魔法少女リリカルなのは DevilStrikerS ー追憶ー
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「はぁ…はぁ……はぁ」

 

燃え盛る炎の中、バルダは走っていた。

 

「何なんだよ…これ」

 

バルダは混乱していた。

 

「村のみんなが……」

 

何故ならこの世のものとは思えない異形の者が村を襲っていたのだ。

 

「父さん…母さん!」

 

バルダはただひたすらに走り続けた。自身の最も大切な人たちの下へ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃあぁぁぁあああああ!!」

 

「ッ…………」

 

余りの惨さに眼を背けながら走るバルダ。

 

だが異形の者達はバルダを見つけるなり、襲いかかって来た。

 

「う、うわああああ!」

 

 

 

 

ーーーザシュッ…!!ーーー

 

 

 

 

「………あれ?」

 

ふと自分の体を見る。

しかし怪我はない………でも何故?すると…

 

 

「大丈夫か、バルダ?」

 

とても聞き覚えのある声が聞こえてきた。そう、自分にとって大切な……

その男は真紅の赤いコートを羽織り、腰には大口径の二丁拳銃がホルスターに納められていて、そして人の背丈程もある大剣を右手にたずさえ、こっちに笑いかけていた。

 

「どうした。いつもの元気はどこに行ったんだ?…ってもこんな状況じゃしょうがねぇか」

 

「………父さん…」

 

その男はバルダの父だった。

 

「なんだ?」

 

「村のみんなが………」

 

声がふるえているバルダ。その様子を見てかなり人が殺されるところを見たのだろう。男はひとまずこの場を離れる事にした。バルダはまだ小さい。 小さな子どもには刺激が強すぎる。なら男がやることはただ一つ。バルダを安全なところに連れていくことだ。だが、そうはさせんと異形の者達が立ちふさがる。そして男に激しい憎悪を込めてこう叫んだ 。

 

 

 

―――――ダンテと…

 

 

 

 

その男、ダンテは異形の者達を不敵に笑い

 

「Come on!!悪魔共!」

 

と挑発し、右手に持つ反逆という名の大剣リベリオンで目前の悪魔を真っ二つにたたっ斬った。

 

「Let's rock!!」

 

そしてホルスターに納められている二丁拳銃エボニー&アイボリーを取り出し、鉛の弾丸のキスを悪魔達にくらわした。豪雨のような弾丸の嵐。悪魔達は断末魔をあげることも出来ずに倒された。

 

「行くぞバルダ」

 

「え?どこに?」

 

「とりあえず安全な場所にだ」

 

そう言ってダンテはバルダの手を引いて移動しようとしたがバルダはそれを拒んだ。

 

「母さんは!?母さんも助けなきゃ!!」

 

バルダはダンテの手を振り払い、一目散に走り出した。

 

「バルダ!?…………くそっ!」

 

ダンテは舌打ちをしつつ、バルダを追いかけるべく走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「母さん!!」

 

ここはバルダの家である。勢いよく扉を開け、母の安否を確認するバルダ。少し後にダンテも家に入る。すると部屋の奥に金髪の女性が倒れていた。

 

「母さん!しっかりして、母さん!!」

 

「…大丈夫だ。どうやら[マリア]は気絶しているだけみたいだ」

 

ダンテからそう聞いてバルダは安心したがダンテは不服そうだった。

 

「(悪魔が人を殺さなかった?何故だ?奴らは殺戮を好むはず…殺さないのはおかしい。だとすると…)」

 

ダンテが不信に思っていると、周りにおびただしい量の魔力がダンテを囲い込んだ。そしてそれは結界となり、ダンテをバルダ達と全く違う空間へと閉じ込めた。

 

「ちっ!そういうことか!!」

 

魔力を込めた弾丸で結界を破壊しようと試みるが 結界には傷一つつかない…

そして待っていたかのように悪魔が出てくる。 だが、バルダは悪魔達の存在にまだ気がついていない………まさに最悪の状況である。

 

「バルダ!!早く逃げろ!!くっ、聞こえないのか!?」

 

声を掛けても反応がない。どうやら結界によって声が遮断されているようだ。

 

「Shit!これはさすがにやばいかもな!!」

 

この結界をどう破壊するか考えている間にも悪魔達の魔の手が最愛の妻と息子に迫ろうとしている。

 

「!」

 

そしてバルダが漸く悪魔の存在に気付いたが時すでに遅し。一体の悪魔が大きな鎌を持ってバルダに襲いかかって来た。

 

「っ!!」

 

目を閉じ、身構えていたが、悪魔の攻撃がこない、恐る恐る目を開けるとそこには信じがたい光景があった。

 

「大丈夫?バルダ」

 

いつの間に起きたのかマリアがバルダの身代わりになって悪魔の大鎌によってばっさりと切り裂かれて倒れていたのだから……

 

「か…あ……さん?」

 

いきなりの事に頭がついていけないバルダ。

そしたらマリアがバルダの顔に手を添えながら

 

「バルダ、ゴメンね……お母さん…もうダメみたい……」

 

最後の言葉をバルダに言う。

 

「でもね…私が死んでも…あなたはあなたの思うように生きなさい……そして、私やみんなの分まで…生きて」

 

「……母さん」

 

「…元気でね……強く…生きるのよ…だってあなたは、私達の…息子なんだもの……」

 

そしてマリアは手をゆっくりと地面に落とした。

 

