英雄伝説〜光と闇の軌跡〜 312 |
〜山猫号〜
「あ、ありえない……」
一方その頃ジョゼット達カプア一家はまだリベールに潜伏しており、浮遊都市の登場に驚き、望遠鏡で浮遊都市をジョゼットは信じられない表情で見つめ続けた。
「な、なんなのアレっ!?あの大きさ……メチャクチャすぎるよっ!」
「ありゃあ、間違いなく5千アージュ以上はあるな……。巨大な浮島ってところかよ……」
「いや……基本は人工物みたいだな。島っていうよりは浮遊都市って言うべきかもしれん……」
ジョゼットの言葉にドルンは呆けた表情で答え、キールは真剣な表情で見つめ続けていた。
「ふ、浮遊都市……」
「……こうしちゃいられねえ……」
ドルンの言葉にジョゼットは呆け、一方ドルンは口元に笑みを浮かべて頷いた後、指示をした。
「……よーし、野郎ども!このまま浮遊都市に乗り込むぞ!」
「あ、兄貴!?」
「ほ、本気なの!?」
ドルンの指揮を聞いたキールとジョゼットは信じられない表情でドルンを見た。
「本気も本気、大本気だぜ!もしも”結社”の連中がアレを甦らせたってんなら……ドデカイお宝がわんさと眠ってるに違いねえ!」
「か、勘弁してくれよ〜……。さすがにアレは俺たちの手に負えないぜ!ジョゼットもそう思うだろ!?」
ドルンの説明を聞いたキールは呆れた表情で溜息を吐いた後、ジョゼットに同意を求めたが
「う、うーん……。ボクも、ここまで来た以上色々と確かめてみたいかも……」
「ガクッ……」
ジョゼットの答えを聞き、肩を落とした。
「ま、まあ、昨夜から様子が変だし用心はした方がいいと思うよ。導力通信も全然入ってこないし……」
「確かに、軍やギルドはともかく民間の通信も入らねえってのは―――」
ジョゼットの説明にドルンが頷いたその時、金色の光の波が山猫号に差し込んだ。
「うおっ……」
「な……」
「ひ、光の波……?」
突然の光にドルン達が驚いたその時、山猫号内の機能が全て停止した。
「ええっ!?」
「何だ、故障かよ!?」
「お頭、大変だっ!」
機能が全て停止した事にジョゼットとドルンが驚いていたその時、一人の空賊団員が慌てた様子でブリッジに入って来た。
「導力機関、飛翔機関共にいきなり停止しちまったぁ!」
「な、なんだと〜!?」
「ど、どうなってるわけ!?」
「……こりゃあマズイな……。飛翔機関による反重力フィールド低下……。ついでに舵も無反応ときた。」
団員の報告を聞き、ドルンとジョゼットが驚いている中、キールは冷静な様子で答えた。
「ちょ、ちょっと待て!?」
「な、何とかならないの!?」
キールの言葉を聞き、冷や汗をかいた2人は慌てた様子で尋ねた。
「………………………………。……この段階で俺たちに出来ることは1つしかない。」
「それって!?」
キールの言葉をジョゼット達は声を揃えて尋ねた。
「このまま天に召されないよう女神達に祈ることくらいかな……」
キールが疲れた表情で呟いたその時、山猫号は重力に任せて落下していった。
「うそおおおおおおおっ!?」
「どえええええええええっ!?」
そして山猫号はどこかに落下した。
導力停止現象により、各地は混乱していた。ルーアンでは跳ね橋が上がった状態で停止して、住民達は困り――
――ツァイスでは市民たちは中央工房に押し寄せ、事情の説明をマードック工房長に求め―――
――ロレント近郊の街道では王国軍の警備艇が街道の真ん中に墜落していた――
そしてヴァレリア湖では墜落を免れていたアルセイユの甲板でユリアと博士が今後の事を話し合っていた。
〜遊撃士協会・ボース支部〜
その頃、エステル達はボースのギルドで今回の件をギルド内で合流したミントと受付のルグランに報告した。
「ふむ、四輪の塔でそんな事があったとはな……。まったくご苦労じゃったな。ともあれ、お前さん達には報酬を渡しておくとしよう。」
エステル達の報告を聞いたルグランは疲れた表情で頷き、エステル達に報酬を渡した。
