IS・B 〜インフィニット・ストラトス・ブレイヴ〜 第七章 エピローグ 思いの果てに
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・・・さて、戦いを終えて俺達は旅館へと戻ってきたわけだが

「「「・・・・・・・・・・(滝汗)」」」

「・・・・・・・・・・」(ゴゴゴゴゴ・・・・・)

戻ってきた瞬間、我等が担任こと織斑先生が鬼の表層で待ち受けていて

俺、一夏、ダンは大広間で正座し、部屋の隅では箒達がガタガタと震えていた

「・・・貴様等」

「「「は、はい・・・」」」

「何か言うことはあるか?」

「「「・・・申し訳ありませんでしたー!!」」」

織斑先生がこちらを睨んだまま冷たくそう言うと俺達はすぐさま土下座した

・・・あのダンまでもが顔を真っ青にして土下座していた

「ちゃ、ちゃんとした命令で出動できてよかったな・・・」

ぼそりと呟いた箒の一言に他のメンバーは何度も頷いていた

くそっ、そんなのありかよ・・・

「そういえば、あの操縦者の二人はどうなったの?」

「あぁ、あの二人は治療を受けてからいろいろ取り調べを受けるようだ」

「自我が無かったとはいえ今回の事件の主犯ですからそれが妥当でしょう」

「だな、ところで出撃する前に言っていたまゐというやつのことを詳しく聞きたいのだが」

「そうだ、確かダンの大切な人だって・・・」

そこから箒達は小声でガールズトークを始めてしまった

あ、足が痺れてきた・・・

その後、俺達は小一時間織斑先生の説教を受けたのであった・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まだ足の感覚が無い気分だぜ・・・」

ようやく説教から開放され、俺はふらふらと旅館の廊下を歩いていた

すると一夏が壁に寄りかかりながら天井を仰ぎ見ていた

「よっ、なにしてんだ?」

「月光か、いや、実はな・・・」

黄昏ていた一夏に話を聞くとどうやら今日、7月7日は箒の誕生日らしく、既に誕生日プレゼントも用意しているのだが

どう渡すか悩んでいたようだ

ふむ・・・・・ここは

「んじゃ俺が手を打ってやんよ」

「え?」

「そうだな・・・お前は海岸の端っこにあった岩場に行っててくれ」

「あ、あぁ判った」

不思議そうな顔をする一夏を送り出した後、俺は箒に連絡した

内容は「最高の誕生日プレゼントをしてやるから水着で海岸の岩場に来てくれ」というもの

こちらも不思議そうにしたので一夏が待ってるとだけ言って通信を切った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「げ、月光!?どういう・・・切れてる」

最高の誕生日プレゼント?一夏が待ってるって・・・

と、とにかく急いで準備をしよう。 水着は・・・

私は水着を着て、月光に指示された場所へやってきた

「ほ、本当にいる・・・」

そこには本当に一夏が海を見つめながら立っていた

い、行ってもよいのだろうか・・・?

この水着は変ではないだろうか?