「…かあ……さん………ねえ、かあさん…おきてよ…かあさん!!」

 

バルダは声を震わせて呼ぶが反応が無い。肩を揺すっても反応が無い。それはもう生命が無くなったということを示すものだった。

 

「あ……うぁ…あ…ああああああああああああああ!!!!」

 

涙を流し、泣き叫ぶバルダ。

 

「運が悪かったな小僧。さっさと死んで楽になっていればよかったものを…」

 

そこへ悪魔達の首領らしき上級悪魔が前へ出てきた。

 

「何で…何でこんな事をするんだ!!」

 

必死に悪魔達を睨みつけるバルダ。

 

「何故?決まっている。魔帝ムンドゥス様の人間界征服に最も邪魔なダンテを永久に結界に閉じ込め、手出しをできないようにするためだ」

 

悪魔の首領がそう言った瞬間…

 

「うわああああ!父さんを…母さんを…皆を返せェェ!!」

 

バルダが憎悪に満ちた表情をして、悪魔に突進した。

途中、悪魔達が立ちはだかるが…

 

「邪魔だ!!」

 

バルダは高く飛び上がり、悪魔達を踏みながら躱す。

 

「うおおおおお!!」

 

そして上級悪魔の元へ一気に近づき、拳を振りかぶる。

 

「ふん!」

 

「がっ!」

 

だがバルダは上級悪魔に蹴り飛ばされ、うつ伏せに倒れた所を足蹴にされ身動きが取れなくなってしまう。

 

「ククッ、いい表情だな小僧。だがいくら裏切り者の血族とはいえ、たった九つの丸腰のガキ一人に遅れをとる我ではないわ!」

 

「ぐっ…」

 

「それに、我等に恐怖心を覚えている時点で貴様に我を倒すことなど出来ん。いいか小僧…お前がいくら頑張った所で、もう何も変わらないんだよ。既にダンテは封印され、我等を邪魔する不穏分子も消えた。後はお前をーーーーー」

 

悪魔の首領が後の言葉を言い掛けたとき、

 

「よう。誰が封印されたって?」

 

突然悪魔達の後ろからダンテの声がした。

 

「なっ!何故貴様が此処にいる!? 確かに封印したはず……まさか貴様!!」

 

悪魔達は予想外の事態にただ困惑していた。

 

「まあ単なる力押しでいったが案外いけたな。結構魔力消費したが…」

 

そういうだけあってダンテは肩で息をしている。相当魔力を使ったようだ。

 

「父さん!!母さんが…母さんが!!」

 

バルダが涙を流してダンテに訴える。そしてダンテは倒れているマリアを見るなり凄まじい殺気を悪魔達に浴びせる。下級悪魔はダンテの殺気を恐れるあまり、無謀にもダンテに飛び出して行った。

 

「全くいつもそうだな…俺を怒らせるのはてめぇら悪魔だったな」

 

ダンテが言う一つ一つの言葉からは絶対なる「死」があった。 二丁拳銃を取り出し凄まじい速度で弾を連射し、悪魔達を瞬殺にした。

 

「バルダ、お前は早く安全な所に逃げろ………」

 

ダンテはバルダの前に立ち、すぐ逃げれるように促す。

 

「でも父さん「いいから行け!!こいつらは俺に用があるみたいだからな!!」ッ!」

 

バルダが逃げるのを渋っているとダンテが怒鳴った。それにより弾かれたようにバルダは村の外へ駆けだしていった。バルダがいなくなったことによりダンテをつなぐ枷は無くなった。

 

「さぁて、遊ぼうか悪魔共!!」

 

ダンテはリベリオンを手に悪魔達に切りかかった。

 

「数では此方が圧倒的に多い!数でたたみかけろ!!」

 

悪魔達は無限といっていい程の数でダンテに向かっていった。

 

「イかれたパーティーの始まりだ…派手にいくぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー数時間後ーーーー

 

 

 

 

 

 

「…父さん」

 

バルダが村に戻ったとき、それはまるでひどい抗争があったかのような状況だった。

バルダはダンテを探すが全く見つからない。

諦めかけたその時、見覚えがある大剣が地面に刺さっていた。

 

それはまさしくダンテの剣…リベリオンだった。

 

「そんな…まさか父さんが」

 

信じられなかった。目の前の状況が…それに認めてしまうのが嫌だった。認めてしまえばダンテがもういないということになってしまうから。

その瞬間、バルダの体が熱くなった。まるで血が溶岩のような熱さを発していた。そして体の奥から何か禍々しい力が湧いて出る。

人間の物とはかけ離れた何かが目覚めようとしていた。

 

「うっ、ぐぅ…ウアァァァァァァァァァァ!!!!」

 

バルダが叫んだ瞬間バルダの姿が変化した。体中が赤い鎧のような装甲のようになり、背中には大きな翼が生え、見るもの全てに畏怖を思わせるその姿はまさに悪魔の姿であった。

 

「グオオオオオオオオォォォ…!!」

 

その姿は一瞬だけで、元の人間の姿に戻り、バルダは意識を手離した。

 

 

 

 

ーーーただ、その赤い悪魔は泣いていたーーー

 

 

 

 

そしてバルダの意識が消えると同時にリベリオンも光を発し、姿を消した…

説明
四話目です。今回はシリアスな内容をです、ご注意を。あとDevil May Cryでお馴染みのあの人が登場します。
ではどうぞ
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