英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 304 |
〜紅蓮の塔・屋上〜
「や、やっと着いた……」
「思ったよりも時間がかかったな……」
屋上に到達したエステルは溜息を吐き、ヨシュアが呟いたその時
「クク……そろそろ来る頃だと思ったぜ。」
屋上の”翡翠の塔”の時と同じように作動している装置の傍でヴァルターが不敵に笑っていた。
「ヴァルター……」
ヴァルターに気づき、エステル達と共に武器を出して、ある程度の距離をとったジンは攻撃の構えをした状態で真剣な表情でヴァルターを見た。
「ジン……やはりてめぇが来たか。それと”漆黒”の小僧。ずいぶん久しぶりじゃねえか。」
「……そうだね。でも、貴方とジンさんが同門だったとは知らなかったよ。」
「クク、俺は”泰斗流”以外にも様々な流派を取り込んでいる。どうすれば人を壊せるか、その窮極の境地に届くためにな。気付かないのも無理はねえ。」
ヨシュアの話を聞いたヴァルターは凶悪な笑みを浮かべて答えた。
「ヴァルター、あんた……」
「てめえの方はどうだ……ジン?いまだに”泰斗流”なんていう古くせえ流派にしがみついてんのか?」
「……俺は不器用だからな。師父(せんせい)に追いつくことが精一杯でそれ以外に目を向ける余裕はないさ。」
「チッ……つまらねぇ奴だ。まあいい、さっきからどうにも退屈だったからな。ここらへんで死合といこうじゃねえか。」
ジンの話を聞いたヴァルターは舌打ちをした後、不敵な笑みを浮かべて指を鳴らした!すると3体の装甲を纏った狼型の獣が現れた!
「わわっ……!」
「”スティールクーガー”……」
「”結社”の装甲獣………!」
新たな敵の登場にエステルは驚き、ヨシュアとクローゼは警戒した。
「クク、ガキどもはそいつらと遊んでいやがれ。ジン……見せてもらうぜ。この6年間でてめえが練った功夫(クンフー)をなぁっ!」
「……望むところだ!」
「フフ………霊体の恐ろしさ………とくとお見せしましょう。」
「永恒!力を貸して!」
サエラブを召喚したエステルと仲間達はヴァルター達の戦闘を開始した!
「行くよ!絶影!!」
戦闘開始早々、ヨシュアはオーブメントを駆動させた後クラフトを放って魔獣の1体にダメージを与えた!
「クロックアップ改!!」
そしてクラフトを放ち、元の位置に戻ったヨシュアはアーツを放って、自分の身体能力を上げた。
「せいっ!!」
(行くぞっ!!)
ヨシュアに続くようにエステルはクラフト――真・捻炎棍、サエラブはクラフト――疾風牙を放って、残りの2体を攻撃し
「行けっ!水弾!!……まだです!エアリアル!!」
そしてクローゼは魔術を放って、1体にダメージを与えた後、アーツを放って残りの2体にダメージを与えた!
「「「ガウッ!!」」」
一方ダメージを受けた魔獣達だったが、それぞれエステル、ヨシュア、クローゼに攻撃したが
「っと!」
「!!」
エステルは棒で受け止め、ヨシュアは回避し
(燃えよ!)
「ギャン!?」
クローゼに襲い掛かろうとした敵はサエラブが放ったクラフト――連続火弾が命中し、呻き
(フン!!)
「ガッ!?」
さらにサエラブが放ったクラフト――炎狐強襲を受け、吹っ飛ばされた!
「ナイス!永恒!」
「フフ、私を庇ってくれてありがとうございます。」
(……お前はどちらかと言えば後衛だ。後衛を守るのは前衛の役割だ。我は当然の事をしたまで。)
エステルの賞賛とクローゼのお礼の言葉を聞いたサエラブは答えた。
「な〜に、カッコつけちゃってんのよっと!!」
サエラブの念話を聞いたエステルは口元に笑みを浮かべた後、棒に力を込めて、受け止めていた敵を押し出して、吹っ飛ばした!
「グルッ!!」
吹っ飛ばされた敵だったが、すざましいスピードで口に加えていた大型のナイフでエステルの横を同時に駆け抜けた!