「……しかし、とんでもない事態になってしまったものじゃ。まさか、オーブメントが使えなくなってしまったことがこれほどの混乱を呼ぶとはの……」
「うん……日頃どれだけオーブメントの恩恵を受けていたのか思い知らされたわ……」
「料理をしたり、部屋を暖かくしたりするのも全部、オーブメントに頼っていたものね……」
「そうだね……。通信、交通、国防、生産ライン……。国家機能がマヒしたのと同じだからね。」
疲れた表情で溜息を吐いたルグランの言葉にエステル、ミント、ヨシュアは重々しく頷いた。
「市民にとって心配なのは照明と暖房でしょうね。昨日の夜はずいぶん街が混乱したんじゃないの?」
「うむ……。ギルド、工房、市長邸に市民が押し寄せて大変じゃった。何が起こっているのか聞かれてもこちらも答えようがなくてのう。おかげで寝不足じゃよ、ふう。」
シェラザードに尋ねられたルグランは頭を押さえて答え、溜息を吐いた。
「そっか……お疲れさま。」
「例の浮遊都市の件もあるし、かなりマズイ状況みたいだな。パニック一歩手前ってところか。」
「まあ、リベールは治安がいいから暴動の心配はなさそうだが……この状況が続けば皆、参ってしまうかもしれん。」
「うむ……早急に対策を取らなくてはな。―――で、お前さんたち。ラッセル博士から託された起死回生の策というのは何かね?」
アガットとジンの言葉を聞き、頷いたルグランはエステル達を見て尋ねた。
「起死回生というほど大げさなものじゃないけど……」
「ラッセル博士が、新発明の試作品を提供してくれたんです。」
〜昨夜・アルセイユ・作戦室〜
「―――これが試作品の『零力場(ゼロりきば)発生器』じゃ。」
「零力場……発生器?」
博士が自分の目の前に出した装置の名前を聞いたエステルは首を傾げた。
「簡単に言うと、”ゴスペル”が発生させる特殊な波長の導力場……。それによる共鳴を相殺する力場を発生する回路というわけじゃ。」
「…………ちっとも簡単に聞こえないんですけど……」
「それはもしかして……『導力停止現象』を阻止できるということですか?」
博士の説明を聞いてもエステルは理解できなかった一方、ヨシュアは理解できたのか、ある事を尋ねた。
「ええっ!?」
「ほ、本当ですか!?」
ヨシュアの疑問を聞いた仲間達が驚いている中、エステルとユリアは驚いて尋ねた。
「うむ……その通りじゃ。結局、『導力停止現象』とは”ゴスペル”を通じてオーブメントの導力が吸収されるという現象じゃ。『何処へ』というのが謎じゃったがここへ至ってようやく明らかになった。」
「あの浮遊都市……”輝く環”ということですね。」
博士の説明を続けるようにクローゼが言った。
「うむ、その通りですわい。”輝く環”は、異次元から”ゴスペル”という穴を通じて『導力停止現象』を起こしていた。その穴は余りに小さかったため影響範囲は狭くてすんでいたが……。”輝く環”が解放されたことでその範囲は一気に広がってしまった。それこそ王国全土を巻き込んでしまうくらいにな。」
「王国全土……」
「それが今回の現象ですか……」
博士の説明を聞いたエステルは呆け、ヨシュアは真剣な表情をした。
「うむ、おそらく王国にあるありとあらゆるオーブメントが動かなくなってしまっているはず。じゃが、この『零力場発生器』は《環》の干渉を阻止できる働きがある。―――言い換えれば、これの側にあるオーブメントは問題なく動くということなんじゃ。」
「わぁ……!」
「す、凄いじゃない!」
「ヘッ、そいつを使えば万事オッケーってわけか。」
「そうですね。それがたくさんあれば国内の混乱も収まるんじゃないですか?」
博士の説明を聞いたティータ、エステル、アガット、リタは表情を明るくしたが、博士は難しい表情で説明をしだした。