・・・ええい、悩んでも無駄だ、いくぞ

「い、一夏・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、一夏・・・」

よし、上手くいってるな

俺は箒に連絡した後こっそり約束の場所へと来ていた

「ん?箒・・・・・」

箒に呼ばれて振り返る一夏

すると一夏は目を見開いて箒を見つめた

そりゃあそうだろう、なんせ今箒が来ている水着は普段の箒からは想像できない・・・と言ったら失礼かもしれんが

白いビキニの水着だったのだ

それが月の光に照らされてるもんだから見惚れるのは無理もないな

「は、恥ずかしいからあまり見ないで欲しい・・・」

「す、すまん・・・」

しばらくすると箒が顔を赤くしながらそう言い、一夏も顔を赤くしてそっぽを向いた

・・・つーかせっかくお膳立てしたのになんで気まずくなってんだよ

「なんか初々しいね、あの二人」

「あぁ・・・ってシャル、なぜここにいる」

二人を溜め息をつきながら眺めているといつの間にか隣にシャルがいた

「月光がこんな時間に外に出るからどうしたのかなって思って」

「着いて来たんか」

まぁシャルなら問題はないか

とりあえずあいつ等に見つからないよう祈るか・・・

「・・・そ、その。 私に何か用なのか・・・?」

「え?・・・あぁ、そうだった。 箒、これ、受け取ってくれ」

ややあって数分後、やっと箒が口を開き、箒の質問に目的を思い出した一夏が持っていた小さな紙袋からリボンを取り出す

「これって・・・」

「誕生日おめでとう、箒」

「私の誕生日・・・覚えててくれたのか・・・」

箒はリボンを受け取り、それを大事そうに胸元に当てる

そういや、いつの間にか箒のリボンなくなってたな

へぇ、鈍感と思ってたがちゃんとそういうとこ見てんだな

「ありがとう・・・一夏・・・。 その、よかったら・・・一夏が結んでくれないか?」

「あぁ、俺でよければ」

そう言って一夏はリボンを受け取り、箒の髪をいつものポニーテールに結んでいく

「ど、どうだ?」

「うん、似合ってる。 やっぱ箒はポニーテールが似合うな」

「そ、そうか・・・」

一夏にそう言われ、箒は顔を更に赤くして俯く

そこで俺は立ち上がる

「さて、戻るか」

「あれ?最後まで見ていかないの?」

「これ以上は野暮ってもんだろ、俺はちゃんとやれるか見に来ただけだしな」

「そっか、そうだね」

シャルも俺の意見に同意したようで立ち上がる

そして二人並んで旅館へと戻り始めた

後ろでは言い争いの声が聞こえたがお互いを非難してるわけじゃ無さそうだし、大丈夫だろ

「・・・ねぇ」

「ん?」

旅館へ戻る為に砂浜を歩いているとシャルが話しかけてくる

「なんで月光は箒をあんなに応援するの?」

そう聞くシャルの表情には少し不安が見えた

「友達、だから・・・って思ったがそうじゃないみたいだな」

「それって・・・どういうこと?」

「友達だからってのもあるし、一夏が鈍感すぎて見てらんねぇってのもあるんだが一番決定的なのは、なんつーかすげぇなって思ってよ」

そう言って俺は立ち止まり、空に浮かぶ月を見上げる

「だって箒と一夏って一度離れ離れになってさ、もう会えないかもしれなかっただろ。 それなのに、ずっと一夏のことを好きでいられる、想い続けていられる・・・そんな箒をすげぇって思って、俺からなにかしてやれねぇかなって思たんだ」

「それでこんなことを?」

「あぁ、これが友達としてできる俺の背一杯ってやつだ」

そこで俺は月から視線を降ろし、苦笑いしながらシャルを見る

「なんて、ちょっと変だったか」

「・・・ううん、月光らしいよ」

そういうシャルの表情からはさっきまでの不安は消えていて、思わず見惚れそうな笑顔になっていた

「そっかぁ・・・もしかしたらって思ったけど・・・よかった」

「ん?何か言ったか?」

「なんでないよー」

シャルがぼそぼそと何か言っていたので聞くとそうはぐらかされてしまった

なんてやり取りをしていると後ろ、つまり一夏と箒の方から叫び声が聞こえた

・・・しまった!忘れてた!!

