IS学園にもう一人男を追加した 〜 70話
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千冬SIDE

 

 

獅苑?

「っ!」

 

千冬

「ふっ!」

 

"犬"が霧になったかと思ったら武器へと変わり、私の雪片と打ち合う。ほか2匹も姿を武器へと変え、早い立ち回りと防御力で私を追い詰める。

ただでさえ、こっちはまだ完全に現役の感覚を取り戻せていないのに、2戦目で朝霧を相手にするのはキツイか・・・?

 

獅苑?

「おらっ!」

 

千冬

「くっ・・・!」

 

雪片を弾き飛ばされた。すると、朝霧は刀身の先をこちらに向け・・・

 

獅苑?

「くたばれ・・・」

 

収束された風圧が私を吹き飛ばし、壁に押し潰した。だが、束の"展開装甲のデータ"のおかげで思った以上に機体の損傷は少なかった。

 

千冬

「っ!」

 

咄嗟に首を横に曲げると大剣が私の頬ギリギリを通過する。

 

獅苑?

「強いな、アンタ」[ニコッ]

 

千冬

「・・・」

 

ムカつくな。生徒に見下されるとは・・・なら、そろそろ"隠し玉"をだすか。

 

千冬

「『第三形態(サード・シフト)』・・・」

 

獅苑?

「なに?」

 

『暮桜』が神々しく輝き、辺り一面に光が散りばめられる。そして、その光は一点に収束していって・・・

 

[ヴォンッ・・・]

千冬

「終わりだ・・・」

 

右手に握られた"光の刀"『雪片"秋霜(しゅうそう)"』を縦に一閃。その瞬間、朝霧目掛けて光の道筋が出現して朝霧を地下基地ごと吹き飛ばした。

 

千冬

「・・・やりすぎたか?」

 

もくもくと上がる煙。ハイパーセンサーで朝霧の生命反応を確認してホッとしつつ、朝霧の下へ向かう。

 

フラン

「おお〜っと! もう、倒しまーしたか〜!?」

 

壊された壁の向こうから、ヘンテコな二足ロボットに乗っている人物がやってきた。その人物の事は束から少し聞いていた。

 

千冬

「・・・お前がフラン・クリンだな?」

 

フラン

「よ〜く、知ってまーしたねー?・・・って、篠ノ之博士とフレェンドのあ〜なたなら、知ってて当然でしょーね」

 

千冬

「・・・一夏に何をした?」

 

フラン

「? 何ですと?」

 

千冬

「一夏に何をしたのかを聞いているんだ!! お前達が一夏を誘拐した黒幕だというのは分かっている! 何故、一夏はISを使えるんだ!?」

 

フラン

「・・・」

 

千冬

「答えろっ!」

 

フラン

「いや〜、答えろと言われましても〜・・・特に何もしてないんですが」

 

千冬

「嘘をつくなぁ!!」

 

『雪片"秋霜"』を振り上げる。だが、フランがどこから出したのか、小型のアンテナを手に持って特殊な電波が私に向けられ・・・

 

千冬

「ぐっ・・・AIC、か・・・」

 

感情に任せて、注意力が欠けていたか・・・

 

フラン

「そー、熱ーくならないで。一応、傷口を隠すために医療用ナノマシンを注入しただけですよー。それだけでISを使える理由にはなりません」

 

さっきより落ち着いて説明してくれた。確かにそれぐらいの事は束が気づかないはずがない。なら、一体・・・

 

フラン

「篠ノ之博士は空想論はお好みじゃないようですね」

 

千冬

「なら、お前は違うのか?」

 

フラン

「私の見解では"織斑千冬"、あなた自身が鍵じゃないかと思ってるんですよ」

 

千冬

「私が・・・?」

 

フラン

「もしくわ、『白騎士』に・・・ISコアは作った張本人である篠ノ之博士でさえ、ブラックボックスの部分を解析できていない。そこに私はある仮説を立てた」

 

千冬

「仮説?」

 

フラン

「"ISコアには自我がある"・・・」

 

千冬

「・・・」

 

フラン

「実際、私の目で見たわけじゃないですが、織斑一夏と朝霧獅苑にはその現象が起きていますよ・・・過程はお互い違いますが」

 

千冬

「まさか、朝霧に寄り添っていた"犬"がそうなのか?」

 