「いや……そこまで都合は良くない。まず第一に、この試作品が守れる対象は限られておってな。せいぜい両手で持てる大きさくらいのオーブメントくらいなんじゃ。」
「両手で持てる大きさ……」
「むう、そうなるとかなり限られてきちまうな……」
博士の説明を聞いたティータとアガットは考え込んだ。
「第二に……数に限りがあるということじゃ。カシウスに頼まれていたとはいえ、16個しか完成できなかった。」
「16個……結構多いと思うんだけど。って、父さんに頼まれていた?」
「うむ……しばらく前にわしの所に来て開発を依頼していったんじゃよ。その時は、こんな騒ぎになるとは夢にも思っておらんかったが……」
「そ、そうなんだ……」
「さすが旦那。先の先まで読んでいたわけか。」
博士の話を聞いたエステルは驚き、ジンは感心していた。
「しかしそうなると……16個の使い方というのはほぼ決まってしまいますなぁ。」
そしてケビンが考え込んだ後、苦笑しながら言った。
「ほう……お前さん、なかなか鋭いな。」
「え、え、どういうこと?」
ケビンの話を聞いた博士は感心し、エステルは訳がわからず尋ねた。
「混乱の最中で一番重要なんは何をおいても素早く正確な情報や。結社の連中が現れたとしても、必需品をどこかに運ぶにしても、情報が届かんかったら対処できん。そうなると……」
「各地にある通信器を回復させるために使う……つまり、そういう事ですね?」
理解できていない様子のエステルにケビンが説明し、ヨシュアがケビンの説明を続けた後、尋ねた。
「ビンゴや♪」
ヨシュアに尋ねられたケビンは嬉しそうな表情で頷いた。
「そっか、確かに……」
2人の説明を聞いたエステルは納得した表情で頷いた。
「軍としても、導力銃や飛行船が使えなくなったのは致命的だが……。司令部や各部隊との連絡が途絶してしまったのも深刻だ。特に王城、ハーケン門、レイストン要塞の間の連絡は早急に回復しておきたい。」
「ギルドにしてもそれは同じ……。支部間の連絡が取れなかったら何か起こっても対処できないわ。」
「ふむ、異存はないようじゃの。それではユリア大尉。王国軍には10個の『零力場発生器』を渡そう。それだけあれば、アルセイユ、王都、レイストン要塞、ハーケン門、各地の関所がカバーできるじゃろ。」
ユリアとシェラザードの話を聞いて頷いた博士は言った。
「……かたじけない。早速、伝令を出して各地に届けさせるよう手配します。」
博士の言葉を聞いたユリアは明るい表情で頷いた。
「そして遊撃士協会には6つの『零力場発生器』を渡そう。各地のギルドにある通信器を回復させられるはずじゃ。」
「うん……分かったわ!」
「間違いなく届けます。」
博士の言葉にエステルとヨシュアは力強く頷いた。
〜遊撃士協会・ボース支部〜
「なんと……通信器が使えるようになるか!それは助かる!早速、その『零力場発生器』とやらを試してもらえんかね?」
エステル達の説明を聞いたルグランは明るい表情で頷き、尋ねた。
「オッケー。」
「ティータ、お願いできるかな?」
「うん。ちょっと待っててね。」
ヨシュアに頼まれたティータは頷いた後、通信器の蓋を開いて『零力場発生器』を中に入れた。
「………………………………。……うん。これで設定は完了だよ♪」
「なんだ、えらく早いな?」
ティータの言葉を聞いたアガットは驚いた表情で尋ねた。
「えへへ、通信器の中に固定しちゃうだけですから。それじゃあ……」
アガットの問いに答えたティータは通信機のスイッチを入れた。すると、通信器の電源が灯った。
「おお……!」
「わあ……!」
「やった……!」
「ふふ、どうやら本当に『導力停止現象』の影響を受けずに済むみたいね。」
「えっと、それじゃあ続けてちゃんと通信が届くかテストしてみますね。アルセイユに残っているおじいちゃんに連絡してみます」
通信器が動いた事に表情を明るくしているルグラン達にティータは言った後、アルセイユにいる博士に通信をした。