急いで引き返すとそこには案の定セシリア、鈴、ラウラがISを展開して一夏に迫っていた

「浮気なんて私は許さんぞ」

「−−よし、殺そう」

「オホホホホ・・・」

・・・ラウラはともかく、セシリアと鈴はもはや目がいっていた

・・・恐ぇよお前等

「に、逃げるぞ箒!」

「えっ、きゃあ!?」

っと、そんな三人を見た一夏は箒を抱き抱えて逃走を図る

それを見て三人は追おうとする

とりあえず助けねぇと

そう思いルナテックのカードを取ろうとすると・・・

「・・・あれ?」

「どうしたの月光?」

「・・・ルナテックのカードが無い」

そう言うと突然真上から咆哮が聞こえてきた

それに俺達だけでなく、その場にいた全員が上を見た

「る・・・」

『ルナテック・ストライクヴルム!?』

そう、なぜかそこには俺が召喚したわけでもないのにルナテックが月をバックに飛んでいたのだ

その光景に唖然としているとルナテックは口を開く

『・・・今宵の月は美しい』

『・・・・・はい?』

思わず聞き返す

するとルナテックは俺達を見下ろし

『こんな満月の夜にそんな無粋なことをすることは俺が許さん』

「「「へっ?」」」

言いながらルナテックはセシリア達三人を睨む

そして

『クレッセントハウリング!』

「「「キャアーー!!」」」

・・・クレッセントハウリングで吹き飛ばした

「ってなにをやっとんじゃお前は!?」

『許せ月光、月光神龍となった俺にはこの美しい満月を守る義務がある』

「いや、わけわかんねぇよ・・・」

そういやこいつ、満月の日に曇りとかだとものすごい落ち込むんだよな

それがルナテックになってことで悪化したのか・・・

「うわぁ、三人とも見えなくなっちゃった・・・」

「どんだけ吹き飛ばしてんだ」

『ふむ、少しやり過ぎたか』

「はぁ、しゃあねぇ。 あいつ等は俺が回収しとくから気にせず続けてくれ、んじゃ」

「あ、僕も手伝うよ。 それじゃあごゆっくりー」

そう言って俺とシャルはその場から立ち去る

二人とも唖然としていたがまぁいっか

そこまで遠くに飛んでなきゃいいんだが・・・

その後、三人は砂浜に埋まっていたので引っこ抜いて部屋に返しておいた

・・・明日が恐そうだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんだったんだ・・・?」

その場に取り残された一夏は今起こった出来事に頭が着いていかず、唖然としている

「い、一夏」

すると一夏に抱き抱えられている箒が顔を赤くしながらモジモジと一夏に話しかける

「ん?なんだ、箒」

「その・・・できればそろそろ降ろして欲しいんだが・・・」

「えっ?」

箒に指摘されてハッとする、セシリア達から逃げようととっさに箒を抱き抱えて逃げようとしたのだが

ルナテック・ストライクヴルムに助けられた(?)為、一夏は箒を抱き抱えたままだったのだ

それに気付いた一夏は慌てて箒を降ろした

「ご、ゴメン!慌ててたからつい!」

「い、いや、ちょっと恥ずかしかっただけで嫌というわけでは・・・」

「え・・・?」

すかさず謝罪をした一夏にモジモジしながら箒は返す

その言葉を聞き返し、一夏は箒に顔を向ける

「・・・・・・・」

その際、月明かりに照らされた箒を一夏は思わず見つめていた

その姿があまりにも美しく、華麗だったから

「一夏?どうかしたのか?」

その視線に気付いた箒は不審に思い、一夏に問う

「あ、いや、その・・・綺麗だったからさ、箒が・・・」

「えっ・・・?」

少し顔を赤く染めた一夏の言葉に箒はさらに顔を赤くする

そして二人に沈黙が流れる

「・・・なぁ、一夏」

「な、なんだ?」

しばらく沈黙が流れてから箒は意を決したように一夏に声を掛ける

「その、私のことを・・・意識したりするのか・・・?」

「はい?」

「だから!わ、私のことを・・・異性として意識するのかと聞いているのだ・・・」

最後の方は恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にし、俯きながらだった

そして一夏は一瞬その意味が判らなかったのか目を丸くし、しばらくすると顔を一層赤くして頬を掻いた

「う、うん・・・」

一夏は顔を背けながらそれだけ答えた

「そ、そうか・・・そう、なのだな・・・」

それを聞いた箒はどこか嬉しそうな表情になり、そしてまた何かを決意するような顔になる

「箒?」

「一夏!」

「は、はい!」

そして再び意を決した箒の呼びかけに一夏は思わず背筋を伸ばして返事をする

箒はそんな一夏を真っ直ぐ見つめ

 

 

 

 

「わ、私は・・・お前のことが好きだ!付き合ってくれ!!」

 

 

 

 

「・・・え?」

一夏はしばらく目を丸くしてから

「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええぇぇぇえぇぇええ!?」

盛大に驚いた

(箒が俺のことを!? えっ!? マジで!? そうなの!?)

一夏の頭の中は一瞬でぐちゃぐちゃになり混乱する

「ずっと、いじめっ子から助けてもらって、初めて名前を呼んでもらったあの日からずっと。 一夏のことが好きだった」

そんな一夏に箒は話し始める

それに一夏は耳を向ける

「姉さんのせいで転校することになって、一夏と離れ離れになっても・・・ずっと好きだった。 一夏のことを想い続けてきた」

「箒・・・」

「だから、お前の気持ちを聞かせて欲しい」

「俺の・・・?」

「一夏は、私のことをどう思っているのかを・・・」

そう真っ直ぐ見つめられながら言われたその言葉に一夏は考える

(俺は、箒のことをどう思っている・・・?)