フラン

「どうなんでしょうね? 元々、あんな設定は作ってはいませんし・・・それよりも、そろそろ"彼"が起きますよ」

 

千冬

「何・・・?」

 

"彼"というのは、朝霧の事を指しているのだろうか? そう思って、朝霧が吹っ飛んだ方向を見ると、よろよろと立ち上がる朝霧を確認した。

 

フラン

「一つ、頼みを聞いてもらえますか?」

 

千冬

「お前が、私に?」

 

AICの効力が消え、私の体が解放される。

 

フラン

「"彼"を止めてください。今の"彼"はいつもの"彼"ではないですから」

 

千冬

「? 何を言って・・・」

 

フラン

「あ〜とは、あなたの目で確認、しなさーい!!」

 

フランはロボットを操作してこの場を走り去っていく。

 

千冬

「お、おい・・・っ?」

 

フランを追うとしたが、禍々しい気配に私の動きは止まる。場の空気が冷え、チクチクと装甲で覆われていたはずの肌が痛む。

 

千冬

「お前は・・・朝霧、なのか?

 

獅苑?

『・・・』

 

"あの"朝霧は何も答えない。だが、一言だけ・・・

 

獅苑?

『排除する』

 

 

 

 

 

 

 

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本音SIDE

 

 

本音

「ん・・・」

 

目が覚めたら、以前も見た真っ白な世界。前みたいに意識が吹っ飛ばない事にホッとしつつ、ハナちゃんを探す。

あの時、ハナちゃんの案で『白鬣犬(ハイエナ)』を使う事にした。でも、予想通りに私は"真っ白な世界"に飛ばされ、現在この世界で彷徨っている。

きっと、現実の私は"機械的"に敵と戦っているんだろうな〜・・・

 

本音

「ん〜・・・ハナちゃんいないな〜」

 

[グ〜・・・]

 

本音

「お腹も空いちゃったぁ・・・」

 

獅苑君のお菓子が食べたいなぁ・・・。この際、飴でもいいやぁ・・・

 

本音

「それにしても、何で獅苑君がここにいるんだろうねぇ・・・?」

 

隕石が学園に落ちた後、私はセッシーに連れられて校舎外に出た。そしたら、会長さんが学園に海水の塊を落としたところを友達と一緒に歓声を上げていたのだが、みんなは気づかなかったけど、獅苑君が赤いISに乗って会長さんと一緒にアリーナ方に向かったのを見たのだ。

何かあると思ってマヤマヤ先生から目を盗み、お姉ちゃんと会長さんの先回りをした。目的は知らないけど、ボートが置かれていた場所は分かっていた・・・どうやって、先回りしたかは秘密だよ〜♪

 

本音

「あの時、会長さんに聞けばよかった〜・・・って、ここってテロリストのアジトなんだよねぇ〜・・・」

 

・・・あれ〜? だったら、獅苑君って・・・

 

本音

「まっさか〜。ありえないよ〜・・・ありえないよぉ・・・」

 

 

 

【現実】

投稿者SIDE

 

 

W

「っ! っ!・・・」

 

大量の鎖を振り払い、攻撃を避ける『W』

 

本音

『対象に効果なし。対応を変え"爆導索"を使用します』

 

(腰)装甲のスカート状から"爆導索"が『W』の横を回り込むように射出される。

その場から逃げ出そうとした『W』だったが、もう一本の爆導索がすでに配置されていて爆発の風圧で砂浜に落下した。

 

W

「う・・・あっ」

 

その場で座り込んで懐から飴玉を取り出す。獅苑?から貰った物だったが、千冬の接近のせいでお預けにされていた。相変わらず無表情だが、その心中ではご飯を待ちわびていた犬みたいに喜んでいて、飴玉の袋を破ろうと手を掛け・・・

 

[ドンッ!]