「もしもし……。あ……おじいちゃん!?うん!今、ボースのギルドにいるの。だいじょうぶ。ちゃんと動いているから。……うん……うん。おじいちゃんも頑張ってね!」
そしてティータは通信器を置いた。
「えへへ……ちゃんと通信も繋がりました。」
「やった!」
「さすが博士の新発明だね。」
ティータの話を聞いたエステルとヨシュアは明るい表情で頷いた。
「いやはや、博士には何とお礼を言ったらいいものか。ところで、ラッセル博士はアルセイユに残ったようじゃが……。姫殿下やケビン神父、それとプリネ姫達はどうしたのかね?」
ルグランは感心した後、ある人物たちがいない事に気づき、尋ねた。
「あ、その2人なら親衛隊の隊士さんたちと一緒に朝一番で王都に向かったわ。クローゼは女王様と、ケビンさんは大司教さんと、それぞれ話し合うつもりみたい。」
「なるほど……。王家には王家の、教会には教会の有事における務めがあるようじゃな」
「それと、王都のギルドに『零力場発生器』を届けるのはその2人が引き受けてくれました。しばらくしたら、こちらにも連絡が入ってくるかもしれません」
「そうか……助かるわい。……それでプリネ姫達はどうしたのじゃ?」
エステルとヨシュアの説明を聞いたルグランはミントを見て尋ねた。
「あ、はい。……プリネさんとツーヤちゃんは大使館から帰還命令の連絡が来て、ロレントの大使館に帰りました。」
「連絡って………通信が使えない今の状況でどうやって連絡しあったのよ?」
ミントの説明を聞いたエステルは首を傾げた。
「うん。実はプリネさん達、小型の通信器を持っていたんだ。」
「へ………!?」
「そ、そんな………まだ携帯できる通信器なんて、開発途中なのに……で、でもでも。”導力”が止まっている状態だと、動かないよね?」
ミントの説明を聞いたエステルは驚き、ティータは驚いた後、尋ねた。
「えっと……プリネさん達が言うには、プリネさん達が持っている通信器は”導力”で動くけど、非常用として”魔導”でも動くようにしてあるから、今の状況でも問題なく使えるって言ってたよ。」
「あ、あんですって〜!?」
「……メンフィルだけが持つ技術――”魔導”か………」
ミントの説明を聞いたエステルは驚いて声を出し、ジンは真剣な表情で呟いた。
「全くもう………そんな便利な技術があるんだったら、独占せずに、リベールにも提供しなさいよね!今のリベールの状況だと、まさに必要な技術じゃない!」
「ハハ………さすがにそう簡単に他国に自分達だけの技術をそう簡単には渡さないよ、エステル。………確か話によると、将来、ティータが”魔導”技術を学ぶためにメンフィルに留学する予定なんだよね?それだけでも凄い事だよ。」
頬を膨らませているエステルにヨシュアは苦笑しながら言った。
「とりあえず、そういう事だから、2人はロレントの大使館に帰ったよ、ママ。」
「そっか。……まあ、今の状況だとしょうがないかもしれないわね………」
ミントの話を聞いたエステルは残念そうな表情で頷いた。
「あ、それとティータちゃん。ツーヤちゃんからこれをティータちゃんに渡してって言われたから、渡すね。」
そしてミントは自分の荷物に仕舞っていた魔導砲――”魔導砲ブラーダム”をティータに渡した。
「も、もしかしてこれって”魔導砲”……?」
魔導砲を渡されたティータは表情を明るくして尋ねた。
「うん、ツーヤちゃんが、今度会った時に渡す為に取り寄せてくれたんだって。それで今の状況を知って、自分の代わりにミントがティータちゃんに渡してって。今の状況だと導力砲が使えないでしょう?」
「う、うん。『零力場発生器』があれば使えるけど、後の事を考えたら、導力砲は使えなくなっちゃうし……えへへ、ありがとう、ミントちゃん。前の魔導砲はおじいちゃんと一緒に解体しちゃって、すぐに使えないし………」
「よかったじゃない、ティータ。」
「とりあえずこれで戦力の低下は少しは防げそうだね。」
