武装神姫「tw×in」 第七話 店×選択= |
神姫バトルで引き分けになることはかなり珍しい。
なので、偶然オレ達のバトルを見ていた人達がその結果を見て、おぉ、とか呟いていたらしい。
「最初はカレンの怒り声で注目が集まったんだけど、その後も見てた人が多かったんだよ」
「でもまさか引き分けとはな」
「力が互角だったってことね」
「ん、珍しいものを見た」
真南、東太、天野、木部と共に筐体から少し離れたところで、先ほどのバトルの話をしていた。
その横の台の上では全員の神姫が集まっている。
「流石ですわね、ですが、次は同じ結果にはなりませんわよ」
「そっちこそ、次はちゃんと決着つけような」
カレンとスレイニが互いを称えて再戦を約束し、
「スレイニさん、もう少しでしたね」
「次は絶対勝てますよ!」
エンルとルミアがスレイニを応援し、
「うら?、二人ともスゴかったうらよ」
「そうですね、お二人共、素晴らしい腕前でした」
うらと氷李がバトルの感想を送っていた。
「そういえば宗哉、ポイントはどうなったの」
「あぁ、これで多分足りるよ」
東太との引き分け分だから負けた時より多い、保険には充分過ぎるだろう。
「じゃあさっそく買いに行こっか」
「そうだね」
「ミズナー、行くよー」
「はい、マスター」
「三人共、そろそろ行くよ」
ミズナが真南の肩の上に、エンル、ルミア、スレイニがオレが持つ鞄の中に入った。
「かなちゃん達はどうする? 一緒に来る?」
「アタシはもう少し神姫を見てくわ。これからずっと一緒にいるんだから選んで決めたいし」
「ワタシは要に付いてく」
「じゃあ俺は行こ…」
「すみませんが水飼さん、私達はもう少しバトルをして行こうと思います」
「え? カレン何を言って…」
「ですわよね、マスター?」
喜びとは違う感情の隠った微笑が東太に向けられる。
「は…………はい」
有無を言わさず東太は従うしかなかった。
「じゃあわたし達だけだね、行こう宗哉」
「うん、皆、また明日」
3人と別れ、オレ達はショップへと向かった。
「さぁマスター、さっさと次の相手を探しに行きますわよ」
「へーい……やれやれ、そんなにスレイニとの引き分けが悔しかったんだな」
「何か言いまして? マスター」
「い、いえ、何でもありません」
「では、早速探しに行きましょう」
「は、はい」
「火渡も大変ね」
「うら?、マスター、うら達も付いていけば色んな神姫に会えるうらよ」
「それもそうね、結もそれでいい?」
「…………?」
「マスター、どうかなされましたか?」
「ん? 結どうかしたの?」
「……今さらだけど、アーンヴァルMk.2型のリアパーツって…」
ショップには神姫を始め、多くの武装が種類別に置かれて販売されていた。
しかし、ちゃんとした値段と共にもう一つ忘れていたことがあったのを、ここへ来て気付いた。
「二種類あるね、エンルちゃんのリアパーツ」
「そうだ、忘れてたよ」
アーンヴァルMk.2型のリアパーツは、二種類あったんだ。
そういえば、レッグパーツも二種類あって悩んだ結果今のにしたんだっけ。
コーリペタラスとシンペタラス。二種類とも正式装備で性能が少しずつ異なる。それどころか、どちらかをつける事で扱える神姫固有レールアクションまで変わるという。
どちらにせよ、一つ分のポイントはある。
「どうするの?」
「うーん……エンル、どっちがいい?」
「えっ? わ、私ですか?」
だってエンルのリアパーツだから、本人が気に入る方が良いよね。
「そ、そう……ですね……」
エンルが二つのリアパーツの前でうんうん唸っている。
「二人はどう思う?」
助け船と思い、ルミアとスレイニにも訊いてみた。
「アタシはコーリペタラスですね、エンルちゃんのレッグパーツを見るにこっちを選ぶと固有レールアクションが出来るみたいですよ」
「わたしはシンペタラスです! コレで空中ダッシュの効果が上がるみたいですから」
見事に二つ別れた。
「う、うーーん……」
結果エンルはもっと悩むことに。
「時間はあるから、ゆっくり悩んでいいよ」
「は、はい、ありがとうございますマスター」
「それじゃ、わたし達ちょっと向こう見てくるね」
真南とミズナはショップを見回りに行った。
「マスターも行って来てはどうですか? エンルちゃんにはアタシ達が付いてますから」