W

「あ・・・」

 

『白鬣犬』の襲撃で足元から鎖で襲うが、『越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)』の強化された反応で上空に逃れる『W』。だが、手に握っていた飴玉の袋を落としてしまって、その袋は『白鬣犬』もとい本音の目の前に。

 

本音

『・・・』

 

[グ〜・・・]

 

本音

「わぁ♪」

 

W

「かえ・・・せっ!」

 

 

 

 

 

 

 

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楯無SIDE

 

 

スコール

「あら? もう終わりかしら?」

 

私を空中から見下すスコール。スコールのIS『ベラ』の背部に生えている羽から光の粒子が溢れ出し、その輝きがスコールの不敵な笑みを強調させている。

 

楯無

「くっ・・・!」

 

膝をついた状態から『蒼流旋(そうりゅうせん)』のガトリングを撃つ。だが、スコールのIS『ベラ』羽から生え出た繭の糸がガトリングの弾丸を絡めとる。

さっきから私の攻撃を全部防がれる。前に対峙した時もそうだ・・・

 

スコール

「それじゃ、前と変わらないわよ。いい加減、諦めたら? あなたのISじゃ私のISを超えられない」

 

楯無

「うるさいわね。私がやると言ったら、やるのよ!」

 

ただでさえ、初恋が失恋になっちゃうかもしれないのに、その答えすら聞けずこんなところで・・・

 

楯無

「止まっている訳にはいかないのっ!!」

 

『蒼流旋』に水の螺旋を纏わせ、床を蹴りスコール目掛け飛び出した・・・だが、金色の羽から伸びた金の糸が頭部を残して全身に絡み天井から宙吊りされる。

 

スコール

「活きこんで突っ込んできても、形勢は変わらないわよ」

 

楯無

「・・・そうかしら?」

 

繭の中で手の平をスコールに向け・・・

 

楯無

「『ヤドリギ』!」

 

スコール

「っ!?」

 

圧縮された水の矢がスコールのみぞおちが突き刺され、装甲が砕いた。すると、私を縛っていた繭が緩んで『蒼流旋』を構えて、容赦なく氷柱状の水『アイスィクル』を放つ。

 

楯無

「・・・ふぅ。だから、"昔と同じだと思わない方がいい"って言ったのに・・・」

 

充分に撃ち尽くした『アイスィクル』の攻撃を止める。これ位の事じゃあのスコールは倒せないと思うけど、この展開は前に戦った時もあった。

 

スコール

「そうね。確かに"昔"とは違うわね・・・」

 

最初は前置きを置いてから、余裕綽々でこちらに近づく。そして、距離が3メートルを切って・・・

 

楯無

「背後にっ!」

 

スコール

「ざ〜んねん♪」

 

スコールは背後に回り込んではいなくて、頭上から組まれた両腕をハンマーのように後頭部を強打された。

 

スコール

「あなたこそ、"昔"に囚われ過ぎたわね。あなたが恋をして変わった様に、私だって一応変わってるんだから」

 

楯無

「そう、ね・・・」

 

自分で言っておきながらこれか・・・これじゃあ、獅苑君に何て言われるんだろうね?

それに本音ちゃんの事だってあるし。どうしようかな、これから・・・

 

スコール

「ここで殺されるのと、生き恥を晒すの・・・どっちがいい?」

 

楯無

「どっち・・・? どっちにしたって死んだようなものじゃないの・・・」

 

スコール

「そう・・・なら、死になさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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投稿者SIDE

 

 

山田

「ユウキさん! 射出準備出来ましたよ!」

 

ユウキ

「へーい・・・ポチッと」

 

[『ドラッツェ』全国に向けて射出します]

 

ユウキ

「これで、世界は火の海かぁ・・・」

 

山田

「・・・ユウキさん。僕達は正しいんでしょうか?」

 

ユウキ

「正しくはないでしょうね・・・」[ピコピコ]

 

山田

「僕達は歴としたテロリストです・・・僕は、テロリストになるために博士に付いてきたんじゃない」

 

ユウキ

「・・・たぶん、大丈夫でしょ」

 

山田

「・・・えっ?」

 

ゲームを手に持ちながらモニターを指差すユウキ。山田がモニターに目を移すと、『ドラッツェ』の進路が・・・

 

ユウキ

「必ず反感を持つ人はいる。その人達が必ず・・・何もかもぶっ壊してくれるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【別の場所では・・・】

「あ〜あ、勝手な事するなぁ〜・・・」

 

モニターには『ドラッツェ』の反応が赤い斑点で映し出されている。束はキーボードをカシャカシャと叩いて最後にエンターキーを押す。すると、赤い斑点が進路を変更して"日本"に向かって動き出し、その場所は・・・

 

「いっくんと箒ちゃん+その他なら、何とかしてくれるでしょっ!」

 

『IS学園』へ・・・

 

「くーちゃん! お腹空いた〜!」

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インフィニット・ストラトス 朝霧獅苑 のほほんさん 

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