「キャッ!?」
敵が駆け抜けた際、片腕の一部を斬られたエステルは呻き、斬られたて、血を流している部分を手で抑えた。
「ティアラ!!」
そこにクローゼの治癒アーツがエステルにかかり、エステルが受けた傷は回復した。
「サンキュー、クローゼ!さっきはよくもやってくれたわね〜…………大地の力よ、我が仇名す者の力を我の元に……!大地の吸収!!」
「グルッ!?」
エステルが放った魔術によって、足元から生えた木の根に絡まり、身体の動きが封じられた敵は驚き、抜け出そうとしてもがいていたが、抜け出せなかった。
「剛進突破撃!!」
「ガッ!?」
さらにエステルはオーブメントを駆動させた後、ラピスより受け継いだ衝撃波と共に突進する技――剛進突破撃をもがいている敵に攻撃して、ダメージを与えた!そして木の根は光った!
「ガアアアアッ!?」
木の根に力を吸い取られた敵は悲鳴を上げ
「時の刃よ!ソウルブラー!!」
止めにエステルが放ったアーツによって、セピスだけ残して消滅した!
「おぉぉぉ!」
エステルが敵を倒す少し前、ヨシュアはクラフト――真・魔眼を放って、残りの2体の魔獣達の動きを封じ
(燃えよっ!!)
「聖なる水の力よ…………今ここに集いて、悪しき者に裁きを!ブルーアセンション!!」
動きを封じられている2体の敵にサエラブは炎の弾を吐いて命中させ、クローゼは高威力の水のアーツ――ブルーアセンションを放って、敵にダメージを与えた!
「「グルッ!!」
一方敵達もやられっぱなしでなく、2体はヨシュアに突進して来た!
「甘い!はっ!」
「「ガッ!?」」
しかしヨシュアはSクラフト――真・漆黒の牙を放って、敵の突進攻撃を回避すると同時に大ダメージを与えた!
(滅せよ!!)
「ガアッ!?」
そしてサエラブは1体の敵の喉元に噛みつき、敵を絶命させた!
「……………………………」
一方クローゼはある構えをしてレイピアを見つめ、集中した!するとレイピア自身に吹雪が宿った!
「行きます!フリージング!!」
そしてクローゼは休暇の時、折を見てエステルとプリネより教わり、練習したリウイ達、メンフィル皇族が使う皇技、フェヒテンイングに吹雪の力を宿らせ、敵にダメージを与える自分が考え付いた魔法剣技――フリージングを放って、残りの敵にダメージを与えると同時に凍らせた!
「えい、やあ、はあ!」
さらにクラフト――シュトゥルムを放って、止めを刺した!
「ふう………私にも出来ました………!」
敵を倒したクローゼは安堵の溜息を吐いた後、自分にも魔術を宿らせた攻撃が出来た事に感動していた。
「ぬあぁぁぁぁぁぁ、てやぁ!!」
エステル達が魔獣と戦っている一方、ヴァルターと対峙しているジンはクラフト――龍神功を使って自らの身体能力を上げた。
「クク………そうこなっくちゃな。はっ、付いてこいよ?」
ジンの行動を見たヴァルターは不敵な笑みを浮かべた後、クラフト――ファントムワークを使って自らの身体能力を上げた。
「オーブメント駆動。クロックアップ改!!……………セイント!!」
一方リタもアーツを自分にかけて、ジンやヴァルターのように身体能力を上げた!
「フフ、私もお手伝いしますよ。」
「申し出はありがたいが………気を付けろ。ヴァルターは並みの相手ではないからな。」
可愛らしい微笑みを浮かべて話しかけてきたリタにジンは警戒した表情でヴァルターを見ながら言った。
「フフ、ご心配なく。こう見えても、皆さんよりたくさんの戦いを経験していますので、心配は無用です。」
「そうか……では、頼んだぞ!とりゃっ!雷神脚!!」
リタの答えを聞いて頷いたジンはヴァルターにクラフトを放った!
「はっ!甘いんだよっ!」
しかしヴァルターはジンのクラフトを回避し
「そら、そらぁ!」
拳で眼にも止まらぬ早さで攻撃し、最後に蹴りを放つクラフト――インフィニティコンボをジンに放った!
「!!」
ヴァルターの攻撃に気付いたジンは籠手でガードした!
「オラオラァッ!」
さらにヴァルターはすざましい拳の連打で攻撃するクラフト――ソニックシュートを放った!
「ぬおぉぉぉぉぉぉ!千手悔拳!!」
対するジンもすざましい拳の連打を放つ”泰斗流”の技の一つ――千手悔拳を放って相殺し
「月華掌!!」
クラフトを放ち終わった後、さらにクラフトを放った!
「せいっ!」
しかしヴァルターも拳での攻撃を放って、相殺した!