「なら、そうしようかな」
スレイニ、ルミア、エンルと別れてオレは真南の後を追った。
「あれ? もう決まったの?」
「ううん、スレイニがショップを見て来いってさ」
「そっか?」
真南は神姫素体のブースに居た。
「さっきかなちゃんが新しい神姫を買うって言ってたから、気になっちゃって」
そこには起動してない販売用の神姫と、起動した宣伝用の神姫。エンルと同じアーンヴァルMk.2型、ルミアと同じハウリン型、スレイニと同じアーク型、ミズナと同じゼルノグラード型。他にも多くの神姫が様々な行動をしている。
「わ?、あの子かわいい?」
その中でも真南の目に止まったのは、ツガル型の神姫。
頭の左右でツインテールにした緑色の髪に赤い瞳と一般的なカラーリングで、正式武装を全て装備していた。確か、サンタ型神姫だった筈だ。
ツガル型はこちらを見て手を振ってきた、真南もそれを見て振り返す。
「かわいいな?」
すっかり一目惚れしていた。
「かなちゃんも複数持ちになるし、宗哉はもうそうだし、わたしもそうしょっかな?。どう思う? ミズナ」
「良いんじゃないですか、わたし一人じゃマスターの面倒見切れないんで、二人なら楽出来ますし」
「むぅ、どういう意味ー?」
確かにミズナは一人で真南の奇行に付き合って大変そうだ。もう一人入れば、苦労を分担出来るかもしれない。
けど、それは真南が選ぶ神姫による。
スレイニやカレンのアーク型やイーダ型なら良いだろうけど、今見てたツガル型は、どちらかと言えば真南よりの性格設定がされている。
その場合は、苦労が二倍になる可能性が高いな。
「ん?、でもやっぱ神姫を買うにはポイント足りないな、買ったからには武装も揃えたいし……もうちょっと考えよ」
真南が複数持ちになるのはまだ先の話になった。
「宗哉はどう?」
「え? 神姫を買うかってこと?」
「うん」
「いや、その予定は無いかな」
もう三人も居るし。増えれば賑やかになるかもしれないけど。
「でも三人まで来たら後少しで五人だよ、戦隊モノ出来るよ」
「戦隊モノって……」
少し想像してみた。
リーダーのレッドはやはりスレイニ。
ルミアはカラーリング的にはブラックか、或いはグリーン。
エンルは髪の色がイエローだけど、全体はホワイトだから……
「バランスが悪くて無理」
それにブルーとかイエローがいないと出来ないな。
「そっかぁ?、ざんねん」
「そうそう戦隊モノ意識して神姫持ってる人なんていませんって」
ミズナがやれやれと肩を落とした。
その時、携帯が鳴った。取り出して開くと、着信だった。
「はい」
送信者は……
「え? あぁ、別に良いけど」
そういえばこのところ連絡無かったな。
「うん、明日の放課後。1人で? うん、三人を連れて、うん、詳しい事は後でか、分かった。それじゃ」
通話を切った。
「誰だったの?」
「ミルート」
「みるちゃん? 何だって?」
「明日、実験の手伝いに来てくれって、別に真南なら来ても良いらしいけど、どうする?」
「あー、ごめん、明日はちょっと用事あるんだ」
「そっか、じゃあオレ1人で行ってくるよ」
その後、エンル達と合流するとすでに決定していた。こうして、エンルのリアパーツ、コーリペタラスを手に入れた。
家に到着。その途端にスレイニが張りきり出して自分も含め三人のクリーニングを開始。
オレは手を洗うと、パソコンを開いてチャットを表示した。
相手はすでにログインしており、オレが入ったのを見て言葉を送ってきた。
『待ってたよ、早速明日の予定を軽く説明するね』
言葉に返信する。
『了解』
数秒して再び返事がくる。
『ついに実験の試作機が出来てね、そのテストバトルを頼みたいんだ』
『試作機って、神姫の?』
『そうだよ、前に話してたアレさ』
『本当に出来たんだ』
『ボクをなめないでほしいね、いつか神姫を創る人になる人間だよ。とにかく、お礼はするから明日はヨロシク。何かある?』
お礼か……
「……」
ひょっとしたら、あるかもしれないな。
『じゃあ1ついいかな』
『なにかな?』
『アーンヴァルMk.2型の―――
説明 | ||
次辺りに、原作から外れた物を出してみようと思っています。 | ||
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