嬉しそうに魔導砲を持っているティータにエステルは微笑み、ヨシュアは口元に笑みを浮かべて頷いた。
「後、プリネさんからこれをママ達に渡してって。」
そしてミントはエステルにさまざまな”絵札”の束を渡した。
「えっと………これって何??」
「ただの絵札みたいだが……一体何なんだ?」
絵札の束を渡されたエステルは首を傾げ、アガットは尋ねた。
「それは秘印術がこめられた”絵札”ですね。」
「リタ?知っているの?」
知っている様子のリタにエステルは尋ねた。
「うん。元々それは私達の世界の道具なんだ。……先ほど説明したようにそれらの絵札にはさまざまな”秘印術”がこめられているよ。一度きりの使い捨てになるけど戦闘中に使えば、絵札にこめられた秘印術が発動する誰でも使える魔術効果が秘められた道具なんだよ。」
「こ、この絵札一枚で、誰でも魔術が放てるの!?」
「とんでもない絵札だな………」
リタの説明を聞いたエステルとジンは驚いて、渡された絵札の束を見た。
「……けど、これでアーツに関しても少しは心配がなくなったね。数に限りはあるけど、それらがあれば魔術が使えない僕達でもアーツ代わりの攻撃を放てるし。」
「そうね。あたしとエステル、リタとミントは魔術が使えるからあまり必要ないし、他のみんなに分けて使うのがいいと思うわ。」
ヨシュアの説明にシェラザードは頷いて提案をした。
「じゃ、後で相談して分けましょ。リタ、どの絵札がどんな効果を持っているかや使い方とかの説明を後でお願いね?」
「うん、いいよ。」
シェラザードの提案に頷いたエステルはリタに頼み、リタはエステルの頼みに頷いた。
「フム。話もまとまったようだし、お前さんたちはこれから残りの3つのギルドを回ってくれるというわけじゃな?」
「うん、そのつもり。……本当なら、あの浮遊都市を何とかしたいところなんだけど……」
「そうね……。すでに”結社”の連中は乗り込んでるみたいだし……」
ルグランに尋ねられたエステルは頷いた後、溜息を吐き、シェラザードは疲れた表情で答えた。
「だが、飛行船が使えねえんじゃあ手も足も出ねぇからな……。ヘッ、どうにも歯がゆい状況だぜ。」
「………………………………」
「ま、焦っても仕方あるまい。今は自分たちが片付けていくしかないだろう。」
悔しそうな表情で語るアガットの言葉をヨシュアは黙って聞き、ジンは口元に笑みを浮かべて言った。
「……だな。」
「ええ……気合いを入れていきましょう!」
ジンの言葉にアガットとシェラザードも口元に笑みを浮かべて頷いた。
その後エステル達はメンバー編成をして、エステル、ヨシュア、アガット、シェラザード、ミント、リタのメンバーで後の仲間達はギルドに待機となった。
「さてと……当然、飛行船が使えないから徒歩での旅になるんだけど。ロレント支部とルーアン支部、どちらから回った方がいいかな?」
ギルドを出たエステルは仲間達に尋ねた。
「そうだね……どちらから回っても構わないと思う。大変なのはどの地方も同じだからね。」
「そっか……確かに。」
ヨシュアの説明にエステルは納得した表情で頷いた。
「ま、こんな状況だ。どちらに行くにせよ、各地の様子を確かめながら移動する必要はあるかもな。」
「困ってる人達がいたら、力になってあげないとね。」
「うん!この状況だと色んな人たちが困っているだろうしね。」
「それが”遊撃士”だったね。」
アガットとシェラザード、ミントの言葉を聞いたリタは可愛らしい微笑みを見せて言った。
「うん……そうね!」
そしてエステル達はまず最初にルーアン支部に向かった…………
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第312話 | ||
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