「狙うは、そこ!!」
そこにリタが放った魔術――連続水弾がヴァルターに命中した!
「うぉっ!」
リタの魔術が命中したヴァルターは呻いた!
「フフ、まだですよ。エアストライク!!」
「あぁっ!」
さらに続けて放ったリタのアーツがヴァルターに命中し
「たあっ!」
その隙を逃さず、ジンは籠手でヴァルターを攻撃した!
「っ、しゃらくせぇ!」
立て続けに攻撃を喰らったヴァルターだったが、舌打ちをした後、ジンから距離をとった!
「せいやぁーっ!」
そしてリタに”気”が籠った衝撃波を蹴りで放つクラフト――レイザーバレットを放った!
「フフ………」
しかしリタは不敵な笑みを浮かべ、簡易結界をはって防御した!
「オォォォォ………菩薩掌!!」
そしてクラフトを放った事によってわずかに隙ができたヴァルターにジンは”泰斗流”の技で一撃で敵を鎮める事もあるクラフト――菩薩掌を放った!
「!!」
ジンの攻撃に気付いたヴァルターは回避した!
「ストーンハンマー!!」
ヴァルターが回避した場所にはなんとリタが放ったアーツがヴァルターの頭上を襲った!
「はぁぁ……………ガキが粋がりやがって………いいだろう!死ねっ!」
リタのアーツを回避し、溜息を吐きながら懐から煙草を出して、煙草に火をつけ、吸った後、何かを溜めるような動作をした後、煙草を捨て、すざましい速さで攻撃を開始した!
「はっ!ふんっ!」
そしてヴァルターはすざましい”気”の弾を2発リタに放った!
「…………!!結界が。」
簡易結界を張ってヴァルターが放った”気”の弾を防御したリタだったが、結界が壊れ、驚いた。
「おらおらおらぁ〜っ!」
そしてヴァルターはリタの目の前に現れ
「うおりぁぁぁ〜っ!」
拳を空へと振り上げた!するとすざましい衝撃波がリタの地面から噴き上がった!
「クク、一匹壊れたな。」
「リタ!!」
Sクラフト――アルティメットブローを出し終わったヴァルターは凶悪な笑みを浮かべ、ジンは真剣な表情で声を上げた。
「さ〜て。次はジン、テメエの番だぜ。」
そしてヴァルターはジンに振り向いて不敵な笑みを浮かべたその時!
「剛震突き!!」
「ガハッ!?」
ヴァルターの腹を魔槍が貫き、ヴァルターは突然口から大量の血を吐いた!
「ヴァルター!?」
魔槍に貫かれたヴァルターを見たジンは驚いた!
「フフ………いくら自慢の技が決まったからと言って、油断してはいけませんよ?」
「バ……バカな………ど、どうなってやがる………!?」
そして自分の背後で妖しい笑みを浮かべているリタを見たヴァルターは信じられない表情で血を吐きながらリタを見た。そしてズブリと音を立てて、ヴァルターの血に染まっている魔槍を抜いたリタはさらに追撃した!
「白露の鎌撃!!」
「ガアアアアアッ!?」
続けて放ったリタのクラフトが命中し、ヴァルターは背中が滅多斬りにされ、斬られた場所から血を流すと同時にヴァルターは悲鳴を上げた!
「クッ……………」
背中に伝わる痛みや腹を貫かれた痛みに顔を歪めたヴァルターはその場をすぐに離れた後、戦闘の構えをして、リタを見て驚きの表情をした。
「バ、バカな…………!無傷だと!?」
全くダメージを負っていない様子のリタを見たヴァルターは信じられない表情をした。
「フフ…………霊体の私には無意味な攻撃でしたよ。」
(………そうか。リタは”霊体”だったな。リタの話だと物理攻撃は魔術効果を持った武器でない限り、”霊体”に攻撃しても攻撃がすり抜けるといっていたな………ハハ、俺達にとっては天敵みたいな存在だな、リタは。)
驚いている様子のヴァルターにリタは不敵に笑い、ジンはリタのある言葉を聞いてリタから聞いた”霊体”の特徴を思い出して、苦笑した。
「聖槍!!」
「シャドウスピア!!
「貫け!氷剣!!」
(燃えよっ!!)
さらにヴァルターがいる場所に向かってエステル達が放った魔術やアーツがヴァルターを襲った!
「チッ!」
エステル達の攻撃に気付いたヴァルターは舌打ちをした後、その場から大きく後ろに跳んで、一端後退した……………
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第304話 | ||
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