間を置いて答える。
「ギルド名は――
『血盟騎士団』だ」
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第六話 ヒナが血盟騎士団に誘われます |
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