英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 309 |
〜琥珀の塔・屋上〜
「やあ、”漆黒”。久しぶりだね。」
エステル達が屋上に到達すると、そこには白衣を着て、眼鏡をかけた男性が口元に笑みを浮かべてヨシュアを見た。
「あ、貴方は…………!」
男性を見たヨシュアは信じられない表情で驚いた。
「初めて見る顔だが………こいつも”執行者”か?ヨシュア。」
見覚えのない男性を見たアガットはヨシュアに尋ねた。
「………………いえ。あの人は”執行者”ではなく、”蛇の使徒”です。」
「あ、あんですって〜!?」
「なっ……………!」
「ふ、ふえええ〜!?」
「………エステルとヨシュアさんの話ですとその呼び名は”結社”の最高幹部………でしたね。」
ヨシュアの説明を聞いたエステルとアガット、ティータは驚き、リタは冷静な様子で呟いて、男性を睨んだ。
「F・ノバルティスだ。身喰らう蛇(ウロボロス)の第六柱にして、”十三工房”を任されている。フフ、どうか気軽に”博士”とでも呼んでくれたまえ。」
そして男性――”蛇の使徒”の第六柱――F・ノバルティス博士は口元に笑みを浮かべて自己紹介をした。
「まさか教授以外にも”蛇の使徒”がリベールに来ていたなんて………」
エステルは警戒した表情でノバルティスを睨んだ。
「”十三工房”………?それって一体………」
一方ティータはある言葉が気になり、不安そうな表情で呟いた。
「”十三工房”――飛行艇を初めとし、さまざまな兵器を開発している”結社”の兵器開発部門だよ。」
「……ってことはテメエが”ゴスペル”を生み出した張本人って訳だな………!」
ヨシュアの説明を聞いたアガットはノバルティスを睨んだ。
「フフ。まあ、ある程度は当りだと言っておこう。”ゴスペル”は私が完全に生み出した訳じゃないからね。」
アガットの言葉を聞いたノバルティスは不敵に笑って答えた。
「あ、あのあの。どんな技術でオーブメント内で生成される導力を吸い取る機能を付けたんですか………?」
そこにティータが不安そうな表情で尋ねた。
「ほう?その幼い身でありながら、”ゴスペル”の真の機能に気付いているとはね。名前はなんという。」
ティータに尋ねられたノバルティスは驚いた後、感心した様子でティータの名前を尋ねた。
「ふえ!?ティ、ティータ・ラッセルですけど………」
尋ねられたティータは驚いた後、名乗った。
「ラッセル………フフ……ハハ…………ハハハハハハハ!!これは驚いた!報告には聞いていたが、まさかアルバートの孫が”漆黒”達と共にいたとはね!」
ティータの名前を聞いたノバルティスは呆けた後、急に笑い出して、嬉しそうな表情でティータを見た。
「ふ、ふえっ!?お、おじいちゃんを知っているんですか…………?」
ノバルティスの言葉を聞いたティータは驚いた後、恐る恐る尋ねた。
「勿論知っているとも!かつては同じ師の下で学んでいた学友だからね!なるほど、なるほど!彼の孫ならば”ゴスペル”の機能を正しく理解していてもおかしくないね!」
「え、えっと…………さっき言った事はおじいちゃんから教えてもらった事で、わたしは”導力場の歪み”を発生させる事までしか気づいていません。」
「いやいや。その幼い身でありながら、そこまで気づく者はそうそういない。自分の頭脳を誇りたまえ。………それと、どうだい?その頭脳を結社で使ってみんかね!?私が直々に教えてあげてもいいよ!」
遠慮気味に言っているティータにノバルティスは口元に笑みを浮かべて言った後、興味深そうな表情でティータを見て、なんと勧誘を始めた!
「ふ、ふえっ!?」
「ふざけんじゃねえ!」
ノバルティスの勧誘に驚いているティータを庇うかのようにアガットはティータの前に出て、ノバルティスを睨んだ。
「心外な。今の言葉は本気だよ?それで、どうかな?”結社”には今まで以上の技術があるよ?」
アガットに睨まれたノバルティスは心外そうな表情で答えた後、ニヤリと笑ってティータを見て尋ねた。
「け、結構です!!」
ノバルティスに問いかけられたティータは大声で断った!
「ガーン!!」
ティータの答えを聞いたノバルティスはショックを受けた!
「全く………たわけた事を言う爺さんね…………」
一方エステルは呆れた様子でノバルティスを睨んだ。
「それで博士………僕達の邪魔をする気ですか?………研究者が本分の貴方の戦闘力で僕達に勝てると思っているのですか?」
ヨシュアは双剣を構えて、ノバルティスを睨んで尋ねた。
「まさか。何故、私がそんな事をしなくてはならない?………君達は私の”実験”に付き合ってもらうだけだよ。」
「へ………」
ノバルティスの言葉を聞いてエステルが驚いたその時、今までとは比べ物にならないくらいの巨大な人形兵器が空より飛んできて、ノバルティスの傍に着地した!
「な、な…………!」
「大きいですね…………」
巨大な人形兵器を見たエステルとリタは呆け
「ふ、ふえええええええええ〜っ!?」
「なんつう馬鹿でかい機械人形だ………!」
ティータとアガットは驚いた表情で人形兵器を見上げ
「ゴルディアス級戦略人形、”パテル=マテル”……!制御が困難で、開発計画は凍結されたはずだったなのに……!」
一方ヨシュアは信じられない表情で人形兵器――パテル=マテルを見上げた。
「フフ、”漆黒”が”結社”から離れてからは凍結されていたはずだったが、やはり諦めきれなくてね。完全に力を出し切る事は無理だが、自動で戦えるようにはしてある。………忙しい所を”白面”に頼まれて、しょうがなく来たんだ。………少しは私の”実験”の役にたってくれたまえよ?」
驚いているエステル達にノバルティスは説明をした後、凶悪な笑みを浮かべて言った。
「くっ…………なら!………クーちゃん!カファルー!」
余りにも巨大な敵に表情を歪めたエステルは敵の大きさに対抗する為に大型の身体を持つクーとカファルーを召喚した!
「クー―――――ッ!!」
「グオオオオオオオ――――ッ!!」
召喚されたクーとカファルーはそれぞれ辺りを響き渡らせるほどの雄たけびを上げた!
「クーちゃん!カファルー!協力してあの機械人形をブッ壊して!」
「クー!」
「グオッ!」
エステルの指示にクーとカファルーはそれぞれ力強く頷いた。
「みんな!今回は今までと違って、クーちゃんとカファルーを援護する形で戦うわよ!」
「了解!」
「おう!」
「う、うん!」
「ボースで戦った古代竜以来の巨大な相手ですね…………”魔槍のリタ”、参ります………!」
そしてエステル達はゴルディアス級戦略人形”パテル=マテル”との戦闘を開始した…………!
ノバルティス博士とラッセル博士が同期というのはオリジナル設定ですが……実際どうでしょうねぇ?後に実は知り合いでしたといわれても、特に違和感ないですよね、この2人は。
説明 | ||
第309話 | ||
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