そしてこれまでの箒との日々を思い返す

(ちょっと男勝りなとこがあって、厳しいとこもあるけど。 真っ直ぐで、綺麗で、気付いたらいつも一緒にいて・・・)

そこで一夏はあることに気付く

「あぁ、そうか・・・」

「一夏?」

そして真っ直ぐ箒の目を見て

「俺も、箒のことが好きだ」

「え・・・?」

「ずっと気付かなかったけどさ、箒に好きだって言われてはっきりした。 俺も心のどこかで箒に惹かれてたんだ」

「一夏・・・」

「箒」

「はい・・・」

そして一夏と箒はお互いに見つめ合い

「こんな俺で良ければ、俺と付き合ってくれ」

「っ!・・・はいっ、こちらこそ、よろしくっ・・・おねっ、がい・・・」

一夏の言葉に箒は両手で口元を押さえ、涙を流しながら答えた

そんな箒を一夏はそっと抱き寄せ

「ありがとう、箒」

「うぅっ、一夏ぁ・・・」

その後、二人はしばらく抱き合っていた

そんな二人を月が祝福するように照らしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん、ここは・・・?」

場所は移って旅館のとある部屋

そこで紫之宮まゐは目を覚ました

「目が覚めたか、まゐ」

「ダン・・・」

声に首を向けるとそこにはずっと側でまゐを見ていたダンがいた

「よかった、夢じゃ、なかったんだ」

「夢なんかじゃないさ」

そう言うまゐの手をダンはそっと握る

「あっ・・・」

「俺はここにいる、お前の側に」

その手をまゐも握り返し、その手を胸に当てる

「やっと・・・やっとまたダンに会えた」

「まゐ・・・」

涙を流しながらそう言うまゐにダンは握っていた手を強く握る

「きっとまた会えるって信じてた、信じてたけど、どこかでもう会えないんじゃないかって想うようになって・・・不安になって、すごく辛かった・・・」

「・・・すまない」

普段弱いところを見せないまゐのその言葉にダンは彼女を悲しませてしまったことに罪悪感を覚える

「謝らないで、ダンはみんなを、世界を救うためにやったんだから。 何も間違ったことはしてない」

「でもそのせいで・・・お前を悲しませることになった」

ダンは俯いて自分を責めるように繋いでいる手を強く握る

それにまゐは身体を起こして

「・・・ダン」

「まゐ・・・っ!」

ダンに顔を近づけ、その唇に口付けをした

その行為にダンは目を見開き驚く

そしてまゐはそっとダンから唇を離し、ダンの顔を真っ直ぐ見る

「・・・自分を責めないで、貴方はこれまで誰かの為、どんな辛い想いをしても戦ってきた。 それはたくさんの人や異界人、魔族だって救ってきた、もちろん、私も・・・」

まゐはダンの手を強く握り、話し始める

「そんなあなたが傷つくのはもう見たくないの・・・ダンが辛い想いをすると、私も辛くなるから」

そう話すまゐの目には涙が溜まっていた

それを聞いたダンはそっとその涙を指で拭き

「ありがとう、まゐ」

「ダン・・・」

「それでも、まゐに悲しい想いをさせたのは変わらない。 だから・・・」

ダンの言葉を人差し指でダンの唇を塞いで止めるまゐ

「じゃあ、お願いがあるの」

「・・・なんだ?」

「もう、急にいなくなったりしないで・・・ずっと、側にいて・・・」

そう言うまゐの表情はとても可憐で、ダンは思わず見惚れてしまった

「・・・あぁ、俺は、ずっとお前の・・・まゐの側にいるよ」

「ダン・・・ありがとう」

そしてお互いに見つめ合った後、二人はまた唇を重ねるのだった

『・・・一生大事にしろよ、ダン』

そんな彼等をライジング・アポロドラゴンはカードの中から見守っていた

こうして二組の男女が想いを重ねながら、長かったようで短い修学旅行は幕を閉じるのだった

説明
第七章 エピローグ
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コメント
この後がすごく気になる、ダンや魔ゐは、元の世界に帰れたのかそれとも、3年間ISの学校に通っていたのかがすごく気になります。(G2Konnpaku)
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